小泉、靖国参拝の倒錯③~予算委での首相答弁の結論~
(今回の騒動で小泉首相に不信感がいっぱいです)
呉儀・中国副首相のドタキャンに繋がったと言われる、5月16日と5月20日の衆・参両予算委における質疑の論点をまとめてみたい。
① 靖国神社参拝を今年も継続するか。
→いつ行くかについては適切に判断する。
② 靖国神社になぜ参拝するのか。
→2度と戦争を繰り返してはいけないという信念から、特定個人(A級戦犯)のためではなく、すべての戦没者を追悼するため、参拝している。
③ 参拝は私的か公的か。
→内閣総理大臣たる小泉純一郎が参拝しているが、内閣総理大臣の職務として参拝するものではない。
④ 中国との関係悪化(反日デモや日中首脳の往来が途絶えている異常事態)を受けて、首相はどのような対応をとるのか。
→関係が悪化しているとは考えていない。大局的見地にたって、日中関係を発展させてきたと実績が証明している。
⑤ 日本が常任安保理を目指すにもかかわらず、靖国参拝を継続するのか?
→戦没者の追悼の仕方を他の国が干渉すべきではない。
戦没者に対して心からの誠を捧げるのがなぜいけないのか理解できない。
⑥ 首相がバンドン会議で村山談話に沿った反省の挨拶をしたが、それでも靖国参拝を継続するのか?
→バンドン会議五十周年に、将来どういう考え方を持って日本がアジア・アフリカ諸国や国際社会の中で日本は生きていくかということを簡潔に述べた内容で、各国から高い評価を受けている。私の言動が悪いから国際関係が悪くなったとは思っていない。
(→は首相の答弁)
できるかぎり、今回の質疑における質問と答弁の整合性を考え、要約したつもりだ。(結局要約すると、マスコミによって語られる言葉と同じになってしまってもどかしいが・・・)
恐らく、小泉首相は意図的に論点をぼかしているのだろう。
だが、小泉首相が思い違いをしていたら困るので確認しておきたい。
中国・韓国との関係が悪化する日本側の要因は、小泉首相の靖国参拝にある。さらに、日中・日韓関係は、残念ながら小泉首相が考えるように、良好ではない。
今回の呉儀・中国副首相のドタキャンに関する騒動は、小泉首相の靖国参拝に関する言動が発端になっているのは明らかである。他の要因はどこを探しても見当たらない。
もちろん、小泉首相が言う戦没者への追悼を他国が干渉すべきでない、という言は一理ある。しかし、バンドン会議において、小泉首相は胡錦濤・中国国家主席の*5つの要求に対し「配慮していきたい」と解答したはずである。その5つの要求の中には「中国人民の感情をきずつけない」という項目が含まれていた。さらに、小泉首相が「日本大使館や民間人の活動に対する適切な行動」を中国側に要請したことに対し、実際、バンドン会議以降、大規模なデモは中国国内で起こらなかった。中国側が民衆を押さえ込むことと、首相自身が靖国参拝をしないことと、どちらが労力を要するか、議論するまでもないだろう。いくら国を愛していたとしても、筋が通らないと私は思う。
だが、首相の答弁にいささか疑問も残る。1つは、民主党・仙谷氏との質疑の中で「靖国参拝の理由を胡・国家主席に申し上げた」という個所。
もう1つは、小泉首相が靖国参拝にかくもこだわる理由である。答弁を読んでいると、「小泉首相は本当に靖国参拝への信念があるのか?」という疑問が湧く。むしろ、神聖だと言われる参拝を政治的に利用しているだけではないかという疑問である。仮に靖国神社を政治的に利用していたとするならば、首相の靖国参拝に対する批判が、「左派がまた・・・」「自虐的」「非愛国的」だとする逆批判には当たらないのではないか?
ていうか、そもそも、靖国参拝はなんで、こんな国際的に政治問題化すんの?
この3点の疑問について、今後、追って調査していきたいと思う。
*[ジャカルタ・バンドン会議(4月24日)での胡錦濤国家主席の5つの要求]
インドネシア訪問中の小泉純一郎首相は23日夜、中国の胡錦濤国家主席と昨年11月のチリ以来5ヶ月ぶりに会談し、関係修復に向けて対話を促進することで一致した。会談で胡主席は歴史の反省や台湾問題の適切な処理など5項目を提案。
① 共同声明など日中関係を定めた3つの文書(72年の日中共同声明、78年の日中平和友好条約、98年の日中共同宣言)を尊重し、その精神を守る
② 歴史をかがみに未来に向かう。侵略戦争を反省し、中国人民の感情を傷つけることはしない
③ 「1つの中国」政策の堅持と台湾独立の不支持を求める
④ 対話を通じ、平等の精神で日中間の意見の違いを妥当に処理する
⑤ 広範な分野で交流、民間往来を拡大する
小泉、靖国参拝の倒錯③~民主党・管氏との質疑~
(管直人HPより)
以下は5月16日に行われた衆院予算委での小泉首相と民主党・管直人氏との質疑
菅(直)委員 1995年、自社さ政権でした。私も、新党さきがけの政調会長として、国会決議とあの村山談話に関わりを持ちました。当時の自民党政調会長は加藤紘一さんです。社会党は関山さんです。そして、あの村山談話によって、私も、戦後のこの問題は、歴史問題はこれでほぼ決着がついたな。その後来日される韓国や中国の人も、大体、もうそれ以上のことを要求するという姿勢はありませんでした。
それが、なぜここに来て、またいろいろなことが起きるんでしょう。もちろんそれぞれの国の事情もあるでしょうが、それに対してとられた総理のやり方は何ですか。バンドン会議で、改めて、村山談話にほとんどなぞらえるような事実上の謝罪を国際会議の場でわざわざもう一回みずからしたんじゃないですか。そんなことをするぐらいなら、もともと、1995年の村山談話に沿った行動をとっていればいいんですよ。
小泉総理はいろいろな答弁をされますが、あなたの行動が、単なる衆議院議員小泉純一郎だったらそれほどじゃないでしょう。野党の党首だったら大したことないでしょう。国の代表として、総理大臣としての行動だから、単なる個人の信条の問題を超えたことだということは当たり前のことじゃないですか。だから、十年前の村山談話も、当時の総理大臣の談話だから、一政治家の談話ではない、総理大臣の談話として、自社さ政権、自民党も含めて、大事にされているんじゃないですか。
それなのに、その談話と全然違うことをやっているんじゃないですかと指摘されて、小泉総理はきょうの仙谷政調会長の質問に対しても全く答えていない。自分自身がやったことについてそういう悪影響が出ているんじゃないですかというのに、すぐ相手のことにしてしまう。相手の要素が、それは6割あるかもしれない、7割あるかもしれない、いや、4割かもしれない。しかし、あなたのやったことが、せっかく傷がいえて、かさぶたができて、もうそろそろその問題では血が流れたり不愉快な目をしないで済むようになったのに、みずから引っぱがしたんじゃないですか。
あなたの総裁選挙の時の公約(靖国参拝)じゃないですか。国民のための公約なんですか。総裁選挙に通るためには、当時の遺族会会長(財団法人 日本遺族会
)の橋本龍太郎さんに勝つためには、私は、総理がそれまでそんなに靖国に何回も行かれたということを聞いておりません。そういう人が、急に総裁選挙になってそのことを大きく取り上げる。95年に決着したものをわざわざ大きく取り上げて、まさに成功して、今総裁・総理を四年間も続けられている。アメリカとの関係もよくなったと。全然よくなりません。中国の関係も、まともに北京や東京を相互に訪問したことがありますか。国際会議の席で何回か会ったというだけじゃないですか。こんなことは異常ですよ。
①総理、あなたの行動がこういう悪影響を及ぼしている。アメリカとの関係もいよいよ行き詰まってきている。四面楚歌じゃないですか。どのようにお感じになっていますか。
○小泉内閣総理大臣 菅さんは菅さんなりの解釈でしょうが、外交は四面楚歌になっているとは思っておりませんし、行き詰まりなんというのは全然思っていません。菅さん特有の悲観的見方は悲観的見方で結構でありますが、日本外交は順調に進んでおりまして、世界各国から、これまで戦後六十年間、日本の実績、日本の考え方に各国から高い評価をいただいております。
それは、友好国であるアメリカであろうが、意見の違いもあるでしょう。問題におきましては対立する場合もあるでしょう。しかし、一部の対立や意見の相違があるからといって日米間全体がおかしくなるとも思っておりません。それは、日韓、日中しかりであります。
よく世界を見渡してみて、冷静に客観的に考えれば、日本は各国から信頼を受け、多くの国が日本みたいな国になりたいと言われているような国にまで発展してきた。それは、この六十年間、反省を踏まえて多くの日本国民が努力してきた賜物だと思っておりますし、余り自虐的に、日本が悪い、日本政府が悪い、悲観的な見方はなさらない方がいいと思います。
○菅(直)委員 小泉総理、私はこの日本が大好きですし、日本はすばらしい国だと思っていますよ。小泉総理自身がみずからやっていることについて語らないというのが、総理大臣としてまさに自分の責任を放棄しているんじゃないですか。何も私は、日本の国がおかしなことをやったとは言っていない。小泉総理がおかしなことをやったと言っているんですよ。小泉総理がおかしいことをやったと言ったら、これが自虐史観なんですか。
②小泉総理、あなたはこの間のバンドン会議で、村山談話
に沿った、いわば内容的には謝罪のあいさつをされましたね。なぜされたんですか?自虐的ということをもし言われるんなら、あの中身はどういうことなんですか。総理自身がしたんじゃないですか、せざるを得なくなって。③翌日の日中会談ができるかどうかというぎりぎりの場面でせざるを得なくなったんじゃないですか。見通しが間違ったんじゃないですか?総理、どうですか。
○小泉内閣総理大臣 これも全く菅さん独自の特別な考え方であって、違います。
菅さんもよく言われました村山談話、これは日本内閣として、政権がかわっても同じ認識を持っているわけであります。アジア・アフリカ会議、いわゆるバンドン会議五十周年の機会に、日本の総理として、過去五十年の歩みを振り返り、現状をとらえて、将来どういう考え方を持って日本がアジア・アフリカ諸国に対して、あるいは国際社会の中で日本は生きていくかということを簡潔に述べた内容であります。これは、私は各国から高い評価を受けていると思っております。
日本がこの五十年間、多くの国民の努力がこれは大きな原因でありますが、今日まで発展してきたのは、日本国民だけの努力のみならず、国際社会からも支援と協力を受けてきて日本の発展がある。今後、ここまで発展してきた日本としても、アジア・アフリカ諸国に今の日本にふさわしい支援、協力をしていき、そしてアジア・アフリカのみならず国際社会におきましても日本としての責任を果たしていこうということを述べたわけであります。
私は、自分の考え方、日本の政府の考え方を述べてきたわけであって、私の言動が悪いから国際関係が悪くなったとは思っておりません。それは菅さんの考え方と全く違います。
(衆議院HP より)
小泉、靖国参拝の倒錯③~民主党・仙谷氏との質疑~
以下は5月16日に行われた衆院予算委での小泉首相と民主党・仙谷由人氏との質疑
○仙谷委員 しかし、いい気なものですね。こんなに私どもには閉塞状況に見えるんですよ、アジアの。いや、これはすごいですね。では、なぜこんなになるのかという回答には全然ならないじゃないですか。反省を実際の行動に移してほしいというのは何を言われたのか、全然我々にはわからないですよ。我々、直接話していませんからね。だから聞いているんですよ。
靖国参拝についても、多分、やはりここが問題だという指摘は胡錦濤さんからはあったんじゃないんですか。これは問題になっていないんですか、総理の靖国参拝は。少なくとも、我々の理解をしている限りにおいては、A級戦犯が祭られている靖国神社については、総理の在任中には控えてほしいというのが、中韓とも、まずは入り口の、歴史認識について反省を実行に移してほしいということの一つの言い方じゃないんですか。なぜ、中曽根総理が参拝をしたけれどもやめて、それから現職の総理は行かなかったのに、小泉さんだけが行くんだ、この大事なときにそういう、いわば小泉さんの言い方で言えば国民の気持ちを、少なくとも国民の気持ちを逆なでするようなことをされるんですかというのが彼らの疑問でしょう。
そういう問題について、私から見ますと、少なくとも外交の上で、いろいろな外交カードを切り合うんでしょう、それは。しかし、何かこういうもつれることになってきた口実を与えていることは間違いないですよ。
それを、従来のように、二国間でああだこうだということを言っていて済む時代ならばまだいいんですよ。あなたが、国連常任理事国入りをすべきだということで、従前の、十年前の主張を変えられて、とんとことんとこ走っていっているじゃないですか。十年前、反対のことを言っていたじゃないですか、田中秀征さんと一緒に。そうでしょうが。
それで、東アジア共同体、まことにすばらしい。私も、そういう時代が来たと思うんですよ。これだけの、相互経済、金融、あるいは海賊、知的財産権、環境、より重要なのはエネルギー。このエネルギーの逼迫状況を見れば、まさに東アジアの中でエネルギーの開発や供給について取り組みを結んで、安定的な供給や、お互いが足を引っ張り合わない経済の発展、あるいは民生の安定のためにそういうことをすべきだ。そういうフォーラムなり会議が必要だと思っているから、東アジア共同体を進めるのは賛成ですよ。あるいは、SARSや鳥インフルエンザのように、保健や感染症対策にも、こういうことをガバナンスできる機構をつくる、大いに賛成だ。
そういう時点で、なさっていることは、逆にベクトルが働いているじゃないですか。①近隣諸国にこれだけクレームをつけられて、国連の常任理事国入り、東アジア共同体の形成、このことが小泉さんの外交の戦略としてどう位置づくんですか?そんなことをやる必要はないんだというのであれば全然問題ないんですよ。問題ないことはないけれども、まあ理解はできる。合意はしないし、納得はしないけれども、理解はできる。ばらんばらんじゃないですか、やっていることと言っていることが。
そこで、②靖国神社、これについて、適切な行動、適切に判断するとか配慮していきたいとか、そういうふうにお答えになったんですか。お答えになったとすれば、年内は行かないんですね。どうですか?
○小泉内閣総理大臣 私の言うことを誤解してとらえておられるようですが、私は、国連常任理事国入り、これについては十年ほど前から大きな関心を持っておりましたし、今のP5(常任理事5カ国;米・英・中・露・仏)と(日本は)同じようなことはできないということをはっきり言わなきゃいけないと言っていたわけであります。日本の立場というのは現在のP5とは違う。核保有国でもないし、海外で武力行使をしない、こういう国である。そういう点について誤解のないような、日本の基本方針が国際社会にわかった上で、国連常任理事国入りに手を挙げるなら、これは差し支えないであろうと。現に、そういう方針でやってきております。
そして、今ほど国連常任理事国を含めて国連改革の機運が高まっていることはございません。各国がそれぞれ六十年前の世界情勢をよく反映した現在の国連かというと、そうではない。各国の六十年前の敵対国が今は友好国になっている。それぞれの国が六十年を経て、それぞれ国力にも違いができている。そういう中で、今のままでいいかというとそうでないということで、いまだかつてない高まりを見せているし、そういう中で、国連常任理事国なり非常任理事国を増やすという場合には、日本も常任理事国としての資格があるのではないかということで改革に臨んでいるわけであります。これにつきましては、私は、民主党におきましても、反対もあるでしょうが賛成の方も多いと思います。
東アジア共同体におきましても、これはEUも、多くの国が国家の主権を維持しながら、EUとして統合的な政治経済共同体をつくろうと今実現に向けて懸命の努力をしており、大きな共同体として、将来国際社会の中においても大きな影響力を持つに至っております。
これも考えてみれば、四、五十年前はEUという言葉はありませんでした。ECという言葉がよく使われておりました。当時、恐らく、ECというのはどうなるかと議論していた中にも、なかなか、共通の通貨を持って同じ憲法を持って、このようなEUの形で発展するということを思っていた方は少ない方だったと思います。それが実現に向かって動いている。東アジアも、ヨーロッパ諸国ほど各国のそれぞれの共通の認識というものはまだ固まっておりませんけれども、将来、東アジア共同体としてともに歩みながらともに進むという方向で、共同体意識を持っていくことは大変重要であるということで、今、東アジア共同体あるいは東アジア・サミットを開催しようという動きになっております。
そういう中で、日中間の問題におきましても、靖国の問題がお話出ましたが、これは私がかねがね申し上げておりますように、どの国でも戦没者に対する追悼を行う気持ちを持っているはずであります。どのような追悼の仕方がいいかということを他の国が干渉すべきではないと私は思っております。
今日の日本の繁栄は、あの六十年前、過酷な戦争で日本国民も大きな犠牲を受けた。そして、当時、家族を持ちながら、戦場には行きたくなかった方も心ならずも国家のために戦場に赴いて命を落とさなければならなかった。そういう方の犠牲の上に今日の日本の平和と繁栄があるのではないか。そういう戦没者に対して心からの追悼の誠をささげるというのがなぜいけないのか。私は理解できません。そして、日本は二度と戦争をしてはいけないという気持ちでお参りをする。現に、六十年間日本は、二度と戦争にも巻き込まれず、戦争もしていないんです。そういうことに対して、靖国参拝してはいけない、この理由が私はわからないんです。
民主党の中にも、靖国参拝すべしという議員がおられます。国民の中でも、すべきである、しない方がいい、した方がいいといろいろな議論があります。しかも、中国が、胡錦濤国家主席との間でも、あるいは温家宝首相との会談でも、靖国の問題が出ました。靖国参拝はすべきでないというお話もありました。しかし、今のような理由を私は申し上げました。現に東条英機氏のA級戦犯の問題がたびたび国会の場でも論ぜられますが、そもそも、罪を憎んで人を憎まずというのは中国の孔子の言葉なんです。
私は、日本の感情として、一個人のために靖国を参拝しているのではありません。心ならずも戦場に赴いて命を犠牲にした方々、こういう犠牲を今日の平和な時代にあっても決して忘れてはならないんだ、そういう尊い犠牲の上に日本の今日があるんだということは、我々常に考えておくべきではないか。現在の日本というのは、現在生きている人だけで成り立っているものではないんだ、過去のそういう積み重ねによって、反省の上から今日があるわけでありますので、戦没者全般に対しまして敬意と感謝の誠を捧げるのが、これはけしからぬというのはいまだに理由がわかりません。
いつ行くか、適切に判断いたします。
○仙谷委員 総理、個人的な感慨と、一国、主権国家を背負ったトップリーダーは、やはりちょっと分けて考えてもらわなきゃいけないんですよ。いいですか、そこをごちゃごちゃにしてはいけないんですよ。
総理、もう一遍ポツダム宣言を受諾したことの意味を思い出してくださいよ。我々は、心ならずもか……(発言する者あり)ポツダム宣言を受諾したから独立できたんでしょうが。何を言っているんだ。
ポツダム宣言の中にどう書いてありますか。軍国主義的傾向の解体と民主主義の復活と書いてあるじゃないですか。民主主義の復活というところにも意味があるんだけれども、軍国主義の解体、そこについて、どう評価をされようとも、当時政治としてはそれを受け入れたんですよ。
あなたの靖国参拝は国際政治問題になっているんですよ。中国がどう言うからとか、干渉されたくない。干渉されないでいいんです。干渉されないで自律的に、我が国がアジアの中にどうやって溶け込んでいくかという努力をするためにどういう政治選択をしなければいけないか、それがトップリーダー、総理に課された使命なんですよ。
個人的には、靖国神社に行きたい、結構です。ですが、総理としてはそれを自制するのが政治的な判断、決断じゃないですか。いつまで戦後に生まれた我々の世代に、あるいは今の二十代、三十代の方々に、この戦争の戦後処理の問題をだらだらと残すんですか。後世代のためにけじめをつける発想すらないんですか、政治家として。私は残念で残念でしようがない。
③そこで、この問題についての総理の返答については、ことしじゅうに靖国神社に行く、こういうふうにここでおっしゃったものと理解して次に進みますが、いいですね?
○小泉内閣総理大臣 私が靖国神社に参拝することと、軍国主義を美化しているととられるのは、心外であります。なぜ靖国神社を参拝することが軍国主義を美化することにつながるんでしょうか。全く逆であります。
日本は、戦争に突入した経緯を踏まえますと、国際社会から孤立して米英との戦争に突入した。国連も脱退した。二度と国際社会から孤立してはいけない。そして、軍国主義になってはいけない。だから、戦後、戦争中の敵国であった国とも友好関係を結んできた。そして、国際協調というものを実践によって示してきた。
軍国主義、軍国主義と言いますが、一体日本のどこが軍国主義なんですか。平和国家として、国際社会の平和構築に日本なりの努力をしてきた。この周辺において、戦争にも巻き込まれず、戦争にも行かずに、一人も戦争によって死者を出していない。平和国家として多くの国から高い評価を受けている。そういう中にあって、なぜ私の靖国参拝が軍国主義につながるんですか。
よその国が言うから、けしからぬ、よその国の言うことに従いなさい。それは、個人的な信条と、両国間、国際間の友好関係、これはやはり内政の問題と外交関係の問題におきましてはよくわきまえなきゃいけませんが、私は、こういうごく自然の、過去の戦没者を追悼する気持ちと、二度と戦争を起こしてはいけないという政治家としての決意、これを六十年間、みんな日本国民は反省しながら実践してきたじゃないですか。それを、一部の外国の言い分を真に受けて、外国の言い分が正しいといって、日本政府の、私の判断を批判するというのは、政党が違いますから歴史的な認識も違うかもしれません、御自由でありますが、私は、これは何ら問題があるとは思っておりません。
○仙谷委員 私の問いに端的に全然お答えにならないじゃないですか。そのひとりよがりの内向きの論理が国際政治の場でどう見られているかということを、もうちょっと考えた方がいいですよ。もうちょっとヨーロッパやアメリカのオピニオンの意見でもごらんになった方がいいですよ。笑われているじゃないですか。
小泉、靖国参拝の倒錯③
(wikipediaより原子爆弾;ファットマン)
(原子爆弾を落とした米には驚きだが、そんな戦争を初めてしまった日本の指導者にも責任があるのでは?と疑問が生じ始めてきた。普通落とすかよっていう米に対する驚きと、そんな戦争始めんなよっていう、いささか複雑な気持ちがないまぜだ。)
呉儀中国副首相が24日、小泉純一郎首相との会談を急遽キャンセルし、帰国した問題で、日本側は26日に非難の応酬を避ける方針を示した。
この問題、どちらに非があるのか、あるいは、双方に非があるのか、判然としない。私自身、呉儀副主首相のドタキャンに訳の分からない苛立ちを感じていることも事実だ。
だから、中国側が批判する20日の参院予算委での小泉首相の答弁をみてきた。すると、バンドン会議で歴史認識問題について、胡錦濤・中国国家主席に対し、小泉首相が「配慮していきたい」と述べた言葉とは、趣の異なる言葉があったように思う。少なくとも、バンドン会議での村山談話を踏襲した演説以降に、靖国神社参拝に対する小泉氏の信念に変化がないことは明確であると思う。
参院予算委でのやりとりが面白かったので、勢いあまって、これも中国側が批判する16日の衆院予算委のやり取りを調べた。少し複雑な心境である。コミュニケーションというのが、いかにうまくなされないか?という違った見方もできる。
テレビやラジオで聞くのと、活字で読むのでは、印象が大きく異なる、というのが率直な感想である。政府の答弁はしっかり読むべきだと思った。
以降、5月16日に開かれた衆院予算委における小泉首相と民主党・仙谷由人、管直人両氏との質疑を掲載する。
小泉、靖国参拝の倒錯②~公明党・福本氏との質疑~
公明党・福本潤一氏
首相に「靖国参拝はヒトラーの墓参りをするようなもの」と発言し、神崎氏から注意を受ける。公明党は連立与党だが・・・
5月20日の参院予算委での小泉首相と公明党・福本潤一・参院議員との質疑
○福本潤一君
小泉総理の靖国神社の参拝問題もお伺いさせていただこうと思います。
これ違憲状態、違憲の疑いもありというようなことも一方では出てきてはおりますし、と同時にA級戦犯の問題も具体的にあるということで、私の感覚でいきますと、中国側から見ると、例えばA級戦犯ということになりますと、例えば、ヨーロッパでいうと、ヒトラーの墓に、例えば参拝するドイツ首相というような形が起こった場合、ユダヤ人とか、またさらにはドイツ人が、どういう感覚を持つかという側面も考えていただければと思います。さらに昨日、記者会見された神崎代表、こういうふうに言っておられます。首相の信念を貫きつつ一番現実的で実現性が高いのは追悼施設を作ることだと。八月六日、広島でやりますけれども、そういう追悼施設に対してどういうふうに考えておられるかということをお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、この靖国神社の参拝がヒットラーの墓に参るのとは全く別問題だと思います。靖国神社には、これはA級戦犯のみならず、多くの戦没者の方が祭られているわけであります。
そして、私は、戦没者に対する参拝というのは、靖国神社だけではありません。無名戦士の墓地におきましても参拝しておりますし、広島にも長崎にも出席し参拝しておりますし、沖縄の戦没者の慰霊祭にも参拝しておりますし、特定個人のために参拝しているわけではありません。やっぱり、二度と戦争を起こしてはいけないし、戦没者に対する追悼の念を持つということは、これは人間としても必要なことではないかと思っております。そういう観点から参拝しているのであって、これが軍国主義の美化をしているという批判は当たらないと思っております。
(参議院HPより)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0114/main.html


