50日目 プッタパルティ→183Km(バスで4時間、85Rs)→バンガロール
朝3時半に起床。
ダルシャンで間近にサイババを見るためには、こんな時間から並ばなければいけないのである。
身支度を整え、N君と共にまだ真っ暗な夜道を歩き、大勢の信者達が集まる広場へ。
広場へ着くと、既に200人程の信者が列を成して待っていた。
毎朝2時半から並ぶ人もいるらしく、皆サイババに会うのに必死なのである。
ちなみに、朝のダルシャンは7時から始まる。
何の信仰心もない俺には3時間も座って待つのは苦痛な事だが、大人しく列に並び静かに待つことにした。
半分寝かかりながら待っていると、くじ引きが始まった。
公平性を保つ為に、各列の先頭がくじを引いて順番を決め、列ごとに神殿内に入る仕組みになっているのだ。
つまり、早起きをして早く並ぶだけではサイババに近づくことができないのである。
サイババに会うには運も必要なようだ。
俺の並んだ列はくじを引いた人間の運が悪かったようで、最前列には座れなかったが、サイババが通る通路の2列目を確保したので、かなり近くでサイババが拝めそうである。
サイババ登場までは何もないので、大理石の床に座ったまま寝ることにした。
7時前、独特な音楽が流れ出し、目を覚ました。
いよいよサイババの登場である。
彼はおなじみのオレンジの衣装に身を包み、付き人の少年を連れて通路を歩き出した。
サイババが近づいてくると信者達は熱心な表情で持ってきた手紙を差し出す。
すると彼はなにやらブツブツと言いながら、数人の手紙を受け取り前に進む。
気まぐれに手紙を受け取っているのだろうか?それとも選んで受け取っているのだろうか?
そんなやりとりを見ていると、いよいよサイババが俺の座っている場所まで歩いてきた。
しかしサイババ初心者の俺は、手紙を渡せるなんて聞いていなかったので、持ってきていない。
仕方ないので拝むフリをしながら、じっとサイババを見つめた。
ドキドキしながら熱い視線を送っていると、サイババの動きが止まった。
横に座っていた信者の訴えを聞き、何やら言葉をかけている。
その様子を間近で見ながら「プッタパルティまでわざわざ来てよかった。」と思った瞬間、その信者の手のひらにサイババがビブーティ(聖なる灰)を出した。
テレビで見た光景が、自らの前で行われたことに驚きである。
ところがサイババ氏、ビブーティを出した手で後ろにいた付き人の青年に、こっそりと何かを渡すようなしぐさをしているではないか。
やはりビブーティは…少しだけ笑えた。
通路をゆっくりと歩き、数人の手紙を受け取っては、またゆっくりと歩き…という行為を繰り返して中央の奥にある部屋へとサイババ消えて行き、儀式終了。
間近でサイババを見る事ができ、ビブーティを出す瞬間を目の当たりにすることもできて、かなり貴重なひとときであった。
満足である。
ドミへと帰り寝ようと思ったが、人生で今まで体験したことのないほどの便秘に襲われ、トイレで悩む。
これもサイババ氏の仕業なのだろうか?
ある程度スッキリした所でトイレから無事帰還。
薄いマットレスしかひいてない簡易ベットで寝ながら今後の予定を考えてみた。
最初はこの地で1週間ほど滞在しようと思ったのだが、サイババを見るという最大の目的もあっさりと初日で達成し、特にすることもない。
仲良くなったN君も、次の目的地へと向かうために今日出て行くので、残るは怪しい日本人ばかりである。
とても気が休まりそうにない。
長期滞在して、サイババ研究をするのは又の機会とし、今日中にバンガロールへと戻る事に決めた。
まだまだ行かなければいけない場所は山ほどあるのだ。
激安の昼食を食べ、午後アーシュラム内の施設見学へ。
4時間ほどかけてサイババ通であるAさんの話を聞きながらゆっくりと見てまわった。
何となくではあるが、サイババがどんな人物であるかおおよその見当は掴めてきた。
ドミに戻り荷物をまとめ、ドミを出る。
世話役のオッサンに昨日のタバコの件を謝罪すると「大丈夫。気にするな。またここへ来なさい。サイラム。」と胸に手を当てながら優しく送り出してくれた。
やはり、ここにいる人達は皆優しい…優しすぎて怪しい。
17時45分のエクスプレスバスでバンガロールへ。
“エクスプレス”と言うだけにさぞかし速いのだろうと期待していたのだが、町があるごとに停車し、ちっとも先へと進まない。
4時間しか走らないのに、途中休憩まである。
さすがインド、エクスプレスものんびりである。
結局、バンガロールに着いたのは23時。
2日前と全く同じ状況である。
面倒な安宿探しはする気がなかったので、初めから少し高い宿へ。
バスターミナルから歩いて5分の所にある“SWARNA LODGE”というホテルの、300Rsの部屋に泊まることにした。
当たり前だが、都会はどこのホテルもサービスが料金に追い付いていない。
まぁ、安宿に泊まろうとするから悪いのだが。