会話の途中で、「あれ、どこまで話したっけ?」と急にわからなくなることがある。
自分でも何を話していたのか追えなくなり、相手の表情を見てもヒントが得られず、焦りだけが募っていく。
この現象は、「注意の分散」や「一時的な記憶の途切れ」といった認知的な仕組みによって説明できる。
話の途中で別のことが頭をよぎったとき、あるいは相手の反応が気になってしまったとき、脳の処理がそちらに割かれてしまう。
その結果、自分が直前にいた位置が曖昧になり、会話の連続性が切れてしまうのだ。
また、話のテーマが抽象的だったり、構造が複雑だったりする場合も、この現象は起きやすい。
頭の中で情報を整理しきれないまま話していると、途中で自分の立ち位置を見失ってしまう。
これは決して「記憶力が低いから」ではない。
むしろ、並列処理しようとしている能力の副作用とも言える。
対策としては、「構造化」と「補助線」が鍵になる。
話す前に、伝えたいポイントを3つ程度に分けてメモにしておく。
メモを手元に置いておけば、万が一流れが途切れても、すぐに立ち戻れる。
また、「いま○○について話していて…」と自分の位置を言語化するクセをつけると、構造が乱れにくくなる。
会話は、線ではなく「地図」として把握するとよい。
今、どこにいて、次にどこへ行くのか。
そうした視点をもてば、途中で迷子になっても、自分で戻れる。
“どこまで話したか分からなくなる”のは、ミスではなく、ただの「見失い」だ。
戻れる仕組みがあれば、何度見失っても問題ない。
話すことに自信がない人ほど、そうした「回復可能な話し方」を持っておくと、ずいぶん楽になる。