2008年冬・秋田の旅(2)
- 秋田内陸縦貫鉄道・急行「もりよし」 -
JRの角館駅から出てすぐ、隣に秋田内陸縦貫鉄道(通称「内陸線」)の角館駅がある。
早速ホームへ入ると、僕が乗る予定の急行「もりよし」がもう停まっていた。「もりよし」に使われるのはこちらのAN8900形。
半流線型の前面スタイルに、大きな窓が印象的。田舎のローカル線(失礼!!)を走るには勿体無いくらいにカッコいい車両だ。
ちなみにこの日の「もりよし」は2両編成で、2両目に連結されていたのはなぜか「宝くじ号」。
本来はイベント用などで使われる車両らしいのだが…??
この「もりよし」号。外見だけじゃなく、中身もなかなかに特徴的。
車内にはずらりと転換クロスシートが並び、座席のワンボックス毎に小さなテーブル。車内中央にはソファー席があり、また荷物棚下にはシャンデリア風の補助照明まで付いている。ホント、こんな田舎のローカル線(またまた失礼)には勿体無いくらいに豪華な車両だ。
この「もりよし」、乗車には急行料金が必要となるのだが、席は指定ではない。運転席後ろの展望席があいていたのでそこをキープ。と言うか車内はがらがら。僕を入れて5,6人しか乗っていない。
急行「もりよし」鷹巣行きは11時6分に角館を出発。ゆるやかなエンジン音を響かせて、雪景色の中を走り出す。エンジンの唸りはかなり静かに感じる。やはり優等車両と言うことで、防音などにも気を使っているのか。
迫力の前面展望から眺める雪景色はとにかく最高。この内陸線が走るあたりは秋田県内でも有数の豪雪地帯らしく、先ほど乗ってきた田沢湖線内よりも更に雪が深まっていくのが分かる。
と言うかもう、雪しか無い。雪しか見えないのだ。何も無い、ただただ真っ白な平原。その中を列車はひたすら走って行く。そんなただ白いだけの風景の中、僕のテンションは更に更にアガっていく。ヤバイ、もう興奮が止まらない。オラなんだかワクワクしてきたぞ!!
この「もりよし」、なんと車内販売まで行っている。ホント、こんな田舎のローカル線(本当に失礼)には有り得ないくらいの力の入ったサービスっぷりだ。
車内販売では、内陸線のグッズにお菓子、それにビールやお酒も売っている。あああ飲みてぇ…雪景色の車窓を眺めながら飲むビールはきっと最高だろうに。
しかし我慢我慢。全てはキハ58の為だ。うん。
と言うワケで、酒は諦めてグッズを色々と購入。キーホルダーにマウスパッドにポストカードに写真集。それとお菓子。内陸線オリジナルの「笑内まんじゅう」。「笑内」とは内陸線の駅の一つで、ちょっと変わった名前の駅として有名らしい。
袋をやぶると、ニッコリ笑顔のまんじゅう。ううっ…可愛い…可愛いじゃないかチクショウ!!
こんなに可愛くちゃ食べられないじゃないか!!
…と一瞬躊躇したが、心を鬼にしてかぶりつく!!(俺の口の中でぐちゃぐちゃに砕ける笑顔…ってグロいなオイ)
これが結構美味いのだ。ほんのりチーズ風味の、和洋折衷なお味のおまんじゅう。内陸線乗車の際は是非お一つお試しを。
ところで、この車販でやってきた車掌さんが、若い人だったがとても感じが良く好感度大。一気にこの内陸線のファンになってしまった。
田舎のローカル路線があちこちで赤字・廃線の危機に瀕しているが、そんなローカル線に限って、社員教育がなされていないのか、車掌・駅員が無礼な場合がしばしば見られる。あえて厳しいことを言わせて貰うが、それでは一層客離れが酷くなるばかり、廃線になってしまうのも止む無しなんじゃないかと。
しかしこの内陸線は、この若い車掌さんを見る限り、それとは真逆。地元客に愛され、観光客にも愛される。そんな路線になり得るんじゃないだろうか。
…とは言え現状は厳しいらしく、駅にも「乗って残そう内陸線」とポスターが掲げられていた。
赤字路線だから廃線、と言うのは、それは交通弱者に対する切捨てに他ならない。鉄道が無くなったその時、老人や子供など、自動車で移動できない人々はどうすれば良いのか。僕の様に、自動車が嫌いだからあえて乗らないと言う人だっている。そんな人はどうすれば良いのか。(…て、まあ、俺が乗らないのは自分の勝手だが)
急行「もりよし」は雪原の中をひた走り、12時17分に「阿仁合」の駅に到着。ここで一旦降りる。
三角屋根の、なんとも風変わりな建物が特徴の阿仁合駅。待合室にストーブがあるのがなんとも雪国らしい。
ここで昼食。阿仁合駅の中にある、食堂(と言うか駅そばに近い)こぐま亭。蕎麦やうどんなどのオーソドックスなメニューもあるが、ちょっと見慣れない、変わった品も幾つかある。その中から、「またたびラーメン」と言うのを頼んでみた。
麺にマタタビが練りこんであるらしいのだが、食べてみた感じでは一体どのあたりがマタタビなのかよく分からない。具に山菜が乗っているのがちょっと風変わりだが、味は懐かしい醤油ラーメンと言った趣き。
昼食を食べ、次の列車までまだ時間がある。ヒマなので辺りを散策しようと駅の外へ出てみた。
が。
あまりの寒さに心が折れた。
いつの間にやら外は吹雪。北風が吹き荒れ、白い雪が乱れ飛ぶ、それはもうおぞましい天候!! 雪国未経験の僕にとっては危険極まりない状況となっていた。
(思えば、最初はここで樹氷でも観に山の方へ行こうかなどと考えてもいたのだが…行かなくて正解だった。きっと寒さでこごえ死んでたに違いない)
仕方なく、次の列車が来るまでこのまま駅舎内で大人しく待つことにする。
2008年冬・秋田の旅(1)
- 新幹線こまち旅情編 -
2008年1月16日。この日はいよいよ、待ちに待った秋田旅行の日だ。今回の秋田、メインの目的は何と言ってもキハ58。秋田⇔鹿角花輪間の快速として一日一往復だけ運用の残る、通称「よねしろ」仕様のキハ58に乗りに行くこと。それこそが本来の、そして主たる目的だ。
が、他にも色々ある。秋田内陸縦貫鉄道や男鹿線と言ったローカル線。男鹿半島で「なまはげ」を中心とした観光。秋田ならではの美味や美酒…。それらも色々と楽しみたい。それにそもそも、秋田自体行くのが初めてで、なおかつ冬の東北と言うのも初めてなのだ。一体何が起こるのか…どんな旅になるのか。
早朝に家を出て、朝6時半には東京駅に着。本日のトップは、6時56分発の秋田新幹線「こまち1号」。
秋田新幹線自体も乗るのが初めてだったりする。
ところで、僕は基本的に新幹線車両にはほとんど興味が無いのだが、この「こまち」用のE3系は別。
白い車体にピンクのラインが可憐で、「こまち」と言う優しげで女性的な愛称ともイメージぴったり。
これはかなり萌えられるかと。
こまちたんかわいいよこまちたん。
同様に400系の「つばさ」も萌える。こっちはシルバーメタリックなボディにとがった流線型のお顔がスピード感溢れててナイス。
ついでに言うと、個人的には新幹線車両で最萌なのは何と言っても500系。東海道・山陽新幹線は車両が単調な上に車窓もつまらないので最も嫌いなのだが、500系だけは別。子供が思い描く「夢の超特急」をそのまま具現化したかの様なスマートな流線型のフォルム。ストイックなまでにどこまでもスピードを追求するその生き様。どれを取ってもシビれる。
しかし、500系は近々「のぞみ」運用から離脱し、400系は数年中にいなくなってしまうと言う話もある。こうして、良いものはどんどん消えて行き、つまらないものだけが残る…全く、嫌な世の中だ。
さて、「こまち」E3系だが、線路規格こそ新幹線車両のそれだが、車体規格は在来線のもの。と言うことで車内は当然、2+3ではなく2+2にシートが並ぶ。
しかしこれが、シートピッチ・リクライニング角度共にかなり大きめなので非常に快適。と言うか東京⇔秋田間の乗車時間を考えたらこれ位のスペックは必要か。
間接照明を配し、木目調やブラウンでまとめたアコモデーションはなかなかに秀逸。普通車でこれだけの雰囲気があればわざわざ高い金払ってグリーン車乗る必要も無いと思う。
と言うか「こまち」のグリーン車って2+2シートで普通車とスペックそんな変わらないし。どうせおしぼり位しかサービスも無いだろうし。
2+2配置のグリーン車なんぞ俺は認めんぞォ!!!
…と言うかそもそも、今回は「秋田・大館フリー切符」を使用しているので、どっちにしろ普通車しか乗れないのだが。
ところでこのE3系。全席指定席なのだが、元々15・16号車は自由席車として造られたので、他号車よりもシートピッチが狭かったりする。だから指定を取る時には注意が必要。窓口で15・16号車以外希望と伝えましょう。でないと同じ金額払ってグレードの低い座席に座るハメに…。
「こまち1号」は定刻通りに東京駅を出発。まずは駅弁を広げて朝食。東京駅で普通に売られている「あなご弁当」。何度も食べたことがあるが、甘く煮たアナゴとご飯の相性が良く美味しい。
駅弁を広げて朝からビール…と行きたいところを我慢してお茶。今回の旅、主目的のキハ58に出会うまでは酒は控えようと思う。酔った状態でせっかくのキハ58に乗るのは勿体無いし、何より、キハ58は自分の中で半分神格化されてしまっているので、酒飲んで会うのも失礼と言うか何と言うか。
「こまち」は速度を上げて東北新幹線上を突っ走って行く。盛岡までの停車駅は上野・大宮・仙台のたった3駅のみ。ちなみに車内はかなり空いている。
東北新幹線自体は何度か乗っている上、冬だからと言って特に景色も代わり映えしないので少し退屈。朝食後、リクライニングをフルに倒して仮眠。
途中、仙台でビジネス客がどっと乗ってきて、席が埋まっていく。(と言っても僕の隣は空席のままだったが) ここまで来てもまだ雪は降っていない。
仙台を過ぎ、一ノ関辺りからようやく景色が北国らしくなってくる。
雪は降ってはいないが、地面に白くうっすらと積もっている。そんな風景をぼんやり眺めつつ、9時22分に盛岡に到着。ここで「こまち」は、それまで併結して走ってきた「はやて」と別れ、田沢湖線に入って秋田へと北上して行くのだ。
田沢湖線内に入ると景色が一片。あたり一面雪景色だ。と言うか雪で埋もれている。ようやく、「雪国へ来た」と言う実感が沸いてくる。
田沢湖線内は、線路幅こそ新幹線と同じ標準規(1435ミリ)であるものの、路線規格は在来線と変わらない。東北新幹線内に較べて一気にスピードダウンし、また、高架線でも無くなり、ローカルムード満点と言った感じだ。車窓もじっくりと楽しめる。
北上するにつれ、ますます雪は深くなる。
そんな車窓を眺めていると、自分の中で勝手にテンションがどんどんアガってくるのが分かる。もう、なんと言うかワクワクしてたまらないのだ。元々、雪のほとんど降らない地で生まれ育ったから、雪景色に馴れていないのだ。だから、この白銀の風景の全てが新鮮に映って見えるのだ。
そんな高揚した気分のまま、10時10分。ついに角館に到着。まずはここで下車。
ホームへ降り立つと、空気がひんやり冷たい。そりゃそうだ。東京とは10度くらい気温差があるのだから。あまりの冷たさに「うわぁ凄ぇ…」とつい口から出てしまい、なぜか笑いが止まらなくなる。
しかし、風が無いせいか、そんなに「寒い」と言う感じはしない。まあ、事前にある程度防寒対策をしてきたからと言うのも勿論あるが。(人生で初めてスパッツ?タイツ?股引?の様なものをパンツの下に履いてみた。これがかなりの防寒効果)
角館はみちのく小京都として知られる町。その情緒ある雪景色の中を是非とも散策してみたかったのだが、あいにくそんな時間は無い。
ここで、秋田内陸縦貫鉄道に乗り換えるのだ。













