折り返しの街 | /// H A I H A I S M ///

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あわてない、あわてない。赤ちゃんが「はいはい」するように、のんびりゆっくり進みましょう。

「なつむぎ君さぁ。西に行くんだったら、そのまま大西洋を渡っちゃったらどう?」

その後アルジェリアを一緒に旅行することになるT氏に、ボクはマドリッドで何回かそう勧められたことがある。彼はリオ・デ・ジャネイロで1年近く暮らしていたことがあって、その街に漂う心を浮き立たせる空気についていつも語っていた。


マドリッドに住んでいた頃、リスボンを3回訪ねたことがある。特に何をするでもなく2、3日街を歩いて帰る。そんな気晴らしの旅だった。
同じイベリア半島にあるすぐ隣の国なのに、リスボンにはマドリッドと大きく違う空気が流れていてね。言葉も、気候も、人情も柔らかい気がしたんだよな。

そしてその度にT氏の言葉を思い出して、この国の、この海の向こうにはアメリカ(米国ではなくて)があるんだって意識して、思い切って大西洋を渡っちゃおうかなってボクは心が揺れたっけ。

「いいよ。ブラジルは次の機会にまた心を新たに行けばいいさ」

ボクにとってこの街は、一歩が踏み出せないことを意識させる場所だった。
だからリスボンは「折り返しの街


ボクは結局その後29年間、大西洋を渡ってブラジルには行くことはなくて、そのかわりに29年前の気持ちを確かめるためにに、今リスボンを訪れたってことだな。
リスボンは、古びた街並みが古びたまま残っていてほとんど変わりがない。どことなく漂うやわらかな空気もそのままだった。近代的なショッピングセンターやピカピカの地下鉄はあっても、街は薄汚れていて、田舎臭くて、そして愛嬌がある。暮らしたことはないのに時々訪れると心が安らぐ、そんな故郷の街のようなムードがある。
まさに saudade(郷愁)の街。

*****

今回の旅でも、この街がボクの折り返しの街です。明日、ボクは飛行機に乗るはずです。
気が変わらなければね。今のボクには帰るところがあるからね。
遠くまで来たつもりでいても、飛行場に着いてしまえばあとは自宅まではもう一歩なんだ。不思議だな。

この折り返しの街で、ボクは自分の人生の折り返しについてやら、でもまだもっと西に進みたいって希望やら、いろんなことを思ってた。

今度は、いつこの街に来ることができるんだろう。
パリから徐々に西にこの街にまでやってきたけれど、この街が一番ボクの日々の生活から遠いムードを持った街だって気がする。

でも、きっとまた来ることができるに違いないよ。
そう願って今日、エストレーラ聖堂の入り口で物乞いをしている老人に、少しばかりの小銭を渡した。


///   H A I H A I S M   ///-ロカ岬1
↑ ユーラシア大陸の最西端での碑です。

///   H A I H A I S M   ///-ロカ岬2
↑ Aqui...... Onde a terra acaba e o mar começa...... ここ 地は果て 海の始まるとろ

///   H A I H A I S M   ///-GPS
↑ GPSロガーはこんな緯度経度を示している。まだまだ西がある。


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