Novel & Scenario (小説と脚本)

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【 目 次 】



AIとの対話  NEW
人工知能、シンギュラリティー、パンデミック、天変地異…人間を超えたAIが社会を動かす未来、世界は破滅に向かっていた。SF短編シナリオ最新作、全文公開中。



遥か彼方へ
20世紀初頭の某国。復讐に燃える青年と、孤独な少女が出会う…最新シナリオ。



物語についてのエッセイ
物語を愛でる人、作る人、嫌う人、すべてに送るエッセイ集。



あるハワイの芸術家
…ハワイを舞台にした家族の物語。

犬友
…ハワイを舞台にした家族の物語。続編。

いつもそばに
…ハワイを舞台にした家族の物語。第三弾。

めぐりあい
…ハワイを舞台にした家族の物語。最終章。



逃避行
…昔々あるところで出会った少女と男の冒険譚。

ビデオコンテ配信中です。



楽園
…深い森の奥で暮らす小人たちの運命。

水の星を旅する男
…文明が水没した未来で彼らは出会う。



HERO
…大雨の朝、繰り返される悪夢の結末。

初恋
…ふたりの男子に揺れる女子高生15歳の春。

アイドル
…会いたいと願った6年越しの恋。

夢で会えたの
…今は亡き人との再会。



dreamers
…母の不倫、踏切事故、意識不明の妹、予知夢…エンターテインメント小説。



コロナ禍の日々の断片
ステイホーム、GoTo、医療崩壊、クルーズ船…コロナ禍の日々を綴った連作の短編シナリオ集。



あの夏あの島で
…湘南・江の島を舞台にした夏の恋。



友情結婚
…その結婚はカムフラージュ。



明るい離婚計画(仮)
…散り散りになった家族の春までの物語。



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ビデオコンテの第二回は7月29日に配信しました。

 

 


 

●森の中

 

走る馬上でノアが横に気づき、サクに知らせて指をさす。

 

サクが見ると樹々の隙間からむこうの山。急激にズームインし、追手たちが隠れ家に向かっている。

 

サク「遠すぎる(馬を引き返させる)」

 

 

 

 

●隠れ家

 

カイを先頭に重装備の山賊たちが馬にまたがって森に走る。見送る人々のなかにキナ。

 

 

 

 

●森の中

 

山道を進む追手たち。

 

 

 

 

●そばの山中

 

サクたちが来る。追手たちを見ていて馬をとめる。追手たちは風上にいる。周囲の地形を見まわし、

 

サク「これ以上は近づけない。追い込まれる」

 

ノア「(荷物からサクにもらった手鏡を出す)」

 

 

 

 

●森の中

 

進む追手たちのそばをチラつく反射の光。追手たちが気づいて「なんだなんだ」と探す。そばの森の中で光るもの。サクとノアがいる。

 

追手たち「いたぞ!」「娘と男だ!」「追え追え!」

 

逃げるサクとノア。追う追手たち。合図の笛を鳴らす。案内役にされた厩舎の主人はビビッて馬を飛び降り引き返す。

 

 

 

 

●別の森

 

先頭のカイが手で合図し一団の馬をとめる。遠くで聞こえる笛。その方向を見て再び走りだす。

 

 

 

 

●山道

 

サクが走りながらノアを鞍の前方に移動させる。

 

追いついてくる追手たち。矢を射る。

 

サクたちをかすめる矢。サクは山を駆け降り草地へ。

 

別方向からも迫る追手たち。槍を構えて来る。

 

しかし突然馬が転び、奥から来る山賊の一団。追手たちに向けて矢を放つ。

 

それに気づくサクとノア。

 

散り散りになる追手たち。走る馬上での戦闘。斃れていく追手。そして山賊。

 

サクは隙を見て森に逃げ込む。疾走し追手と山賊を引き離す。

 

その目の前に突然薮から出てくるカイ。

 

サクが馬をとめるが勢い余ってノア共々前に投げ出される。

 

カイ「(太刀を抜いて倒れたふたりに向け)どこに行くつもりで?」

 

 

 

 

●森の中

 

馬で来る追手ふたり。とまって振り返り、

 

追手A「あとの者は」

 

追手B「やられました」

 

追手A「クソ」

 

追手B「あれを(と指さす)」

 

その方向に馬にまたがったサクとノアが来る。ふたりも追手に気づき逃げる。

 

追手A「逃がすな」

 

追う2頭。そのあいだに割り込むカイの馬。カイは後ろの追手Bに矢を構える。追手Bは慌てて森の中に逸れる。

 

追手A「(背後で山賊の笛の音が響き振り向く。仲間がいないことに気づき)クソ(馬に鞭を打ってスピードアップ)」

 

川辺に来るサクたち。急流。流れに沿って川下へ。

 

追手が追いながら矢を射る。

 

サクたちの馬の尻に当たって馬は転ぶ。前に投げ出されるサクとノア。馬は森に逃げいてく。ふたりは手を取り合い川下に走る。

 

しかし川は途切れて滝。崖。見下ろすと霧の吹き上がる滝壷。

 

追手Aが馬をとめ、馬上で弓矢を構える。

 

それを振り向くサクとノア。

 

追手Aが狙いを定めた時、背後からの矢がかすめる。追手Aは振り向き背後に構える。

 

カイが次の矢を構えつつ馬をとめる。カイと追手Aの睨み合い。それを注視するサクとノア。後ろは断崖。

 

カイが馬の脇腹を蹴る。走りだした瞬間矢を射る。

 

矢は追手Aをかすめ、その先のサクとノアもかすめてふたりは悲鳴を上げ滝に落下。

 

追手Aが一瞬振り向き、すぐカイに向き直って矢を射る。

 

カイは馬と共に森の中へ。

 

川沿いを追手Bが馬に乗ってくる。それを追って山賊たちの馬2頭が来るが、追手Aが弓矢を構えるとひるんで引き返す。

 

それを見送りつつ追手BがAのそばに馬を寄せ、

 

追手B「娘は」

 

追手A「(弓矢の構えをやめ馬を降りる。崖に向かう)」

 

追手B「(馬を降りて続く)」

 

追手A「(崖上から見下ろす)」

 

追手B「(横に来て覗き)ここに?」

 

追手A「真っ逆さまだ。この目で見た」

 

白く泡立つ滝壷。霧の奥に水面が見える。しかしサクやノアの姿はない。

 

追手B「じゃあ今度こそ」

 

追手A「あれを持って行こう(と指さす)」

 

水中にノアの上着が漂い川下に流れる。

 

追手A「それで引き揚げだ(と馬に戻る)」

 

追手B「(続きつつ)面倒かけやがる」

 

崖の上の追手AとBが馬にまたがり、川に下りるための場所を探して森に行く。

 

 

 

 

●隠れ家(夜)

 

広場の火の前で命を落とした仲間の弔い。死者の妻子や母が泣いている。

 

離れて見ているカイ。

 

その後ろにキナ。

 

カイの声「どうした。なぜあけない」

 

 

 

 

●記憶・ノアの部屋

 

カイ「(通路のキナを振り向き)姫は。どういうことだ」

 

キナ「(目を伏せたまま)出ていきました」

 

カイ「どこに」

 

キナ「サク様と共に」

 

カイ「――いつ」

 

キナ「今朝です」

 

カイ「(部屋を出て通路を急ぐ)」

 

キナ「待って下さい(と腕をつかみ引きとめ)今はまだ待って」

 

カイ「今は? どういう意味だ」

 

キナ「――(目をそらす)」

 

カイ「何を隠してる」

 

 

 

 

●現実・隠れ家

 

カイが弔いを見ている。

 

カイの声「どこに行くつもりで?」

 

 

 

 

●記憶・森の中

 

カイ「(地面に投げ出されたサクとノアに太刀を向けたまま)追手を惹きつけて逃げると聞いたが――逃げられると? ここまで逃げても見つかったのに」

 

ノア「死んだように見せかける」

 

カイ「どうやって」

 

ノア「――力を貸して」

 

カイ「そのあと戻ってくれますか」

 

ノア「――」

 

カイ「戻ると約束を(と太刀の刃を突きつける)」

 

ノア「――」

 

サク「――」

 

カイ「なぜ――仇を討とうとしない」

 

 

 

 

●現実・隠れ家

 

弔い。見ているカイ。

 

ノアの声「生きて」

 

 

 

 

●記憶・森の中

 

ノア「生きて」

 

カイ「死んだ者を忘れて? 忘れられると?」

 

ノア「命をつないで」

 

カイ「命など惜しくない!」

 

ノア「語り継いで」

 

カイ「――」

 

ノア「死なずにずっと――みんながそれを望んでるはず」

 

カイ「(背を向け涙を拭く)」

 

サク「――」

 

カイ「(一方を指さし)この先に川がある。流れの先に滝があります」

 

 

 

 

●モンタージュ

 

崖の上に追いつめられるノアとサク。見下ろすと霧の吹き上がる滝壷。

 

カイの声「落ちれば死んだとだませるかもしれない」

 

追手Aが弓矢で狙いを定めた時、背後からの矢がかすめる。追手Aは振り向いて背後に構える。

 

カイが次の矢を構えつつ馬をとめる。カイと追手Aの睨み合い。それを注視するサクとノア。振り向いて滝壷を見おろす。

 

ふたりが顔を見合わせ、一緒にカイを見る。

 

カイが馬の脇腹を蹴る。走りだして矢を射る。

 

身をかがめる追手A。矢はサクとノアをかすめ、サクはノアを抱き寄せて滝壷へ。

 

悲鳴。着水。

 

滝壷の泡のなかで手が離れてしまうふたり。水流に揉まれながら必死に泳ぎ手を伸ばし合う。しかし届かない。

 

サクが力尽きて泡を吐く。沈む。ノアが上着を脱いで流れの抵抗を減らし潜るが息が続かない。

 

カイの声「滝の裏には洞穴があって、当座の備えがあります」

 

 

 

 

●記憶・森の中

 

カイ「(背を向けたまま)我々が滝まで、奴らを追い込みます」

 

ノア「ありがとう」

 

カイ「気をつけて。滝壷にはまれば命はない」

 

 

 

 

●滝の裏

 

ノアが水面に出て大きく息を吸う。すぐ潜る。

 

沈んでいくサク。ノアが必死に潜り手を伸ばし指をつかみ手首をつかみ引き上げる。

 

滝の裏に再浮上するノア。サクをかかえて岸へ。滝の裏にある洞穴に上げる。

 

倒れたまま意識のないサクの胸に耳をあて、人工呼吸を始める。胸を押し、それでも足りず唇を合わせ息を吹き込む。何度も。

 

サクが水を吐き出して咳込み、息を吹き返す。それを横向きにしてノアが背中をさすり、サクを抱きしめる。

 

洞穴の奥にわずかに見える衣服や食料。

 

 

 

 

●現実・隠れ家

 

カイ「(弔いを見ている)」

 

キナ「(後ろに来ていて)ご無事ですよね、姫は」

 

カイ「――祈ろう」

 

 

 

 

●草原(午後)

 

遠くに歩く人影が2つ。ノアとサク。

 

草原のあと森を抜け、川を渡り、海辺の砂浜を歩く。旅を続けるふたりがF.O.して、

 

 

 

 

●黒い画面に白い文字が出る

 

これは長い時のなかで忘れ去られた物語。

 

 

 

 

●エンドロール

 

 

 


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