トランプは「裏切った」
日鉄のUSスチール買収
揉めに揉めた買収劇が18日決着した。
日本製鉄はUSスチールの普通株を100%取得し、完全子会社化
することが認められた一方、アメリカ側から出された「黄金株」
の要求をのむことになった。「国家安全保障協定」とあわせて、
アメリカ政府の経営への一定の関与を認める形となる。
この買収は「完全な支配」と「完全な独立」のいずれでもなく、
日本製鉄が経営権を握りつつも、アメリカ政府が特定の重要事項に
拒否権を持つという、非常に特殊な形となる。
これは、経済と安全保障が密接に絡み合う現代において、国家が
重要産業の外国資本による買収に対して、どのように介入し、自国
の利益を確保しようとするのかを示す、一つのモデルケースとなる。
日本製鉄にとっては、今後の経営において、アメリカ政府の意向
を常に意識する必要があるのは間違いない。
* ジェミニとの問答
USスチール買収決着にUSWは反対している。結局トランプは
裏切ったと認識しているのだろうか?
ジェミニ(以下要約)
はい、その通りです。全米鉄鋼労働組合(USW)は、日本製鉄
によるUSスチールの買収合意について、トランプが「裏切った」
と認識している可能性が高い。
USWは、日本製鉄によるUSスチールの買収に強く反対してきた。
雇用維持への懸念: 外国企業による買収は、将来的な合理化や
リストラにつながり、組合員の雇用が脅かされるのではないか
国家安全保障と国内産業の保護: USスチールを「アメリカの象徴」
と見なし、基幹産業が外国資本の手に渡ること自体に強い抵抗感
労働協約の継続性: 日本製鉄が既存の労働協約を尊重し、労働者の
権利と待遇を保障するかどうかを懸念
クリーブランド・クリフスへの支持: USWは、国内競合メーカー
クリフスによるUSスチール買収を強く支持
(そういえばクリフスCEOが「日本は中国より悪い、、、45年から
何も学んでない」とか言ってたな。補足)
トランプは、大統領選挙を控える中で、USWが大きな影響力を
持つラストベルト(さびた工業地帯)の票を意識し、当初から
「私なら即座に阻止する。絶対だ」と買収に強く反対する姿勢を示し
ていた。
しかし、最終的にトランプが「国家安全保障協定」という形で
買収を承認した。USWは梯子を外された。
トランプが強調する「黄金株」によるアメリカ政府の支配は、
USWが求める「国内企業による所有・運営」とは根本的に異なる
ため、彼らにとっては**「公約違反」あるいは「裏切り」**
今後、USWは日本製鉄とUSスチールに対し、雇用保証や投資に
関する具体的なコミットメントを厳しく求めていく。
また、政治的には、買収を承認したトランプ大統領に対する批判を
強め、次期選挙に向けてその姿勢を問い続ける。
(トランプは票のためでしかないのに幻想を抱く方が悪い。)
結局のところ、この買収の決着は、政治的な妥協の産物であり、
全ての関係者が完全に満足する形ではない。特に、労働組合に
とっては、自らの要求が完全に受け入れられなかったことに対する
不満が残っており、トランプ大統領の動きに対して「裏切られた」
という感情を抱いているのは間違いない。
**追記
USWは当初「失望している」としてたが、その後トランプの弁明
を受け入れ、買収を承認した。これまた妥協。
トランプ派による民主党議員暗殺
ミネソタ州の民主党議員暗殺
今朝(16日)の新聞ではイスラエルはイランの首都の80ヶ所
以上を空爆し革命防衛隊諜報部門の幹部ら三人を殺害、イラン領
奥深くまで空爆しているという。
劣勢のイランではホルムズ海峡封鎖の強硬論がくすぶっている。
これを危惧して既に原油価格は最高値を付けている。
* 中東危機の深刻化
13日イスラエルによるイランの核施設、核科学者、軍指導部を
狙った空爆が開始され、これに対しイランもイスラエルに多数の
無人機、ミサイルを打ち込んで双方の応戦が続いている。
空軍力で圧倒するイスラエルは更に核関連施設ばかりでなく、
イランの経済的生命線のガス、石油貯蔵施設などエネルギー関連
施設を空爆し、イラン経済の長期的な疲弊を狙っている。
ネタニヤフはそればかりではなくイランの最高指導者ハメネイの
暗殺を企ててトランプに反対されたという報道もある。明らかに
イランの体制の転覆を狙っている。
(イスラエルのスパイ網が機能しているのは、イランの旧体制の残存
分子がイラン国内で暗躍しているからだ。)
イスラエルはまだ攻撃の手を緩めるわけはないのに、イラン側の
反撃の手段は限られているようだ。
*14日
14日はトランプが自分の誕生日にあわせて軍事パレードをワシン
トンで強行した日である。
トランプ政権の「不法移民」の強制的排除に抗議するロサンゼルス
のデモ隊に対しトランプは州兵、更には海兵隊まで投入して、意図的
に緊迫の度を強めて、民主党のニューサム州知事との対立構図を演出
し、「内乱」を挑発している。
当然のことながらこうしたトランプの恣意的な軍の動員や、自分の
誕生日を祝うかのような軍事パレード、といった事態に対し「ノー
キングス」を掲げた、反トランプの大規模なデモが全米各地で展開
された。500万人がデモに参加したといわれている。
**
更にミネソタ州では民主党の二人の州議会議員が家族共銃撃され、
一人の議員とその夫が死亡、もう一人の議員と妻は命は取り留めた、
という「政治的暗殺」事件が起こった。
これは明らかにトランプ派による民主党員の暗殺である。
暗殺者は多数の暗殺リストメモを残していたという。
トランプ政権が成立し政治的分断がいよいよ深刻化するばかりで、
トランプに煽られた盲目的な分子は民主党員を暗殺するところまで
来ているということが明白になった。
(今回の大統領選でもしトランプが負ければ「内戦」になると
トランプ派は喚いていた。それだけコアの武装化が進んでいた
のは明らか。)
銃社会アメリカでは政治的対立と分断が今のように深まっていけば
一部の武装化が簡単に進むのは間違いなく、トランプはいよいよ
「内乱」を挑発する手を打ってくるのは間違いない。
今でもデモ隊が「暴徒化」し先鋭化すれば「内乱」として武力弾圧
出来ないか探っているのが海兵隊の動員からも見え見えである。
トランプの誕生日は誰の目にも「アメリカ民主主義」が崩壊したと
明らかになった記念日になるかもしれない。
トランプファシスト政権の成立こそが「崩壊」した日だが。
イランの核施設攻撃
中東情勢の緊迫化
12日、インド航空機事故に驚いていたら、13日イスラエルが
イラン攻撃を開始し不穏な気持ちが一挙に増した。
イスラエルはイランの核関連施設、核科学者や革命防衛隊、
軍のトップを狙って100ヶ所以上を攻撃した。それらの居場所を
諜報機関が事前に把握していたということだ。
やられ放題のイランは当然報復を宣言し、テルアビブ他への
無人機やミサイル攻撃を開始した。ほとんどは防空網により撃ち
落としたとイスラエルは言うが、何発かは着弾したようで市内に
被害が出ているようだ。(100発以上の一気の攻撃で防空網を
かいくぐる「飽和戦術」。人口密集地を狙い相当本気のようだ。)
双方ともさらなる報復の応酬にならざるを得ない。
中東は一気に緊迫してきた。
イスラエルはトランプの思惑を蹴飛ばしてのイラン攻撃でトラ
ンプの手綱が効かずメンツを潰す格好になったが、それでも
トランプはイスラエルを支持せざるを得ないことを見込んでの
攻撃開始だったようだ。しかしイランはミサイル攻撃などだけで
収まるはずもなく緊迫の度合いは高まる。
トランプは米国内も掻き回している。
不法移民の排除のノルマを課せられた当局の強引な捜査と強制
退去に抗議するロサンゼルスのデモ隊の一部が暴徒化したことを
口実としてトランプは、州知事の権限を無視し、その抗議を無視し
て州兵を動員しこれの鎮圧を開始した。さらに州兵の数を増やす
だけでなく、海兵隊の派遣も決定した。(明らかに民主党の州知事
ニューサムを潰したいようだ。)
移民政策についてはまだトランプへの支持が高いのを支えに
トランプは内乱を挑発している。
更に自分の誕生日にワシントンで軍事パレードを強権的に決行し
当然のことながら全米各地でこれへの抗議デモが広がっており、
アメリカの政治的分断がいよいよ深刻化している。
* ネタニヤフの思惑
トランプの要請を蹴って、ネタニヤフはイラン攻撃を開始した。
トランプは完全にコケにされた。イランが報復攻撃を開始するのは
確実で中東情勢がが一気に緊迫する。ネタニヤフの思惑は何なのか?
ネタニヤフは長年、イランの核兵器開発をイスラエルにとっての
「存在の脅威」と位置づけ、その阻止のためには軍事力行使も辞さ
ないとしてきた。トランプのイランとの新たな核合意がイランの核
能力を十分に制限しないと懸念し、軍事的手段に打って出た。
** 他方ネタニヤフは、国内で汚職疑惑やガザ地区でのハマスとの
紛争を巡り、強い批判にさらされ国民の支持率が低迷し、退陣を
求める声も高まっている。
イランへの強硬な軍事行動に出ることで、国内の世論を「国家の
危機」に集中させ、目を逸らせるいつもの手だ。
ネタニヤフは、イランが弱体化していると判断し、今が軍事攻撃
の「絶好の機会」であると考えた。イランの報復能力が一時的に
低下していると見ている。
トランプがイランとの直接協議を進めようとする姿勢に対し、
ネタニヤフは不信感を抱いていた。
イランの核能力を削ぐことで、中東地域におけるイランの影響力
を低下させ、サウジアラビアなど、イランと対立するスンニ派諸国
との連携を強化する。
これらの思惑でネタニヤフは今回の攻撃に踏み切ったと考えら
れる。しかし、イランの報復は避けられず、中東地域全体が大規模
な紛争に巻き込まれる可能性が極めて高まり、国際社会に深刻な
影響を与えることは必至です。
(*以下はジェミニの分析を借りて要約したものです。)