みなさんこんにちは
コロナの第8波がようやくおさまってきました。
振り返ってみると、コロナとの戦いは終息に向かいつつありますが、単一の手段ではなく複数の手段を組み合わせて対応することが重要であったと思っています。
まず、ワクチン。そしてマスクと換気。密集や接触を避ける。そういったことが総合的に力を発揮したのであろうと思います。
また、コロナウイルスに直接感染した人が増えることで集団免疫が形成されたことも大きな要因でしょう。
ただし、昨年も夏に感染者が急増しましたので、油断はしない方が良いかと思います。
3月13日よりマスク着用は個人の判断となりますが、できるだけ病気になりたくない、人に病気をうつしたくないと思う場合は引き続きマスクを着用されることをお勧めします。
令和5年を生きる私たちは、感染症がひとびとの生活や社会を混乱させ、たくさんの人の命を奪い、悲しみと心に傷を残したことを身をもって体験した世代となるわけですが、3年前までは「感染症?、ウイルス?、ワクチンってなに?」という感じで全然、気にしていなかったと思います。
「古くからある病気だから、大したことないよね」とたかをくくって、侮ってはいけなかったという教訓が残りました。
今回は古くからある病気、高血圧症についてお話します。
高血圧については、色々な人がいろんなことを言うので、何を拠り所にしたらいいかわからない人が多いと思います。
「高齢になれば血圧は高くてもいい」
「降圧剤を長く飲むと副作用があるからよくない」
「血圧が低いと認知機能がおちる」
「ツボをおせば血圧が下がる」
諸説入り乱れ、何を信じればいいかわからないのではないでしょうか?
なぜ、混乱が続くのか?
私も悩んでいましたが
「血管の耐久性」について語られていないからではないか
と考えるようになりました。
高血圧がなぜ、体に悪いのか
本質的な理由を知れば、みなさんの迷いはなくなるはずです。
以下にご説明します。
人間の血管はホースと同じです。
長く使えば使うほど、硬くなり、劣化して、破れたり、詰まったりします。
当然ですが高い圧力がかかれば、それだけ劣化が進行します。
神様は人間の「血管の耐久性」を以下のように設計して人間の体を作ったと考えられます。
上の血圧がずっと100mmHgのままなら、100年使用可能。
これを数式にすれば
血管の耐久性能=血圧(100mmHg)×年齢(100歳)=10000mmHg年
となります。
図に書くとこうなります。
黒い四角形がそれを表します。
もしも、生まれてすぐに血圧が150mmHgで、そのままずっと続いたら
10000mmHg年÷150mmHg=66.6年となります。
青い四角形がそれを表します。
もしも、生まれてすぐに血圧が200mmHgで、そのままずっと続いたら
10000mmHg年÷200mmHg=50年となります。
赤い四角形が血圧200の場合を表します。
黒、青、赤の四角形の面積はどれも10000です。
つまり
血管の耐久性は10000と決まっているので、血圧が高いほど早く限界がきて使用不能になる
ということがわかります。
血管がダメになるということは、脳卒中や心筋梗塞、腎不全を起こしますので死に至ります。
このように考えると、なぜ高血圧が健康に悪いのかが理解できたでしょうか。
さらに別の視点を付け加えると、血管は血液を流すホースですが、臓器に酸素や栄養分を送る役割があります。エネルギーを臓器に送っていると考えれば電気のコードの役割もしています。
もし、パソコンやテレビ、冷蔵庫本体はまだまだ使えるのに、電気のコードだけが切れたとします。
本体ごと買いかえますか?
いいえ。
普通は電気のコードを修理して使うでしょう。
人間の体ではどうでしょうか?
血管が早くダメになった場合、血管だけ新品に交換することができるでしょうか?
それはできません。
脳や心臓、腎臓といった臓器はまだまだ使えるのに、血管がだめになったら、死んでしまうのが人間という生き物です。
実際の医療現場では血管が破れれば人工血管に交換したり、血管が詰まればステントという器具を用いて広げたりすることが行われていますが、すべての血管に実施できるわけではありません。
また、非常に難易度の高い治療であり、気軽にできるものではありません。
いかがでしょうか。
高血圧を治療しない事がなぜ健康に悪いかご理解いただけたでしょうか。
今回の数式は詳細なデータを解析して導いたものではありません。
あくまで理解のためのモデルとして作成しました。
しかし、皆さんが生活の中で体感として知っている原理ではないでしょうか。
当たり前ですが、すべての物は使い続けていれば劣化します。
自分の血管だけは特別長持ちするはずだと信じられる方はいらっしゃいますでしょうか?
おそらくいらっしゃらないでしょう。
この本質を知ったなら
常に血圧を低めに抑えておくことが基本的に正しい考え方
であることが理解できたと思います。
ヨーロッパ、米国、日本の各学会がそろって血圧の目標値を提唱しています。
75歳未満は130/80mmHg未満
75歳以上でも140/90mmHg未満
だいたいいつも120~130/70~80ぐらいの血圧が理想的ということになります。
かくいう私も40代からミカムロAPという降圧剤をかれこれ10年以上内服しています。
おかげさまで、目標をクリアしています。
もし、なにも治療しなければ、まだ使える元気な臓器を残したまま、たった1本の血管が詰まっただけで人生を終えることになってしまいます。
そんな、悔しいことはありません。
皆さんにもそのことをよく知っておいていただきたいと思います。
ちなみに、私の父は何にでも醬油をかけて食べる人で、とにかく味付けはしょっぱいのが大好きでした。
また、たばこも毎日3箱は吸っていました。
家ですき焼きを作るときに、すき焼きを煮る割り下に砂糖を入れると怒るので、我が家のすき焼きはほとんど醤油味でした。
私は大人になって、お店ですき焼きを食べた時に、割り下が甘いのにびっくりした記憶があります。
そんな父(現在88歳)は、当然ながら高血圧となりました。
しかし、昔は高齢になれば血圧が高いのは当たり前だから様子を見て良いという時代でしたので治療をしませんでした。
いまでは考えられないことです。
そのために高血圧状態が長く続き、結果的に75歳で脳梗塞になりました。
手足の障害は残らなかったのですが、視力に障害が残りました。
さらに足の血管が詰まってしまったため、少し歩くと足が痛むようになり、散歩に出かけることもままなりません。
ほとんど家から出ることのない生活をしています。
いまは血流をよくする薬と降圧剤を服用して、生きながらえていますが、首の血管をエコーで見るとちょろちょろとしか血液が流れていないのがわかります。
血管の内側はでこぼこに盛り上がって、その隙間をようやく血液が流れている様子がみえました。
いつ血管が詰まってもおかしくない状態です。
首の皮一枚でつながっている感じです。
なぜもっと早く治療しなかったのかと悔やみます。
父は幸い存命中ですが、私は運が良かっただけだと思っています。
文明が進歩して、80歳、90歳まで人生が長く続くことが普通になっています。
できれば、健康な状態で長生きしたいですよね。
それには早めの血圧治療が大切です。
「薬を長く飲むのが嫌だから、できるだけ薬をのむことを後にしたい」
という意見がしばしば聞かれますが
薬を飲み始めたころには血管の耐久性が残り500を切っていて、そこから治療しても
3年後に10000に到達して、亡くなりましたということもあり得るのです。
血圧の薬というのは血管を長持ちさせるための保護剤
みたいなものです。
ですから、早めに治療を開始したほうが血管が長持ちします。
もちろん、薬に頼りすぎず
減塩、禁煙、減量、運動
も行ってください。
そして、必要最小限のお薬を併用して130/80未満を達成してください。
そうすると元気な80歳、90歳がみえてきます。
これだけは、覚えておいていただきたいのですが
血圧の治療は早ければ早いほど良いということです。
後回しにすればするほど、血管の耐久性がどんどん減っていきます。
そうすると残された時間がますます少なくなるということを忘れないでください。
最後までお読みいただきありがとうございました
(おまけ)
私が使用しているTAKAGIのリールホースです。もう14年になりますがホースが裂けたり、ひび割れたりしません。ずっと屋外で使用していますので紫外線、高温、低温にさらされているのですが、たいしたものです。
13年目にハンドル部分から水漏れしたので、ハンドルだけ新品に交換しましたがホース自体は頑丈です。TAKAGIさんはすごいホースを作られたなと感心しています。