切り取り | Novel & Scenario (小説と脚本)

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芸能ネタにはそもそも疎いんですが芸能人同士の「電撃結婚」というのを最近よく見る気がします。以前は週刊誌などで交際が取りざたされ、いくら疎くても入ってきたんですが最近は結婚発表を突然ニュースで知る。

なぜかと言うと交際が取りざたされないから、バレないから、聞くところによると芸能人は今おもてで会わないらしいですね。

コロナ禍の影響はあるんでしょうけどそれ以前に携帯電話が巷に溢れ、ほかにもカメラがあちこちあるし、SNSの浸透もあって「外に出ないのが一番」となったんでしょう。窮屈でかわいそうですがじゃあどこで会うかと言うと、自宅みたいです。交際は主にお互いの自宅で。芸能人専用のマンションが結構あるらしく、そこにお互いが越しちゃえばあとは自由。行き来しても見つからない。昨今セキュリティーはしっかりしてますから。一般人は入れないし住んでもないので漏れようがない。

それを芸能記者と呼ばれる人たちが嘆くんだそうです。ネタがない、入ってこない、「仕事になりませんワ」と。

まぁボヤきたくなるのはわかるんですが、芸能記者って芸能人ありきの職業ですよね。人気に乗っかってる。そもそも芸能人がいないと成り立たない。自力ではなに1つ生み出せない。

それはでも芸能記者に限らず、例えば自分なら物語を書くにも(今はほぼこのエッセイばかりですが)日ごろ入ってくる情報が刺激になったり、これまで接した人や作品を思い出したり、あれこれ重なったり結びついたりしてアウトプット、絞り出してはいますが自分ひとりじゃ生み出せないもの、自力ではなに1つ書けないものと思ってます。

なので芸能記者だけことさらどうこうは思いませんが、芸能人のプライベートを根掘り葉掘りする職業だと嫌がられてもしょうがないし、対抗されてネタがなくなっても諦めるしかないよね、とは思います。それを自身がボヤくのはなぁ、と。芸能人とマスコミは持ちつ持たれつじゃないですかぁ、と自ら言ってるような悪びれなさ、居直りを感じます。

それに無理くりオーバーにしたりしますしね、切り取って。

例えば写真にしても連写した中からちょうど手が重なったところ、手をつないでるように見えるものだけを選んで載せたり。あえて誤解を招く。

発言も一部を切り取って芸能人や政治家が怒ったりしますね。

記事のタイトルも目を惹くような書き方で、中身を読んだら全然違ったり、違ってなくてもわざと誤解させるものだったり、見出しがすべてで内容がまるでなかったり。

誰のための記事かなぁと思うと読者の好奇心は満たしてないし、ネタにされる芸能人や政治家は得してないし、マスコミ自身のためかな、と。ただ読まれたいだけ。自己中。

でも今回お題にした「切り取り」について言えば、みんながまぁまぁしてるでしょう。

例えばお笑い芸人が面白おかしく話ができるのは、エピソードをうまく切り取れるから。その能力があるから。

それはテレビ番組にしろネット動画にしろそうですよね。うまく切り取って編集されたものほど面白く好まれる。

政治家も言葉で訴え説得する際は、最高の効果を狙ってワードや内容を選び、分の悪いことは伏せるか伏せずとも分量や話す順を考え、やはり編集してる。切り貼りしてる。自分の意図する方に導けるように。

そして同様のことは政治家や芸能人に限らず一般人も日頃してるはずです。

自分はそれらをひっくるめて「物語」と考えていて、小説にしろ映画にしろフィクションは最たるものですよね。目的に導くため要点を絞り、伝わるように技巧を凝らしたもの。物語にすることで物事がわかりやすくなり感動もするし、恩恵はたくさん得てます。物語を作らない人、持たない人はいないし、みんなが少なからず切り取りしてる。

いや一緒にしないでくれ、という反論があるかもしれません。切り取りにもいろいろあって、マスコミのは利己的だし悪意があるし、こっちは少なくとも悪意はない。まるで違う。

でも善意をもとにした切り取りでも誤解を招くことはあります。悪気などまったくなくまとめたのに「いや一番大事なとこ削ってるやん」とツッコまれたり。気づけず天然で切り取ってるケース。

全方位に誤解がないよう考えたら切り取らないのが一番ですが、それだと今度は長すぎて伝わらなかったり。切り取らなくても誤解される時はされる。

なのでやむを得ないもの、切り取って編集して物語るのは仕方ないんだろう、と思います。

だからって切り取りに「怒りなさんな」と言うんじゃなく、自分に火の粉がかかれば払って当然だし、悪意とは戦えるなら戦えばいいし、戦える人は貴重です。

しかし切り取りは世に溢れていて自分もしてるよな、という自覚はあった方がいい、と言うかある方がまともだろう、とは思います。そこまで来てやっと戦えるんじゃないか、胸を張って、と思うんですが、どうでしょう?
 

 

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