2024年4月スタートの医師働き方改革の裏側でおこっていること |     おび内科・漢方クリニックのブログ

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       鎌倉で内科、漢方、胃カメラ、大腸カメラのクリニックをしています。診療の合間につれづれなることを発信していきます。

みなさんこんにちは波

 

4月からは医師働き方改革がスタートします。

 

2024年3月10日の読売新聞社説に

 

医師の働き方

 

⇒「国は過重な負担を放置するな

 

・・・国が医療界全体を厳しく指導することが不可欠だ

 

とありました。

 

わたしは

 

どの口が言うのかなあ

 

と思いました。

 

マスコミの不作為のために、過労死で亡くなった医師のご遺族に

 

ひとことお詫びしてから、書いていただきたい案件です。

 

 

 

 

 

 

大手マスコミはこれまで医師の過労死自殺などの報道はしてきました。

 

きちんと取材をすれば、病院勤務医の夜間、休日勤務が、宿日直に名を借りた

 

労働基準法違反の働かせ放題、サービス残業になっていることはわかっていたはずです。

 

※25%増しの時間外手当を支給しなければならないところを

(当直は16時間の時間外労働なので、年収400万円の研修医は時給2083円×1.25×16時間=41664円、年収1600万円のベテラン医師は4倍の16万6656円です)

 

それを1回3万円の宿日直手当で誤魔化してきました

 

このことについては約10年前の2013年に奈良県立の奈良病院で産婦人科医が訴訟をおこし

最高裁で産婦人科医が勝訴しています。

 

 

 

それなのに

 

いよいよ今年の4月から完全に働き方改革が実施されるという、今日のこの日まで

 

マスコミは話題にしてきませんでした。

 

その裏側には何があるのでしょうか???

 

私の考えを以下にお伝えします。

 

 

結論から申し上げますと

 

病院を経営難に陥らせて倒産や統廃合に追いやって病院の数を減らして

 

国民が治療をうけられないようにすることで

 

政府が負担する医療費を削減することが目的です。

 

財務省、経団連、日経新聞にコントロールされた自民党が狙っていることです。

 

※財務省は自由に病院に受診ができる、いつでも救急車をよんで救急外来に受診できる、世界に誇れる優れた医療制度を金食い虫と呼んでいます。

 

 

そもそも

 

働き方改革で利得を得るのはだれでしょうか?

 

過労死を防ぐというのは表向きの理由です。

 

真実は時間外手当を削減したい経営者側、経団連の意向です。

 

欧米の賃金体系は成果型、ジョブ型といわれ、仕事の内容や成果で給与が支給されます。

 

効率の良い人件費のかけ方ということが言えます。

 

日本は時間給という制度設計なので、仕事の成果が上がらなくても、業務に従事している時間が経過すれば時間外手当が割増賃金で支払われます。

 

20年ほど前、九州のとある市役所では、無駄にだらだら時間をかけて仕事をし、意図的な残業をして、(勤務時間に詰将棋を解いたり、丁寧に時間をかけてお茶を入れたりする)、毎日1時間の時間外手当を申請する職員が大勢いたそうです。いまの若い人は知らないと思いますが、どこでも慣例になっていたそうです(実話です)。

 

経営側と労働者側に信頼関係がないと、こういう不正な時間外労働を申請するものがあらわれます。

 

それを経営側としては削減したいと考えたのです。

 

※話は若干変わりますが、国民の実質賃金は22か月連続でマイナスです

 

値上げにより企業の収益はあがり、一部は労働者に賃上げとして還元されていますが、それ以上に物価高なので、実質的な手取りが減っているという現状が続いています。

 

経営側が

 

「賃金を上げたんだから、喜んでね」

 

と笑顔で話しかけているその裏で

 

「その分を値上げて回収するから結局企業が儲かるようになってるのに、庶民は馬鹿だから気づかないわけだ。あはは」

 

とほくそ笑んでいるのでしょう。

 

 

 

電通の高橋まつりさんが24歳で過労死自殺されたこと

 

 

などは人件費を削減するための口実として、巧妙に働き方改革に使われた面があります。

 

 

では、時間外労働を制限してどうなったでしょうか?

 

他の業界では、自宅に持ち帰ったり、休日に自分の意志で仕事をされています。

 

結局、サービス残業をさせている状態です。

 

 

私の義弟は公立小学校の教頭をしていますが、公立学校の先生の自宅での仕事量たるや

 

狂気に満ちたすさまじいものがあります。

 

これも正当な労働に対して対価が支払われていない現実です。

 

 

ちなみに日産自動車が下請け企業に正当な対価を支払っていなかったことが暴かれました。

 

 

強い立場を利用して、弱い立場の人から搾取する構図です。

 

経営者側の経団連や公立学校を運営する自治体が、自宅や休日に実質的には労働しているのに、その対価である時間外手当を労働者や学校の先生に支払っていない構図とおなじです。

 

ひどい話ですがこれが

 

江戸時代から連綿と続く、官尊民卑、封建制度の延長にある

 

伝統的なジャパニーズスタイルです。

 

 

こうやって人件費を削減することに成功したわけですが

 

一方で医師やトラックドライバーなどの自宅に持ち帰ることができない現場仕事はどうなるのでしょうか。

 

夜になると患者さんを診察する医師がいない、物を運んでくれるドライバーがいないという状況は経営者側も困る問題です。

 

トラック業界はトラックの荷台に空きが出ないように効率化を徹底したり、将来的には無人トラックを導入して輸送量を維持する方向に努力をしています

 

つまり人間には投資をしないで、機械やITで生産性を上げようという話です。

 

しかし、それが容易ではないことが明らかになってきており、日経平均株価が史上最高を記録しているのに、クロネコヤマトさんの株価が激落しています。

 

 

 

 

 

医療界でも同じことを考えていたようですが、5年間準備期間があったのに、結局なされたことはマイナンバーカードを保険証として利用できるようになったことだけでした。

 

※マイナンバーカードで早速詐欺事件が発生しました。皆さんおきをつけください。

 

電子処方箋や健診データの共有などが効率化と考えられたようですが、医師の労働時間を減らす効果は全くありません。

 

これも、経団連企業が患者さんの医療データを集めてビジネスに活用したいという意向と

 

IT関連企業が新たな設備投資のチャンスで儲けたいという意向を

 

自民党に依頼し

 

自民党が「パーティー券をたくさん買ってくれたらやりますよ」

 

といって行った政策です。

 

医療関係者も患者さんも頼んでいないことばかりやっています。

 

 

表現は悪いかもしれませんが、物を運ぶという、ある意味、単純な仕事でも、労働時間を減らそうと思えばこれだけ高い壁があるのに

 

医療という複雑な仕事がそう簡単に効率化やIT化で労働時間を減らせるでしょうか?

 

甚だ疑問です。

 

本来は病院が人件費を増やして、医師の3交代勤務を実現し、残業時間を減らすことをすべきなのに、政府は4月の診療報酬改定で0.88%しか報酬を増やしませんでした。

 

物価が2.6%あがっていますので、実質、病院の収入は減少です。

 

これでは病院は医師の時間外労働の上限を守ることができません。

 

それで、抜け穴として、夜間の救急外来などは「宿日直」という形で申請し

 

※宿日直とは宿日直中に従事する業務は、通常業務とは異なる、軽度又は短時間の業務である。夜間に十分な睡眠がとり得るものである。

 

 

実際には宿日直医師に寝ないで朝まで救急患者の対応に当たらせることで、夜間、休日の救急外来を継続しようとしています。

 

その方が割増賃金を支払わなくて済むからです。

 

私が研修医時代に勤務した、鹿島労災病院(統廃合で消滅)でも、研修医の時間外労働は月に30時間までと勝手に決められて、実際の労働に見合った賃金が支払われませんでした。

 

自己研鑽に名を借りた、時間外手当の不払いです。

 

やっていることは日産と同じです。

 

労働省の所管する労災病院で違法行為が行われた事実があります。私以外の研修医も同じ扱いをうけました。

 

そのような、法の抜け穴をつかって、民間、公立問わず、病院経営者は収益を維持しようとしています。

 

働く医師の側に立って、医師の労働環境を本質的に変えようという意思がないことがよくわかります。

 

その結果、どうなるかといえば、若い医師の一部は宿日直が楽な診療科の専門医になろうとします。

 

眼科、皮膚科、放射線科、美容整形です。

 

韓国がすでにそうなっています。

 

救急で患者さんがくることがほとんどないからです。

 

産婦人科や内科や外科は救急の患者さんが必ず来ますので、若手医師が敬遠し、なり手がいなくなります。

 

将来的に産婦人科医や内科医や外科医がいない地域もでてくるでしょう。

 

そうすると病院は救急外来を維持できませんし、内科や外科や産婦人科のない病院が大多数になります。

 

病院は入院設備をもっていますが、入院患者さんの8割以上が内科や外科です。

 

もし内科や外科がなくなれば、入院患者さんが激減し、たちどころに赤字となり倒産します。

 

または吸収合併されます。

 

それで得をするのはだれかといえば

 

政府です。

 

乱立する民間病院を3つほどの巨大医療グループに統合して、政府の統制を効かせやすくしようと画策しているのです。

 

たくさんあった銀行が3大メガバンクに統合された方式を医療業界にも持ち込もうとしています。

 

しかし、急激にそのようなことが起これば国民医療は大パニックとなり政権批判へとつながります。

 

それで、政府が考えたことは、専門医機構というものをつくって、若手医師が独り立ちできる専門医資格を取得するまでの約10年間にいろいろな研修カリキュラムをノルマとして課すことによって、政府のコントロール下に置くことにしたのです。

 

そうすれば10年間は嫌でも若手医師に救急医療をやらせることや内科や外科の診療を補助させることができるからです。

 

これも韓国がすでに実施したことです。

 

その犠牲者が高島晨伍医師(当時26歳)です。

 

 

彼は消化器内科の専門医を目指していたので、夜間救急外来だけでなく、学会発表や、論文作成や最新の治療法の勉強などを時間外手当も支払われないまま真面目にこなしていました。

 

手を抜くことは彼のまじめな性格から無理だったのでしょうし、「それをこなさなければ専門医の資格を取らせないぞ」と暗に脅されていたからです

 

この事件は当事者である若手医師だけでなく、手塩にかけて育てた愛するご子息が医療関係に勤務する親御さんにも衝撃を与えました。

 

親御さんとすれば、内科や外科などの心身を消耗するような科に進むといわれたら心配になります。

 

とくに女医さんであれば無理せず、眼科か皮膚科か美容整形に行ってほしいと思うでしょう。

 

その結果、命にかかわる医療をする医師は減り、命にかかわらない医療をする医師が増える結末を迎えます。

 

いま、韓国がその状態です。

 

それで、韓国政府は医学部の定員を2000人も増やして、問題を解決しようとしたのです。

 

私はてっきり、医療のIT化が日本よりはるかに進んでいる韓国政府がSAMSUNGに依頼して、医師不足問題をITで華麗に解決するところを世界に見せつけるのかと思っていましたが

 

 

 

なんと、医学部の定員増という、原始的かつIT先進国の韓国とは思えない野蛮で暴力的な対策を打ち出したのです。

 

まずやるべきは医師の労働環境を改善し、労働に見合う対価をきちんと支払う事なのに

 

それをやらずに医師の人数を増やして、医師一人一人を安く買いたたこうとしました。

 

そして、いうことを聞かなければ医師免許はく奪するといってきたのです。

 

それで韓国の若手医師は怒って同時に大量退職したのです。

 

ボイコットです。

 

 

 

 

 

 

 

韓国は日本以上に封建社会です。

 

財閥企業を優遇し、中小企業を育てず、若者を冷遇してきた韓国の出生率は

 

ついに0.72となってしまいました。

 

北朝鮮と戦う前に、韓国には住人がいなくなってしまうことになります。

 

だれも住んでいないソウルに金親子が御殿を建てることになるのです。

 

 

 

 

そろそろ、本題に入りましょう。

 

医療は自動車産業のように、国の税収が増えるような

 

バンバンお金を儲けることができる業界ではありません。

 

しかし、人が幸せに生きていくには、出産や病気の不安がない社会が必要です。

 

そういう、一見、儲からないことにお金をかけないで来た結果が、韓国の研修医の怒りと出生率の低下になっています。

 

医療費抑制策が正しいと信じている方がいらっしゃると思いますが、それは大きな間違いです。

 

不安や危険のない世界を人間は本能的に求めていますし、人間社会が目指すべき正しい方向です。

 

自動車業界は自動ブレーキやエアバッグのような優れた安全装置を開発することでユーザーの支持をうけ発展してきました。

 

もし、効率よく移動することが自動車の目的であれば、政府は東名高速道路を300kmで走れるように改修し、トヨタは300馬力のエンジンを積んだトヨタカローラを開発すればいいのではないでしょうか?

 

しかし、歴史はそうではありませんでした。

 

効率より安全をユーザーは選んだのです。

 

経済至上主義がゆがんだ社会をつくり、少子化という社会消滅の結果を招こうとしています。

 

賢明なる皆様には、人々の不安や危険を減らそうとする方向に社会を進めていこうと頑張る政治家や、マスコミ、企業を応援してほしいと思います。

 

特に弱い立場にいる人々の不安や危険を取り除こうとすることが、社会全体をよくすることにつながります。

 

ひいては、あなたのお住いになる地域の生活を良くすることにつながります。

 

医療費抑制策が、人々の生きることへの不安を増大させ、弱者は救われないという価値観を蔓延させ、それが少子化へつながり、結局、国を亡ぼす間違った考え方であることを、よくご理解いただけらと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました薬