バクトリアのコインはエウクラティデスだけでいいかもと言ったな?
あれは嘘だ。
バクトリア王国 紀元前180-165年
アンティマコス1世
テトラドラクマ銀貨
Ch AU Strike5/5 Surface3/5
また買っちゃったバクトリア!
という事で、この方もエウクラティデスに次いで代表的ではないかと思うアンティマコスのテトラドラクマ銀貨をちょっと前に入手しておりました。
バクトリアのコインの肖像は色々と特徴的な被り物を付けている方が多いのですが、アンティマコスはマケドニアで庶民も日常的に被る民族帽的な帽子であるカウシア帽を被った姿で打ち出されています。表情も穏やかで雰囲気は庶民的な親しみやすさといった感じですかね。
肖像の打ち出しは極印がちょっと浅く作られているようですが、周囲のビーズ打刻も綺麗に入っていて、当時の職人もコインを打ち出すのならこうであれと思っていたような出来だと思います。
(ちなみに諸説あるようですが、NGCラベル記載の紀元前180-165年だとアンティマコス2世の時代とも被ってしまってると思いますが良く分かりません。)
裏面はポセイドン神。
海を司る神様の印象ですが、大河や地震、馬といった内陸部のバクトリアでも必ずしも無関係ではない神様だそうです。
碑文は"ΒΑΣΙΛΕΩΣ ΘΕΟΥ / ΑΝΤΙΜΑΧΟΥ"(神アンティマコス王)庶民的な表面とは打って変わって神なんて称号を彫っています。
(ΘΕΟΥ:テウー=神)と初期のギリシア世界から考えると人間が神を名乗るなどとんでもなく大胆な事なのですが、これも時代が進んだヘレニズムらしいコインと言えるかもしれませんね。
とはいえ、この方も多くのバクトリアの諸王達と同じようにコイン以外の記録が殆ど残されておらず、どのように王位に就いたかも不明だそうです。
なにかしらこの称号を名乗る事になった出来事があったのかもしれませんが、今の所は消滅したギリシア人の王国を想像するしかありませんね。(一応前のエウクラティデスの記事では前王であるデメトリオス1世の血縁という事で書きました。)
しかし、この方がバクトリアの王位に就いていた時は前に紹介したエウクラティデスが蜂起してバクトリア王位を簒奪した頃と重なるようで、インド側の領土を固持していたアンティマコスとその後を継いだアンティマコス2世はエウクラティデスの攻勢の矢面に立たされてしまい、最終的にその戦争中か死後に領土を奪われてしまったようです。
おそらくアンティマコスの死の前後はこんな感じだったかと。例によって参考程度です。
私のアンティマコスのコインはプシュカラヴァティのミントなのですが、以前紹介したエウクラティデスのコインもhirame-hkさんのお陰で同じプシュカラヴァティミントという事が分りましたので、おそらく戦いに負けて奪われてしまったようです。
あまり記録も無く戦いに負けてしまった可哀そうな方ですが、バクトリアとインドグリークを統一したエウクラティデスの死後にグレコバクトリア王国は早々と崩壊してしまい、その後、残されていたインドグリークがメナンドロスの元で最盛期と呼べる発展を遂げるのですから未来の事は分からない物です。
あと、このプシュカラヴァティミントはどうも兄弟銭がまとめて沢山見つかったのか、以前にもAWで同じミントが出ていたようにネットの情報だけでも結構見掛けます。カウシア帽の左辺りの極印の亀裂跡がほぼすべての同一コインに見られるので同じ極印から打ち出されたのが分るのです。
古代コインの兄弟銭は珍しいと思いますが、結構な確率で現存していますので詳しく調べた訳では無いものの、おそらく製造されたままか、まとめて支払いにでもされたのか、ある程度まとまった数で見つかったのではないかなと勝手に考えているのです。
という事で、マケドニアのポセイドンは手放してしまいましたが、バクトリアのポセイドンが代わりに来たのでこれも入れ替え?という事にしましょうかね。
ではこんな所で。










