嫁さんからの三下り半《 自分史[52]》 | オカハセのブログ

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(自分史[52]は1996〜1997年頃のことです)

札幌で一人暮らしになって1ヶ月程経ったある晩、部屋をノックする音が聞こえた。

僕は「はい」と返事をすると、扉の向こうから「こうちゃん」という声が…

しかも里奈の声だ…

びっくりして扉を開けると嫁さんとジャニス(嫁さんの女友達、仮名)と里奈の3人が笑いながら立っていました。

サプライズ的に、いきなり来てびっくりさせようとしたのです(笑)。

僕「びっくりした〜!てっきり里奈が家出して来たかと思ったよ」

3人とも寝袋まで持参してやってきた(笑)。

2泊ほどしてから彼女たちは帰って行きました。

その後も嫁さんは月1くらいで札幌へ来てくれていました。嫁さんはこの頃はまだ僕が軌道に乗って来たら札幌に越してくるつもりでいた。だけど深層心理は離婚の方向だったと思う。


ホームレス芸人オルカとは相変わらず路上ライブのあととか飲んだり話したりしていた。

この時期、ジャンベを叩く宇田さん(仮名)とも知り合い、オルカと宇田さんと僕の3人でつるんでいることが多くなる。宇田さんもうちらと同じ穴のむじなのようでした。スピリチュアル系のイベントやら怪しいグッズなどで借金してしまうような人だった。

その後、似た者同士で繋がった宇田さんと僕は2人で関西に出稼ぎに行くことになった。宇田さんは自分の部屋を引き払い、僕の部屋に荷物を預けて出稼ぎに出るくらいの決心だった。

大阪の西成区にある一泊1800円のところに泊まりながらあちこち2人で面接した。結局、尼崎市にある寮付きの土木作業の下請けの会社で働くことになります。確か1日8000円の日給だったと思いますが、寮費が食費込みで毎日2000円づつ引かれるという。僕らは6000円残るなら背に腹はかえられぬと働くことになるのですが、これが罠だった。明らかに仕事依頼の量よりも寮に住んでいる人間が多いために「明日は○○君と○○さんと○○は休みだゆっくりせえ」というのですが、寮費の2000円は常に毎日引かれます… つまり4日間仕事しないと手元に残るお金は0になります…

さすがにマイナスにならないように4日に一回は仕事があります(笑)。つまりここにずっといると0円のままということです。僕は休みの日に大阪市内のペンキ屋に面接して採用されましたので尼崎の社長に話すと、トラブルなくやめることができました。

宇田さんはもう少しここで働きながら次の場所を探すとのことでここで別れます。

僕は再び西成の安ホテルに泊まりながら、採用されたペンキ屋で働きました。

ところがそこも長く続かずやめて、金のない中ヒッチハイクで青森の嫁さんのところに行きます。

しかしその時すでに嫁さんに三下り半を突き付けられました。

何度も嫁さんには頭を下げて謝ったけど聞き入れてはくれなかった。それでも諦めずに頭を下げると。

「もうわかったよ〜、私が全部我慢すれば良いでしょ!もう嫌だけどしょうがないよね〜!」と少し大きな声で彼女が言ったことで、逆にやっと諦めがついた。

そのあと1日くらい嫁さんの所に居たと思う。


僕「里奈、モ○バーガーに行こうか?」

里奈「うん…」

モ○バーガーに入って注文して席に座ってから。

僕「もしかしたらお母さんから少し聞いてるかもしれないけど、俺お母さんと別れることになったんだ」

里奈「うん…ちょっとだけ聞いた…」

僕「だから里奈とも明日でお別れになるけど、ごめんね」

里奈は声を出さずに返事だけ返した。


その日の晩は当然の如く嫁さんと寝る部屋は別々だった。

翌日の夜、フェリーターミナルまで嫁さんは送ってくれた。少しばかりのお金やら札幌着くまで食べる軽食やらを持たせてくれた。

逆にその優しさが辛かった。


青森時代に当時の嫁さんのお陰で長く続いていたバンドのメンバーの当時弘前大学在学中のベーシストの須藤(仮名)。彼は札幌に実家がある関係で卒業後は札幌で活動していた。そして東京のプロジャズギタリスト廣木光一さんのバンドでプロデビューしてからもしばらくは札幌と東京を行き来していた。彼は自分の活動が充実するとすぐに天狗になる傾向があり、僕が札幌で徐々に仲間のミュージシャンが離れて言ってるさなかに「長谷川さん、ジャズはコミュニケーションですよ」と、何故かドヤ顔の上から目線で言われた。彼がまだロクに弾けない青森県で大学生だった頃、それでも「彼は持ってる」と思い彼のセンスを信じて自分のバンドに引き入れたことなんか、プロのジャスメンになった彼にとってはもう「プロフィールに書く必要すらない過去の一コマにすぎない」のだろう。かつての後輩から説教されるのはとても惨めな気持ちだった。僕はこの頃徐々に干されて来てる中だったので須藤までもが上から目線で言ってくることにとてもやるせない気持ちになった。しかしその頃ツイてた彼のことだから、おそらく自分が発したセリフなどは今となってはすっかり忘れてしまっているだろう…


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