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小泉、靖国参拝の倒錯②~民主党・辻氏との質疑~

5月20日参院予算委での小泉首相と民主党辻泰弘との質疑

辻泰弘君 
 まず最初に、若林委員の御質問にも関連いたしまして、総理の靖国神社参拝について御質問をさせていただきたいと思います。
 総理は、2001年8月13日、2002年4月21日、2003年1月14日、2004年1月1日と、4回にわたって参拝をされているわけですけれども、これについて総理は、自らの参拝を、いわゆる公式参拝、私的参拝、いずれだと認識されているのか、そのことについてお示しください。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 

 私は、靖国神社参拝するのは、今まで申し上げています通り、戦没者に対する追悼の誠をささげると同時に、二度と戦争を起こしてはならないという一人の人間として参拝しているものでありまして、これは別に総理大臣の職務として参拝しているものではございません。
国務大臣(細田博之君)
 小泉総理の靖国参拝、靖国神社参拝は、いずれも個人としての立場でなされたものと理解しております。
 これは、平成16年3月に、当予算委員会におきまして辻議員から御質問を受け、福田前官房長官が、参拝そのものは私的な立場で、個人の真情として、真情の発露として行われたものであると理解しております。それから、平成14年5月に、同じく辻議員の本会議における御質問についての同様の答弁と全く同趣旨でございます。
辻泰弘君 今個人としてとおっしゃいましたけれども、私への福田長官の答弁のときは私人としてということでしたが、それはイコールと考えていいですね。
国務大臣(細田博之君) それはおっしゃるとおりでございます。
辻泰弘君 こういう内閣の見解なわけで、当然のことですけれども、その内閣の見解は総理の当然受け入れるところだと思います。それについてどうですか。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) かねがね申し上げまして、申し上げているとおり、総理大臣の職務として参拝しているものではございません。
辻泰弘君 率直に私の質問に答えてください。
 内閣としては、個人として、私人としての参拝であると、こういうふうに明確に言っているわけです。そのことを御自身でどう思っていらっしゃるかというか、そのことは自分自身として「そうだ」と認識されるのは当たり前だと思っているんですけれども、それはどうですか。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 総理大臣である小泉純一郎が個人として参拝しているものでございます。
辻泰弘君 個人として、私人として参拝されていると、そういうことですか、今おっしゃったのは。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私はかねがね申し上げているように、個人として参拝しているものでございます。
辻泰弘君 「かねがね」とおっしゃいましたが、かねがね公私ははっきりさせないんだと、意地でも言わないとおっしゃっていたのが総理のお立場だったわけで、それは変わったといいますか、常識的になったところはいいと思いますけれども。
 そこで、総理は非常にこのことと郵政のことはかたくなになっていらっしゃって、ちょっと大人げないと私はいつも思っておりますけれども、そこで、今年の1月の28日、沖縄地裁での判決があって、その中で、被告国、被告小泉純一郎ということで主張があるわけでございます。
 国としては同じ、今と同じように私人の立場での参拝だと、こういうふうになっているわけですが、小泉さん、総理の主張というのがございまして、そこで言ってらっしゃることが、閣議において公式行事と決定されるなどの特別な事情が職務行為となる場合は必要だけれども、この小泉総理の参拝は被告小泉一人の発意により一人で決定して実施したもので、本件各参拝を職務行為とするための行政行為は一切なされていなかったと、本件各参拝は、あくまでも自然人たる被告小泉が靖国神社に赴いて一人で行ったものであり、憲法上被告小泉に認められた思想良心の自由ないし信教の自由に基づいて行ったものと、こういうふうになっているわけです。自然人たる被告小泉がと、こうなっているわけです。
 余り、総理は自然人かどうかということは考えるところもありますし、余り自然な方でもないようにも思います。しかし、やはり厳密な法解釈上は自然人たることになるわけでございます。が、いずれにいたしましても、総理はさっき、今までよりは少し踏み込んでおっしゃっていただいたと思っています。一人の人間としてとおっしゃいました。また、私人という立場というふうにおっしゃったと思います。かつて国会では、総理はそういうこともおっしゃっております。平成13年でございましたか、私人として参拝したいということをおっしゃっておられたことがございますし、新聞報道等マスコミへのインタビューについては、私的参拝と言ってもいいかもしれないと、こういうふうにおっしゃいました。
 再度確認しますが、私的参拝とこう考えていいですね。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、前から私的とか公的とかいうことについてはこだわってないと、ただ総理大臣の職務として参拝しているものではないと、個人の真情として参拝しているものであると、それがすべてであります。
辻泰弘君 私は、ここが大事なことで、これまでの政府の見解のように、内閣総理大臣その他国務大臣の地位にある者であっても、私人としての信教の自由が保障されているところは言うまでもない。これらの者が私人の立場で参拝することは自由だと、これはもうそのとおりだと私は思います。
 しかし、私は総理というようなお立場の方であるならば、いろいろ考える中で自らの思いがどうであろうと抑制的であってしかるべきだと思います。が、しかし突き詰めたところ、やはり総理も当然私人としての、個人としてのお立場があるわけでございますから、それは認められるのが当然だと思います。
 しかし、総理の場合は、その私人、公人を明らかにしないままにやってこられて、むしろそのことを公人であるかのような吹聴の仕方といいますか、太鼓を鳴らしてどんどこやっているようなそういうことがあって、結果として違憲判決が出たり、違憲を推認、違憲の疑いを推認させるような判決が出ると、こういうことがあったわけでございます。
 例えば、内閣総理大臣として参拝を推認し得る要素を多分に含んだ態様となっているというのが大阪地裁の判決でございました。その中身としては、自民党総裁選の公約にしたと、あるいは国会等で発言をしたと、首相談話を出したとか、こういったことで被告小泉自身が内閣総理大臣として参拝することを明確に示す行動を取っていたと、こういうようなことを言っているわけですね。こういうことから、閣議決定や公費支出、他の閣僚の同伴といった事実がなくて、政府が私的参拝であるとの立場を取っていたこと等を最大限考慮しても、なお本件参拝は被告小泉が内閣総理大臣の資格で行ったものと認めるのが相当であるというのが、この大阪地裁の判決でございましたし、推認させるような判決になっている。
 また、違憲判決も実は福岡地裁で出ているわけでございます。
 私が言いたいのは、そういったことがやはり国内的にも私はおかしいと思っていますけれども、しかし、それが外国から見たとき、やはり摩擦を必要以上に増幅させたと、やはり神経逆なでして不信を増大させたと、その罪といったら問題ですが、その責任は私は極めて大きいと思うんですね。私人として明言された上で行っていらしたならば、私は、それは私自身としても許容せざるを得ないといいますか、いたしますし、諸外国から言われても、そこはやはり個人の自由だということになると思うんですが、総理の場合、そこをあいまいにあえてされて公人であるかのように振る舞ってこられたことが、私は必要以上に問題を大きくしたと、このように思っているわけなんです。
 ですから、そういう意味において、私は私人であるということを明確にした上で行かれるということが当然だと思いますし、適切に判断してとおっしゃっていますが、適切というのはどういうことかよく分かりません。いずれにいたしましても、そのことについて十分認識をして対応していただきたいと。
 与党の中でも、新聞を見ますと、公明党の神崎代表が、大局観に立った行動を取るべしと、このようなことも昨日発言されているようです。私は今までの総理のこの問題についての対応というのはやっぱり大局観がなかったと断ぜざるを得ないと思っております。この問題について、やはり私的参拝である、個人としての行動であるということを明確にして、認識をしっかり持っていただいて、その考え方の下に行動していただくということで申し上げたいと思いますが、総理、そのことについて御見解をお示しください。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 被告、被告と言いますけれども、私のことを、なぜ靖国に参拝することが憲法違反で、私が被告人になるのかと、これも不思議でしようがないんです。
 憲法解釈、裁判にもいろいろな判決があるんですよ。一つじゃないんです。全然問題ないという判決もありますし、今言ったような問題があるんじゃないかという判決があるということも承知しております。しかしながら、私は大局的に、見地に立って参拝しているんですから。これは個人の真情を、いかに内閣総理大臣であろうとも他人がこれは憲法違反であると言うのは、私は理解に苦しんでいるんです、いまだに。
辻泰弘君 法治国家なんですから、裁判が起こってそれを受けて立つのは、それはある意味では別におかしなことではなく、私は判決を読んだだけでございますから、それは別に私は決め付けたわけではございません。
 それで、確認しておきますけれども、最初に戻りますが、じゃ、やはり個人としての私的参拝であると、こういうことでいいですね。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 何回も申し上げておりますように、内閣総理大臣である小泉純一郎が参拝しておりますが、内閣総理大臣の職務として参拝しているものではございません。
辻泰弘君 総理は、今日は後半がちょっと盛り返されたかもしれませんが、前半に、一人の個人として、一人の私人としてというニュアンス出たと思います。そのことを十分踏まえて対応していただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。

(参議院HPより)

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0114/main.html

*憲法20条政教分離原則 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

 


小泉、靖国参拝の倒錯②~民主党・若林氏との質疑~

参院予算委での小泉首相と民主党・若林秀樹との質疑

若林秀樹君 

 この四年間、国際協力の分野では、有事関連法案、国民保護法制、イラク特措法、テロ特措法、様々なことで、その立場は別として、進んだ部分もあるんではないかなというふうに思います。しかし一方、隣国との関係で見れば、私はむしろ悪化したんではないかなというふうに思います。
 先日の衆議院、衆議院の予算委員会で、福田前官房長官が今の中国との関係を異常な状態であると。私の言い分も、福田前官房長官が言っていただいているところもあると思いますが、我が国の、国際社会における存在が非常に大きいと。そういう意味では、やっぱり自信を持ってもいいということもありますが、一方でやっぱり責任もあるんだと。今の中国との関係を見れば異常な状態であるということを元女房役である官房長官が言われたということに対して、どんなふうに受け止められていらっしゃいますでしょうか。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、中国との関係は両国の首脳の間で重要であるという認識を共有していると。今後、日中関係の二国間関係のみならず、国際社会でも日中の協力は必要であると。そういうことから福田前官房長官は言われたのであって、私はこの方針に沿って今後とも日中の関係を重視していきたいと思っております。
若林秀樹君 微妙に私の質問に答えていないんですが。
 元女房役である官房長官が、今の状態は異常であると、やっぱり自覚を持ってほしい、責任持ってほしいということを言っていることに対して、一緒にやられていた総理としてどんな感想をお持ちですかと。それ、決してそうではないんだと、ちゃんとやってきているんだという反論でありましょうか。そういうことであれば、私はそれで取りたいと思いますが、官房長官とはまた、前官房長官とやっぱり立場が違うということであります。
 私が申し上げたいのは、小泉総理がどんな言い分があろうとも、政治や外交もやっぱり結果責任であります。それは、向こうの言い分もあるでしょう。向こうの責任もありますよ。しかし、現状こういう状態が四年間続いていることに対して、やっぱりアジアのリーダー国たる日本が、やっぱりこの状態でいいのかどうか、それに対して、責任を感じてほしいということであります。そのことを私は申し上げているのでありますので、もっと大局的な判断で、友好関係、関係維持を発展させていくのであれば、それなりの行動が必要ではないかと思いますので、そういうことに対する責任は何にも感じていないんでしょうか。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、大局的見地に立って日中関係を友好発展させてきたと、実績が証明していると思っております。
若林秀樹君 その実績がないから福田前官房長官も大局的な見地に立って判断してほしいということを言っているわけでありまして、私が言うまでもなく、元官房長官が言っているわけであります。
 私が申し上げたいのは、じゃ、例えば今回でのアジア・アフリカ会議においても、村山談話に踏襲して痛切な反省と心からのおわびの気持ちを伝えたわけですよね。こういうことを繰り返しながら、なぜ今の関係になってしまうのかというこの現実を見てほしいんですよ。戦後六十年もたっているわけですから、特に若い人、二十代、三十代については、戦前の歴史に対して一区切り付けていきたい。この繰り返しなんですよ。
 だから、言葉と行動が一致していないこの現実をどう見るかという意味においての責任を言っているわけで、やっていて、本当に今、じゃ友好発展しているんですか。全然問題ないんですか。私は全然そういうふうに思わないですし、中国にも責任があるということを別に否定しているわけじゃないですから。その上で、今の現状でいいかどうか。それに対して、「ああ、今のままでいいんです、大局の判断にしている」んだったらもう何の進展もないですよ。そういうことを申し上げているんです。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、日本の歩んできた姿、この六十年の歴史を見ていただければ理解していただけると思っています。しかしながら、中国の立場が違うということも承知しております。
 意見の違いはどこの国もあります。ある問題について、そういうような対立がどこの国でもあります。そういう点について、相手の言うことについて協力する場合も、意見の違いもあると思います。一部の意見の対立があるから、これをもってして悪いと見る見方は一面的ではないかと思っております。今までも、中国の目覚ましい経済発展によって日本との相互依存関係はますます強まっております。人の交流も拡大しております。そういうことから、日中重視という意識も首脳間で共有しております。
 私は、一時的な対立、問題があっても、将来を展望すれば日中友好していこうというその方針に沿っていかなきゃならないという認識を持っている限り、一時的な対立が一部にあるからといって、これが将来にも悪影響を及ぼすかというと、及ぼさないような今後努力をしていく必要があるということは分かりますが、今後も、私は、会談を行いながらも、そういう両首脳の共通の認識を持って友好発展を促進していかなきゃならないと思っております。
若林秀樹君 一部に相違があるのはどこの国もそうです。昨日のある大使の方も言っていましたけれども、歴史的な認識があるのは日中だけじゃなくて、各国どこにでもあるんです。だから、そういう違いを乗り越えての外交がやっぱり必要であるというふうに思います。
 だから、違うところを殊更に違うんだと言ったって進まないわけですから、やはり共通の利益は何なのか、日中の共通の利益は何なのかという、そこに対して私は手を携えてやっていく必要があるのだから、小泉総理は相手の嫌がることを控え目にしていくということも、大局的な判断としては私は必要ではないかと思いますので、現実問題として、どんなに控え目にしようが、この四年間、両国の首脳が行き来をして会談をしていないというこの異常状態をどうするかという話でありますけれども、じゃ今のままでいいということですよ、小泉総理は。それはもう、相手は立場は違うんだからこのままでいいということをおっしゃっているんですよ。常任理事国入りしようとしているわけでしょう。この3か月が重要なんです。だから、そういう認識に立って、どう改善していくかという視点から私はやっぱりしっかり判断すべきことだと思います。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 何回も首脳会談をしておりますし、これからの友好関係を発展していこうという共通の認識を持っているわけであります。そういう観点から、協力関係を発展させていきたいと思っております。
若林秀樹君 そうなっていないから私は申し上げているんであって、やっぱり異常な状態だということを前官房長官認めているわけですから、これに対してどうリーダーとして手を施していくかということがやっぱり重要なんであって、今の放置でいいということですよ。それはもう開き直りに近い。もう今の日中関係でいいということです。それでは絶対常任理事国入りになんかなれませんよ。
 やはり力だけではなく、アジア諸国から尊敬されるためにはどうすべきか、そのことが常任理事国入りの資格ではないかと思いますので、今のような態度だと、だれも信用しないですよ、小泉総理。それに対してどうしていくかということを、ここできっちりと明言していただきたい。
 中国、いいですよ、じゃ中国が反対されたら常任理事国入りになれないんですから、その現実問題としてどうしていくかということであります。その意味で、何か御意見あればお伺いしたいと思いますが・・・今のままでいいんだったら私はもうこれで続けますけれども、私はこの三か月は非常に重要な時期に来ているんですよ。仮に中国が心から賛成しなくても、ただ黙っているのか、キャンペーンを張って動いていくのかでこれ全然大きな違いがあるんですよ、これは。だから、この重要な時期に、どうメッセージとして中国に発信していくのか、どう常任理事国入りに対して時のリーダーとしてやっていくのかという戦略、発想がもう全然ないんですから、全然もうやる気がないとしか私は思えません。
 そういう意味で、反論があるんだったら言ってください、これ。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、中国にしても、アメリカにしても、常任理事国を更に増やしていくことについて消極的であるということは分かります。既得権というものがありますから。
 そういう中にあって、今の中国の拒否権を持った常任理事国の立場からすれば、中国が拒否権を発動すれば日本も常任理事国になるということはできないという理論も分かりますけれども、日本は今、ドイツ、ブラジル、インドといわゆる四か国、G4というグループの中で各国に働き掛けているわけでありまして、その四か国に対しましても周辺国は反対しているのも承知をしております。ドイツに対してはイタリアが反対している、あるいはブラジルに対してはアルゼンチンが反対している、周辺国、インドに対してはパキスタンが反対していると。周辺国はみんな反対しているのは承知しております。
 しかし、これほど国連の改革機運が高まっているときに、そういう反対を承知でありながら、国際社会の中で国連改革が必要であるということから協力を求めているわけでありまして、仮に中国なりアメリカが消極的であったとしても、国際社会の状況を考えて賛成、協力をしていただけるように働き掛けが今後も必要であると。
 また、中国におきましても、反日感情が強いということは承知しておりますが、そういう点についても、歴史的な認識においては違いますが、お互い、反日感情とかあるいは日本における嫌中感情というものは、感情的にならずに、冷静に慎重に対応して、将来の友好増進について協力をしていく必要があると、そういう中でお互いの理解と支持を得られるような努力を今後も続けていきたいと思っております。
若林秀樹君 私は、中国側の肩を持っているつもりは全くありません。この友好関係を築いていくことが両国の利益になる、その大局的な見地に立って判断すべきであるということを申し上げているんです。
 そういう意味では、ああいうおわびの言葉を言いながら、相手を刺激するようなことを今この段階で、例えば靖国いつ行くかこれから決めるとかって、ああいう発言をすること自体が私は無神経だというふうに思います。相手が嫌がることは、リーダーたるゆえんは控え目にする。人を憎まず、罪を憎んで人を憎まずって言いましたよね。それは中国が言っているからってこの間言っていましたよね。孔子の言葉の本質は、罪を憎んでいるんです。ですから、別に東条英機氏個人を憎んでいるわけじゃないんで、罪を憎んでいるからA級戦犯を祭っている靖国神社に対して行くことを駄目だというふうに言っているわけで、全くこの孔子の教えに合っているんですよね。
 これ、違うと言っていますけれども、そういう解釈において、私はやっぱり今のこの状況の中で、小泉さんの一つ一つの言動が、非常に私は、せっかくこうやってアジア・アフリカ会議に行って、こういう反省のスピーチをしながら、その後の行動が、帰ってきたらもうすぐに伴っていない、すぐにもう反発しているわけでしょう。そういうことを大局的に判断するのが国の外交を推進する私はリーダーだというふうに思います。
(参議院予算HPより)

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0114/main.html

小泉、靖国参拝の倒錯②

戦前の靖国神社参拝風景  

(靖国参拝違憲訴訟の会HPより)

呉議副首相と小泉純一郎首相が会談を予定していた24日に先立ち、参院予算委員会が20日に開かれ、小泉純一郎首相は、質疑の中で靖国神社参拝に対する信念に変化がないことを示唆している。

 

 

 

日中関係の悪化を受け、民主党と公明党が首相に対し、日中関係を修復する意図があるなら靖国神社参拝を断念するよう誘導するのだが、首相は取り合わない。その構図が参院質疑全体をみるとよくわかる。

 

 

私自身初めて、参院質疑を全文読んだのだが、非常に面白い。新聞やテレビで伝え聞く報道では、「靖国参拝継続を示唆」や「内政干渉、と中・韓の批判を一蹴」など単純化され、構図そのものが今一つみえない。さらに、「またマスコミは、国会でも、中国と韓国の日本バッシングと同じことを、そのまま伝えて」というような、一種の倦怠感が醸成される。

 

 

この上記のように単純化された情報の反復に対する倦怠、という構図そのものが問題を孕むと思うので、以降、参院予算委における小泉首相と民主・公明各党の、首相の靖国神社参拝に関する質疑を掲載する。

 

小泉首相、靖国参拝による倒錯

ニックネーム;純ちゃん

 (首相官邸ホームページより) 

小泉首相「靖国発言」で中国側「緊急公務」撤回
 

 

 中国外務省の孔泉報道局長は24日の定例会見で、呉儀副首相が23日に小泉純一郎首相との会談を中止し、帰国したことについて「緊急の公務」としていた説明を撤回し、小泉首相が靖国神社参拝継続の意向を表明したためだとの見解を初めて明確に示した。歴史問題を最優先にした対応ともいえ、今後、中国が小泉政権批判を強める可能性が高い。日本が目指す国連安全保障理事会の常任理事国入りや、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の再開にも影響を与えそうだ。

 

 孔局長は呉副首相の帰国について「日本の指導者からA級戦犯をまつった靖国神社問題で誤った言論が相次いだ。会談に必要な雰囲気と条件がなくなったためだ」と述べ、会談のキャンセルが対抗措置であることを事実上、認めた。
 さらに孔局長は会見で「17日以降の日本の指導者の靖国神社問題の発言に関する報道を読めば、(小泉首相と呉副首相との)会談キャンセルの理由が理解できるはずだ」と語った。
 小泉首相は16日の衆院予算委と20日の衆院予算委で、自身の靖国神社参拝について「他国が干渉する問題ではない」「いつ行くかは適切に判断する」「大局的見地に立って参拝している」など参拝継続と受け取れる発言を繰り返した。
 中国からの靖国参拝中止要求に内政干渉との反発がでていることについて、孔局長は「日本は戦後、平和の道を歩むと繰り返してきたのに、そのような意見が出ることには憤りを覚える」と反発、内政干渉に当たらないとの立場を示した。
 小泉首相は、中国側が中止の理由を首相の靖国神社参拝など歴史問題だとの見解を示したことについて「会談すればいいじゃない。話せば分かるじゃない」と記者団に語った。(毎日新聞抜粋)

 

 

 

 感情的には、呉副首相が小泉首相との会談を一方的にドタキャンしたことに腹が立つ。中国民衆の反日デモによる日本大使館や日系企業への破壊行為、さらには日本人留学生への暴力行為の数々。にもかかわらず謝罪さえしない中国政府に対する不信感も加わり、「日本は中国になめられているのではないか」との、自分の属する共同体に対する冒涜を、自分に向けられた敵意かのように感じる気持ちは十二分に分かる。だから、中国政府の行動に対し「失礼だ」と感じる人々や閣僚達の気持ちも全否定はしない。

 

 

 だが、この一連の騒動をよくよく読みこんでみると、日本側、いや小泉首相の行動に非がない、とは言い切れない。いやむしろ、小泉純一郎氏一個人、私人としての信条によって、日中・日韓関係がこじれているといえるのではないだろうか。

 

 

 今後、516日の衆院予算委・520日の参院予算委でのやり取り、さらには、バンドン会議での演説まで遡り、小泉純一郎首相の矛盾点を追及していきたい。



尼崎脱線 反省文19回

 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、死亡した高見隆二郎運転士(23)が昨年6月にオーバーランをした後、JR西日本・京橋電車区(大阪市)で受けた再教育「日勤」の詳細が20日、明らかになった。

 13日間に書かされた反省文は19回、原稿用紙で計30枚以上。遠足の小学生の団体乗車で生じた10秒の遅れを、上司3人から詰問され、「回復運転」できなかったことを厳しくとがめられていた。

 高見運転士は昨年6月8日、篠山口(ささやまぐち)発木津行き快速電車を運転中、片町線下狛(しもこま)駅(京都府精華町)で100メートルオーバーランし、翌日から電車区の詰め所で午前9時~午後5時45分まで「日勤」を受けた。

 教育係の上司3人から、「なぜオーバーランしたのか」「今後どういうことに気をつけるのか」と繰り返し質問を受け、「安全意識が欠けていた」と答えた。この下狛駅到着時に10秒の遅れが出ていたが、小学生が団体乗車した一つ手前の駅で、「子供たちが(乗り降りに)もたもたしていたので……」と、乗降時間が10秒余分にかかったことを説明。上司らは「それくらいの遅れは取り戻すべきだった」と、下狛駅までに回復運転できなかったことを責めた。

 高見運転士が運転士になったのはこの約1か月前の昨年5月。訓告処分を受けて、同年12月のボーナスを5万円カットされた。

 JR西日本は事故後、再教育制度を見直しているが、高見運転士の日勤について「電車区長の裁量で適正に行われたと判断している」としている。



~以上は読売新聞を引用~



 JRの過失と思われるものをまとめてみる。



①3両目のオイルダンパーの未整備。

過密ダイヤ。余裕時分をゼロに。

③新大阪総合指令所が回復運転に勤めるよう、高見運転士を繰り返し無線で圧迫。

④JR総合企画本部が新型ATSのための予算要求を拒否。

⑤労働法91条違反の疑い。

 で、この不合理な反省文である。ちょっと、狂気さえ孕んでいるように思う。

 

 

 JRの事故をみていると、日本社会に昔からつきまとう悪習であり、狂気が見え隠れする。

 それは、極度の精神至上主義だ。

 

 「このつらさを乗り越えてこそ、一人前」

 浪花節といってもいいかもしれない。

 

 だが、その精神主義は科学技術を必然的に使わざるをえない今の時代にはそぐわない、と思う。

 そろそろ浪花節以外の成功物語を、編み出さなきゃならないようだ。