『果てしなく暗い闇と黄金にかがやく満月の物語ー㉝ー』にゃんく | 『にゃんころがり新聞』

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果てしなく暗い闇と黄金にかがやく満月の物語

ー㉝ー

 

 

 

 

 

にゃんく

 

 

 

 夏の終わりが近付いていました。
 三日経つと、ミミの目はお医者様の云ったとおり、ぼんやり見えていた光も完全に感じ取ることが出来なくなってしまいました。瞼を開けても、そこにあるのは闇でした。何処まで行っても闇でした。皮膚の痛みは、相変わらずヒリヒリはしますが耐えきれないほどではなくなりました。幸い、歩いたり動いたりすることは以前と同じように出来ました。
 リュシエルは事件のあった日以降は、ミミの家で寝泊まりをするようになっていました。離れているより、一緒にいてくれた方が、ミミも安心だったからです。
 事件があった日からしばらく経つと、リュシエルが、「洞窟に行って、リーベリを連れて帰って来る。ミミの目と顔の傷を治してもらうよう、ぼくからリーベリにお願いしてみるよ」と云い出しましたが、ミミは、「行かないで」と云ってリュシエルを引き留めました。ミミには何だかそのままリュシエルが、二度と戻って来ないような気がしたからです。
 リュシエルはミミの顔を一日一度は手ずからそっと水で濯いで清潔にするよう心がけました。毎日、包帯も取り替えました。リュシエルはそのたびに別人のように変わり果てたミミの顔を見なければなりませんでしたけれど、そのためにミミに対する愛情が薄れたりすることはありませんでした。それどころか、事件を境にしてふたりの仲はより一層親密さを増したようでした。
「私、ひどい顔でしょ?」包帯を巻いてくれるリューシーに、申し訳なさそうにミミが云いました。
「そんなことないよ。ぼくは都にいい医者を知ってるんだ。その医者は、ぼくの友人なんだよ。今は事情があってすぐには都に行くことはできないけど、いつか必ず君を最高の医者と最新の設備のある病院で治療させるからね。きっとまた見えるようになるよ」

 

 

 

 

 

ー㉞ーにつづく

 

 

 

 

 

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