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日曜日のキジバト

生成AI/創発/しごでき(にあこがれる)/うまくいく単純なアルゴリズム/読書/職場のストレス

会議で話そうとすると、言葉が出てこない。 自分なりに調べて、理解していたはずなのに、話しているうちに何を言いたいのかがわからなくなる。

そんな経験がある人は少なくない。 だが、それは決して「頭が悪いから」ではない。


現場には、アウトプットよりも早く理解を求められる空気がある。 「わかっているのか」「説明できるのか」「すぐ答えられるのか」。 こうした圧力は、ゆっくり構造を組み立てるタイプの人にとっては厳しい。

特に視覚優位型──頭の中に図や映像で記憶するタイプ──の人にとって、口頭での瞬発的な会話は得意でないことが多い。 彼らの脳内には構造がある。 ただ、それを言葉にする変換がうまくいかないだけだ。


さらに、仕事で扱う内容が複雑であるほど、情報の前提や依存関係、処理フローなどを頭の中で一度「展開」しないと、適切に言語化できない。 そのプロセスには時間がかかる。 時間がない場面では、言葉が途切れるのも当然だ。


会話で詰まるとき、自分を責めるのではなく、 「これは処理速度の問題だ」と割り切ることが必要だ。

瞬発力よりも、構造理解に強みを持つ人もいる。 アウトプットは遅くても、精度が高い。 その価値は、対話の場面では見えにくいだけだ。


私たちは「話すのがうまい人=頭がいい人」という誤解にさらされやすい。 だが、実際には話せない人の中に、深く構造を捉えている人がいる。

会話がうまくいかない日は、黙っていてもいい。 そのかわり、時間のあるときに文書で書き出してみよう。

理解は、声ではなく、思考の手ざわりとして確かにそこにある。

話せなくても、あなたの頭はちゃんと動いている。

 

プロジェクトの現場には、「見積もれない仕事」が確かに存在する。
たとえば、不具合調査。
どこに原因があるのか、どこまで調べれば終わりなのか、やってみるまでわからない。

一見シンプルな作業に見えても、過去のデータや仕様の変遷、関係部署の意図など、いくつもの層が絡んでいる。
調べるほどに深くなる、出口の見えない仕事がある。


見積もれない仕事に向き合うには、まず「正確さへの執着」を捨てる必要がある。

どれだけ詳細に計画しても、その通りには進まない。
それは見積もりが甘いのではなく、そもそも構造的に予測不能なのだ。

だから、見積もりとは「精度」ではなく「仮置き」だと割り切る。
「○時間で終わる」と断言するのではなく、「この時間でどこまで進めるか」を決める。


次に大切なのは、「進めながら可視化する」技術だ。

  • 何を調べたか

  • どこで行き止まりになったか

  • 何が分からないまま残っているか

これらをメモや図にして共有すれば、上司や関係者も現状を把握しやすくなる。
「まだ終わっていない」のではなく、「ここまで進んでいる」が伝えられるようになる。


また、「相談のタイミング」も重要だ。

行き詰まったときに、ただ「分かりません」と伝えるだけでは、助けを得るのは難しい。
必要なのは、「ここまでやったが、ここから先は判断がつかない」と説明すること。

相談とは、丸投げではなく“構造を渡す”ことだ。


見積もれない仕事に向き合うというのは、
不確実性の中で自分の立ち位置を保ち、
周囲にその風景を見せる技術でもある。


「まだ終わっていない」は、責められる言葉ではない。
「いまここまで来た」と伝えられるなら、それは十分に前進だ。

会話になると、うまく話せない。
頭では理解しているのに、言葉にしようとすると、どこかが抜け落ちる。
そんな感覚を持つ人がいる。

それは、理解や記憶のスタイルが「視覚」に偏っているからかもしれない。


たとえば、図や表を見れば一瞬でわかるのに、文章で説明されると頭に入ってこない。
マニュアルを読むよりも、画面を実際に操作してみたほうが覚えやすい。
プロジェクトの構造やシステムの流れも、全体像を絵として描けばすっと頭に残る──

こうした傾向のある人は、「視覚優位型」とも呼ばれる。
記憶や理解を、文章よりもイメージや空間の構造で処理しているのだ。


だが、現場の多くは「言葉で動く」。

業務のやりとりは、Slackやメールの文章。
会議は、言葉のやりとりの積み重ね。
進捗報告やトラブル共有、タスク指示──いずれも言語情報が基本になる。

このギャップが、「知っているのに、うまく話せない」という感覚を生む。


たとえば、頭の中ではフローチャートのように整理できているのに、それを順序立てて言語化しようとすると、どこから話していいか分からなくなる。
イメージで保持している知識を、線形の言葉に変換する作業が、認知的に重い

それが、沈黙やしどろもどろを生む。


視覚で記憶する人にとって重要なのは、外部の「補助線」を作ることだ。

  • 話すときに紙に図を描きながら説明する

  • 箇条書きメモを手元に用意して話す

  • 頭の中の構造を「見える形」に一度落とし込んでから話す

このように、視覚→言語の変換を支える補助具を使うことで、会話はスムーズになる。


一方で、周囲の理解も必要だ。
「言い方が下手=理解していない」と誤解されやすいのが、視覚記憶タイプの弱点でもある。

だが、図を描けば伝わる人もいれば、言葉で話しても伝わらない人もいる。
コミュニケーションのスタイルに多様性があることを、職場全体で意識しておく必要がある。


視覚で記憶する頭を持つ人は、実は全体構造に強く、理解が深いことも多い。
ただ、それを言葉にするのが苦手なだけだ。

そのギャップをどう埋めるか。

視覚でつかんだものを、他人と共有するための手段を、ひとつずつ工夫していく。
それが、自分らしく働くための小さな戦略になる。