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全身芸術家の芸術的手術

「全身芸術家」アイ・ウェイウェイが15日、ドイツ・ミュンヘンの病院で緊急開頭手術を受けた。本人のブログによれば、14日に受診したところ、医師から「頭蓋骨と脳の間に挫傷が原因の大量出血がある」と診断され、すぐ手術を受けるよう薦められたのだという。

Danweiに載ったアイの弁護士の書き込みによれば、彼は仕事でドイツ滞在中だった。1ヶ月前の騒動のときに成都の警官に「暴力」をふるわれて以降、頭痛がやまなかったらしい。

アイはまた、自分の手術前後の様子を写した写真をブログにアップしている↓。何とも露悪的だが、これまた彼一流の自己アートに見えなくもない。

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それはそうと、なぜこの時期にドイツにいるのだろう?

習近平:錯綜するイメージ

中国共産党第17期中央委員会第4回全体会議が人民解放軍総後勤部京西賓館で始まった。新華網の特設ページの記事の配置は、胡錦濤の次の位置に習近平をもってきている。この日にこの配置であれば、習の中央軍事委員会副主席就任は動かないとみてよかろう。多維網は習とともに、胡錦濤の執事である令計劃の政治局候補委員昇格の可能性も伝えている。一連の政治闘争で後手に回った団派が、せめてもの取引材料として令の昇格を持ち出したように映る。

さて、これでいよいよ習時代へのカウントダウンが始まることになる。幸せなことに、中国の政治家は国内メディアの「身体検査」を受けなくてよい。それはもっぱら国外メディアの任務になるわけだが、果たして2012年までに彼らはどれだけの仕事ができるだろうか。

■□世界を揺るがせたメキシコ事件□■

1人の人間を一つのイメージでとらえることはできないし、そんなことをすれば間違いのもとである。1人の個人は多様な側面をもっている。100%いい人はいないし、100%の極悪人もいない。ただ、習近平ほどさまざまな情報とイメージが複層的に交錯している人物も稀だ。

その父習仲勛は革命第一世代の政治家であり、康生の誣告にあって失脚。のち文革で迫害され、復活したあと6・4事件では趙紫陽を支持――と、リベラル派と位置づけていい道のりを歩んできた。父の失脚のせいで自身も陝西省に下放され、あやうく埋没しかけるところを地元民の推薦で清華大学に入学した習近平は、相当の苦労人である(この世代はみな体験しているレベルの話かもしれないが)。

75年に清華大学に入学できたのも、地元の農民に働きぶりを認められたためだった。ニューズウィークによれば、当時としては前代未聞のことだったらしい。また同誌は、「85年にアモイ市副市長に就任すると、ビジネススーツでなくウインドブレーカーを、運転手つきの車でなくマイクロバスを好むことがあった」とも報じている。アイデアマンでもあり、浙江省では経済政策で実績も残している。おまけに妻は美人歌手――。

世界が突然抜擢されたこの新たな中国リーダーに安心しかけたときに起きたのが、今年2月の「メキシコ事件」だった。いま振り返ってみてもずいぶんな発言ではある。

リベラルだが国粋的でもあり、苦労人だがデリカシーはなく、アイデアマンなのに想像力がない……われわれはG2の次の一方のリーダーをどういう人物と理解したらいいのだろうか?

■□毛沢東との「共通点」□■

いまでもこのメキシコ事件のビデオはみることができるが、喋っている様子から判断して、前もって準備された発言であることは明らかだ。感情的になっている気配は微塵もない。CCTVはいまだに動画を配信しているから、「権威筋」公認の発言である。

その権威筋が軍なのかどうかは分からない。ただ、習が自分を取り巻く「環境」と争うのでなく、そのニーズにうまく応え、うまく応えることで自分の力を高める人物であることは、その個人史を眺めていれば分かる。決して周りと波風を立てず、平身低頭刻苦奮励する。相当な自制心、そして相当明晰な頭脳の持ち主である。しかし、その本心は誰にも分からない。

習に比べれば、胡錦濤や江沢民など子供のように単純な人物に見えてしまう(鄧小平も基本的には直情径行型である)。毛沢東級なのは、その体型だけではなさそうだ。

台風で焼け太る馬英九

台湾8号襲来→死者と行方不明者700人超え→泣く泣くダライ・ラマ14世訪問受け入れ……と、さんざんな8月を過ごした国民党の馬英九総統。ついに劉兆玄内閣が総辞職に追い込まれた。

日本のメディアは全体的に「馬政権と中台関係に暗雲」というトーンで報じているが(産経のぞく)、必ずしもそうではないと思う。

根拠その1:民進党系の首長が仕掛けたダライ・ラマ訪問だが、結果的に大陸と馬の両方にメリットをもたらした。ダライ・ラマ訪台に対して「発狂」しなかったことで、大陸は台湾市民に寛容さをアピールできたし、馬もビザ発給の決断を通じて、長期的視野に基づく判断力があること示せたからだ。

■□台湾政界のニュースターを抜擢□■

根拠その2:今回の総辞職に伴い、国民党副主席兼桃園県長の朱立倫が行政院副院長として入閣した。48歳、台湾大学卒、ニューヨーク大学で金融学修士号と会計学博士号を取得した朱は、馬に台中市長の胡志強を加えた国民党有力中堅政治家「馬立強」トリオの1人で、2016年の総統選に出馬が有力視されている(馬より約10歳年下である朱の次期総統選への出馬はない、というのが今のところの見方とか)。やや中央登場が早い気もするが、経済通の朱の入閣は、株価上昇狙いだけでなく、国民党政権継続(&自身の院政?)へ向けた布石とみていい。

株価も両岸貿易量も回復基調。台風直後の8月19日のTVBSの調査で「辞める必要はない」という回答が59%を占めたところをみても、馬(と中台和解)への台湾市民の支持はかなり底堅い。

台風で焼け太り。いや、雨降って地固まる、か。