writer/にゃんく
『神宮ハロウィン~その1~』
『神宮ハロウィン~その2~』
鬼才・ 山城窓の新作スーパー短編『神宮ハロウィン』をお読みになりましたでしょうか?
掲載後まもなく、「おもしろい」と好評の声を多数いただいております。
『神宮ハロウィン』は、神宮に、ハロウィンの扮装をした男女が会する物語である。
いただいた感想のなかには、作品の本質をうがった、鋭いものもありますので、ここに掲載することとし、本編の『神宮ハロウィン』とあわせて読むことにより、なおおもしろみが増すものと判断し、掲載にふみきったしだいです。
感想1 おしそ様の感想
『面白いですね。
特に野球に造詣が深い方には、痛快たる拍手が起こる内容だと存じます。
第一印象としては、わたくしが持てる言葉としては、「落語」の勢いと面白さ、「現代風刺と掛詞」の皮肉のきいた面白さが何よりの魅力だと感じました。
まず、文章には代表的な「起承転結」という展開があるものですが、「序破急」という構成がある、と最近勉強したばかりでして、「新宮ハロウィン」を一目みて「序破急」の構成では! とピンときたのが初見の感想でした。
いえ、もっと深いところを詰めれば「三題噺」でしょうか。
「奇跡、」「野球」「ミサイル」……。
男女のぶつかり合うすれ違っているようで投合している箇所があり、最終的には統合する……洒落た言葉を選んでしまいましたが、そのくらいの勢いを感じました。
最初は結婚するかしないかのラブコメであるのかと思っていましたが、「周りを見てご覧」からが全く異なる急展開で、しかもそれはもう皮肉もスパイスも効いていて、ミサイルのところで笑いがこらえきれなくなりました。
残念なことに不勉強な面もあって、野球もさわりしかわからなければ、古田敦也氏が野球選手である、としかひと目見た時にわからなかったので、通読後、改めて彼の経歴を調べた後、読み返しました。
意味が分かって、なるほど、と唸りました。
たしかにミサイルを日本代表として守備し、そして捕手として投げ返す……
うまく掛けていますね!
ダブルミーニングどころか、多くの意味が混合した点にも芸術性も感じました。
クイックスローを思わせるような勢いの作風とオチが何よりの証拠です。
ミサイルが来る前にフルタがやる、その姿は盗塁への阻止と似ている気がします。
ところでさきほどもお伝えしましたが、 わたくしはほんの少しだけですが落語に触れたことがあります。
短編も落語も、うまいな。と感じるのはやはり最初の部分の勢いを保ちながら、最後にすかっとした終わり方をする作品です。
ホームランだけでも見事なものですが、スポーツとはやはり過程の興奮も大事。
そんなことを思い出す面白い作品だと感じました。
タイムリー という言葉が野球ではよく使われていると聞きます。
恐らく、今の時期を逃すと、ひょっとしたら、もう少しわたくしに勉強が必要だったかもしれません。
タイムリーな時期に素晴らしい作品をありがとうございました。』
感想2 匿名様の感想(ネタバレあり)
『ハロウィンでフルタ・アツヤの恰好をした男女二人。それを孝治は「奇跡」と言って麻衣に、「結婚しようか」と伝える。だが、フルタ・アツヤの恰好をしているのは孝治や麻衣の二人だけじゃなく、周りにいた人々のほとんどがフルタ・アツヤの恰好をしていた。
麻衣曰く、「奇跡は奇跡でも孝治の言うのとは別の奇跡」で、その日の24時ちょうどに一か所に吸い寄せられて合体し、巨大なフルタ・アツヤとなる。その後、隣国からミサイルが発射され首都圏に向かってくるという速報が流れるが、フルタ・アツヤがそのミサイルを左手のミットに受け止めたことにより、国はフルタ・アツヤによって救われた。
最初は二人が仮装の話をしていたので、恋愛ものかな?と思っていた。しかし、私はまた早とちりをしてしまう。短編だったのですぐに読み終えましたが、すぐに内容が頭に入らなかったので今回も何度も読み返して『隣国』、『ミサイル』と言う言葉からようやく気づきました。確かにフルタ・アツヤの出現は神のご加護ですね。現実世界でもこのご加護が起こればいいのですがね。 』
他人の感想を聞くのも、参考になりますよね。
次回の新作アップロードをお楽しみに!
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