ブラック組織。

ご存知トム・クルーズが、還暦を超えても身体を張り続けるシリーズの一応最終作みたい。昔は1話完結だったけど、人気が出て長いこと続けるために伏線やら人間関係やら複雑になってきた。でも、そんなの関係ねえ!トムが世界を救うために、今回は深海と大空で大暴れ!で十分でしょ。いつも思うけど、愛する人と名も知らぬ人々(何億人単位)を守るためとはいえ、不可能すぎるミッションに挑むイーサンと仲間たちのモチベーションってなんや?

意外と「お前にでもそれは無理だ!」という状況に快感を覚え、「やったろやないかい」というイキリの小5男子的な心理でしかないのかもしれない。知らんけど(笑)

惜しい。

刑務所や拘置所の中の人たちに、身内や支援者が差し入れする品を売ったり、届けるのを代行する商売「差入店」。幸い使ったことはないが、映画とかで見たことはある。あまり知られていなくて、人のネガティブな場に近いという点で「おくりびと」に近い映画だと思う。丸山くん演じる主人公が差入屋になった理由、仕事としての葛藤と世間からの目、依頼者と届け先の心情。うまく描いていたと思うけど、範囲が広すぎる。それぞれ深い理由や言葉にならない感情がたっぷりあるのに、見せたいポイントが多すぎて散漫にならざるを得ない。2時間の映画でなく、NHKのドラマとかでじっくりリメイクして欲しい物語だと思う。

間違いなくここまで今年一番、すごいもんを見た。

デミ・ムーア演じる旬を過ぎたオスカー女優の悩みは衰え。それを解消するため、若い分身を生み出す秘薬「サブスタンス」に手を出した。ビジュアルもスタイルも完璧な分身を手に入れたが、2つの体を1週間交代で使わないといけない制限が。でも分身はそのルックスで瞬く間にスターダムを駆け上り、2人のバランスが崩れる。そして生まれる悲劇…。

メチャクチャおもろかった。誰もが避けられない老いによる衰えと、それにあがいたい気持ち。ルッキズムが批判される時代には合わないし、グロいシーンも多かったけど、エンタメ性と同時に考えさせられる視点もたくさん。なによりあのかつての大スターの体当たりすぎる演技に感動した。日本の小娘女優にも見習ってほしい。

気持ちはわからなくはないけど。

ロードショーでタイミングが合わず見逃していたけど、ダイノジ大谷君が大絶賛だったので

新開地の名画座に足を運んでみたのは、浅草の芸人の物語。

というと名作「浅草キッド」みたいに「売れないけど夢があった」話になりがちだけどこれは違う。

主人公は50歳の落語家。実の父親でもある師匠から名前をもらったものの、才能もやる気もない。後輩に馬鹿にされ、親父からも認められず、おまけに痴呆まで始まった。八方塞がりの男の悲しいストーリーだ。そこにこちらも売れない女性漫才師が絡んで…という展開なんだけど、2人とも才能も夢もないのでなかなかいい感じに転がらない。現実から逃げて逃げて逃げまくってきた主人公が、ついに向き合って…でラストを迎えるが、ちょっとそこはご都合主義すぎるだろ。あの下手な落語が覚醒のシーンというのはちょっとつらい。

これだけなら、悪くはなかった。

アベンジャーズではない負け組のヴィランたちが、自分のダークサイドと向き合って戦う物語。反発はしつつも万能でないぶん、支えあう感じや、自分を見つめ直すシーン。単にCGと都合のいいマルチバース設定で戦いまくるだけのアベンジャーズよりずっと良かったと思う。

この作品をシリーズの中でのセルフパロディ、1回限りのスピンオフで留めておけばカッコ良かったと思う。それを次のカネに繋げるなよ…だからマーベルは好きじゃない。

プライベートは一旦おいておいて。

漫画家東村アキコさんの自伝的作品の映画化。作品は読んだことないけど、キャラクターとして名前は聞くし、とても興味がある人だったので、楽しみにしていた。なのに、公開直前に主演女優の不倫騒動でケチがつく。それを理由にネット上の評判は散々。でも当事者以外には本来関係のない話だし、作品には罪はない。「だからみる気がしない」奴は好きにすればいい。

ということで本編に戻りたい。簡単に言うと、漫画家デビュー前の学生時代にお世話になった絵画教室のスパルタ師匠との物語だ。見ている間中、恩師について考えてしまった。今の自分を作ってくれた、影響を与えてくれた恩師。時代によってアプローチは変わるだろうけど、目先の結果や自分の手柄は考えず、弟子の良さを伸ばすため動いてくれた人のような気がする。そんな誰かの恩師に、今からでもなることができるだろうか?

2匹目のドジョウはおらんかったね。

1作目は設定説明に手間取ってイマイチだったのに、2は素晴らしい出来だったパディントンシリーズの3本目。パディントンが自分のふるさとを訪ねてペルーを冒険する物語だ。ファンが見たいのはパディントンとブラウンさん一家の自然な関係、悪い人は出てこない安心して見られるファンタジーだから、無理にアマゾンなんかに連れていく必要はなかったし、その分見たかった家族ドラマが少なかったのでは。

子どもたちも成長して、巣立っていくのだから、パディントンもそうしたらいいのに、微妙な終わりかただったなぁ。続けるんやろか?

いろいろ、予想通り。
鈴木亮平が有村架純を親代わりに育てた兄貴を演じる物語だというのは、予告を見て知ってた。多分そうなるだろうと思ってた。その通りだった。そりゃ泣くだろう。恋愛とか難病ものには鈍いところもあるけど、兄貴の気持ち・父親の気持ち、そのワン・ツーには滅法弱い。ベタだけど、そこはどうしようもないやん。

変わらないのかな…
高校の修学旅行の自由行動。クラスになじめずボッチな子らが同じ班にあつめられ…という物語。浮いてる理由はそれぞれだけど、その寂しさとか、周りに合わせるしんどさとか、わかるなぁ…。といっても高校卒業して30年以上経つおっさんだし、わかったつもりだけなのかもしれない。自分の修学旅行の記憶すら、ホントうっすらしかないのに。

同じ穴のムジナやんか。
映画好きの厨2病の高3の物語。そのあと数十年人生を経験しているから、客観的になれるけど、視界の狭さ、自意識過剰さ、根拠のない自信など、思い出してみれば恥ずかしきことの数々。自分も間違いなく通ってきた道ばかりだった。もうちょっと映画に溺れたからこそのエピソードや展開はほしかったけれど、周りとのズレや親とのすれ違いなどいちいち刺さってたまらない。今の子たちもこの気分、味わってくれるんだろうか?