東野圭吾「容疑者Xの献身」について | Not Found 第3章

東野圭吾「容疑者Xの献身」について

別にまぬけな女子高生のダイアリーじゃあるめーし、読んだ小説の感想とか買ったアルバムの何曲目が良かったとか今日のランチのメニューとかその写真とか、そんなもんをここに載せるつもりは毛頭ないのですが、ただ、ひとつだけ言わせて下さい。
日本の文芸史において、ここまでシンプルかつ大胆な完全犯罪がかつてあったでしょうか。
今の今まで、このトリックを使った作家は居なかったのでしょうか。
いや、例え居たとしてもこの作品が東野圭吾最高傑作と言われるまでに昇華したのはなんと言っても容疑者Xのその揺るぎの無い、振れの無い動機ではないでしょうか。
こんなに衝撃を受けた作品は梶井基次郎の「檸檬」以来かもしれません。
この小説を読んでいないという人に僕は優しく尋ねてみたい。
なぜ読まないんですかと。
貴方がこれを読む事よりも優先してる事ってなんなのですかと。
なぜ読まないのにメガネをかけてるんですかと。メガネだけはかけてるんですかと。
何がよく見たくてそれを一日中、耳にいい具合に引っかけてるんですかと。
メガネをかけてるのにこの小説を読まないということは、グローブを持ってるのに野球をしないのと同じこと。
なんの為のそれなんですかと。なんの為の小道具なんですかと。
今年の直木賞は、反吐が出るほど素晴らしい。
この小説を読み終えたなら、今年はもう、お前らはメガネをかけなくていい。