剱岳北方稜線その2
剱岳北方稜線 ルートメモ
以下はこの北方稜線を検討する人のために参考になればとメモ
したものです。
ヒュッテから小窓の王へ
仙人池ヒュッテから池の平小屋を過ぎ、旧鉱山道で池平山を巻いて
小窓雪渓に降り立つ。この雪渓に下りる崖は切り立っており要注意。
雪渓は傾斜もゆるく快適に登れるが、この時期は雪が硬くしまっており、
ピッケル、アイゼンは不可欠。(剱沢も同じ)
上りきったコル(小窓)からお花畑を抜け(目指す小窓の王が見える)
ハイマツを掴んでの溝状の急登を行くと日当たりのいい快適な岩斜面に
出てこれをかなり上まで登っていく。
振り返ると小窓雪渓から池平山が素晴らしい。
尾根に出るあたりからははっきり道がありトラバースしていく。最初の雪渓は
跡形も無く二つ目の雪渓もほとんど溶けていて、(溶け残った)氷を踏まずに横断
できたのでピッケル、アイゼンを出すことはなかった。
(残っていれば完全な氷だから危ないし、雪渓の状態は時期、 年によって違う
が、基本的には持っていくべきだ。)
この二つの溝を横断し、急登をあえいでいくと、草付きの岩場になり上方
左手のハイマツの中から逆コースのグループが顔を出してきた。
この草付きの岩場の先に大きな岩がありその上にケルンが積んである。
ケルンの上方に行くとハイマツの薮こぎになり難しいことになるそうだ。彼らが
出てきたハイマツの中が通常のルートだ。岩を登っているときには見えない
だけにハイマツの中の踏み跡を見逃し易いだろう。
(ケルンの岩の手前で左手の方に行くといい。)
小窓の王から池の谷乗越
踏み跡をたどるとすぐに小窓の王の岩峰の基部に出てこれを巻くと逆さ
落としのザレ斜面のバンドになる。ロープは出さずに行けると判断できたが怖い
ところで慎重に降る。
降る場合はどうみても上の方がいやらしいと思えるのだが、かなり下に降ると
固定ロープが2ヶ所ある。(ここを逆に登るとロープの辺りが難しいのだろう。)
降り立ったところが三ノ窓のコルのすぐ下になる。テントが張ってあった。
目の前にチンネの岩峰があり、その右手が次の難所池ノ谷ガリーだ。
三ノ窓から鹿島槍を眺めて池ノ谷ガリーに入る。この登りは途中の大岩の
付近まではチンネの岩峰を左手で掴むくらいギリギリを登ると比較的岩が
大きく落石の心配が少ない。しかしここは本当に危ない落石の巣だ。
特に大岩の付近で降るグループが我々の下になってからは落石を
起こさないように慎重に足を運んだ。登りきった池ノ谷乗越にも逆コースの
グループがいたし更に上からまた降りてくる。今日はこのコースに実に沢山の
グループが入っている。
池ノ谷乗越から剱岳本峰
乗越からは我々は左のルンゼに入らず、ガリーの溝を見下ろしながら高度感
のある快適な岩を登った。ここは降るのは怖いだろうが、ホールドは豊富で
しっかりした岩場だ。
登りきると待望の剱岳本峰と長次郎の頭が目の前にある。
しかし本峰はまだまだ遠い。
目の前の岩を登ると二枚岩。ここから長次郎谷側を巻いて行く。尾根筋を
行かず谷側に降りて行く。(池ノ谷側に入らないことだ。)
残置のロープがあるトラバースは高度感あり慎重に行こう。
長次郎の頭まで二枚岩から思ったより時間が掛かかる。
我々は頭の直登コースの残置ロープのところに出てしまったので、ここで
初めてロープを出し懸垂で降った。
(こちらからではトラバースのルートを見つけにくい。)
我々とほぼ同ペースで来た二人組みを先に降ろしてやり、その後5人が
降ったので結構時間が掛かった。ザレ斜面を長次郎のコルに下り、本峰に
取り付けばおよそ30分で待望の山頂に到着する。
ゆっくり慎重に登っていくだけである。
以下はこの北方稜線を検討する人のために参考になればとメモ
したものです。
ヒュッテから小窓の王へ
仙人池ヒュッテから池の平小屋を過ぎ、旧鉱山道で池平山を巻いて
小窓雪渓に降り立つ。この雪渓に下りる崖は切り立っており要注意。
雪渓は傾斜もゆるく快適に登れるが、この時期は雪が硬くしまっており、
ピッケル、アイゼンは不可欠。(剱沢も同じ)
上りきったコル(小窓)からお花畑を抜け(目指す小窓の王が見える)
ハイマツを掴んでの溝状の急登を行くと日当たりのいい快適な岩斜面に
出てこれをかなり上まで登っていく。
振り返ると小窓雪渓から池平山が素晴らしい。
尾根に出るあたりからははっきり道がありトラバースしていく。最初の雪渓は
跡形も無く二つ目の雪渓もほとんど溶けていて、(溶け残った)氷を踏まずに横断
できたのでピッケル、アイゼンを出すことはなかった。
(残っていれば完全な氷だから危ないし、雪渓の状態は時期、 年によって違う
が、基本的には持っていくべきだ。)
この二つの溝を横断し、急登をあえいでいくと、草付きの岩場になり上方
左手のハイマツの中から逆コースのグループが顔を出してきた。
この草付きの岩場の先に大きな岩がありその上にケルンが積んである。
ケルンの上方に行くとハイマツの薮こぎになり難しいことになるそうだ。彼らが
出てきたハイマツの中が通常のルートだ。岩を登っているときには見えない
だけにハイマツの中の踏み跡を見逃し易いだろう。
(ケルンの岩の手前で左手の方に行くといい。)
小窓の王から池の谷乗越
踏み跡をたどるとすぐに小窓の王の岩峰の基部に出てこれを巻くと逆さ
落としのザレ斜面のバンドになる。ロープは出さずに行けると判断できたが怖い
ところで慎重に降る。
降る場合はどうみても上の方がいやらしいと思えるのだが、かなり下に降ると
固定ロープが2ヶ所ある。(ここを逆に登るとロープの辺りが難しいのだろう。)
降り立ったところが三ノ窓のコルのすぐ下になる。テントが張ってあった。
目の前にチンネの岩峰があり、その右手が次の難所池ノ谷ガリーだ。
三ノ窓から鹿島槍を眺めて池ノ谷ガリーに入る。この登りは途中の大岩の
付近まではチンネの岩峰を左手で掴むくらいギリギリを登ると比較的岩が
大きく落石の心配が少ない。しかしここは本当に危ない落石の巣だ。
特に大岩の付近で降るグループが我々の下になってからは落石を
起こさないように慎重に足を運んだ。登りきった池ノ谷乗越にも逆コースの
グループがいたし更に上からまた降りてくる。今日はこのコースに実に沢山の
グループが入っている。
池ノ谷乗越から剱岳本峰
乗越からは我々は左のルンゼに入らず、ガリーの溝を見下ろしながら高度感
のある快適な岩を登った。ここは降るのは怖いだろうが、ホールドは豊富で
しっかりした岩場だ。
登りきると待望の剱岳本峰と長次郎の頭が目の前にある。
しかし本峰はまだまだ遠い。
行かず谷側に降りて行く。(池ノ谷側に入らないことだ。)
残置のロープがあるトラバースは高度感あり慎重に行こう。
長次郎の頭まで二枚岩から思ったより時間が掛かかる。
我々は頭の直登コースの残置ロープのところに出てしまったので、ここで
初めてロープを出し懸垂で降った。
(こちらからではトラバースのルートを見つけにくい。)
我々とほぼ同ペースで来た二人組みを先に降ろしてやり、その後5人が
降ったので結構時間が掛かった。ザレ斜面を長次郎のコルに下り、本峰に
取り付けばおよそ30分で待望の山頂に到着する。
ゆっくり慎重に登っていくだけである。
剱岳北方稜線
剱岳北方稜線 09,9,18夜~22 5(8)名 のぼろ会個人山行
「点の記」の上映、「山渓」での特集と今年は剱岳が脚光を浴びている。
だからというわけではないのだが、北方稜線の計画が持ち上がった。
私も一度は行ってみたいと思っていた。北方稜線ははっきりバリエーション
ルートで山頂には通行止めの看板がある。
そうは言ってもツルベでの岩登りではない。山行記を見るとロープを出すのは
雪渓の横断とか、特に危ないと思えるところだけのようで、基本は高度感のある
岩稜の尾根歩きなのだ。問題はルートファインディングだという。
そこで我々は比較的ルートを探し易いという仙人池ヒュッテから山頂を
目指す逆コースで行くことにした。気分的にも山頂を目指す方がいい。
前夜剱沢のテント場もすごい数だったが、この小さなヒュッテには物凄い人
が泊まったようだ。
*北方稜線へ
今回仙人池までは8人だったが諸般の事情で北方稜線に取り付いたのは、
Kリーダーと私の男2人女3人の5人。結果的には5人くらいがもっとも適度な
人数だった。
問題はルート探しだから、我々は中に女性3人を挟み、先頭のKさんが
間違えたルートに入ってしまったときは、私が先頭になり前後を逆にして
進んだ。これは結構効率が良かった。私が行き詰ればKさんが先に行き
何回か前後しながら進んだ。
ルートファインディングが問題ではあるが、ここの難所は2箇所の雪渓横断
といやなザレ場の登り降りである。
雪渓は今回は溶けてしまっていたので問題なかったのだが、小窓の王の
岩峰を巻くバンドの降りと池ノ谷ガリーの登りはいやな所だった。
滑りやすいザレ場と落石の巣、これは慎重に行くしかない。ここは慣れ
ようのない危険地帯だ。どこもかしこも高度感はすごいが全体として岩登りは
そう難しいところはない。
今回の女性陣は強力なメンバーだったからロープを出さずにすんだ。
(何も出さないのがいいと言っている訳ではない。危険地帯は出来るだけ
早く脱出する事が鉄則で時間のファクターを無視するわけにはいかない。)
4時頃に仙人池ヒュッテを出て山頂に11時45分前に着いた。
8時間弱で辿り着いたからいいペースだ。
* 渋滞
山頂は人で溢れていた。下りで渋滞が予想されたのであまりゆっくり休まず
降り始めたのだが、既に遅くカニの横バイの手前で1時間以上待たされた。
横バイの鎖場ばかりでなく梯子段までカラビナの架け替えをやり更に
ロープを出したりのグループがいた。
安全のためには積極的にカラビナを掛けロープを出したほうがいい。何も
危険を冒すことは無い。これで後ろを待たせるのはやむを得ない。
しかしそうは言っても物事には程度がある。隊のほとんどすべてがロープを
出さなければヨコバイや梯子を通過できないようなそういう隊を編成してくる
のはどうかと思う。傍迷惑でもあるがなにより本人達が危ないだろう。
このGは登りでも渋滞を引き起こしていたと一緒に待たされていた若者達が
憤慨していた。さらに散々待たせた人たちが追い越していくときなんの
挨拶もなかった。待たせたという自覚もないようだ。
そんなこんなで剣山荘までで3時間少しと時間が掛かったが無事
剱沢のテント場に辿り着いた。
剱岳北方稜線
「点の記」の上映、「山渓」での特集と今年は剱岳が脚光を浴びている。
だからというわけではないのだが、北方稜線の計画が持ち上がった。
私も一度は行ってみたいと思っていた。北方稜線ははっきりバリエーション
ルートで山頂には通行止めの看板がある。
そうは言ってもツルベでの岩登りではない。山行記を見るとロープを出すのは
雪渓の横断とか、特に危ないと思えるところだけのようで、基本は高度感のある
岩稜の尾根歩きなのだ。問題はルートファインディングだという。
そこで我々は比較的ルートを探し易いという仙人池ヒュッテから山頂を
目指す逆コースで行くことにした。気分的にも山頂を目指す方がいい。
前夜剱沢のテント場もすごい数だったが、この小さなヒュッテには物凄い人
が泊まったようだ。
*北方稜線へ
今回仙人池までは8人だったが諸般の事情で北方稜線に取り付いたのは、
Kリーダーと私の男2人女3人の5人。結果的には5人くらいがもっとも適度な
人数だった。
問題はルート探しだから、我々は中に女性3人を挟み、先頭のKさんが
間違えたルートに入ってしまったときは、私が先頭になり前後を逆にして
進んだ。これは結構効率が良かった。私が行き詰ればKさんが先に行き
何回か前後しながら進んだ。
ルートファインディングが問題ではあるが、ここの難所は2箇所の雪渓横断
といやなザレ場の登り降りである。
雪渓は今回は溶けてしまっていたので問題なかったのだが、小窓の王の
岩峰を巻くバンドの降りと池ノ谷ガリーの登りはいやな所だった。
滑りやすいザレ場と落石の巣、これは慎重に行くしかない。ここは慣れ
ようのない危険地帯だ。どこもかしこも高度感はすごいが全体として岩登りは
そう難しいところはない。
今回の女性陣は強力なメンバーだったからロープを出さずにすんだ。
(何も出さないのがいいと言っている訳ではない。危険地帯は出来るだけ
早く脱出する事が鉄則で時間のファクターを無視するわけにはいかない。)
4時頃に仙人池ヒュッテを出て山頂に11時45分前に着いた。
8時間弱で辿り着いたからいいペースだ。
* 渋滞
山頂は人で溢れていた。下りで渋滞が予想されたのであまりゆっくり休まず
降り始めたのだが、既に遅くカニの横バイの手前で1時間以上待たされた。
横バイの鎖場ばかりでなく梯子段までカラビナの架け替えをやり更に
ロープを出したりのグループがいた。
安全のためには積極的にカラビナを掛けロープを出したほうがいい。何も
危険を冒すことは無い。これで後ろを待たせるのはやむを得ない。
しかしそうは言っても物事には程度がある。隊のほとんどすべてがロープを
出さなければヨコバイや梯子を通過できないようなそういう隊を編成してくる
のはどうかと思う。傍迷惑でもあるがなにより本人達が危ないだろう。
このGは登りでも渋滞を引き起こしていたと一緒に待たされていた若者達が
憤慨していた。さらに散々待たせた人たちが追い越していくときなんの
挨拶もなかった。待たせたという自覚もないようだ。
そんなこんなで剣山荘までで3時間少しと時間が掛かったが無事
剱沢のテント場に辿り着いた。
剱岳北方稜線