49日目 バンガロール→183Km(バスで4時間、70Rs)→プッタパルティ
『サイババ』
昨日は宿泊費に300Rsも払ったので、300Rs分ゆっくりくしようと思ったが、だんだんと300Rsも取られたことに腹が立ってきて早々にチェックアウト。
贅沢した分節約の為、リクシャーは使わずにバスターミナルまで歩き、サイババのいるプッタパルティ行きのバスを探した。
暇そうな人に場所を聞きながら、ターミナルから離れた場所でプッタパルティ行きのバスを発見。
さっそくチケットを買おうと発券窓口へ並ぶと、横にいたオッサンに「予約してないと乗れないよ。」と言われてしまった。
しかも、今から予約すると明日のバスしかないそうだ。
しかし、どうしても今日中にプッタパルティへ行きたいので、オッサンに「何とかならない?」とお願いして見ると、「10時半まで待ったら何とかしてあげるよ。」と、嬉しい答えが。
さすがインド、どんなことでも何とかなりそうである。
ターミナル内で行き交う人々を観察しながら1時間半ほどボーっと待っていると、約束の10時半に。
再びバスの前まで行き、オッサンを待つ。
しかし、肝心のオッサンは現れない。
また適当な事を言われたのかな?と思い、オッサンはあてにせず、バスの車掌に直接交渉してみることにした。
事情を説明すると車掌は「空席があるから乗れ。」と、快く乗車OKにしてくれた。
オッサンの助けを借りずとも、何とかなったようである。
乗車券を買い、席に着く。
周りを見渡し、乗っている人を観察してみると、意外にも独特なインド顔の人が少ない。
日本人と顔立ちが似ている、チベタンばかりが乗っているのである。
チベタンの間ではサイババが大人気なのだろうか。
バンガロールからプッタパルティまではいくつもの丘を越え、ただ果てしなく広い茶褐色の大地を突き抜けて行く。
本当にこんな辺鄙な場所にアーシュラム(道場)があって、サイババが住んでいるのだろうかと思わず疑ってしまうような光景である。
4時間の荒い運転で気分が悪くなりかけた頃、プッタパルティに到着。
ウキウキしながらバスから降りるが、地図も情報もナシにこの地へと来てしまったので、これからどこへ行けばいいのか分からない。
とりあえず、バスターミナルにあった地図を見ながら「さて…宿でも探すかな…」とボーっとしていると、「日本人の方ですか?」と背後から女性の声が。
さまよう旅人の前に、女神の登場である。
その女性はサイババに会うため、何度もプッタパルティを訪れている方だったので、アーシュラムの事からサイババの事まで何でも教えてくれた。
泊まる所は、アーシュラム内に宿泊施設があるということを聞いたので、さっそくサイババのいるアーシュラム内へ。
入り口にはマシンガンを持った門番がニラミを効かせており、何もやましい事は無いのだが、その前を通る時はなぜか緊張した。
アーシュラム内は予想以上に広く、全身白い服を着た、アメリカやヨーロッパ、南米などの世界各国から来ている信者達が大勢生活していた。
優しそうな人達に道を聞き、宿泊施設の受付へ。
宿泊の世話役をしているオッサンに施設内の話を聞き、手続きをする。
1泊の料金がなんと20Rs(約50円)という破格の安さには驚いた。
さすがサイババ、太っ腹である。
ノリのいいオッサンだったので楽しく話をしていると、そこへ日本人の青年、N君がやってきた。
名古屋在住のN君はNGOの研修でインドへと来ており、研修開始まで時間があったので、プッタパルティに寄ったそうだ。
N君は既にここで3日間生活していたので、ドミトリーまで案内してもらうことにした。
アーシュラム内をここ独特の挨拶である「サイラム」(おはよう、こんにちは、といった挨拶みたいなもの)を交わしながら歩き、一番端にある日本人が多数宿泊しているドミトリーへ。
今回の旅で初めてのドミという事で、セキュリティーの面では少し心配だが、いろんな人達と親交を深める事ができそうなので楽しみである。
空いているベットに荷物を下ろし、ドミの外で一服しようとタバコを取り出すと、階段に腰掛けていた世話役のオッサンがものすごいスピードで近寄ってきた。
「何?」と思った瞬間、「ここは禁煙だ!」と怒鳴られ、左手に持ったタバコを没収されてしまった。
一瞬何で没収されたか分からなかったが、良く考えてみると当然の事をされたことに気付いた。
ここはアーシュラム、つまり禁酒禁煙は当たり前、修行の場なのだ。
「サイババが見れて、安く泊まれて最高」なんて思っていたが、少し考えを改めなければならない。
しばらく休憩していると、午後の儀式(ダルシャン)が始まるということで仲良くなった、中国からイギリスまで無期限の旅をしてる25歳のW氏、宗教学の本をいろいろ読んでいるうちに、気付いたらここまで来てしまうほどサイババにハマっていた40代のAさん、そしてN君の4人で神殿へ。
入り口ではボールペン1本も見逃してくれないという厳しいセキュリティチェックを受け、神殿内へ。
真っ白な大理石の床には世界各国から訪れた大勢の信者達が神殿の中央を向いて静かに座っていた。
彼らと同じように床に座り、サイババの登場をドキドキしながら待った。
10分後、音楽が流れ、信者がお祈りを儀式を始めると、神殿の中央にオレンジの衣を纏ったサイババが現れた。
…サイババ?小さい。
サイババからの距離が遠すぎるので本当にサイババなのかよく分からない。
横にいたN君に近くで見れないのかと聞いてみると、「朝のダルシャンなら早起きすれば、いい場所でサイババに会えるよ。」と教えてくれた。
明日の朝は早起きをして、間近でサイババを見ようと思った。
ダルシャンが終わると、この地に沈没している日本人が集まってきて、「これから日本人だけで話し合いをする」と皆に知らせていた。
かなり怪しそうなので、興味本位で参加する事に。
庭園のような場所に日本人15人が集まり話し合いが始まった。
まず最初に、お祈りと世界平和を願った歌を皆で歌う。
歌詞カードを渡されたので、仕方なく歌うフリをすることに。
次に、本題のアーシュラム内の掃除を日本人で集まってするか?とか、日本人の信者だと分かるようにリボンを身に着けるか?というような話し合いをしたのだが、気持ち悪いほどいい人達ばかりなので反対意見もなく、話もスムーズに進んだ。
最後にN君が買ってきたスイカを皆で食べ、話し合い終了。
ここはインド独特の殺伐としたものが全く無い、別世界である。
ドミに戻り、一緒に宿泊する日本人と旅の話から宗教論まで、内容の濃い話をしていると時刻はいつの間にか消灯の9時に。
もちろん、そんな早い時間には眠りたくもないのだが、明日はサイババを近くで見るために早起きをしなければならないので大人しく寝る事にした。