主要税目の税収(一般会計分)の推移と税率推移
税収と税率がどのような関係にあるのか知りたくなり調べた。
主要税目の税収(一般会計分)の推移(昭和52年~平成26年)
(主要税目の税収(一般会計分)の推移 財務省.htm:http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/011.htm
)
まず、真っ先に指摘すべきことは、平成26年度は予測値ではあるが、消費税税収は15兆円を超え、法人税、所得税の税収を抜くことになる。さらに消費税を2%上げることは、さらなる格差拡大につながることになるだろう。
法人税は平成元年度をピークに、所得税は平成3年度をピークに税収の減少傾向を示す。その一方で、その穴を埋める形で消費税の税収が増加している。
法人税率の推移
(法人税率の推移 財務省.htm:http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/082.htm )
法人税基本税率はピークの43.3%から昭和62年に42%、平成元年に40%、平成2年37.5%、・・・平成24年に25.5%と減少している。この税率減少が法人税税収の減収傾向の要因の一つであろう。
その一方で、企業の内部留保は増加している
内部留保推移
(法人企業統計からみる日本企業の内部留保(利益剰余金)と利益配分:http://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f01_2014_03.pdf )
1998年度(平成10年度)からのデータしかないが、1998年度の内部留保は131.1兆 円、2012年度(平成24年度)は304.5兆円、14年間で+173.4兆円と倍以上の増加となっている。(14年間、毎年約12.4兆円の内部留保が増えたことと同じである。)
ちなみに、平成10年には法人税基本税率が34.5%、平成11年には30%、そして平成24年に25.5%となっている。
ところで、経団連等は今の法人税法定実効税率(国・地方合わせた法人税率)が他の先進諸国と比べると高いため、法人税法定実効税率を下げるよう要求しているが、日本より景気の良いアメリカは日本の法人税法定実効税率よりも高いのである。なぜ、経団連等はアメリカの法人税法定実効税率を無視するのだろうか。
国・地方合わせた法人税率の国際比較
(国・地方合わせた法人税率の国際比較 財務省.htm:http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/084.htm
)
所得税の税率の推移(イメージ図)
(所得税の税率の推移(イメージ図) 財務省.htm:http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/082.htm )
(注) 昭和62年分の所得税の税率は、10.5、12、16、20、25、30、35、40、45、50、55、60%の12段階(住民税(63年度)の最高税率は16%、住民税と合わせた最高税率は76%)。
昭和59年~61年は最高税率70%、平成元年~10年は最高税率50%、平成11年~18年は最高税率37%、平成19年~は最高税率40%、と所得税の最高税率は激減している。高所得者ほど減税効果が大きいことが想像できる。このような所得税の見直しが所得税の税収減少傾向の要因の一つであろう。
中間層以下の人々の可処分所得を増やすべきである
これまで、法人税、所得税の減税の一方で、消費税の増税を実施してきたことで低所得者ほど税負担が大きくなってきたことが想像できる。
また、多くの企業が成果主義を導入するようになり、正社員を減らし、非正規雇用を拡大して賃金格差が広がってきた。そのために、国内消費をけん引していた中間層のボリュームの縮小、所得の2極化が生じてしまったのである。
国内の景気を回復させるには、国内消費を回復させるしかない。それには、賃金上昇や年金給付額の上昇が必要である。
しかし、アベノミクス経済においては物価上昇に見合う十分な賃金上昇や年金給付額の上昇が多くの国民に生ずるとは思えない。アベノミクスをあきらめるべきだろう。
ではどうすればよいか。国内消費経済の中心となる中間層以下の人々の可処分所得を増やすことで、国内消費経済を活性化することができると考える。私は高所得者の可処分所得を増やすより経済効果が大きいと考えている。
なぜならば、現在の国内景気の問題(デフレマインド)は人口ボリュームが中間層から低所得者層へのシフト(格差拡大)が起こり、そのため、消費支出が先細りしてきたことが原因と考えるからだ。
高所得者の可処分所得に占める消費支出の割合は小さく、貯蓄が多く、一方、低所得者ほど可処分所得に占める消費支出の割合が大きく、貯蓄が小さくなる傾向がある。そのため、中間層以下の人々の可処分所得を増やすことで、国内消費経済は拡大するはずである。
ちなみに、可処分所得に占める消費支出の割合が多い家庭ほど、消費税の負担が大きくなる。このことは消費税が低所得者ほど消費税の負担が大きくなる逆進性があることを意味する。
中間層以下の人々の可処分所得を増やすために、所得の再分配をして、中間層以下の人々の生活に余裕を持たせることが重要である。
また、高所得者は貧困層より税負担が重くすべきである。なぜならば、現在の日本社会において恩恵を受けているのは高所得者であるからで、日本経済がいい時には高所得者の所得が大きく増加するからである。所得の多い人ほどより多くの税負担が求められるべきである(徴税におけるモラルと言える)。
実際、高所得者が所得税の減税で生活が豊かになり、格差が拡大し続けた結果は、高所得者は資産を増やした一方で、低所得者を中心に消費支出が小さくなりデフレを生じさせ、国内経済の停滞を引き起こしている。
高所得者に税負担を重くし、低所得者の税負担を減らすには、例えば、所得税の最高税率の見直し(60%以上)、累進性を10段階以上する一方で、消費税率を5%に戻すなど方法は考えられる。月額2~3万円程度のベーシックインカムの導入もよいかもしれない。
わきにそれるが、現在ほとんど課税されていない宗教法人に対しても課税を行うべきだろう。宗教法人の財務内容も明らかにしていくべきである。
中間層以下の人々が今よりも付加価値の高いものを購入するようになることでインフレも生じやすくなる。インフレには高所得者が購入する高額商品よりも生活に直接関係する商品の物価上昇が重要である。(ただし、現在の賃金上昇が見込めない円安インフレは問題である)
所得再分配を行い、格差拡大を止めれるのは政府であり、国民が選挙でそのような政治を行う政党に投票することが必要である。国民が政治に関心を持ち積極的に見聞きし、そして発言することが大事だと思う。
ちなみに、安倍首相は朝日新聞に対する発言から左寄りメディアに批判的であるが、現在はイデオロギーの右左は重要ではなく格差をなくすことが大事である。格差拡大という不満をイデオロギーの問題でマスキングすべきではない。安倍内閣の一番の問題はイデオロギーの問題でなく格差を拡大させる政策を推し進めようとするところにある。選挙では、イデオロギーの問題は置いておいて、どの政党が格差を拡大させる政策をするのかしないのかを見極めるべきである。すなわち、より多くの政党の意見・主張に耳を傾けるべきである。
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国際収支推移(平成24年1月~平成26年9月)
国際収支の推移の詳細は下記の財務省のサイトにある。
(国際収支の推移 財務省.htm:http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/bpnet.htm )
国際収支(平成24年1月~平成26年9月)について、財務省のデータからグラフ化したものが以下になる。
* ・・・ 7月(P)、8月(P)、9月(P)の(P)は速報値を示す。
黄緑が貿易収支、濃い青色が経常収支である。
第2次安倍内閣成立以後貿易赤字が定着している
第2次安倍内閣は平成24年12月26日に発足しているが、貿易黒字となっているのは平成25年6月(+165億円の黒字)だけであり、それ以外は常に貿易赤字である。
円安の進行に伴い貿易赤字があたりまえになってしまっている。輸出はいくらか増加傾向であるが、その傾向は円安の進行ほど強く現れていない。
実際、平成26年1月までは輸出から輸入差し引いた値(貿易収支)は拡大傾向(マイナスが大きくなる傾向)を示していた。平成26年1月以降は拡大傾向はみられなくなったが、しかし、縮まる様子も見せていない。(ただし、貿易収支悪化(マイナスが大きくなる傾向)が止まった理由は、原油価格の下落に伴う輸入の減少が大きいのかもしれない。)
これほどの円安になっても輸出が伸びない理由は、企業の儲けが、自動車産業を中心として、為替リスクの少ない現地生産(海外生産)や現地販売(海外での販売)にシフトしてしまっているからであり、今後も、円安が進行しても、輸出は思うように伸びず、貿易黒字にすることは無理のようにも思える。
グローバル化の影響が大きく、日本より成長率の高い国が多い状況では、異次元の金融緩和しても海外投資にお金が向かう(円を外貨に換えて投資するので円安になる)だけで、国内投資に回りにくく、国内景気は良くならないと思う。
経常収支は黒字であるが
経常収支は平成26年に入り1月と6月を除き黒字であり、速報値であるが9月は9,630億円の黒字と大幅に上昇している。しかし、平成24年、25年を見ると経常収支は11月、12月、1月に悪くなる傾向を示していることから、楽観はできない。
経常収支の黒字の主な原因は、円安による第一次所得収支が増加しているからである。
第一次所得収支とは日本企業の海外の稼ぎを示し、財務所のHPに以下のように定義されている。(用語の解説 財務省.htm:http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/term.htm
)
第一次所得収支 対外金融債権・債務から生じる利子・配当金等の収支状況を示す。
(第一次所得収支の主な項目)
直接投資収益:親会社と子会社との間の配当金・利子等の受取・支払
証券投資収益:株式配当金及び債券利子の受取・支払
その他投資収益:貸付・借入、預金等に係る利子の受取・支払
第一次所得収支が増加、すなわち、グローバル企業(ここでは海外で稼ぐ企業の意味で使用します)の儲けが大きくなっていると言える。
グローバル企業の儲けが、国内投資をもたらすならば、国内景気も良くなるだろうが、多くのグローバル企業にとって儲けのいい海外投資を優先させるのは当然のことである。
国内投資が魅力的になるには、良いインフレになればよいともいえる。アベノミクスはインフレを起こそうとしているのだろうが、2014年9月の時点で実質賃金が15ヶ月連続で減少していることから、望ましいインフレにはできていないことが分かる。
(株価が上がっても…「実質賃金」は15カ月連続マイナス、前年比2_9%減 マイナビニュース.htm:http://news.mynavi.jp/news/2014/11/05/186/
)
厚生労働省は2日、2014年9月の毎月勤労統計調査(速報、事務所規模5人以上)を発表した。それによると、9月の現金給与総額(1人平均)は前年同月比0.8%増の26万6,595円となり、7カ月連続で増加した。ただし、現金給与総額に物価変動の影響を加味した実質賃金指数は前年同月比2.9%減と、15カ月連続で減少した。
アベノミクスの金融緩和(円安)によって経常収支は黒字であるが、貿易赤字の減少傾向が見られず国内景気にも良い影響はまだ見られない。
ところで、衆議院の解散するのではないかという報道がなされているが、実際、政権交代が起こるようには思えない中、解散しても、自民党の議席数は微減で済む可能性が高く、今解散するのは、安倍内閣の延命策でしかない。
私としては、金融緩和にGPIFの運用見直し等、アベノミクスの政策を早く止めてもらうことが望ましいと考えるが、出口戦略を間違うともっと痛みを伴う。しかし、これ以上日銀が金融緩和しても、財政規律の悪化が進むだけで国内景気はよくならないし、とても困った状況である。
ただ、安倍内閣の長期化はさらなるリスクが起こりそうで怖いが、かといって、安倍政権が倒れても、その後の政権のイメージがわきづらい。意義ある選挙にするには野党が確かな対立軸を示せるかにかかっている。
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日中首脳会談のための合意文書「尖閣、異なる見解」
10月7日に日中政府は首脳会談を開催すること合意し、4項目の合意文書を発表している。
日中関係改善に向けた一致事項(要旨)
1.日中間の四つの基本文書を順守し、戦略的互恵関係を引き続き発展させることを確認
2.歴史を直視し未来に向かう精神に従い、両国関係に影響する政治的困難を克服
3.尖閣諸島など東シナ海の緊張について異なる見解を有すると認識。対話と協議を通じて情勢の悪化を防ぎ、危機管理メカニズムの構築で不測の事態を回避
4.多国間、2国間のチャンネルを活用し政治・外交・安保対話を徐々に再開
(日中「尖閣、異なる見解」合意文書 首脳会談あすにも - 毎日新聞.htm:http://mainichi.jp/shimen/news/20141108ddm001010187000c.html
)
この合意文書の問題点は、尖閣諸島の領有権問題について、あいまいな表現であるが日本と中国で見解が異なることを認めているととれることである。
これまで日本は尖閣諸島は日本固有の領土であり、領有権の問題はそもそも存在しないとする主張してきたが(尖閣諸島|外務省.htm:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/ )、この合意文書ではその主張を中国に対してできなかったことを認めた形なる。
つまり、日本と中国の双方が領有権問題があることを認めたこととほぼ同じである。
このような中国に利する合意をした以上、日中首脳会談での大きな成果がないと、中国の思惑通りになる(弱腰外交)。
毎日新聞によると
(日中「尖閣、異なる見解」合意文書 首脳会談あすにも - 毎日新聞.htm:http://mainichi.jp/shimen/news/20141108ddm001010187000c.html )
(前略)
こう着状況の打開に向け、谷内正太郎国家安全保障局長が6日に訪中し、中国の楊潔〓(ようけつち)国務委員(副首相級)らと協議。「日中関係の改善に向けた話し合いについて」との合意文書のとりまとめにこぎ着けた。
(略)
楊氏は会談で、「誰もが知っている原因で日中関係が困難に直面した」と言及。日中関係悪化の原因は日本の尖閣諸島国有化と、安倍首相の靖国参拝にあるとの立場を強調した。国内向けに強硬姿勢を示すことで、世論の反発を抑える狙いがあるとみられる。
(以下略)
とあるように、この合意は中国にとって中国国内向けアナウンスに都合がよいものである。
安倍政権は対中国に対して強く出るものと思っていたが、合意文書には意外な感じを受けた。日中首脳会談を通して両国の対話をする環境を作ることは、両国にとって良いことである。しかし、安倍首相が目的を持たず日中首脳会談したかっただけであるとみなされたら、右寄りの支持者からも批判が出るのではないだろうか。安倍首相の外交手腕が問われるところである。
円安により、国内景気は後退していく。
10月31日の日銀の追加金融緩和に伴い急激な円安が生じ、11月7日には1ドルが115円台になった。今後も円安傾向に振れそうな雰囲気である。
もちろん一時的に円高に振れることもあると思うが、黒田日銀総裁は2%の物価上昇目標の達成のためにさらなる追加緩和の可能性を否定していないことと、アメリカが金融緩和をやめることが決定していることから、1ドル/110円以上の円高(100円台)にはなりにくいのではないか。
日銀は10月31日、追加の金融緩和に踏み切った。黒田総裁は「目標を早期に実現するため、できることは何でもやる」と語り、今後も景気や物価の動向次第では、追加緩和に踏み切る考えを示した。
(Yahoo!ニュース - 「2%」達成へさらに追加緩和も…日銀総裁 (読売新聞).htm:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141105-00050119-yom-bus_all )
国内消費経済の中心的な役割をするのは、富裕層ではない。
賃金や年金給付額の増加を期待できない人は、今後、配偶者控除の見直し、軽自動車税の増税等により、可処分所得の減少が起こってくるだろう。その結果、低所得者を中心に消費意欲の減退が起こると予想される。
しかも、円安に伴い、食料品の価格を中心に物価が上昇し始めているが、消費者は物価の上昇を想定した行動をとるはずである。
いつ値上げするか分かっている場合は、その直前には駆け込み需要が生じ、そして、その反動減も生じる。すなわち、一時的な消費の増加が起きるだけで、その後は、その反動で国内景気を後退させる圧力が高まる。
仮に、ゆっくりと連続的に物価が上昇する場合でも、購買力(可処分所得)が増加しない状況では、所得が少ない消費者は消費を切り詰めるしかないのは明らかである。
すなわち、円安により株高や物価上昇させる事ができても消費経済は冷え込んでしまう。
実際、国内消費経済の中心的な役割をするのは、人口ボリュームの小さい富裕層ではなく、人口ボリュームの大きい中流層以下の消費動向である。安倍政権は人口ボリュームの小さい富裕層向けの政治を行っているが、それでは、国内経済は全体的にはよくならない。
蛇足だが、労働者派遣法改正、酒税の見直し(ビール税の引き下げ 発泡酒、第3のビールなどは増税)、配偶者控除の見直し等、低所得者が痛みを伴うだろう法案が国会では審議されている。
黒田金融緩和はグローバル企業(海外で稼ぐ企業)には大成功であるが、・・・
この円安で、確かに、グローバル企業は景気が良いようで、トヨタが過去最高益を上げている。
(Yahoo!ニュース - トヨタ中間決算 過去最高益に(2014年11月5日(水)掲載).htm:http://news.yahoo.co.jp/pickup/6137439#fbComments )
しかし、国内を見ると9月の円安倒産が昨年の3倍生じているとのことだが、円安が進めばさらに円安倒産が増えることが予想される。
東京商工リサーチが8日発表した9月の企業倒産状況によると、円安を原因とした倒産は28件発生し、前年同月の約3倍に膨らんだ。燃料費の高騰が直撃した運輸業が最も多いが、製造業や卸売業など業種は多岐にわたっている。
(以下略) (2014/10/8 20:33) (円安倒産が急増 9月28件、前年同月の3倍に:日本経済新聞.mht:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF08H0W_Y4A001C1EE8000/
)
最近の原油価格の下落が物価下落要因だとし追加金融緩和されてしまえば、運輸業を中心に悪影響が出てくるだろう。
(原油価格の値下がりは、世界経済自体が景気後退局面にあるからかもしれない。)
このような状況では、消費税を再増税しなくても国内景気は後退していくだろうし、格差も拡大するだろう。
将来、安倍・黒田不況と呼ばれるようになるかもしれない。
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消費者物価指数推移
10月31日に日銀の追加金融緩和が行われたが、消費者物価のほうが気になり調べてみた。
平成22年基準 消費者物価指数 全国 平成26年(2014年)9月分(PDF:77KB:http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf )
2014年4月に消費税の増税があり、4月は図1.2.3.のすべての指数で上昇している。図1.では8、9月に指数の上昇が見られる。図2.では5月以降上昇はほとんど見られない。図3.では4月以降上昇はほとんど見られない。図1.(総合指数の動き)と図2.(生鮮食品を除く総合指数の動き)比較すると、生鮮食品が含まれる図1.が8、9月上昇していることから、8、9月には生鮮食品の物価が上昇していることが想像できる。
各指数の過去1年間の数値は以下の通り。
2014年4月に消費税の増税(+3%)が実施されたにもかかわらず、4月の前月比(%)がすべての指数で2.0~2.2(%)になっていることから、消費税分(+3%)の価格転嫁がなされていないように見える。もし価格転嫁できていないならば収益性の低下が想像でき、景気に悪影響をもたらしたのではないか。
総合指数の前年同月比(%)は4月以降3.2~3.7(%)であり、これも、消費税を含めた値である。また、7、8、9月は3.4、3.3、3.2と減少傾向を示していることから、前年同月に比べ物価上昇が減速していることを示す。
電気代指数、ガソリン指数、生鮮食品を除く食料指数の各指数の動きは以下の通り。
図4.の電気代指数は5月の大幅な上昇の後は緩やかに減少傾向を示す。図5.のガソリン指数は8、9月と減少傾向を示す。図6.の生鮮食品を除く食料指数は消費税の増税後も一定のペースで上昇しているのがわかる。
以上から、ここ最近(8、9月)は総合指数の上昇の一方で、電気代指数とガソリン指数の下落が生じているが、食料品指数の上昇が見られる。
食料品指数の上昇が見られることは貧困層(エンゲル係数の高い家庭)ほど食品の物価の影響を受けやすいことから、貧困層に痛みが伴う。
ガソリン指数の下落は黒田日銀総裁が話していた通り原油価格の下落によるものだろう。追加の金融緩和でガソリン価格がどれだけ上昇するのかわからないが、せっかく下がってきた原油価格を物価下落要因であるとして追加の金融緩和の口実にするのはどうかと思う。
原油価格の上昇は流通コストや電気代上昇につながり実体経済に悪影響を与える。黒田日銀総裁は物価さえ上昇すればよいとの考えなのだろうか。賃金の上昇があっての物価上昇なら賛成できるが、2%の物価上昇のみを金融緩和で実現しようなどばかげている。
31日の記者会見で黒田日銀総裁の話によるとは金融政策によってデフレマインドからの脱却を目指しているそうだ。2%の物価上昇を前提とした経済活動を行うように日本国内のマインドを転換させるための金融政策を行っているのであり、為替の変動を考慮して金融緩和しているのではないそうである。(日銀総裁「デフレ心理転換の遅れ防ぐ」 記者会見 :日本経済新聞.mht:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL31H5L_R31C14A0000000/ )
しかし、実際には、追加の金融緩和の発表で為替は2円以上も円安に動いている。その事実を無視して国内事情だけ金融緩和行っているとするなら、なぜ、原油の下落が物価の下押しにつながるとして金融緩和を行うのだろうか。グローバル経済下に国内事情だけで金融緩和を行い、それが原因で為替に影響が出てもそれを目的としていないと話すのはおかしい。実際、円安に動くことが原油の円ベースの値上がりにつながるのは明らかであり金融政策決定会合で話題に出ないはずはない。
また、円安になって恩恵を受けているのは国内経済そのものよりも、海外での儲けがあるグローバル企業であり、それは日銀の異次元金融緩和がもたらしたものであることは明らかなのである。
デフレマインドの転換には、何よりも実質賃金や年金給付額の上昇が必要であることを多くの人が感じているだろう。
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