インド亜大陸旅行記 -25ページ目

39日目 タンジャーヴール→約50Km(バスで1.5時間、12.5Rs)→クンバコナム

『親切的不親切』



今日も早朝から蚊の大群に襲われ目が覚める。
蚊取線香は効かないし、部屋中隙間だらけなので仕方がないのだが、こればかりは慣れろと言われても慣れるものではない。
北インドに戻るまで、蚊との戦いはまだまだ続きそうである。

8時なったので“ブリハディーシュワラ寺院”を見学しに行く。
カニャークマリで知り合った日本人が「ブリハディーシュワラ寺院は南インドの寺院で一番素晴らしい。」と大絶賛していたので、期待大である。

ところが、寺院の入り口らしき場所に到着し、中を覗いてみると鬱蒼と木が茂っており、誰もおらず静まり返っている。
入場料を払おうと窓口へと行ってみるも閉まっている。
「今日は休業なのか?」と一瞬思ったが、そんなことはあり得ないので、道を少し戻って暇そうにしているオッサンに聞いてみると、「あれは寺院の入り口ではなくて、公園の入り口だ。」と言われた。
窓口が開いていたら、危うく2Rs払って薄気味悪い公園に入っているところであった。

気を取り直して大通りに出て歩いて行くと、今度はちゃんと寺院の入り口に辿り付く事ができた。
門をくぐって中へ入ると、目の前に大きな寺院が現れた。

さすが南方型寺院建築の最高峰、世界遺産にも登録されているだけあって、大きさといい、形といい、人を圧倒するには十分過ぎる荘厳な感じがひしひしと伝わってくる。
鳥肌が立ちっぱなしで、なかなか引かないほどの素晴らしさだ。

壁に施された彫刻を見ながら寺院を周る。
他の観光地になっている寺院よりも忙しくなくて雰囲気もいい。
すごくこの寺院が気に入った。

続いて寺院内に入り、インド各地から来た観光客と一緒に並び本殿を見学した。
シヴァ神を祀る寺院には、シヴァ神のシンボルであるリンガ(男根)が祀られているのだが、この寺院には今まで見たことがない大きさのリンガが祀られていた。

寺院の外に出て少し離れた場所からしばらく寺院を眺める。
高さ63Mの頂部には重さが80トンもあるシカラ(冠石)が置かれているのだが、今から1000年も前の技術でどうやって載せたのか疑問が涌いてくる。
入り口にも25トンもある巨大な単石のナンディ像が祀られており、インド人のヒンドゥ神に対する熱き信仰には本当に頭が下がるほど圧倒されてしまう。

1時間ほど寺院内で食事していた観光客と話をしたり記念写真を撮ったりしながら過ごし、宿に戻った。
荷物をまとめてチェックアウトし、バススタンドへと向かう。
次の都市、クンバコナムへと移動するのだ。

オールドバススタンドに着き、クンバコナム行きのバスを探す。
しかし、なかなか見つからないので車掌らしき人に尋ねると、クンバコナム行きのバスはバススタンドではなく、寺院前のバスストップから出るということが分かった。
リクシャーのオッサンにバスストップまで乗っていくように勧められたが、歩いて行くことにした。

15分ほど重いリュックを持って歩き、寺院前のバスストップに到着。
路地に腰掛け、隣にいたオッサン達に「クンバコナム行きのバスが来たら教えてね。」と頼み、本を読むことにした。

しばらくして、オッサン達から「おい!ジャパニ!バスが来たぞ!」と呼ばれた。
荷物をまとめて急いでバス乗り場へと行く。
すると困った事にバスが2台来ていた。
「どっちのバスがクンバコナム行き?」とオッサン達に聞いてみると、それぞれ別のバスを指差す。
始まった。
インド人のいい加減親切が…
おそらくどちらのオッサンもクンバコナム行きのバスがどちらか知らないのだろう。

仕方ないので、先に来たバスに乗りこんだ。
ところが、席に座ったところでバスの車掌が寄ってきて、「クンバコナム行きのバスは後ろだ。」と言われ降ろされてしまった。
急いで後ろのバスに乗り込んで事無きを得たが、インド人のいい加減さにも程がある。
本当に困ったものだ。

1時間半ほど長閑な風景の中をバスに揺られ、クンバコナムのバススタンド到着した。
ガイドブックで見てみると街の中心部まで500Mほどだったので、重いリュックを背負ったまま歩き出した。



遠い。
ちっとも目的地に着かない。
尋ねた人達の説明の適当なので、今どこにいるのかも分からなくなってくる。
結局、1時間も歩き続け、薄気味悪い今日の宿『New Diamond Lodge』を見つけることができた。

荷物を宿に置いて、早速お寺巡りをする。
クンバコナムは多くの寺院が点在する門前町であるが、主要観光地になっていないので、訪れる外国人観光客も少ない。
そのため、変に話しかけてきたり、怪しい人もいないので、ゆっくりと観光できそうである。

まずは、のんびりとした感じの“ナーゲシュワラ寺院”へ。
寺院内は静まり返っていて、近所の人と思われる数人がお祈りをしていた。
日本の田舎にありそうなお寺の雰囲気である。

次に“サランガパニ寺院”をサラリと見学して、“クムベシュワラ寺院”へ。
ちょうどプージャ(礼拝の儀式)が行われていたので、たくさんのインド人に混じって見る事に。
笛と太鼓の奏でる幻想的な音楽に合わせて薄暗い本堂の中をローソクの明かりが舞っている。
その儀式を見ているだけで心が落ち着くようである。
俺もすっかりヒンドゥー教徒の一員になってしまった気分だ。

プージャが終わり、寺院内のゾウを見ながら休憩した後、次の寺院“ラーマスワミー寺院”へ。
この寺院のオッサンがものすごくいい人で、見学している俺を見つけ「おい!こっちへ来い!」と本堂へと呼び、中へ入れてくれた。
そしてお祈りをさせ、額につける赤い粉をくれたのである。

その後、再び寺院内を見学していたのだが、オッサン達は俺の存在を忘れていた(もう帰ったとおもっていた)ようで、門を閉めてしまい儀式を始めてしまった。
このままでは寺院の外に出ることができない。
申し訳なかったが、仕方なく儀式を行っている本堂にひょっこりと入っていくと、俺の存在に気づいたオッサンはものすごく焦った顔で、慌てて俺を追い出した。
オッサンの慌てた顔…当分忘れる事ができないくらい面白い顔だった。