ウワーッ!2月が終わっちゃう!なにか更新しないと!!

という事でシャープールの金貨に続いて銀貨です。

 

ササン朝ペルシア シャープール1世 240-272年 

ドラクマ銀貨

 

パルティアを倒し新たにローマのライバルとなったササン朝ペルシア。

貨幣制度としては金貨、銀貨、銅貨と流通させており、銀貨はパルティアやギリシア系国家と同じようにドラクマ(またはディレム)の呼び名で、シルクロード交易の主要通貨としても有名ですね。もう少し後の時代の物になりますが遠くは中国でも出土しているそうです。

 

表面のシャープールの肖像は金貨と一緒。

 

特徴的なのは平金を大きく打ち延ばした薄型のコインで、薄い作りの宿命かこちらもちょっと縁が欠けちゃってます。

形の理由としては銀の産出が少ないペルシアでは銀貨の再利用を徹底したそうで、他国や回収した銀貨を図柄が消えるまで打ち延ばしてそこに打刻した為だそうです。

同じように銀の不足に直面したローマでは銀貨は回収後に溶解して低含有量のアントニニアヌスに改鋳したのと比べると、同じ問題でも対処方法は国ごとに様々といった感じですかね。

あとササン朝の銀貨は末期まで90%以上の高い品質を維持したそうで、これも劣悪貨を大量製造したローマとは違う特色みたいです。

 

裏面は同じく拝火壇と従者。

 

そう言えば金貨で書き忘れましたけど裏と表の打刻の特徴として、ササン朝のコインは裏表で図柄を90度傾けて打ち出しており、理由は良く分からないそうですが裏表方向バラバラが多いローマやギリシアのコインと比べると作り方に厳格さが伺えます。

 

金銀の大きさ比較はこんな感じ。

 

数を見ていないので何ともですが金貨はあまり大きさの変化は無いようです。ちょっと知識的にあやふやなのですが、金貨は銀貨と比べて特別な目的での発行というか褒賞や記念時に散発的に作るなんて聞いた事がありまして、ちゃんと溶解して鋳造した為に大きさの変化があまり無いのでしょうかね?

 

こちらは以前に入手報告だけしていたTICCで入手したシャープール。

 

図柄の作りが上のとは結構違うのですがラベルによるとクテシフォンのタイプI/1という種類のようです。シャープールは治世が長いので同じ場所で作ってても色々あるのですかね?

 

裏面は摩耗と潰れが酷くてちょっと残念。

 

この状態のせいもありまして、せっかく良い金貨を入手したのだし銀貨ももう少し良い物をと新たに追加で入手して2枚になってしまいました。

比較で2枚置いてても良いのですが、もしかしたら1枚は出品しちゃうかもしれません。できればスラブにも入れたいのですがササン朝は難しいらしくて、とりあえず他の出品の時か何かのついでにでも聞いてみたいかと。

 

ササン朝と銀といえばペルシアは銀皿が素晴らしいのですよね。こちらはシャープール2世の銀皿。

 

オリエントの展示を扱っている博物館では必ずと言っていいほど何かしらのペルシアの銀製品を見ることができますので、機会がありましたらじっくり見てみてください。

 

ではこんな所で。

 

AWですが私は参加しないので去年入手した物の続きです。

 

ササン朝ペルシア シャープール1世 240-272年

ディナール金貨

Ch AU Strike5/5 Surface4/5

 

前回の記事でも触れましたが、ここの所見る機会が多い中東近辺のコインであるシャープールのディナール金貨。

私は収集対象でなかったササン朝という事もあり、銀貨くらいで入手はいいかなあなんて去年はしていたら、古代関係の皆様がシャープール、シャープールとどんどん入手報告を…。

そんなにシャープールがいいのならササン朝の家の子になっちゃいなさい!と心の中で言い聞かせて我慢しつつもやっぱりシャープール欲しいかも…となってきて、我慢できずに年末のNCAのオークションで落札。これで私もササン朝の家の子ですね(笑)

 

表面は城壁冠の上に球状のコリュンボス(宇宙、世界を象徴するとされる装飾。)を戴くシャープール1世。肖像の作りはササン朝のコインとしては頂点を極めたと言っていい素晴らしい出来ですね。

 

コリュンボスと共にもう一つ特徴的なのは髭の下を縛り球状にした独特な装飾ですが、これは時代が経るにしたがって小さくなっていってしまうそうです。時代が下ると写実性が後退するせいなのか、王のファッションも流行り廃りがあるのでしょうかね?

ちなみに、パフラヴィー文字の碑文は”マズダ神信奉者、神聖なシャープール、イランの諸王の王、神の子孫”との事(パフラヴィーってまるでミミズのような文字ですが本当にこれ読めるのかしら。)

 

裏面は拝火壇と城壁冠の二人の従者。

ミントマーク的な刻印がある物もありますが、ちょっと知識が無いので今回の物がどこで作られたかは良く分からないです(多分クテシフォン?)

 

拝火教(ゾロアスター教)というと過去のアケメネス朝でも崇拝されていたササン朝の国教であり、当時はペルシアのみならずインドや中国にまで広がっていた宗教なのですが、イスラムの台頭に伴い衰退して現在ではメジャーな宗教とは言えないですね。

 

さて、少しササン朝とシャープール1世の話をすると、アレクサンドロス大王によって紀元前330年に滅亡したアケメネス朝ペルシアの後、セレウコス朝やパルティアといった勢力の支配下でもペルシア人自体は存在しており、パルティアの属国であったペルシスのアルダシール1世がパルティア王に勝利したことにより226年にササン朝ペルシアを建国。

シャープール1世はアルダシール1世の息子として父の後を継ぎ即位しました。

 

当時は東のササン朝に対して西は帝政ローマの時代となっており、ササン朝はローマにとっては好戦的な国家であったようで度々衝突を繰り返し、シャープール1世の時代には主要都市のアンティオキアの占領やウァレリアヌス帝の捕虜という大打撃を与えています。

更にはインド側のクシャン朝を破ったりと西に東にと奮戦して、攻められた方としてはたまった物じゃありませんがササン朝を強国へと成長させた偉大な君主ではありますね。

 

ローマの皇帝を跪かせるシャープール1世を彫ったナクシュ・イ・ルスタムの磨崖像。

 

という事で、平山氏の”シルクロードのコイン”の表紙にも抜擢される金貨という事もあり、オリエントのコインとしては目を惹くこちらをコレクションに加えてみました。

ヘリテージの出品が多かったので入手するならそちらかなと考えていた所に、丁度NCAのオークションで出品されておりまして国内オークションでの入手となりました。最近は円安もありますので高額コインは国内で入手するに越したことはありませんね。

 

こうして手にしてみるとオリエントのコインも魅力的で、だんだん他のササン朝やクシャン朝のコインとかも欲しくなって来るのですが、他のコインも考えないといけないですし、しばらくは我慢ですね。

 

ではこんな所で。

 

明けましておめでとうございます。

今年の最初は去年入手した古代コインから行きましょう。

 

セレウコス朝 セレウコス1世 紀元前312-281年

テトラドラクマ銀貨

Ch XF Strike5/5 Surface4/5

 

表面は牡牛の角と耳を付けた兜を被る、おそらくアレクサンドロス大王ではないかと言われる肖像。

 

アレクサンドロス大王死後の後継者(ディアドコイ)戦争の一人として、セレウコス朝の開祖となるセレウコス1世。大王が征服したアジアの領土の大部分を手に入れ、勝利者(ニカトル)と呼ばれました。

しかし、アレクサンドロス大王の存命中は歩兵部隊の指揮官としての目立つ活躍は無く、大王死後ようやくバビロンの太守に任命されたと思ったら後継者の最大勢力であるアンティゴノスに追い出されてプトレマイオスの元に逃げたりと、後継者戦争の前半は苦労の多い方だったようです。

その後プトレマイオスから借りた少数の兵でバビロンを取り返すことに成功し、アンティゴノスを他の後継者達とイプソスの戦いで破り後継者としての地位を確かなものとします。

 

そんなセレウコス1世のコインですが、存命中は存続のアレクサンドロスタイプの発行を継続し、確実に本人と言える物は死後にセレウコス朝影響下のペルガモンで発行された物になるそうです。

今回の物もセレウコス本人だとも神格化されたアレクサンドロス大王(またはディオニュソス)だともはっきりしないようです。

 

裏面はトロパイオン(戦勝記念碑)にリースを掲げる勝利の女神ニケ。

 

このコインはセレウコスが行ったインド遠征を記念する物ともされるのですが、トロパイオンは戦った相手の武具で作る物とされており、どうも図柄を見るにマケドニアの武装のようでアンティゴノスを破ったイプソスの戦いの記念ではとこれも諸説あるようです。

確かに盾の放射状の紋様はマケドニアのヴェルギナの太陽のようで言われてみるとそんな気もしますね。

 

ちなみにセレウコス1世のブロンズ像(ローマ時代の模作)コインの肖像と似てますかね?

 

さて、こちらのコイン、私はおそらく手にすることは無いだろうなと思っていた物でした。

牡牛の兜は希少タイプで、今回落札したヘリテージでも過去に数得る程しか出品されておらず、高額で手が出ない所かまともなグレードはチャンスすらありませんでした。

 

ところが去年辺りから過去の出品数を上回る数が一気に出て来てなんじゃこりゃ!とびっくり。

SNSとかでも海外の方が新しい貯蔵庫が発見された??なんて話題にしておりまして、おそらくセレウコス朝の領土であったイラク辺りで古代の当時に兵士か特定の人物が埋めた物ではないかとの事。

このタイプはセレウコス朝の権威を宣伝するために領土内の太守や兵士に配られた物だろうと言われており、こちらはアケメネス朝の王都でもあったスサで作られた物なのでイラクやイラン辺りから発掘されてもおかしくはないかも。

 

しかし、最近このセレウコス朝の領土であるアジアのコインは以前に紹介したセレウコス2世や、アルメニア王国とササン朝の金貨とかやたらと大量にオークションに流れて来てるのですよね。

中東辺りの古代コインは持ち出し規制があった気がするのですが、発掘されて博物館に保管されていた物や盗掘で貯め込まれていた物が第三国経由でマーケットに流れて来てたりして…。

 

ともあれ出品の大部分はVFでXFグレードでも希少ですので30枚近く出ている中から見た目が良さそうな物をえいやっと落札。

予算に余裕が出来た頃で丁度良かったのですが、同じXFのFine Style品は7,000ドル近くの落札価格で無理でしたのでこちらを入手してみました。図柄の作りは流石Fine Styleの方が良かったのですが肖像の打ち出しとしてはこちらが一番良く見えたのですよね。

 

思いもかけずの入手でしたがセレウコス朝前半の君主達のコインはだいぶ充実出来まして、これで一区切りでもいいかもしれませんね。

 

ではこんな所で。今年も1年よろしくお願いいたします。