Not Found 第3章 -14ページ目

完全なる人身事故について

職場の隣の席の女子が定時を過ぎて「まだ帰らないんですか」とか「今日は帰りが遅いんですか」とか「今日はこのあと用事あるんですか」とか「おなか空きましたね」とかやたらと言ってくるから、じゃあ呑みにでも行きますかって言ったら、「あ、私、習い事があるんで無理です」って言われて、ビックリした。
一瞬なにが起きたのかわからなかった。
横断歩道で青信号だと思って渡ろうとしたらトラックにはねられた人の気持ちになったわ。
あ、11日です。

日本デート協会への加盟について

先日、日本デート協会の会長から「幹事長になってほしい」とのお話をいただき、実際に道玄坂のロイヤルホストでお会いして、「デートとは何ぞや」「デートとは男と女の鬼ごっこであります」といった、いわゆるデート問答をじっくりと4時間ほど繰り返し、お互いを認め合った上で、先の件を快諾しました。なにぶん古い体質の組織でして、例えばこのご時世になくてはならないブログや動画配信などの分野に今回ようやく着手すべく、若く新しい血として俺ならびに他に数名のデートのエキスパートを投入したとのことです。もちろん俺もこれまで自他ともに数々のデートをプロデュースしてきた自負もあるし、これで少しでもデート界に貢献できるならという思いであります。
DVDとか発売します。 

卒業式のサプライズについて

ここ数年、卒業式のサプライズとしてアーティストが急に登場して歌を歌って卒業生感激、みたいな展開がよくあるけど、サプライズっていうわりには思いっきりカメラが入ってますからね。思いっきりマスコミにファックスされてますからね。「明日、なんとか高校の前に9時に集合」って、一斉送信されてますからね。
卒業生の皆さん、あんな大人達に騙されちゃ駄目です。
卒業式なんてもんは、元来そんなにめでたいものじゃない。
これから先、皆さんの9割は、夢が叶わないし、皆さんの9割は、努力が報われないし、皆さんの9割は、今思ってるほど幸せになれないでしょう。
木村カエラは知っているはずです。
彼女一人の夢が叶うために、何千という人間の夢が叶わなかったことを。
彼女一人の努力が報われるために、何千という人間の努力が報われなかったことを。
ただね、人生の大先輩の俺から言えるとするならば、努力が報われなかった時に努力が報われなかったと思うんじゃなく、自分の努力が足りなかっただけと思える、そんな人間になりなさいってことです。
途中から話の主旨が完全に変わってますけど。神様目線にこそなってますけど。
卒業、おめでとう。
 
 
■ドラえもん のび太の恐竜2006 06年3月
★★★★★5個

この前めちゃくちゃ感動的な話を聞いたんだけど、「ドラえもん」の登場人物で唯一、最後まで本名が明かされなかったのがジャイ子で、連載当時、編集担当が藤子F不二雄に「ジャイ子の本名をそろそろ出しましょう」みたいな話をした時に、藤子F不二雄はこう答えたそうです。
「ジャイ子と同じ名前の子供が幼稚園や小学校でいじめられるかもしれないから本名は出さない」
一応、作者の頭の中で本名は決まっていたらしいけど、結局それを一度も口にせず墓場まで持っていった藤子F不二雄。
「ドラえもん」が名作たる所以はここあったんじゃないかと思えるほどのこぼれ話です。
あー、ちなみにこの話をキャバレークラブでするとモテモテらしいです。
フルーツ盛り合わせが半額になったりするそうです。5200円が2600円になったって足立さんが興奮気味に言ってました。

今さら、バレンタインデーについて

毎年言ってますが、6、7年連続で言ってますが、バレンタインデーの何が嫌かって、女性達の「上から目線」です。誰にあげて、誰にはあげない、っていう権利を得ているもんだから、本当に調子に乗っています。普段選ぶ権利のない女性まで選ぶ権利を与えられている訳だから、無理もありません。極端な話、電車で向かいに座った知らない不細工な女性でさえ、ちょっとこっちに優越感を感じてますからね。あなたにはあげない、って顔してますからね。立ち上がってそいつの所まで行って目の前で、お前からはいらない、って言ってやろうかと思うぐらいです。
だから今年はもう、全部断ってやろうと思ってたんですよ。
義理だのなんだのって言って職場で配ってる奴がいたら、本当に「あ、いらないです」って言ってやろうかと思ってたんです。 「あ、ごめんなさいです」って。
貰う貰わないのリスクを負ってこっちは職場まで来てるんだから、お前らも断られるリスクを負って、そのアホ丸出しのイベントこなせよと。
まあでもえらいもんで誰からも何もなかったんですが、それはそれで「あれ、そんなに怒ってないで?」と言ってあげたくなりますね。「こっちもちょっと言いすぎた面もあるで?」って言って髪を撫でてあげたくなりますね。

東野圭吾「容疑者Xの献身」について

別にまぬけな女子高生のダイアリーじゃあるめーし、読んだ小説の感想とか買ったアルバムの何曲目が良かったとか今日のランチのメニューとかその写真とか、そんなもんをここに載せるつもりは毛頭ないのですが、ただ、ひとつだけ言わせて下さい。
日本の文芸史において、ここまでシンプルかつ大胆な完全犯罪がかつてあったでしょうか。
今の今まで、このトリックを使った作家は居なかったのでしょうか。
いや、例え居たとしてもこの作品が東野圭吾最高傑作と言われるまでに昇華したのはなんと言っても容疑者Xのその揺るぎの無い、振れの無い動機ではないでしょうか。
こんなに衝撃を受けた作品は梶井基次郎の「檸檬」以来かもしれません。
この小説を読んでいないという人に僕は優しく尋ねてみたい。
なぜ読まないんですかと。
貴方がこれを読む事よりも優先してる事ってなんなのですかと。
なぜ読まないのにメガネをかけてるんですかと。メガネだけはかけてるんですかと。
何がよく見たくてそれを一日中、耳にいい具合に引っかけてるんですかと。
メガネをかけてるのにこの小説を読まないということは、グローブを持ってるのに野球をしないのと同じこと。
なんの為のそれなんですかと。なんの為の小道具なんですかと。
今年の直木賞は、反吐が出るほど素晴らしい。
この小説を読み終えたなら、今年はもう、お前らはメガネをかけなくていい。