オヤジ殺しだわ。

ブラッドピット主演で、F1連盟?が全面協力したという映画。カッコいいといっても還暦過ぎてるブラピに演じさせたのは、90年代に活躍したが、事故で離れていた超ベテランドライバー。昔の友に頼まれ弱小チームに加わったが、時代ややり方は違うし、若い力やスタッフからは腫れ物扱い…。おいおい、何だこの既視感は。そんなマニアではなかったけど、セナやマンセル、シューマッハの時代は深夜のフジテレビをよく見ていたし、職場でのここじゃない感に悩まされている還暦手前には刺さる設定。さらにレーサーは2人ながら若者に勝たせるため、老練なアシストに徹するベテランの味わい。年甲斐なく深海に戻ったり、飛行機にぶら下がらなくていい。これが俺たちが待ってたハリウッド大作だ。

長い夏休みやなぁ…

ヨーロッパ企画の上田くんの脚本による尾道舞台のタイムリープ学園もの。未来からやってきた転校生とのたった20日間の恋。未来に帰らないといけないという彼に、それを小説にすると約束して、大人になって作家になった主人公だけど・・・という設定。はじめはベースになっている大林作品風だけど、途中からどんどん発展し、大騒ぎになっていくのはヨーロッパらしい展開だ。もちろんパラドクス以外の矛盾は散見するけど、伏線を回収していく後半は爆笑の連続。夏祭りのシーンとか最高やった。それにしても20日を30数回ということは2年くらいずーっと夏。さすがにしんどかったんちゃう?

そんなうまく行くか?

大学で知り合った「ぶっ飛び女」と「男前隠れゲイ」の数年にわたる不思議な同棲生活の物語。普通ではない2人が、普通の生活って何よ?って悩みながら支えながら生活していく。どちらにもちっとも共感できなくて、しっくりこない。いろいろ都合よすぎて、魔法はでてこないにしてもファンタジーだなぁと感じてしまった。

そうそう、こういうのが映画のおもろさ!

主人公は「生まれつき、体の痛みを感じない」でもそれ以外は普通のさえない銀行員。でも恋した女性が銀行強盗に人質としてさらわれた…特に強いわけでもないし、賢いわけでもない。でも何をされても痛さは感じない。序盤はそれがあまりうまく表現できていなくてダレていた。痛みは感じないだけで、ちゃんとダメージは受けるからどんどんボロボロになっていく。あそれでも頑張る後半は痛くて目を背けるシーンと爆笑の連続。ちゃんといろんな舞台や小道具もそろってた。プロレスを見る感覚に近かったのかもしれない。でも、心の痛みは感じるみたいだから、最後ああなってよかったね。

余裕がないとね…。

主人公は小学5年生の少女。お父さんは末期のがんで、おかあさんも疲れている。そんなつらい状況でもいろんな経験をして大人になっていく…。絶賛されている鈴木唯ちゃんの演技はたしかに素晴らしいけれど、彼女を取り巻く物語がしんどい状況ばかりなので、今の自分には見ているのがつらい。見る側の状況で全然印象って変わるよね…。

突っ込みどころは多い、でも好きだ!

いろいろあって高校卒業間近に、あまりよく知らなかった友達を偲ぶ短編映画を作ることになった主人公と

その仲間の物語。前半でふって、後半でどんどん回収していく流れのストーリーだが、妄想、撮影された映画、現実がゴチャゴチャしてきて、一部わかりづらいところがあった。でもそんなの関係ねえ!これ好きだわ。理由は青春時代のいろんな形のモヤモヤを全て肯定してくれているから。うまくいかない片思い、友達以上恋人未満の関係、周りの目をきにしすぎること、友達との距離感、将来へのプレッシャー…大人になった今は懐かしいで片づけられるけど、当時は悩み苦しみ、そればっかり考えていたあの気持ちが詰まってて、ため息が出た。さらに珍しく邦題がいい。親友かよ!ってタイトルで内容に突っ込むかよ!

やるやん、オカミ(笑)

コロナ騒動の発端だったダイヤモンドプリンセス号。その対応にあたった人たちにスポットを当てた物語。自分は感染していない?が、イヤな思い出はたくさんあるので正直振り返りたくない。でもまた同じようなことが起こった時にどう行動するべきか、そこを考えるキッカケになると思って見に行った。俳優陣は好演していたし、事実に着想を得た物語で、響くセリフも多かった。やれることは全てやる。規則でなく人道的に正しい判断を。その規則は本来なんの目的のためにあるのか?非常時だけでなく、普段の行動もああしたい。松坂桃李演じる役人が融通利きすぎて、逆に笑えた。あんな人たちばかりだったら、国内に広がったあともあんな騒動にはならなかったし、もっと生きやすい国になるのに。


ばあちゃん、インポッシブル

93歳のおばあちゃんが、オレオレ詐欺の犯人のところに乗り込むロードムービーって、なんじゃそりゃ。基本的にコメディだし、ほっこり見れるんだけど、どうしても自分の周りの老人たちが被ってしまう。弱りだした両親と、昨日血を吐いたと連絡を受けた90歳の恩師。身体にガタが来るのは仕方ないし、周りに迷惑をかけたくない、自分でやりきりたい気持ちはよくわかる。でも、それはワガママだ。頼れるものに頼るのは迷惑でなく、権利。支える子どもたちを愛しているなら、彼らを心配させたくないなら、サポートを受け入れてほしい。そんなことが頭にチラついて、ストレートに感じられないお年頃やなぁ。

こんな大作なら大歓迎。

吉沢亮と横浜流星が演じる歌舞伎役者の波乱万丈な人生。血筋のある横浜と才能のある吉沢。2人がその間で振り回される人生を熱演していた。歌舞伎のことは全くわからないが、舞台の所作も映像も間違いなく魅せられた。最近の邦画界はただ有名な役者を数出して、スケールでかいロケして、これぞ映画だ!みたいなパターンが多い。でもこれは作品全体から重厚さと迫力を感じる大作。長さはそれほど気にならなかったし、吉沢亮に役者魂を見せてもらったと思う。まあ、女性陣の影が薄かったのは歌舞伎の物語だから仕方ないか。


ハードルあげすぎたかな?

実話ベースの父息子もの。出演は寺尾聰と松坂桃李。期待は普通するでしょ。イギリスであったエピソードを横須賀に移して脚本にしたらしいけど、作られすぎた作りもので、ピンと来なかったわ。小説の設定を想像で移設しただけだから、深みはない。主演2人はともかく、残りのキャスティングはとってつけたようなやすっぼさ。企画書映画にしても、もう少し響くように撮ってほしかったのが、正直な気持ちだ。