いいウソ、悪いウソ

迷作「ハムナプトラ」のハリウッド俳優、ブレンダン・ブレイザー主演で東京を舞台に撮った洋画というややこしい状況の作品。

彼が演じたのは一発は当てたが鳴かず飛ばずの白人俳優。生活のため撮影でなく「レンタル・ファミリー」に取り組むことになり、という物語だ。依頼を受けた人物や状況を演じることで、ターゲットを幸せにさせる。実は虚構を認識しているかどうかだけで、やっていることは俳優やアイドルと変わりはない。

うまくウソをつくために努力するほど、ターゲットに思い入れがうまれる。そしてうまく行けば行くほど、いなくなる喪失感は大きくなってしまう。3組の依頼を通じて描かれるこの奇妙な矛盾。日本のおっさんではなく、ガイジンに担当させたのが、重苦しくならずかえってよかったのかもしれない。家族の足りない部分を補う、ココロのスキマを埋めるサービス。ニーズはあるよね。

渋い紅茶みたいなオトナの味。

昔自分たちを捨てて出ていった映画監督の父。母が亡くなり、葬式に現れた彼は舞台女優になっていた娘を主演に新作を撮りたいといいだす。しかもロケは家族の思い出が詰まった古い洋館で…。変わらない建物を軸に展開するファミリーヒストリー。はじめ父を相手にしなかった娘たちは、反発しながらも向き合いはじめる。家族だから…わかること、逆に許せないこと。地味と滋味に溢れた物語だった。

優等生すぎて。

目黒蓮と浜辺美波。当代の人気俳優二人を揃えたらこうなるだろうとは思うけど、着実で、外れはない…でも面白くもない作品が出来上がったような気がする。彼らが演じるのは葬儀屋さん。というと名作「おくりびと」を思い出さざるを得ないけど、あれに一役乗せ「亡くなった人が見える」というファンタジー設定にしているのがこの物語。何人かの「死者と残された家族」のオムニバスで構成され、伝えられなかった思いのギャップで泣かせるパターン。間違ってはいないけど、ひねりがなすぎない?まあ、そういうストレートな「泣ける物語で涙してる私ってかわいい」が求められているのかもしれないけど。

 

たのし~いい!

「死霊のはらわた」「スパイダーマン」のサム・ライミ監督のスリラー・・・と思ったらちと違った。

予告ではパワハラ上司と無人島でサバイバルすることになって、立場が逆転…みたいな紹介だったけど

たいしてパワハラでもないし、復讐?というほどの怨恨も感じない。でも立場が逆転した後の二転三転がめちゃ楽しい。

さらにそれを彩るオカズの多彩さ。チ〇ポ切りに〇ロ人工呼吸、子供はみちゃいけない感じが盛りだくさん。

こんなホラーな宣伝でなく、大人がスッキリできるブラックエンターテインメントな打ち出しのほうがいいのに

 

実に面白くない…

東野圭吾作品、初のアニメ化というキャッチに釣られて見に行ったけど…あれ?アニメの出来がよくないのか、世界観とあわないのか?主人公にもよくわからん金持ち一族の設定にも無理がありすぎるし、ミステリーとしてもファンタジーとしても中途半端で全く乗れなかったなぁ。まあ「愚かな」おっさんだから、仕方ないのかもしれないけれど。

私達の恋愛は過失でした。

実話を元に作られた、アイドルの恋愛による損害賠償裁判の物語。地下アイドルのシステムやファンとの関係、契約書や裏側など前半は面白かった。でも裁判パートに入ってからがなぁ。証拠や弁証のやりとりとか、裁判で判明するあらたな事実とか。法廷ものの作品に比べるとクオリティが低くて尻すぼみ。設定は面白かったのにもったいない。

早く、解放してくれ!

100分を切る短い作品なのに、後半はそればかり考えていた。イラク戦争のさなか、敵地に侵入したものの逆に囲まれてしまった米軍特殊部隊の脱出劇。といっても特に物語や戦争反対的なメッセージはなく、後半は姿の見えない敵の民兵に攻められっぱなし、撃たれっぱなし。必死で援護の戦車を呼び、なんとか脱出しただけだ。でもその地獄の時間がとにかく「痛い」。そしてそれを伝えるのは映像でなく音だった。派手な爆破でなく、乾いた銃弾や爆発直後の振動、そして血まみれの傷やもげた足より俺を苦しめたのは痛みに苦しむ負傷兵の叫び声だ。今も思い出すとゾクッとする。戦争ってとんでもなく痛い、だからあかんねん!それを疑似体験さけてくれる逆アトラクション的な作品。いい音で見てほしい。

こんなん、ズルいわ。

ろう者なので、なかなかいい職に就けない父親。離婚した元妻にかわいい娘の親権を奪われないために収入が必要で、悪いヤツに付け込まれて犯罪に手を染めてしまう…。必死に生きる姿と娘の眼差しに、そりゃやられるわ。障碍だけでなく、器用に生きられない父親がかわいい子どものために…やっぱズルいって。

微妙だけど、アウトかな…

ブラック・スワンの監督が撮った娯楽作品ということで期待していたのに。たまたま隣人が悪いヤツだっただけで追い詰められていく主人公に共感できず、設定に乗れなかったなぁ。ネコも活躍しそうでしなかったし、恋人とママ以外の世界はないのか?ドラフトのトラウマとかシェイ・スタジアムとかオモロく使えそうなくすぐりはあったのに。Go!ジャイアンツ!

粋というか、カッコいい。

落語界の奇人?2代目快楽亭ブラックさんのドキュメンタリー。師匠の談志さんが残した「落語とは人間の業の肯定」という言葉を舞台に留まらず、人生でも遂行しちゃってる。まさに全身落語家の生き様だ。演芸場の強制執行や弟子による損害賠償裁判すらネタにする。もちろんテレビには出られないけど、そんなの関係ない。誰も真似できないから人は憧れ、生で見たいと思うのは大谷翔平とあまり変わらないのでは?やたらと自分たちのことを芸人、それ以外を素人と呼ぶクセに、コンプライアンスに気を遣ってばかりのファション若手芸人たち、そして草葉の陰から「業の本丸」の師匠がどんなコメントをするのか、聞いてみたい。