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フィリップの看護のブログ-看護雑誌と書籍を批評

通りすがりの管理人フィリップが
看護の本と雑誌の読みかたや選びかたを
真剣レビューします

やさしい薬理のメカニズム

発行:学習研究社(20118月)

定価:2,520

本のしくみ:B5判/216


フィリップの看護のブログ-看護雑誌と書籍を批評
内容は?

薬理学の入門的参考書としては、この本、かなり売れている1冊。

先日、5年ぶりに最新の内容にリニューアルされたみたい。

最初に「薬理とは」を20頁くらいでまとめてある。

しかも言葉遣いがとてもわかりやすい。

薬理学というと、堅苦しい、小難しい本が多いが、この本はわかりやすい!

かつ砕けすぎていない。きっちり専門書している。

タイトルにも「学」をつけていない所はわかりやすさのこだわり?

「なんで効くのか」「どうして相互作用があるの?」等をQ&Aに答えるように解説。

その点も初心者にはありがたい。

前置きの後は、各治療薬別に基礎知識と作用機序について解説。

こちらもカタカナの羅列でなく平易な言葉での解説が続く。

また、解説自体だけではなく、「血管を収縮させる薬」「心臓の負担を軽くする薬」等、言い回しもわかりやすくしている。

随所に体のメカニズムにも触れており、解剖や生理をつなげてきちんと理解できる。

一般名と商品名との対応表があることや臨床の事例的な話もほんの少し入れている点など、現場をイメージしながら読んでいける内容に仕上がっている。

これと言って画期的な内容ではないけれども、「わかりやすさ」「専門性」「臨床で役立つ」といった点が初学者向けにちょうど良いバランスでまとめられているのが好評なのかもしれない。なんか絶妙なんだよね。

欲を言えば、全体的にシンプルできれいなイラスト・図表が多きけれどももう少しディフォルメして、わかりやすくしてもよかったかなと。

看護学生、新人看護師は1冊読んでおきたい薬理学の導入に最適の本!

総合評価

10点満点中8点★★★★★★★★☆☆

もっともっとわかりやすいものがほしい人は、ナツメ社とか西東社とかの薬理学本がオススメ。こちらは一般書と専門書の中間的存在だけど、わかりやすいことはわかりやすい。


写真でわかる実習で使える看護技術


発行:インターメディカ(201012月)

定価:3,990

本のしくみ:B5判/336


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本の内容

いわゆるテキスト的な看護技術書とは異なり、写真をメインに看護技術を視覚的に理解していく教材。すでにこの「写真でわかるシリーズ」15点ほど出ているようだが、フィリップも最初に見たシリーズ第一弾の「写真でわかる臨床看護技術」には相当の衝撃を受けた。ここまで写真をふんだんに使い、またその写真の一つひとつがここまできれいな参考書は初めてだった。今でこそ同じようなカラー写真を使った本をよくみかけるが、それでも目に飛び込んでくる圧倒的な写真は同シリーズが秀でているだろう。

本書は当然その写真をメインに解説をしていくわけだが、今回は看護学生の実習がテーマ。各技術について、まず「学習の目的」と「覚えておきたい基礎知識」の要点整理。その上で必要物品の確認を行い、実際の技術の解説に入っていくという流れになっている。

必要物品については、臨床で使っている物品すべてを、実際に使う時のように並べて写真に収めているので非常にイメージがわきやすい。看護学校によってはなかなか物品がそろわず、実習に行って初めて見るようなケースもあるが、だいたいのイメージはこれでわくだろう。この本のよさの一つが「準備」の部分もしっかりと解説しているところだろう。

本題の技術の解説はというと、こちらも大きなカラー写真でわかりやすい。解説の補足で写真をつけているのではなく、写真の補足として少し解説を加えていると言うと、本書のイメージがわきやすい。技術の雰囲気を伝えるのではなく、あくまでも紙面上で臨場感を出し、体験するような解説を実現しているのも、鮮明な写真の賜物。「写真でわかる」の名の通り、写真だけで伝えてしまおうというコンセプト。

多少写真が多く、しつこいくらいではあるが、それでも実習指導者の実践と解説をその場で見ているようなイメージで学習できる。

解説の中には「エビデンス」「ポイント」「注意点」などが示されているが、こちらも非常に簡潔。少し物足りないかな、と思う部分もあるが、教科書的な根拠ではなく、現場に役立つ知識として入れているようだ。実習で問われる根拠やポイントなどもこれくらいをつかんでおけばよいのかもしれない。

「環境調整」「食事の援助」「排泄の援助」などから「創傷ケア」「与薬の技術」「救命救急技術」「安全管理」など、看護学校卒業時の到達目標を基準にして、その技術はひと通り押さえているようだ。もちろん到達目標の細かいシチュエーション等、すべてを完全網羅しているわけではないが、応用につながる基本技術はフォローできている。

知識の部分で教科書的な補足は必要と言えるが、授業や実習でのポイントを書き込んでいけば、実践を磨くための1冊になりそう。

収載の技術項目はすべての業務に通じる基礎なので、学内演習などの際にしっかりと学習し、臨地実習に出る前にある程度把握できているとよいだろう。


ここがオススメ!

●写真集のようなきれいさ。非常にリアルで臨場感がある。

●簡潔な解説。無駄を省き、とにかく視覚ですべてを伝えようとする潔さがある。極端な話、解説が英語等で書かれていても、写真だけで何が言いたいのかがだいたいわかるんじゃないかなと思う。

●各章の最初に「到達目標」が示されている。指導者側も役立つ見せ方だが、実施者自身も確認しながら行うといいだろう。自己学習には最適。


ここに注意!

物品の写真が、実際に使用するように配置されており、横に物品名を箇条書きに書いてあるため、写真と物品名が対比しにくい。初めて見る物品、知らない物品は注意してほしい。

●読むというより見る本。やってみて理解していく本。写真が多いと言えばが多すぎるので、視覚的にちょっと疲れるかもしれない。

●当然看護技術の方法は1つではない。写真がリアルすぎる分、実習指導等と違うな?と思うこともあるだろう。その点は注意してほしい。

●あくまでも技術が実践できるようになるための参考書として構成されている。根拠やポイントも示されているが、簡潔に済ませている。各技術については、念のために教科書等の表記と比べ確認することをすすめたい。

●シリーズ一の厚さがあるが、学生が購入するには若干高めかな。1冊持っておいて損はないと思うけど。


総合評価
10点満点中7点★★★★★★★☆☆☆

※あくまでも看護学生のうちに読んでおきたい1冊。新人看護師からは、同じように写真を用いた「ビジュアル臨床看護技術」(照林社刊)がオススメ。コンテンツも充実していてわかりやすい。最近改訂されたようだし、フィリップも買いました。

BLAIN9月号(創刊号)


発行:医学出版

A4変型/120頁

定価:2,100円


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どんな雑誌?

全ページカラー印刷を売りにし、新創刊された脳神経領域のナースを対象にした専門雑誌。創刊号であり、プラクティカルに何やるか、という視点より、キャリアアップという切り口で、役割紹介に終始した構成。なので、この雑誌がいったいどういう方向に進むかは、フィリップにはまだまだ見えない。

先に創刊した同出版社の循環器看護領域の専門雑誌「HEART」に比べるとまだ看護よりのスタンスという気もするけど、特集記事が、いきなり「医師が求めるニューロナースのキャリアアップ」とあっては、「HEART」と同じく医師的な視線というか、悪く言えば上から目線というか、「目線はそこ?!」という気がしてならないけどね。

メディカ出版発行の「ブレインナーシング」の対抗であるのは明らか。とはいえ、オールカラーと目新しさもあって、書店売上は、ブレインのほうが動きがよいらしい。創刊号だからというのが大きいだろう。

もちろんメディカ出版は、雑誌の定期購読という大きな顧客が控えているが、この部数の差が続いたら、切り口や内容ではなく、見た目勝負と新しさの勝ちってこと?いかに自分もこういう専門雑誌の毎号の繰り返しに飽きていたかを思い知らされるよ。

いや、「HEART」の時はその目新しさを褒めたんだけど、結果がすべてだから…。

総合雑誌だって新しいことなんてほとんどない、どれも同じで選び方はフィーリング。ナース専科コミュにあったコメントだけど、まあ当たってるのかも。


9月号評価

●特集内容は、ニューロナースが進む道。前半は教育体制、後半は認定(集中ケア、救急看護、脳卒中リハ、手術看護、急性・重症患者看護)、専門看護師の脳神経領域での働きぶりをメインに紹介。看護の執筆者は、それぞれ魅力的だそうだが、「明日から使える実践」というよりは、「ああなれるといいな」という憧れのようにも。

●何が何でも認定を取りたいという若手には、食いつきはいいんだろうか。フィリップのまわりでも、認定になりたいですうと、目をキラキラさせてる学生はたくさんいる。あと、摂食嚥下の認定さんが身近にいるので、そこは内容に入れて欲しかった。

●紙面展開は、わかりやすいイラストをカラーでどんと紹介。見た目のインパクトはなかなかのもの。連載がちょっとだけ載っているけど、QA仕立ての画像診断レクチャー」はちょっと勉強になった。診断はしないけど、フィリップも画像は読めたらいいなと思うので。

●切り口があるようでない、ちょっとずるい特集なので、コメントはやや抑えめ。とにかく、創刊号へのご祝儀と次号への期待料込みで4点。


今月の評価

10点満点中4点★★★★☆☆☆☆☆☆


お買い得感

創刊号ということもあり、まずは「試し買い」か。看護にはまだ「ブレイン専門」という認定領域はないわけで、もしその領域でキャリアアップを目指しているなら、その指標としてひとまず覗いてみるくらいでいいのかもしれない。

明日からのケアに役立つわけではないので、定期購読は次号を読んでから、あるいは次号のフィリップ批評を読んでからがいいと思う。

看護師国家試験過去問題 2012年


発行:メディカ出版(20118月)

定価:5,880

本のしくみ:A5判/1,456

問題数:720

収録年数:3年分

付録:なし


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本の内容は?

A5判と書いてあるけど、実際はハガキくらいの大きさのカードがメモ帳のように1冊の綴りになっていて、それが2冊、箱(A5サイズ)に収まっているスタイル。1冊ずつは厚さ5cmくらいあり、またハガキくらいの厚さの紙を使っているので、結構ずっしりとくる。

そのカード1枚ごとに、過去3年分の看護師国家試験問題を1問ずつ記入し、裏にその解答と解説を載せている。

3年分解いて、苦手な問題、わからなかった問題を仕分けし、持ち歩くことができるのがウリのよう。1枚ずつ切り取れるカード式だから可能で、自分だけの過去問題集を作れるのがポイントらしい。カードには2つのパンチ穴があけてあり、リングを通したりして持ち歩けるということか。

にしても高い…。類書に比べ3年分と過去問の収録年数は短く、またハガキに収まるくらいの解説なので要点のみ(その分いろいろ書き込む余白は多いけど)でちょっと寂しい。

通常の過去問題集の多くがルーズリーフ式になっているのだから苦手な部分はそれをファイルでもしていればよいと、フィリップは思うのだがどうだろう。

どうしてもカード式がいいのならば、過去問題集やらで苦手な問題を自分なりにカードにまとめるべき。ここまで出版社がやることにあまり意味はないのでは?英単語を覚えるのではないのだから。

しかしこの企画、教員やら看護学生に意見を聞いて作ったのだろうか。非常に疑問。看護学校ならば各社の過去問題集を1冊ずつは揃えると思うが、これはどうなのだろうか?ちょっと前にブーム?になった「仕分け」というキーワードで企画が進んでしまったのだろうか。

フィリップとしてはちょっとコンセプトがわからなかった1冊。


ここがポイント

●過去3年分だが試験問題を完全収録。

●ハガキくらいのカード式。2穴式で、リング(付属ではない)に通せば、苦手な問題だけ仕分け、持ち歩ける自分だけのオリジナル問題集になる。


ここに注意

●過去問題の収録年数が3年分と少なめ。

●カードになっている以外は特に工夫も見られない。


こんな人にオススメ!

●ちょっと思いつかない。収録年数、問題数の割に高いし。ただ普通の本と形状が違うから高くなっているのだろうか…?


総合評価

10点満点中2点★★☆☆☆☆☆☆☆☆

ヘルプフル!看護・介護と物理-根拠がわかって自信がつく-


発行:三共出版(20116月)

定価:2,415

本のしくみ:B5判/158


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本の内容

得意な人は少ないんじゃないかなと思う物理学。そもそもなんで看護師になるのに物理学なんて勉強するの?なんて思っている人も多いはず。また、体位変換の時とかに、てこの原理なんかの考えが必要なんでしょ?くらいのレベルも人も多いでしょう。確かにフィップもそう思っていた。実際にそこまで臨床現場で日々物理学ばかり意識しているわけではないけど、でも知ってみると結構面白いし、役立つ。

たいていの本は、看護の現象を物理学で無理やり解き明かそうとするけれど、この本は、物理学を簡単に説明し、そのあとに「では看護だと…」と続くような解説が多い。

力学について説明した後に褥瘡のできる過程を説明したり、気体や液体の法則を説明した後にドレーン管や注射管の仕組みを説明したりと、ワンランク上の雑学を知った気になる。その他にも音波や電流の説明で医療機器の機能説明につなげたりと、なかなかバラエティに富んでいる。

副題では「根拠」という言葉もでてくるけど、そんなに堅苦しく考えず、物理学の基本を知ったうえで看護への応用事例を見る、くらいで読んでもいいのでは?

前書きによると、執筆者の先生(多田旭男・北見工業大学名誉教授)は網走の看護学校で長年看護学生を教えているみたい。この先生、相当物理学が好きなのだろう。「なんとか学生に興味を持ってもらいたい」「なんとかわかりやすく教えたい」と試行錯誤したのが紙面から伝わってくる。

150くらいのQ&Aもあり、クイズ感覚でなかなか面白いが、ちょっと物理学すぎるマニアックな計算問題など難問も続く。この辺りは読み飛ばしてもいい。この先生、物理学が好きでおそらく突っ走ってしまうことがあるのだろう。そのあたりも紙面に現れていて、なんか好感が持てる。

しかし、三共出版というのはどうやら化学系の出版社らしい。化学の本の執筆で著者の先生とつながりがあり、出版することになったのだろう。出版社の専門性もあるので、看護系では目立たない本になっているようだ。そこがちょっともったいない。

「血管の内径と血流抵抗の関係をポワズイユの法則で説明せよ」の問いに答えられたらかっこよくね?なんか…。フィリップは苦手だったのでよくわからないけども。

ちょっと評論家っぽく言うと、「フリマで掘り出し物を見つけたような気になった」本。ぜんぜん評論家ではないか。でもちょっと面白かったのでレビューしてみた。明日からすぐに使える本ではないけれども、こういう本こそ新人や学生のうちに読んでおいて損はないと思う。


ポイントは?

●内容はコアなんだけど、けっこう読み込んでいける。

●看護技術やそれに関わる知識がよくわかる(気になる…)。


ここに注意!

●看護や医学の専門出版社じゃないようなので、けっこうレアな本かも。探すより取り寄せたほうが良いね。

●頁を開くといきなり正誤表。けっこうな数の間違いが…。そこは要注意!!

●見せ方は今一つ。文字も結構小さく、細かい。もう少し読みやすければいいのに。


総合評価

10点満点中7点★★★★★★★☆☆☆


昔、フィリップが勉強していた時に「ベッドサイドを科学する」って本があったんだよね。今もあるのかな。医療向けの物理学本ってちょこちょこあるけど、中にはこういう隠れ名著(いやメジャーか、周りも持っていたので)があるのでいろいろ読んでみるのがオススメ。