写真でわかる実習で使える看護技術
発行:インターメディカ(2010年12月)
定価:3,990円
本のしくみ:B5判/336頁
本の内容
いわゆるテキスト的な看護技術書とは異なり、写真をメインに看護技術を視覚的に理解していく教材。すでにこの「写真でわかるシリーズ」15点ほど出ているようだが、フィリップも最初に見たシリーズ第一弾の「写真でわかる臨床看護技術」には相当の衝撃を受けた。ここまで写真をふんだんに使い、またその写真の一つひとつがここまできれいな参考書は初めてだった。今でこそ同じようなカラー写真を使った本をよくみかけるが、それでも目に飛び込んでくる圧倒的な写真は同シリーズが秀でているだろう。
本書は当然その写真をメインに解説をしていくわけだが、今回は看護学生の実習がテーマ。各技術について、まず「学習の目的」と「覚えておきたい基礎知識」の要点整理。その上で必要物品の確認を行い、実際の技術の解説に入っていくという流れになっている。
必要物品については、臨床で使っている物品すべてを、実際に使う時のように並べて写真に収めているので非常にイメージがわきやすい。看護学校によってはなかなか物品がそろわず、実習に行って初めて見るようなケースもあるが、だいたいのイメージはこれでわくだろう。この本のよさの一つが「準備」の部分もしっかりと解説しているところだろう。
本題の技術の解説はというと、こちらも大きなカラー写真でわかりやすい。解説の補足で写真をつけているのではなく、写真の補足として少し解説を加えていると言うと、本書のイメージがわきやすい。技術の雰囲気を伝えるのではなく、あくまでも紙面上で臨場感を出し、体験するような解説を実現しているのも、鮮明な写真の賜物。「写真でわかる」の名の通り、写真だけで伝えてしまおうというコンセプト。
多少写真が多く、しつこいくらいではあるが、それでも実習指導者の実践と解説をその場で見ているようなイメージで学習できる。
解説の中には「エビデンス」「ポイント」「注意点」などが示されているが、こちらも非常に簡潔。少し物足りないかな、と思う部分もあるが、教科書的な根拠ではなく、現場に役立つ知識として入れているようだ。実習で問われる根拠やポイントなどもこれくらいをつかんでおけばよいのかもしれない。
「環境調整」「食事の援助」「排泄の援助」などから「創傷ケア」「与薬の技術」「救命救急技術」「安全管理」など、看護学校卒業時の到達目標を基準にして、その技術はひと通り押さえているようだ。もちろん到達目標の細かいシチュエーション等、すべてを完全網羅しているわけではないが、応用につながる基本技術はフォローできている。
知識の部分で教科書的な補足は必要と言えるが、授業や実習でのポイントを書き込んでいけば、実践を磨くための1冊になりそう。
収載の技術項目はすべての業務に通じる基礎なので、学内演習などの際にしっかりと学習し、臨地実習に出る前にある程度把握できているとよいだろう。
ここがオススメ!
●写真集のようなきれいさ。非常にリアルで臨場感がある。
●簡潔な解説。無駄を省き、とにかく視覚ですべてを伝えようとする潔さがある。極端な話、解説が英語等で書かれていても、写真だけで何が言いたいのかがだいたいわかるんじゃないかなと思う。
●各章の最初に「到達目標」が示されている。指導者側も役立つ見せ方だが、実施者自身も確認しながら行うといいだろう。自己学習には最適。
ここに注意!
●物品の写真が、実際に使用するように配置されており、横に物品名を箇条書きに書いてあるため、写真と物品名が対比しにくい。初めて見る物品、知らない物品は注意してほしい。
●読むというより見る本。やってみて理解していく本。写真が多いと言えばが多すぎるので、視覚的にちょっと疲れるかもしれない。
●当然看護技術の方法は1つではない。写真がリアルすぎる分、実習指導等と違うな?と思うこともあるだろう。その点は注意してほしい。
●あくまでも技術が実践できるようになるための参考書として構成されている。根拠やポイントも示されているが、簡潔に済ませている。各技術については、念のために教科書等の表記と比べ確認することをすすめたい。
●シリーズ一の厚さがあるが、学生が購入するには若干高めかな。1冊持っておいて損はないと思うけど。
総合評価
10点満点中7点★★★★★★★☆☆☆
※あくまでも看護学生のうちに読んでおきたい1冊。新人看護師からは、同じように写真を用いた「ビジュアル臨床看護技術」(照林社刊)がオススメ。コンテンツも充実していてわかりやすい。最近改訂されたようだし、フィリップも買いました。