怠惰


Not Place Utopia


いいかい?確かにキレイなんだけど、混ぜてから持ってこい。

お酒の弱い氏はもっぱら飲み会ではカシオレ優先でこれまで通してきたが、カシスとオレンジが大概分離してるわけね。

あーハイハイ、あれはあれでオシャレ感がでてますよ?

ただ一杯目だけでいいのよ、それ。

二杯三杯って飲んでいくうちに、イラついてくるわけ。

めんどくせぇーし、うまく混ざんねぇーし。

どういう了見か、混ぜんのが楽しいとか思われてんのか。


『混ぜてから持ってきてください』


言ってもいいのか?



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私の風呂場のペンギン達



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そういえば最近とんとペンギンとはご無沙汰だ。

氏が世の現に気を許さず、もっぱら身体を鍛え心胆を練り知性を身につけ精進するストイックな人生を送っているのはなにゆえか?

まずは大地との融合、そして宇宙への己の解放、最終的にペンギンになる為ではなかったか。

それなのに最近その先達のペンギンとの会合をおろそかにしてしまっていたとわ、いと情けなし。


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200x年、日本は空前のペンギンブームに沸いた。

切っ掛けは南アフリカのケープペンギンである。

増殖したケープペンギンの居住問題が深刻化し、音をあげた南アフリカ政府に手を差し伸べたのは日本であった。

根強いペンギン人気を意識した日本政府はケープペンギンをほぼ無償で手に入れそれを国内に持ち込みペット用として安価で配給。

瞬く間にペンギンブームに火が付き、『一家に一ペンギン』と何の変哲もないコピーがその年の流行語に選ばれるほどの人気っぷりであった。

たかだがペットブームと侮っていたペシミストの評論家達も段々と身を乗り出してきた。

というのも、ペンギンを飼うために準備する巣や風呂場の増築、餌代などそういったもので日本は戦後最大級という好景気へと一気に好転したからだ。


ペンギンが家にいる、それだけで或る家族は浮かれた。

経済が驚くほど循環している、それだけで政治家は浮かれた。

儲かって儲かって仕方がない、それだけで経営者は浮かれた。

誰しもがペンギン景気に浮かれて、このまま日本経済に終わりはないだろうと楽観視していた最中それは突然、しかし誰もが予想できる、いやできたはずだった事態が起こった。


そう、全世界的なペンギン不足である。


一家に一ペンギンというスローガンを掲げた日本政府だが、全世帯にいきわたる前にケープペンギンが底をついた。

以前は住宅状況最悪と言われ、海から1キロ2キロ離れた場所に住み通勤していたペンギンもいたほどであったが、大量のペンギンが日本に連れ去れた後のケープタウンでは、1ペンギンあたり数百平米といわれるほどの贅沢な巣を築き暮らすほどになっていた。

もちろんそれは先に連れ去られたペンギン達の日本からの仕送りに支えられているのは言うまでもないが、とにかくかつての集合生活も嘘のように今やペンギン達は悠々自適な快適ライフを満喫しているのである。

そんな彼らは当然今さら日本に出稼ぎに来たがらなかったのだ。


一気に冷え込む日本の景気。

まだかまだかとペンギンの配給を心待ちにしていた国民達の不満は爆発寸前だ。

『善後策なし』『能無し政府』『ゴブリン首相』と揶揄された政府に、とある一人の科学者が画期的と言われる眼から鱗の解決策を授けたといわれる。


その噂が流れた直後、政府が打ち出した政策とは『職業ペンギン制度』であった。


ペンギンがいないのであれば、職業にペンギンを作ろう。アイボというロボットで癒される人々がいた位だ、ましてや完璧に訓練をつみペンギンになりきった、というかペンギンに生まれ変わった人間がどうして『動物のペンギン』の変わりになれないだろうか。

しかし、ペンギンになりきる生まれ変わるというのは並大抵のことでなく、それには厳しい訓練と修練が課せられた。

亜流のペンギンがでないように即座に国家試験を設定した日本政府の対応は素早く、のちのちまでも世界の賞賛を誘った。


201x年、職業ペンギン制度が取り入れられてからはや数年。

ようやく今年、厳しい訓練を勤め上げ、国家第1号職業ペンギンとなる男が誕生した。

その後、彼は職業ペンギンとして幾多の左利き乙女の心を癒し、後進たちのために世界初の職業ペンギン支援団体であり自身の名を冠した『ドラゴンナイト=ペンギンナイト』というボランティアグループを発足させ、これまた世界初のペンギンスクールを開校させた。


日本の歴史にも入れられたその男の名は__

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今はまだ生魚を頭から一気飲みとかするときっとゲロゲロ吐くけど、できるように訓練します。

とりあえず近々、水族館に行きたいです。



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はい、しゅーごー。



よーし、いいかぁーお前ら、よく聞けー。

先生今からとても大事なこと言う。

勉強できるとか、掃除ちゃんとやるとか、そういったことよりよっぽど大切だぁー。


人にはやっちゃいけないことってもんがぁ、あるんだ。

嫌いな奴の名前を濁点つけて呼ぶとか、コーラ飲んだ奴にメントス食わせるとかそういった類だー。

まぁ、かといってお前らバカだから言葉じゃ分からんと思う。

だから先生、写真用意してきた。絵でみれば分かり易いと思って写真撮ってきた。

眼悪い奴、眼鏡かけろー、左利き乙女は特に眼鏡かけろー。

いいかー、これだけはやるなー。






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空気椅子ダメ、絶対。

つまり尻もっと下げろってこと。これじゃ外れるだろ?




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川の流れに身を任せ


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ただただ大河に浮かぶ木の葉のように、若干の逆走はしても大局は変わらず。

わずかな抵抗むなしく大きく見れば一方通行な流れに乗るだけ。

その僕等の精一杯の無力な抵抗を高みから超越者は眺める。

『今日も異常なし』と。


そのスカした姿を更なる超越者は後ろから眺める。

『オマエの肛門、丸見えだ』と。



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森見登美彦氏が好きです。



少し前に巷で噂になったこの本だが、既読であろうか?

もしまだであれば自信を持って一読をお勧めする。
フワフワした感じがたまらなく、森見ワールドにどっぷり浸かる事まちがいなしだ。


さて、どうやらこの『夜は短し歩けよ乙女 』が舞台になってるらしい。

むむむ、原作がオモシロイものって大抵映像化するとコケルじゃない?

文章で入って想像を膨らますからオモシロイわけで、映像で眼から入ってくるとそれ以上膨らまない。

そもそもこのお話がフワフワしたファンタジー的要素があるんで、どうしてもチープな感じになりゃせんかな。

そんな心配をしつつも、見たい。見たいよね。

だって森見登美彦だぜ?夜は短しだぜ?見たいよー。


でだ、この劇団アトリエ・ダンカンプロデュースなんすけど、次回公演は『鴨川ホルモー 』。

なにぃー!なんてステキな選出なんだ。

京大二大おバカ小説巨頭、森見登美彦と万城目学両人の代表作を連続で公演するなんて!?

み、見たいっ、ホルモーも見たい!

だってコレ、1000匹のちっこい鬼が戦争ごっこする話だぜ?

舞台でどうやって表現するんだろう?


まずは『夜は短し』、面白かったら『鴨川ホルモー』。

感想を分かちあう友求む。



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胃の中のオカズ、大腸を知らず



日々刻々と月日は流れ、周りの景色は移り行くように変化していく。

時代の変遷に囲まれつつも自分自身だけが変わらないということができようか?否、できまい。

氏は歳を重ねる度に趣向の変わる食の好みについて考えた。


昔はダメだったのに、最近なんだか好きになった。


そんな事って誰しも経験したことがあるのではないだろうか?

ちなみにりゅぢ氏にとって、その代表的なものはお麩である。

初めて味噌汁だか澄まし汁に入ってたお麩を食べた時の衝撃はぢつは忘れた。

あれ?それほど嫌いじゃ・・・

しかしそれ以降20歳を超えるまで一度も食べなかったので、相当嫌いだったのだと思う。

何が切っ掛けで食べるようになったのか?それもすでに忘れたが今となってはかんなり好きな食材である。

その他にも、揚げ出し豆腐・ザーサイ・トン汁・水菜などもわりと最近になって食べれるようになったと思う。


逆に最近食べれなくなったものは、生野菜。

こいつは絶対某国にて寄生虫に犯されリアルに死を感じたコトが原因に間違いない。

完全に、それこそ文字通り食べれない、好きなのに身体が受け付けなくなったものは海鮮系である。

特にホタテ。こいつはイカン。生ホタテは食べると絶対に吐く。

しかし寿司は食べれる。が、ドンブリになってると吐く確率半々くらい。

吐く基準が我ながら謎過ぎて、持て余す。


嫌いなもの・好きなもの、それぞれがぐるぐると変化しくのは、いろんなモノを食べろよと身体が教えてくれているから?

そう考えると、今も昔も最も嫌いなトマトすら愛おしく感じることよのぉ。


先日マグロ丼を食べた。

もちろんマグロは大変な好物であり、舐めるように完食したがその直後、体内ポロロッカ(逆流)が始まった。

胃に至ったマグロ丼は大腸に至る事無く、ポロロッカによって便器の大渦に飲み込まれていった。

今頃故郷の大海にでて悠々自適に桃色珊瑚に手を振られているでしょう。

ならばよし。

涙目を堪え、胃液の苦さに敗北感を味わいつつもマグロのコトを思えば仕方あるまいと心落ち着かせる。


胃の中のオカズ、ついに大海を知る



心落ち着いていたのは、上から出ようが下から出ようが結局大海に出るじゃんと気づくまで。



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類似。



エピソード.1


『ごっくんはしてません』


先日、中川前財務相がローマにて朦朧会見をし、世界中に恥をさらしたコトは記憶に新しい。

そしてその言い訳が体調不良で薬を多めに飲みすぎただと。

どこをどう見ても酔っ払いそのものであったが、国の行く末を握る大人たちが『体調が悪い』を正当化しようとしている図は滑稽である。

面と向かって一笑に付し、『酔ってるだけじゃん』とズバッと言う人はおらんのだろうか。


『ごっくんはしていません』


酒は飲んでいないという中川氏。

しかし嗜むことはしたと告白。

嗜むと飲むいったいどう違うんだ?という疑問に中川氏は答える。


『嗜むは口に含む程度。飲むはごっくんする事。嗜んだ程度なのでごっくんしてるかしてないかというと、ごっくんしてません』



エピソード.2


『ごっくんはしないから』


数日前、ボクと彼女は恋に落ち、世界中に熱々の愛を配ったコトは記憶に新しい。

言い訳がましいことは言いたくないが、正直その馴れ初めは泥酔していたボクは覚えていない。

どこをどう見ても酔っ払いのボクを、華奢な女の子が担いでホテルへ連れ込んでいる図なんて、『体裁が悪い』なんて言葉で収まるもんじゃないだろう。

面と向かって一笑に付し、『阿呆な奴だ』とズバッと言ってくれ。


『ごっくんはしないから』


泥酔するボクを持て余し、仕方なくホテルへと連れ込んだ彼女をボクは酒の勢いに任せ襲ったらしい。

いきり立つジョニーを彼女にくわえさせ、いざ発射という段になり彼女は拒否の意を示す。

OK、いいだろう。せめて飲まなくてもいいから嗜んでくれよ。口から溢れ出る白い液体にボクの征服欲は満たされる。


『嗜むは口に含む程度。飲むはごっくんする事。嗜む程度だから口に含んでペッってしていいよ。ごっくんはしなくていいよ』



以上のコトを踏まえた上で、中川さんが『ごっくん』という単語を使った気がしれない。

踏まえないでいいコトを踏まえたりゅぢ氏の気は知らないでいい。

いつものコトながら、氏の個人的体験とは無・関・係です。ほんとに。



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ロシアンルーレットはどきどきだ。



先日飲んだ際、ロシアンルーレットを模したポテトを食べた。

一つだけ激辛だと謳うポテイト、その数たるや4つ、我々も4人。

慎重かつ大胆にここは選んでいきたい。


我々は知っている。

古くから伝えられる物語により教訓をえている。

いかなる事態にもこの2つのルールさえ守れば、物事は万事良き方へと向かっていくものだ。

その2つとはいわずもがな『残り物には福がある』『大きいツヅラと小さいツヅラ、選ぶなら小さい方』である。


そのようなことを考えているうちに、氏の前には一つのポテイトのみ残されていた。

気づいたら選ぶ権利すらなかったようだ。

しかし落ち着け、『残り物には福がある』でなかったか?思わぬ行幸ここにあり。

よっく見ると他のよりもコイツは小さい。さらに小林のを見ると赤い粉吹いてるじゃないか。

ぷぷぷ、こいつは絶対あれだ。小林のがハズレに違いない。


そこで氏は慎重に考えゴトをしてた結果、選ぶ権利すらなく残されてしまった残りの1つを大胆にも選ぶ。

そして一斉にみなと共に口に運ぶ。

さぁ、叫べ、小林。辛いのだろう辛いのだろう??



「えっと、多分オレのだと思う・・・」



あんま辛くねぇんだ。


辛いのを当てた、ロシアンルーレットに負けたのが氏であることになんら不満はないのであるが、あんま辛くなく拍子抜けしてしまいかんばしいリアクションが取れなかったコトが大いに不満だ。

むしろ『ハズレをあてたのがりゅぢ氏であることが自体ハズレ』的な空気が不満である。


しかし諸君、私は大いに訴えたいと思う。

辛い時、『かっらー』と叫ぶくらいの辛さは偽物であると。

本当に辛いとき、人はまず悩むのだよ。

天に悩み、地に悩み、何故こんなにも辛くしたのだということをコメカミに手を当てて無言で悩むのが本当の辛さだ。そして最後にトイレで悩む。


氏はこれでも世の著名な辛いの大好き人たちによる秘密結社『母さん、ケツの穴が限界です』の一員である。

この程度の辛さ、全く持って「ぐぅ」の音すらでぬほど許容範囲であった。


そんな氏も、辛さに本気で悩んだ些細な出来事があったのだが、それはまた今度にでも。



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用量用途はお守りください。



花粉の話ばかりで申し訳ないが、この時期一番の関心トピックは花粉にありと偉い人もいつかいうだろうから我慢して頂きたい。

先日鼻水じゅるじゅるの氏はほとほと困りきって仕方なく薬を飲んだ。

しかし花粉用の薬がなかったため、『鼻水』と銘打った風邪薬を服用した。

そこに見える思いは、所詮薬ごときにその鼻水が風邪によるものか花粉によるものか判断できねぇだろう、同じ鼻水止める効果なんだし、頑張ってくれるだろうと侮りと期待を込めた溜飲だった。

しばらくたち、テキメンに現れだす薬の効果。

この眠気、この眠気こそ薬が効いてる証拠ではないか!

しかし、なぜ鼻水が止まらないんだ!!

止まらぬ鼻水、襲い来るは眠気だけ。損した気分。

風邪薬じゃダメみたい。ぱぶろーん


あぁなるほど、意外と頭いいよアイツら。しっかり自分の仕事分かってるでやんの。

『こ、こいつは花粉だ!俺達の出る幕じゃねぇ。とりあえず眠くしとけ』的に仕事をきっちりする薬魂が憎いぜ、このこの。

そして諦め、氏は医者から薬を処方していただいた。

最近処方された薬っていうのは、簡単ながらちゃんと写真付きでそれがどういった効用があるのかを書いた紙をくれる。

確かに医者がくれたものといえど、意味不明のムラサキ色の薬を飲まされナスニンたっぷり肌がナス色になったとか笑えない話だ。そんな話聞いたことないけど。

ただ氏は以前ミャンマーに旅立つ際、お腹の弱さに一抹の不安を覚えちゃんとした薬を医者に処方してもらったことがある。

お腹を壊す度にその薬を飲んで完全回復、やっぱり日本の薬はすごい、魔法の効果だと感動すら隠さなかった。

が、しかしある日やってきた旅行者が食あたりを起こしたので、親切心をだしその魔法の薬を一粒さしあげた。

すると看護婦であり、食あたりで息も絶え絶えの彼女は一言こういった。


『これ出血止めです』


大丈夫、治る。効果は身を持って体験済みだ!

出血止めと知らずに飲み続けたこの薬。

なぜか腹痛も治ったただの出血止め。

知らないとは恐ろしい。

確かに、ゲリゲリしてる時にケツの穴が切れて出血することもあるかもしれない。


『ミャンマー?あぁあんなトコで下痢になったって日本の薬は効きやせんよ。ならばせめて度重なる衝動で切れたオケツの出血だけでも止めてやろう』


と、医者の親切心からでた処方だったのかもしれない。

だとすれば氏も感謝の一言でも叫ばずにはいられない。


「余計なお世話!!」



今年もらった花粉の薬にはこう書いてあった。

『飲み薬は一緒に飲んではいけません』


2種類あるコレとコレは一緒に飲んではいけない、と。

ちゃんと紙にも『飲み合わせに注意が必要』と書かれてる。

ご丁寧に赤い字でさらに書いてあるトコをみると、どんなにツラクとも一緒には飲まないほうがいいんだなと思う。

そこで氏はハタと思い出す。

おもむろに立ち上がり、ガサゴソと机の中をあさる。

取り出したるや一つの袋。

そう、それは昨年も処方してもらった花粉症の薬である。

袋をひっくり返し出てきた薬たち。

それは紛れもなく、同じもの。去年と今年、同じ薬を処方されていたようだ。



「去年、こんなコト書いてなかったぞ。。。」


知らないとは恐ろしい。

すみません、これ一緒に飲んだらどうなるかまで書いといてくれませんか?



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ここは恵比寿にある駄菓子バー。駄菓子食べ放題という飲み屋である。



氏の隣にはうら若き19歳の乙女が座っていた。

19歳といえば察しのいい諸君なら気づくかと思われるが平成生まれである。

もはや我々がひとくくりに『昭和マジうぜぇ』とか言われる日は刻々と迫ってきてるといえるだろう。

氏もその死刑宣告に等しき『マジうぜぇ、セクハラすんじゃねぇよこの昭和がっ!』がいつ出るかいつ出るかと、そりゃもうセクハラ、失礼、ハラハラしつつも乙女の横顔を楽しんでいた。

ときにその19歳の乙女はそのような素振りを微塵も見せずにただただ可愛らしかった。


その可愛らしい風貌とは裏腹に生ビールとキャスターを飲み、あれーそれオヤジっぽくね?と氏をはなはだ混乱させた。

そして乙女は枝豆やたこ焼きなど飲み会定番のモノには眼もくれず、一心不乱に駄菓子を食べていた。

乙女のお気に入りは、『にんじん』。

『にんじん』をご存知か?父母の年代になると『ばくだん』と呼ばれた米菓子であり、ポン菓子とも呼ばれる。

にんじんを模したビニールに入っており、氏も子供の頃大変好きでよく食べていた記憶がある。

乙女の勢いに押され氏も『にんじん』を食べる。食べる。食べる。2人でカロチン取りすぎな10袋も食べた。

上機嫌な乙女はまわりのリクエストに答え、その可愛らしいアニメ声を活かし物まねを始める。


定番の『ぴ、かちゅぅ~』。

あ、可愛い。


しまじろうの妹ハナちゃんやります!

『ハナちゃんね、ハナちゃんね、それハナちゃんのだよ~』

だれ?

どこでもいっしょのトロのため息いきます!
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↑こんなやつ


『ヒェッ!』

しゃっくりにしか聞こえない。


結果としてはこちらの受け皿が足りなかったとしか言えない。

そして乙女はまたにんじんを食べ始める。

その食べ方たるや実に豪快。

テキーラをショットで一気飲みするが如く、『トン、クッ!』と手の平に乗せた米菓子を真上に向いた口に放り込む。

トン、クッ!トン、クッ!トン、クッ!トン、『ガンッ!』クッ!

余りの勢いのよさに乙女は壁に頭をぶつけた。


「えっと、大丈夫?頭ぶつけた?」


『ぶつけてません、ぶつけてません。ぶつけるわけないじゃないですか』



帰り道、乙女は何度か『ヒェッ、ヒェッ』と言った。

氏は思った。「結構強く頭ぶつけたのかな?」

突然こちらに振り向いた乙女の顔に月明かりがスポットライトを当てる。

銀色に染まった乙女の神秘的な可愛らしさが、氏の頬を桃色に染めあげる。


『トロの真似です、似てますか?』



やっぱりしゃっくりにしか聞こえなかった。



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