人物ルポ「自然の紐帯」
薬剤師で小説家で。相容れないであろう分野を器用に使い分ける、あるいは融合させられる人物ってちょっと羨ましい。
「●●ダです。へへっ」
自己紹介の冒頭、彼は名前を告げて少し照れた。
●田さんは奈良のサン薬局で働く26歳の男性である。薬局では店長を勤めるかたわら、忙しい合間を縫って、小説を書くため、編集学校に通う。
読書量がすごい。小学2年の頃から乱読を始め、今まで読んだ本は1500冊を超える。トイレやお風呂でも読むのだそうだ。ジャンルは問わず、ライトノベルから解剖学の本まで幅広く読むという。
「リアリティがたりないなぁ、なんて、へへ」
腕を組むポーズをとって彼は、小首を傾げながらそう言った。ホラーやスプラスティックな映画はあまり怖くないのだという。大学の薬学部時代に森之宮の検死医を研修で訪れ、切り刻まれた死体を見ていたからだ。その時も特段、動じなかったという。薬局でのバイアグラの取り扱いの話になった時、セックスという言葉が彼の口から何度も出たが、全然いやらしくは聞こえない。その言葉は「生殖行為」という生物学用語なのだろう。少し違和感があった。文学を追求する者が特有に持つ粘性をあまりに感じさせないからなのかもしれない。
落ち着きと羞恥、薬学と文学、物質と精神。その間に存在するはずの彼の紐帯を、僕は知りたくなった。
けれど、彼の口からその乖離した2つの現象を紡ぐ言葉を、はっきりと聞くことはできなかったように思う。それでも、彼を見ていると、その間にあるふくよかな「何か」をしっかり携えていると感じた。その手掛かりは実家の話にあるように思える。
「良い両親に恵まれたと思います」
実家は岐阜県・高山市で宿屋・●ダペンション、通称「●スペン」を営む。高校の時は自給33円で働かされた、と言いながら屈託なく笑う。北アルプスの大自然に囲まれ、優しく暖かい両親に囲まれ・・・僕の思い込みかもしれないけれど、彼の生まれ育った自然が、2つの乖離を1つにしている太い紐帯ではないだろうか。
●田さんが、その間にある太い紐帯をはっきりと意識した時に紡ぐ、物語とはどんなものなのだろう。きっと客観的で、太く、優しい物語なんだろう。
小泉,靖国参拝の倒錯(4)
以前、僕のブログ“小泉、靖国参拝の倒錯③~予算委での首相答弁の結論~”
http://nudecask.ameblo.jp/category-3e6b650b6dd0c7f483735c88f7f05032.html
の中で、①なぜ小泉首相は靖国神社参拝にかくも拘るのか?②なぜ靖国神社参拝が国際問題化するのか? 換言すれば、中国や韓国が首相の靖国参拝を批判する理由は何か?この2点を追求していきたい、と書いた。
その言ってしまった責任をとるべく、この2つの理由を調べるうち、どんどんと深みに嵌まり込み、膨大な時間がかかってしまった。それほど、この問題は単一の観点からは原因追求が難しい。そうこうしているうちに、首相の靖国参拝については様々な媒体でその理非が論じられている。文藝春秋7月号では首相の靖国参拝について様々な識者によりその理非が論じられ、今回、多くのヒントをこの著書から得た。首相の参拝是非について僕独自の結論を導き出したい。
首相の靖国参拝の是非について、結論から言うと、小泉首相は靖国神社に参拝すべきでないと僕は思う。この理由はいくつかあるのだが、まず問題をいくつかのセグメントに分けて、観点を明確化させる必要があるだろう。この靖国参拝には、①国益②情緒的側面③法制的側面、この3つの観点から、その理非を論じなければならない。さらに、この3つの観点に加え、前提として国際問題と国内問題という2つの枠組みを峻別しながら見ていく必要がある。もちろん、この3つの観点と、内外2つの枠組みとが様々なポイントで交錯し、混同されるところにこそ、この問題の難しさが内在している。
いずれにしても、まず小泉首相が靖国神社を参拝することで得られるであろう国益と、損なわれるであろう国益を明示する。ここでは情緒的な利益あるいは内外の利益、さらに、やや作為的ではあるが国益とは呼べない利益をも含むものとする。
得られる利益
1.憲法改正論議の加速、再軍備化
2.天皇制の護持
3.主権国家としての基本的な権利の確立
歴史解釈権や内政不干渉の原則の確保
4.恫喝外交に毅然とした態度を内外に示す
日本の国家としての威信、いわゆるメンツを保てる
5.国民の愛国心を醸成
神社参拝を国民統合のための重要な儀礼として位置付け
6.A級戦犯の名誉回復
太平洋戦争の肯定的再評価
7.日本遺族会、軍恩連盟の票の確保
8.英霊を慰める
9.靖国神社の知名度アップ
10.小泉首相の私的満足
損なわれる利益
1. アジア諸国民、とりわけ中国・韓国国民の気持ちを傷つける
2. 近隣諸国との不和という点で、欧米等、国際社会からの信頼を損なう
3. 外交カードをみすみす中国に持たせてしまうことになる
以下に具体的な事象を記載
4. 日中経済の安定的関係の醸成
5. 東アジア共同体構想の具現化
6. 国連安保理常任理事国入り
7. 日中首脳の相互訪問の再開
8. 春暁ガス田など東シナ海天然ガス田開発問題の着手
9. 尖閣諸島の領有権問題
10.反日デモの収束
上記のような国益を踏まえた上で、②の情緒的側面に焦点を当て、小泉首相の靖国神社参拝の是非を論じていく。
小泉、靖国参拝の倒錯④
俺は中国の反日デモに腹が立つし、小泉首相の靖国参拝に対する答弁にも疑問がある。このすっきりしない感覚は一体なんなんだ。「政治はそういうもん」って問題を相対化させる弁は聞き飽きたし、この際、白か黒かはっきりさせたい。モヤ靄模糊モコ、もうこんなイライラ衣良衣良はいらない。皮肉も冷笑もたくさんだ。どうすべきなのか、俺が求めているのは結論。確固とした最低な裁定だ。
勝手に結論づける。小泉首相は靖国神社に行くべきでないと俺は思う。中国には反日デモで日本人が受けた実害に対し謝罪と補償を求めたい。アメリカには原爆への謝罪を求める。東京裁判は茶番だが、靖国神社は大東亜戦争を美化しているし、天皇には戦争責任がある。生きていればA級戦犯であったろう杉山元には嫌悪感を覚えるが、A級戦犯である東郷茂徳は好きだ。俺はアメリカが好きだし、中国も韓国も好きだ。日本はもっともっと大好きだ。
北朝鮮での珍奇な現象を取り上げるのは、風船おじさんが一般的な日本人だと欧米で紹介されることに等しい。あるいは・・さわやかでもない高校球児の丸坊主が涙する姿に、ナンシーがアイスクリームをほうばりながら、にやにやにやにや嗤うよな。。。
問題の根源は欧米への劣等感じゃねぇっ!?
小泉は中国や韓国でなく、アメリカに靖国参拝を自嘲するよう求められても行くのかねえ、、、っはなはだっ疑問だ。
次回、大真面目に論点をまとめ、靖国神社参拝の是非を論じたい。
中国ブロガー規制に直面
中国政府は、ブログやチャットなど公開ウェブサイトを取り締まる計画を発表した。中国のウェブサイトは以前から公式な登録制にするよう要望されてきたが、当局によると今回、ブログが中国政府の管理下に置かれるべきだとする案が決定されたという。
中国・情報産業省によると、私的ブロガーはサイトに責任を持つため身分証明を登録しなければならない。ウェブサイト上の出版元や広告主が登録を行わなければ、$66,000(約712万円)の罰金が課される。すべてのブログやウェブサイト管理者は6月30日までに登録を済まさなければならない。
中国・情報産業省は、ウェブ規制について「インターネットは多くの人々を利する一方で、セックスや暴力、封建的な迷信など、人民の精神に悪影響を及ぼす情報をももたらしている。」と公式ウェブサイト上で理由を説明している。(BBC NEWS)
豪中国領事が亡命申請
在シドニー中国総領事館の陳永林・領事(37)がオーストラリアに政治亡命を求めていたことが4日、明らかになった。陳氏はシドニー市内で同日開かれた天安門事件16周年の抗議集会に参加し中国の抑圧体制を厳しく批判、中国当局は豪州の反体制派中国人を拉致して帰国させていたと“爆弾発言”した。
陳氏は総領事館で過去4年間、中国の反体制派や気功集団「法輪功」の動向を監視する任務に付いていた。しかし、民主化を拒み反体制派への弾圧を続ける中国政府をこれ以上支持できないとして先月末、総領事館を脱出し、妻(38)と娘(6)の家族3人の亡命を豪州政府に申請。亡命は拒否されたが、中国当局の追跡を受け、身の危険を感じ、代わりに豪州政府の安全確保を求めて保護ビザを申請したという。
陳氏は集会で、中国当局が豪州に留学中だった民主活動家の息子に薬を飲ませて拉致し、貨物船で中国に送還したことがあると発言。豪州には中国の秘密情報員らが何千人もいるとも述べた。
豪州紙によると、陳氏は89年に起きた北京の天安門事件で民主化を求めるデモに参加。その後“再教育”を受けて91年に外務省に入ったが、在シドニー総領事館勤務中に反体制派を監視する任務の傍ら、ひそかに支援を続けていたという。(毎日新聞)
中国がきしみ始めている。①経済の急激な発展による農村と都市部での経済格差②それに伴う人口の急激な増減③江沢民から胡錦濤への政権移行による求心力低下④求心力低下による反動として、体制側の締め付け。
上記が主な中国動揺の理由であるだろう。
この動きは気をつけないと大変なことになるんじゃないか。近代化の課程で、必ず民と官による綱引きがある。現在の中国の状況は、大日本帝国が太平洋戦争へとひた走った過程と類似した構造がある。それは資本主義経済の導入による農産品価格の下落が大量の都市移民を喚起するのだが、そこには資本家による過酷な労働力搾取と失業が待っている。
重要なのは、その民の不平がどこへ向かうか、である。日中戦争の時、抗日戦線という形で、まるごと民の不平は日本へと向かったが、今回はどうか?


