Observing China -21ページ目

中央軍事委副主席の序列に変化

最近不調だった博訊網が久々にヒットを飛ばしてくれた。9日付の「海防工作会議が発するシグナル:中央軍事委副主席人事が年内に」という記事で、1月29日に開かれた全国国境工作会議で中央軍事委副主席の郭伯雄(序列1位)と、徐才厚(同2位)の序列が逆転していると報じた。

新華社ネット版で確認すると、確かに29日に北京で開かれた第4回全国海防会議の記事で徐の名前が郭の前に並んでいる。

博訊網の記事の識者コメントが指摘するように、中共中央の指導者の序列には厳格な定めがあり、もしメディアが間違って報じたのであれば直ちに訂正される。それが訂正もされずに放置されているということは、序列を変える何らかの指示もしくは中南海の動きがあった、と推測するのが妥当だ。

この匿名の識者は「(軍トップである)郭伯雄からの権力委譲はすでに始まっている。3月から10月の間のいずれかの時に中央軍事委副主席のポストは習近平かもしくは他の誰かに引き継がれるだろう」と予測している。

■□「手紙」のやりとり?■□

博訊網の記事は昨年11月19日の全国スポーツ大会表彰式の際には序列に変化はなかった、と書いている。確かにこの「変化」は1月末から2月初めにかけて起きたが、まだ一部の記事には「郭、徐」という旧来の序列のままのものもあり、混乱している。これは一体何を意味するのだろうか。

習が胡錦涛に出した「手紙」が本当なら、少なくとも表面上、習は軍事委副主席就任をしばらく辞退した形になっているはずだ。3月の全人代を前に急にコトを動かすことができるのは、胡の側から習あての「返事」しかない。「そう言わずに副主席におなりなさいよ」という返信だ。

胡がそんな「返信」を書いたとすれば、上海制圧作戦の成功もあるかもしれないが、何より「院政」批判が徐々に強まりつつあることが背景にあるのではないか。いろいろ言われているが、基本的に胡錦涛には権力への執着はないはずだし、江沢民がそれほど嫌いなら、そもそも同じことをやろうとは思わないはずだ。

3月の全人代が終わるタイミングか、あるいは上海万博の始まり(5月)か終わり(10月)が副主席人事発表の一つの目安になるだろう。習が「いやいや、それでもまだ無理です」ともう一回胡にゴマをする「手紙」を書いて、他の人物が中継ぎ登板する可能性もあるが…。

「郭、徐」か「徐、郭」か。各紙の表記がまだバラバラなのは、中南海の中でまだ方向性が定まりきっていないことを反映していると思う。

中国政府が精鋭記者軍団を養成する

サウス・チャイナ・モーニングポスト紙(SCMP)が9日、中国政府が精鋭国際派ジャーナリスト育成に乗り出した、という記事をアップしている(SCMPは有料だし、登録もうまく行かないのでChina Digital Timesで)。

記事によれば、北京外国語大学◇清華大学◇中国伝媒大学◇人民大学◇復旦大学の5大学が大学院の修士課程に新華社やCCTV、チャイナデイリーなどに向けた人材供給専門のジャーナリズム課程(2年)を設け、各20人の学生を選んで学際的な教育を行う。この教育課程を新設した5大学は特別の補助金が与えられるのだという。

目的は国営メディア発の中国ニュースをもっと世界に広めることにある。記事は復旦大学新聞学部の教員の張志安は記事のなかで、一昨年のチベット騒乱での西側メディアのバイアスのかかった取材に振り回されたことが、中国政府がジャーナリストの育成に自ら乗り出した原因だ、と背景説明している。

■□中国政府の大きな勘違い■□

このニュースが事実なら、中国政府は大きな勘違いをしている。チベットで西側メディアが「バイアスのかかった」報道をしたのは、決して「国際的な知識が豊富で英語など外国語に堪能な中国人記者」が足らなかったからではない。チベットを封鎖し、情報を制限してコトをおさめる「臭いものにフタ」方式が、このインターネット時代にはとっくに通用しなくなっていることに彼らが気付かなかったのが、西側メディアの怒りを買った最大の原因だった。

確かに中国政府が言うとおり、偏見といわれてもしょうがない報道も当時はあった。しかしあくまできっかけになったのは、中国政府の旧態依然としたメディア対応である。西側メディアは隠せば何かやましいことがあると思うし、いったんそう考えたら、その「バイアス」を改めるのは至難の技だ。

英語ができて、説得力のある記事も書ける記者を多数養成したところで、所詮は「水掛け論」でしかない。西側の「バイアス」を減らすためには、中国自身が変わるしかない。去年のウイグル騒乱では若干対応がましになっていた(少なくともそう見えた)と思っていたのに、こんなことに税金を使うなんて、基本的なところがやっぱり分かっていない。

チャン・ツィイーの寄付金疑惑

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張芸謀監督の中国映画「初恋のきた道」で可憐なヒロインを演じ、日本人に強烈な印象を残した女優、チャン・ツィイー(章子怡)。清純派のはずのチャンが最近、寄付金詐欺疑惑による批判の目にさらされている。

チャンは一昨年5月12日に起きた四川大地震の3日後、被災者救済のため自腹を切って100万元(1400万円)を寄付すると宣言。さらに地震翌日の5月13日からフランスで始まったカンヌ映画祭でも寄付を募り、50万ドルを集めた。

ところが自腹の100万元のうち、中国赤十字基金会に支払われたのは84万元。50万ドルもどこに行ったのか分からないのだと言う。当然、自分のために使ったのではないかと疑われている。

■□中国紅十字会サイトの思わぬ「機能」■□

確かに中国紅十字基金会のサイトで寄付者と寄付額を調べてみると(そんなことを調べられるものすごいが)、「章子怡」名では2008年5月15日に2回、それぞれ44万元と40万元が振り込まれているだけである。

50万ドル(目標は100万ドルだったらしい)の行方にいたっては、そもそもそんな額の寄付なく、「5万ドルだけだった」とチャン側は主張し始めている。

虚飾相半ばを旨とする女優の面目躍如というところだが、この直前にチャンは不倫相手の男?から、北京のマンション近くに張ってあった自分のポスターに墨をぶっかけられるという事件を起こされていた。

■□イメージは地に落ちた、か■□

立て続けに起きたスキャンダルで、清純なイメージで売ってきたチャンの価値は地に落ちた――と、日本人は思いがちだが、そもそも中国人はチャンをそんな目では見ていない。

もちろん美人女優は美人女優なのだが、正統派ではなく中国語で言うところの「丑星(直訳はぶさいくスター、日本語で言うところの2枚目半)」として中国人は彼女を捉えていた。

「2枚目半」だから、一連のスキャンダルも中国人には織り込み済み。存在感のアピールになりこそすれ、必ずしもイメージダウンにはならないはずだ。彼女も今年31歳。いつまでも清純派ではいられない。

すべてを計算してスキャンダルを仕掛けているのだとしたら恐ろしいが。