ヘルプフル!看護・介護と物理-根拠がわかって自信がつく-
発行:三共出版(2011年6月)
定価:2,415円
本のしくみ:B5判/158頁
得意な人は少ないんじゃないかなと思う物理学。そもそもなんで看護師になるのに物理学なんて勉強するの?なんて思っている人も多いはず。また、体位変換の時とかに、てこの原理なんかの考えが必要なんでしょ?くらいのレベルも人も多いでしょう。確かにフィップもそう思っていた。実際にそこまで臨床現場で日々物理学ばかり意識しているわけではないけど、でも知ってみると結構面白いし、役立つ。
たいていの本は、看護の現象を物理学で無理やり解き明かそうとするけれど、この本は、物理学を簡単に説明し、そのあとに「では看護だと…」と続くような解説が多い。
力学について説明した後に褥瘡のできる過程を説明したり、気体や液体の法則を説明した後にドレーン管や注射管の仕組みを説明したりと、ワンランク上の雑学を知った気になる。その他にも音波や電流の説明で医療機器の機能説明につなげたりと、なかなかバラエティに富んでいる。
副題では「根拠」という言葉もでてくるけど、そんなに堅苦しく考えず、物理学の基本を知ったうえで看護への応用事例を見る、くらいで読んでもいいのでは?
前書きによると、執筆者の先生(多田旭男・北見工業大学名誉教授)は網走の看護学校で長年看護学生を教えているみたい。この先生、相当物理学が好きなのだろう。「なんとか学生に興味を持ってもらいたい」「なんとかわかりやすく教えたい」と試行錯誤したのが紙面から伝わってくる。
150くらいのQ&Aもあり、クイズ感覚でなかなか面白いが、ちょっと物理学すぎるマニアックな計算問題など難問も続く。この辺りは読み飛ばしてもいい。この先生、物理学が好きでおそらく突っ走ってしまうことがあるのだろう。そのあたりも紙面に現れていて、なんか好感が持てる。
しかし、三共出版というのはどうやら化学系の出版社らしい。化学の本の執筆で著者の先生とつながりがあり、出版することになったのだろう。出版社の専門性もあるので、看護系では目立たない本になっているようだ。そこがちょっともったいない。
「血管の内径と血流抵抗の関係をポワズイユの法則で説明せよ」の問いに答えられたらかっこよくね?なんか…。フィリップは苦手だったのでよくわからないけども。
ちょっと評論家っぽく言うと、「フリマで掘り出し物を見つけたような気になった」本。ぜんぜん評論家ではないか。でもちょっと面白かったのでレビューしてみた。明日からすぐに使える本ではないけれども、こういう本こそ新人や学生のうちに読んでおいて損はないと思う。
ポイントは?
●内容はコアなんだけど、けっこう読み込んでいける。
●看護技術やそれに関わる知識がよくわかる(気になる…)。
ここに注意!
●看護や医学の専門出版社じゃないようなので、けっこうレアな本かも。探すより取り寄せたほうが良いね。
●頁を開くといきなり正誤表。けっこうな数の間違いが…。そこは要注意!!
●見せ方は今一つ。文字も結構小さく、細かい。もう少し読みやすければいいのに。
総合評価
10点満点中7点★★★★★★★☆☆☆
昔、フィリップが勉強していた時に「ベッドサイドを科学する」って本があったんだよね。今もあるのかな。医療向けの物理学本ってちょこちょこあるけど、中にはこういう隠れ名著(いやメジャーか、周りも持っていたので)があるのでいろいろ読んでみるのがオススメ。
