食べる事から学ぶ
上原善弘著
『被差別の食卓』
新潮社刊
食文化関する興味、民俗学、民族史、社会学や法律学など様々な分野を取り込んで『食べる事』から出発したドキュメントです。
フライドチキンが黒人奴隷制度や差別から生まれた食文化であること、中東イラクではハリネズミを食べる話、ネパールではカースト制度の過酷な貧困と差別に触れる。アジア世界におけるケガレ観の流布など、歴史や地理の裏を知る手がかりとして『食文化』から問う、著者の平明な論述は実に楽しい紀行文でもあり、我々が無知に終始する差別制度への告発でもある。
これは私見ですが、イルカや鯨も日本人のソウルフードとして考えると、世界に対して、我々が日本人というマイノリティ文化を維持するのか、捨てるのか…ふと、感慨深いです。
強烈に日本人をマイノリティとして意識した場合に、それは大切な作業かもしれません。
視点を変えてみる事
井沢元彦著
逆説の日本史
小学館文庫刊
中世動乱編。主に平家物語、吾妻鏡を中心に時代考察されています。
政治主権は公家政治から武家政治への転換期です。この後、武家政治は南北朝時代から近世近代へと時代は下ります。
通説や定説、学説など様々な読み方が歴史には可能で、そこが人々の興味を引きつける世界だと思います。
井沢史観の各論には、示唆を含むところが多く、改めて原書を開く作業も少なくない。
ですが…総論として歴史観を考察した場合、底流に流れる井沢史観の主題には、私は少なからず幾つかの疑問を持っています。
ですが、やはり本編の各時代論は手軽に歴史への興味を喚起します。
その視点からも、教科書的歴史観とは違う視点の歴史を読みたい方々には、一読の価値以上はあると思います。


