この物語は【SOPHIA追憶の花】ソフィの旅の続編です
[導き手はゼラニウム]
ゼラニウム「いよいよ人間に永遠の吸血種の引き渡しの期日が迫って来た」
人間のヴラド機関から永遠の吸血種を引き渡さなければヴァンプ狩りを再開すると云うのだ
しかし焦っても何も妙案が浮かぶことは無いが
目の前の資料を一つずつ検証するしか無いのだ
家系図とにらめっこしても何もヒントが得られないまま時間だけが過ぎていった
「何かがおかしい・・・」
調査隊員の一人がそう呟いた
ゼラニウムが怪訝な顔をしている調査隊員に「何か気づいたのか?」と訪ねると
「ソフィやシルベチカの出自についての資料は沢山出て来てるのに木蓮の資料が何一つ出て来ないのは不自然ではありませんか?」
「ウム、確かに・・」
木蓮の部屋を捜索していながら木蓮の手懸かりになるものが何一つ出て来ないのは確かに不自然だ
木蓮について今一度確証の有る情報を整理してみよう
木蓮は椿家の養子として引き取られていることは分かっている
それ以前の出自は不明である
後に成長した木蓮は椿家の監理する監獄クランの看守を任される事になり
同時に幽閉されていた不死者のソフィの監視をも任せていた
そもそも永遠の命を持つ者を我々ヴラド機関は監視対象にしていた故に
ソフィの動向は把握していた
そしてソフィが脱獄をしたことは承知の事だった
しかしソフィが監獄から抜け出した際に木蓮を噛んでイニシアチブを取った
と同時にソフィの300年に及ぶ絶食で干乾びた身体を潤す程の血液を
木蓮から飲み干した事は誤算だった
最早木蓮は絶命しても【オカシク無い】状況だったのだ
木蓮には申し訳ないことをした
しかし木蓮は生きていた
そしてソフィにイニシアチブを取られた木蓮はソフィと共に脱獄し暫くの間、このリスラムの古城を根城にして
現在は行方不明である
何だこの違和感は?…
絶命に至らない程度に血を吸われていたとも考えられるが
もしかしたら木蓮が永遠の命を持っているやも知れん
そんな事は有り得る筈が無いとは思うが疑念が晴れない
椿家に手懸かりを求めて調査に向かおう
[続く]
この物語は【一人ぼっちのリリー】のシリーズです
ストーリーの伏線等ございますので
①【一人ぼっちのリリー】から
②【TORMP外伝】百合子のソフィの話
③【SOPHIA追憶の花】ソフィの旅
④【SOPHIA勿忘草】シルベチカの物語
⑤【SOPHIA裏切りの花】
の順にお楽しみ下さい