岩波書店のPR雑誌「図書」は、昭和40年代の学生時代から読んでいます。当時は1年分100円でした。現在でも1年分1000円なので、質量ともにかなりお得です。

 先日ことしの12月号が来ました。1年分を保存してあるものがちょうど45年になりました。1972年~2016年の全部を並べて記念撮影しました。なかなか壮観です。

 このままいくと、50年分勢ぞろい、は実現できると思います。いろいろな記事があり、これからも楽しみです。

 

 

 

 月天心貧しき町を通りけり(蕪村)。旅人が貧しい町を通り過ぎている。どの家からも小さい光しか漏れていない。その高い空には月がこうこうと輝いている。そんな情景を思い浮かべた。

 季語の作法によると、月が出てくるから季節は秋。しかし、自由な解釈として科学的な視点で考えると、冬の季節がよい。月は満月のときが一番明るく、真夜中に一番高い位置に来る。天心というのは天のまんなか、高い空である。

 夏の太陽は空の高い位置を通り、冬の太陽は低い位置を通る。それでは満月はどうか。満月は太陽の正反対の位置にあるので、夏の満月は冬の太陽の位置、つまり低い位置を通る。冬の満月は夏の太陽の位置、つまり高い位置を通る。

 月が一番高い位置を通るのは冬至のころである。地平線の高度は0度、天頂の高度は九十度である。冬の月は高度八十度くらいを通る。ほとんど真上から照らしているのである。

 月の高度だけでなく、空気の質も関係する。冬の空気は夏に比べると、澄んでいて透明度が高い。明るさが一段と強く感じられる。

 そういった科学の視点で見ても、とてもすばらしい句なのである。

 俳句は苦手という人には、冬空の唱歌はどうだろう。子どもの頃よく歌ったものである。

「木枯らしとだえて冴ゆる空より、地上に降りしく奇しき光よ、・・・」(冬の星座)

「凍れる月影空に冴えて、真冬の荒波寄する小島、・・・」(灯台守)

 寒い冬の夜空だが、観察すれば面白いことがたくさんある。

 

 

またまた、ひさしぶり。5年ぶりに入ってみました。ちゃんと残っていました。