ものすごいんす。


2月にあるまじき温暖な気候の為、氏はやはり花粉に悩まされていた。

『1度かかったら治らない』と言われる不治の花粉症であるが、毎年毎年思い願うのは奇跡的に治ったのではないかというかすかな希望。

その希望を身体中からすっかり集めて鼻から放出していく花粉ども。


『奇跡!カレーに入っている○○が花粉症にちょー効く』


そんな見出しがいつかどこかの中刷り広告に現れる日がこないだろうか?そう思って氏はカレーを食べ続ける。

食べ続けてから7,8年経つが未だにその神がかった霊験が現るコトはない。

もしやカレーに花粉症撃退の効果は見込めないのか?

いや、そんなはずはない、あれだけのウマさ、まちがいなく花粉症に効果があるはずだ!足りないのは量だっ!

氏はカレーを我武者羅に口へとかきこむ。ふむぅ、幸せ♪


そして今日もカレー明日もカレー、一年経ったらやっぱりカレー。



Not Place Utopia
←やっぱりカレー、よろしくです

一度それに手を染めるとひと月後、それは再び訪れる。



口にするのも煩わしいのだが、今日何の日か存じているだろうか?

氏はもちろん存じているが、記憶の奥底に封じ込め幾重にも鎖を巻き鍵をおろした。

所詮向こう岸で起きた火事、こちらに燃え移ることはあるまいて。

あぁあちらは熱そうなことで。涼しい涼しい、こちらはちょー涼しい。

フン、痛くも痒くもないね、、

あれ、でもどうしてだろう?なんだか、、、、、アツッ、、熱いっ、あつひィィ!!


昨夜の大風に見舞われ対岸から火の粉が舞い仕切る。

のんびり超越的に高みの見物を決め込んでいた阿呆面した氏の肌を少しだけ焦がす。


『りゅぢさんにバレンタインデーあげようと思うんですけど、カレーでいいですか?』


いや、絶対よくない。

女人様にはお分かり頂けないかもしれないが、世の多くを覆う阿呆男性どもはコテコテのシチュエーションが大好きである。

バレンタインに本命告白?諸手を挙げて大歓迎なのである。

長年付き合った彼女からのチョコレート。いらないと言いつつ本当は欲しい男心。

たとえ義理といえどもそこは『ちょこれいと』が欲しい。


『あれ?カレー好きですよね?ちょっと高いカレーとかでもダメですか?』


「えっと、、ごめんね、もしかしてそれルーの話?」


『えっ?はい。ルーです。』


調理されたカレーでなくルーをくれようとしてたのですか。そうですか。

ごめん、全然いらない、かな。


『カレーにチョコいれると美味しくなるじゃないですか?逆にチョコにカレー入れたらどうなりますか?』


もう話がぶっ飛んできて何言ってるかわからない。どうなるもなにも、それはいわゆる『カレールー』なんじゃないかな。

とにかく純然たるカレールーもいらないし、カレー味のチョコも欲しくない。

氏が求めるのは左利き眼鏡勝ち気で知性的の細身な乙女からのちょこれいとである。

しかし、そんなシバリが激しく厳しい高い条件を満たす女人なぞいるはずもなく、さらにその乙女が氏を運命的に愛するなんてコトと比べれば、まったくもって砂漠から一粒の星の砂を見つけることの方がたやすい。


世間にはあまりの悲嘆にくれて、自分自身にちょこれいとを購入する阿呆がいると聞く。

そこまでいくと自虐的を超えてすでに病気であり、はやめの診療をお勧めするしか手立てがない。

氏としてもそれは不本意であり、そんな何者もを恐れぬ生き様、近所で3番目くらいに軟弱者を自負するオトコとしてとても真似できない。

なによりも人から貰ってこそのバレンタインデーである。

自分からPresent for meは違う、断じて違う。


そこで古来より小林家に伝わる秘技が持ち出された。


『オレがお前にチョコやるから、お前はオレにチョコくれ』


ぞくにいう『プレゼント交換』というやつだ。

なるほど、これならば『あげる』と『もらう』両方の行為がなりたち、需要と供給ばっちしで誰も損をしない、まさに盲点を突いた理想的な解決策、、、か?


あぁ、怖い怖い。

えっ?何が怖いかだって?

そりゃあんた、来月の14日が怖い。



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はいどーもぉー、『ボヘネット入江』のりゅぢです。


あ、『ボヘネット入江』知らない?えっ!?知らない!?ちょっ、まぢで?いまどきそんな人がいるぅ?えーどうしよう・・・

あ、そーかぁ、まだこっちではそれほど有名じゃないからねー、知らなくても無理ないか。

ん、いーよいーよ、ぜんぜん、全然怒ってなんかないしそんな責任とか感じなくていいし、知らなくても死ななくてもいいからほんと。

ハイ、それではね、知らない人の為に今日は丁寧に『ボヘネット入江』についてご案内してあげようと思いますね、ホントアンタミンナニメイワクカケテルヨ。


『ボヘネット入江』って?

世界中に溢れる価値或る商品を書記長りゅぢ自ら足を運び選んできた一品を紹介する、大変文化的かつ経済的かつ衛生的かつ楽天的かつ労働者に優しい、そらもういつだって共産党宣言なマルクス・エンゲルス係数が高い団体なのです。劇団ひとりみたいなものです。随時団員は募集してますが給料はでません、そりゃ共産だし働け労働者よ。


『ボヘネット入江』の名前の由来は?

入江とか別に苗字じゃねぇし。

まぁ基本秘密結社なんで、入江とかほんとどうでもいいのね。入江の由来とか多分知っちゃいけないのね。


『ボヘネット入江』に入る為には?

私有財産の一切放棄が必要。分かり易くいえば、『オレのものはオレのもの、オマエのものもオレのもの』です。特権階級にのみ富が集まる理想的な仕組み。



なにこの団体キモい。とか思っちゃった?いーの、独りで言ってる自己満足だから。さみしぃんだー。


さて本日の商品の紹介です。

こいつを見つけたときは正直震えたね。そりゃもう感動だよ、感動。

まさか、世の中にこんな一品が発明されていようとわってちょいと嬉ションちびっちまったよ、へへ不覚。

では見てもらおうか!嬉ションもらしそうな奴はトイレにいっとけよ!!


ジャン!!



Not Place Utopia


ジャジャン!!


Not Place Utopia


はい、タンクがペットボトル。

『おいー!これ、だいじょぶなんかーい!ドゥクドゥン』

今にも聞こえてくるのはキミの声。

そりゃもっともだ、誰だってそう思う、私だってそう思う。

でもね、多分だいじょぶだよ、乗ってたし。←アバウト


一見して無茶な作りだが、何見しても無茶な作りであることに変わりはない。

ですが、でーすーが、これ大変合理的!


ポイント1

“ひとめで分かるガソリン残量!”

シースルー素材を使用してるので気づいたらガス欠なんてコトとはもうさようなら。


ポイント2

“交換がちょー簡単”

ペットボトルを変えるだけ!手が汚れたり並んだり、イライラする給油とはもうさようなら。


ポイント3

“温かみ溢れるハンドメイド”

フタに穴あけて管通すあたりがもうなんとも言えないツウ好み。


ポイント4

“軽量化に大成功!”

もはや必要最低限のモノすらあるのか疑わしい。


ポイント5

“護身用にも使えるガソリンタンク”

万一暴漢に襲われても一安心!火をつけて投げつければ火炎瓶に大変身。くれぐれも暴発注意!火達磨だぞ♪



いやーすごい!一石五鳥とはこのことだ。

そして本来のタンクはどうしちゃったんだろうと気にせずにはいられない。代用するにしても他になんかなかったんかーい、ドゥクドゥン。

こんなステキなバイクに乗って、暖かくなる春に恋人とどっかにツーリングに行きたいですね♪



いいえ、私は行きたくありません。



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自分自身を騙すこと。


朝起きてまず知ったのは、どうしようもなく鶏肉が食べたい自分の心。

砂漠に迷うキャラバンが心底から命の水を欲するが如く、ベッドを漂った氏は鶏肉が食べたかった。

うん、ごめん。大袈裟だな、正直そこまでではない。

しかし少なくとも『グッモーニンッ♪』と『グッチキンッ♪』を言い間違えるくらいの心持ではあった。


早速台所へと降り立った『チキンのドラゴンナイト』と巷で噂の渾名を持つりゅぢさんは調理を始める。

冷凍されたチキンに料理酒を少々かけてレンジで解凍し、フライパンで焼く。

塩コショウをまぶし、頃合を見て上からチーズ、最後にパセリなどハーブで匂い付け。


氏はかねがね主張しているが、秘密結社『鶏肉の可能性って無限じゃん?』の一員である。

牛よりも豚よりも羊よりも、なによりも鶏肉だ。

その鶏肉とチーズ、ハーブで味付けしてまずいことがあろうか?

まずいとすればそれは生焼けの時だけだっ!!



驚くほど生焼けで思わず驚いた。


なんつーの、まだ赤いんだ。

それは左利き眼鏡勝ち気で知性的な少女がチョコレートを氏に差し出す時に染められる頬の桃色よりもたいへんピンキィ。

しかし落ち着け。ここで驚いたことを悟られては氏の沽券に関わる。

いつだって男子たるもの落ち着きを保ち、差し出した少女の勇気を称える気の利いた一言を添えるべきである。

どんなに味がアレなコトになってても、ニコヤカに『ウマイ』と全てを食すべきである。


一切の驚きを隠す、ピンキィな鶏肉を平然と食べ続ける氏。

いいかお前ら、こんなピンキィな鶏肉食べたらお腹壊すに決まってんじゃないか。

だがもう結構食ってしまったんだ!

騙すしかないじゃないか、自分自身をっ!!


「ほう、ミディアムレアですか。このレア具合がまたなんとも匠」


言い聞かせる。自分に言い聞かせる。

生焼けじゃないんだ、これは匠の技がなせる程よいミディアムレア。


「むぅ、外はパリッと中はジューシー。血が滴る感じがなんとも食欲をそそりますな」


言い聞かせる。自分に言い聞かせる。

生焼けじゃないんだ、あれ?もしかして中、ちょびっとサクッと凍ってない?

いやいやこれこそ匠の技による『みでぃあむれあー』。



そして現在に至る。

最後まで言う必要はないかと思われるが、虚ろな眼をした氏は本日何度目か知れぬトイレに立てこもり自虐的につぶやく。



「ミディ、、いや、、、レア、、、だ」



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足音が聞こえる。



コツコツコツコツ、、、

自らの気配を隠そうともせず、それでいて気づかない者は気づかない。

一気呵成に押し寄せてはこずに様子伺いを立てるかのように、少しずつそれはやってくる。

『もしや彼のモノが来たのだろうか?いや、まさかね』

そんな思いを抱いたのなら要注意。

それはすでにキミの中に入り込んでいるだろう。


いつだって僕らは彼のモノの奴隷のような存在だ。

年に1度、期間にして3ヶ月ほど。

考えてみると不本意ながらじつに12ヶ月のうち4分の1はスレイブとして苦しみを味あわされる。

氏はコブシをリンゴのように丸め、顔を赤らめて怒りをぶちまける。

「400年生きたら100年奴隷!!」


今はまだ斥候部隊がちらほらと。

そのうち本隊が空も覆わんばかりに押し寄せるだろう。

はっきりいって、現段階斥候部隊にすら白旗状態である。

毎年氏は風が吹けば倒れるどころか彼方まで飛んでいくような弱弱しい対策を立てる。

ヨーグルトが効くと聞けば、たらふく食べお腹まわりはヨーグルトが如くたぷたぷに。

納豆が効くと聞けば、たらふく食べ口まわりは納豆が如く常にネバネバに。

早めの薬がいいと聞けば、11月から薬を飲みすぎバッドトリップ。

3つ合わせ業で、たぷたぷお腹にネバネバ口、薬のやりすぎで眼は虚ろ。

そんな半妖化した氏が、春も真っ只中4月、桜の樹の下を彷徨うのはもはや風物詩として聞くに久しい。

しかし対戦成績としては、連年連年惨敗惨敗。

惜しくもなく圧倒的敗北撃沈死亡。

そして人としても撃沈死亡。半分妖怪、半分廃人。人の部分なし。


氏は悩めるチワワが如くプルプル悩む。

「今年はいかがせん。今年こそ平然と街を歩きたし」

しかし現時点、喉の痒さはいかんともしがたし。眼のかゆさもいかんともしがたし!鼻すら詰まってきてる気がしていかんともしがたし!!

「いやだいやだいやだー」と部屋の隅に縮こまり、皿に載せられたプリンが如くプルプルしている氏に、かの有名なクラークさんがやってきて明後日の方向見ながら言った。


『ボーイズビーアンビシャス!』

「日本語しゃべれこっち向け」

『カラレルマエニィ、カッチャイナサーイ!』



『狩られる前に狩っちゃいなさーい』


そう後手後手だった。

いつの間にか我々は攻めるという姿勢を忘れていたようだ。

『攻撃は最大の防御』

どこのどなた様が言ったのかは知らないが、その言葉は暗闇の中に輝く針の穴ほどの小さな光、大きな希望である。

氏の暗雲立ち込める心に、『カッチャイナサーイ』の声が響き渡る。

その声のスピードと同じくして空は軽やかに晴れ渡り、どこまでも落ちて行きそうなくらいに青くなる。

氏は指を明後日の方角に指し、大声で叫ぶ。


「ボーイズビーアンビシャス、立ち上がれ労働者よ!」


さぁ、花粉症に悩む諸君!立ち上がる時は今ぞ来た!

関東に生息する杉という杉をなぎ倒しにいくぞ。

この地に一本たりともその姿を残すものか。

花粉を撒き散らすとは言語道断人非人残虐無道な行い断じて許せぬ。

人で言えば往来で所かまわず白い恋人的サムシングを発射しているようなものだ。例えが悪い!

むぅ、とにかく許せん!集まれ同士!

チェーンソーで杉を倒す、どんどん倒す、倒した数だけ幸せが訪れるであろう。



決行は明後日金曜日。

各自チェーンソー持参のもと駆けつけるべし。


集まった諸君に氏はチェーンソーを起動させニコヤカに合言葉を言う。



「じぇいそーーん♪」


集まった勇士たちは一斉にその声に応える。


『じぇいそーーん♪』



社会を震撼かつ歓喜させたその『関東周辺杉の一気撲滅事件』は、のちに教科書で『13日の杉野ジェイソン』とやや事実とは異なる形で広く世に知られることとなる。



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どうしよう、京都に行きたい。


昨日購入した本が大変面白くおいしゅうございました。

怒涛の勢いで読破してしまい、寝ていない。

寝てないけど続編的なサイドストーリーものまで即購入。

そいつもさらに面白く、なんつーの?京都行きたい。

先月もとある京大出身作家に惚れ込んでしまい京都に行ったばかりなのだが、またもや京都を舞台とした京大出身作家。

なんだか縁があるなぁ。いいなぁ京都。

ちなみにその本は『鴨川ホルモー』という。


なんだこのふざけたタイトルわ。

ホルモーってなんだホルモーって。聞いたことね。

そんな作者の意図にまんまとひっかかり最後まで一気読みしてしまったわけだ。

しゃくだわぁ、妬くわぁ、そう思ってたらなんと、今度映画化するらしい。

氏は栗山千明演じる楠木さんがお気に入りである。渾名「凡ちゃん」。大木凡人に似てるから。

このファンタジーなマジックリアリズムの世界をどのように紡ぎだすのであろうか。

2人の京大出身作家の文才、想像力に氏は激しく嫉妬し敬愛するのである。

あぁ羨ましい、おもしろひ。


京都に行きたい。

そうだ、京都に行こう行きたい行かせてください。私を京都に連れてって。

映画も観たい。

そうだ、映画に行こう行きたい行かせてください。私を映画に連れてって。


どちらか選ばしてやろう。

京都まで氏を連れて行くか、映画館まで連れて行くか?

二者択一、そのほかは却下だ。私の意見も却下か?



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ないよ、ねーよ。




いやーないよー。

この年で韓流にはまっちまったよー。

もうちょっと歳がいってからだとばっかり油断してたよー。


知ってる?韓流って、少女マンガみたいな世界なんだってさ。

だから、少女マンガにはまった現おばちゃん世代に好まれてるんだってさ。

へー、りゅぢさん、少女マンガなんて読んでたっけ?


いやいや、今時点韓流の主要な流れは時代劇。

チュモンやテジョヨン、王と私とかそういった大河モノ?が人気がある。

大河!

おうおう、歴史好きの氏にはぴったりのおあつらえむき。


しっかーし、氏がはまったのは実は少女マンガの韓流の方だ。

どうしてこんなことになったのか、悩める子羊が如くプルプル悩む。

悩んでも答えがでないから、テレビをつけてDVD『魔女ユヒ』をみる。

怪しい笑みを浮かべながら、『魔女ユヒ』を鑑賞する氏。


「はっ、また韓流を観てしまった!」

氏が自分の病に気づいた時、それはすでに膏肓に入り込んでいた。

「治りますか?」

『治りません』


ならば!と氏は考えた。

「騙されると悩むより、笑って騙されろ」

治らないのであれば、どっぷり頭までつかるべきである!

勉強してないけど、テレビドラマ見続けたから韓国語喋れます!くらい。

ハングルハングル!

うん、いいのかそれで?


と、いうわけで氏は韓国語ぺらぺらをめざして『魔女ユヒ』を見続けるニダ。

ちょっと片鱗が見えてきてるニダ。



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Fly me to the moon




先日バイクに乗ったところの寒さったら未だに記憶から薄れることがない。

とりあえずは左利き眼鏡勝ち気な乙女から『寒いけどりゅぢとバイクでドライブしたひ』とチョコレートが如くあまったるく囁かれない限り乗りたくない。

後ろに乗って彼女はこう囁く、『背中は私が暖めてあげるからね♪』

おぉ、ココア付きか!

さらに運転中にこう囁け、『寒いけど、、こーゆーのも、、なんかいいね☆』

ケーキまで!

そして家に帰りお前はベッドに座りこう言うんだ、『こっちに来て、暖めてあげるから』

なにこれ!?なに付き!?ねぇ、チョコ・ココア・ケーキ、あと何がセットなの!!!

氏は尋ねる、『いくらですか?』

氏は悩める、『銀行行ってきていいですか?』


ところでそれ、どこのお店?そんなとこあるの?参考までにねぇ、教えてよ。


ま、まぁ冗談はさておき(ほんとに冗談?)、氏はこれでも健全たる20代男子である。

風俗にお世話になるほどまだスレちゃいないつもりだ(ほんと?)。

しかしながら、そういうお店に行こうと1度だけ誘われたコトがある。

正座する氏、眼の前には当時お付き合い頂いてた女人が座っている。



「小林くんがその、あの、あれだ、風俗に行こうと誘ってきました」

『で?』

「はい、ご存知かとは思いますが、小林くんとは日頃仲良くしていまして、彼がぜひに行きたいとおっしゃっているのです」

『だからナニ?行くの?』

「いえ、滅相もございません。ワタクシには貴女様がいますので、そーゆートコロにはちょっと興味がないというかいえ、あるにはあるのですが、やはりそこは・・・」

『行けば?』

「あ、もちろん行く気なんてこれっぽ・・・え?いまなんと?」

『行けばいいじゃん。別にそれ浮気とかじゃないし、オトコなんだから別にいんじゃない?』


氏はこれでも20代男子である。彼女にイケといわれればいつでもイクことはやぶさかでない。


「ほんとに?ほんとに行ってもいいの?」

『別にいいよ。ただ、』

「ただ?」

『友達全員に言いふらすから。3年くらい会ってない人にも。りゅぢが風俗行って、あいつほんとありえねぇよと』

「えっ、、と。なんで?」

『バカヤロウ、オマエ、こんな美味しいネタほかにねぇよ、つーか行ってこい、今すぐ行ってこい。小林呼び出せ!私は悲劇のヒロインになりたい』


それは壮絶な戦いだった。

行けという彼女、行かないという氏。

いかに風俗が危険なトコロか氏は切々と語る。

ゴムすればだいじょぶだと言い張る彼女。

何これ?なんか違くね?


話もなんか違くね?ズレてね?本題もどろ?


そうそう、バイクが寒かった。修行僧かよと。山伏かよと。

運転中、そりゃもう寒くて、オレ何になりたいんだっけ?山伏?山伏なの?牛若丸に剣術教える?とか、意識も吹っ飛んで優しい微笑みすらたたえてた。

もうしばらく絶対乗りたくねぇな、と危ない笑みをもらしながら氏はバイクに乗っていた。

寒かったけどもらしていたのは笑みだけだ。危なかったけど、暖かい汁はまだもれてない。


だが覚えておいてほしい、氏は左利き乙女と運転が好きなオトコだ。

目的地なんていらない、ただ走らせる、それだけでも結構満足なタイプだ。

そう運転中は風を感じて、ただただ風になりたい。それが最上の醍醐味。

だからドライブの際、「どこ行く?」と氏に尋ねられたらこう囁いて欲しい。


『どこでもいいよ、月まで行こうよ』


キミは左手で指差す、夜空に輝く望月を。

氏は月にたどり着く為、アクセルをめいっぱい入れる。

いや、風でなく星になるかもしれん。

それでも行こうよ、深夜ドライブ。



Fly me to the moon



そんな妄想叶えてくれるお店知りませんか?あ、本指名牛若丸さんでお願いします。




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削ぐぞ?



例えばそれは朝露の水滴を葉っぱが『ぽとり』と落とすような、

例えばそれは溢れる水の音を獅子落としが『かっこん』と割るような、

そんな相応しさ、それを微塵も備えていないオトコ、父マサル。


ベッドの上で静かに眼を開き、ユメとゲンジツその狭間をしばしたゆたふ。

氏を乗せた船が流れ始めた波に押されうつつの此岸にたどり着いた時、朝が始まる。

心は河岸に惹かれつつ、寝ぼけ眼をこすりこすりしながらリビングに氏は降りていく。

扉を開くと、テーブルに向かい新聞を読みながら父は朝食を食べていた。


『おはよう』


右手に持ったコーヒーカップを少し掲げて父は言い、すぐに視線を新聞に戻す。

甥っ子は相変わらずアニメに夢中で、食べるのもそぞろになっている。

そんな甥に母である姉はいちいちうるさい。

氏の母親はというと、細々しく動き回っている。

そんな日常的な朝だった。


だがしかし、結論から言うとここで1つ間違いがある。

左右に並べられた正しい図と間違った図。

明らかにあるべき正しさを失った、我が家の朝食風景がそこにあった。

今、氏が体験してきたコト、これは残念ながら歴然と間違った図のほうだったのだ。


それを今から諸兄諸女に説明したい。・・・諸女って、、、あぁ、いいやなんでもない。


コーヒーを飲み新聞を読む父マサル。

読み終わると、孫である我が甥っ子と何気ない会話を始めた。


『今日も保育園?いーなー、今日は何するのー?』


その姿はまるっきり孫を溺愛する好々爺である。

そしてそれもひと段落すると、コーヒーをクッと飲み干し『さて着替えるか』と言った。

あぁ、今日土曜だけどどっか行くのかな?と、氏は眼の前に座る父の姿を視界に収めていた。



『着替えるかな』と言って、父が始めにした事はパンツをはいた。




えっ?



いや、いやいやいやいや、分かるよ?君たちが言いたいことボクね、すっごい分かるよ?

ツッコむ?ほんと?まぢで?ツッコもうか?



パンツ、、、はいてなかったの?


気づかなかったーーーー!!テーブルで気づかなかったーーーそして気づかなくてよかったーーー

『おはよう』とコーヒーをかかげたフルチンの父マサル。

真剣そのものの顔で政治欄を読むフルチンの父マサル。

『保育園?いーなー』と孫と戯れるフルチンの好々爺父マサル。


オマエ、フルチンで飯食ってたのか!?

オマエ、なんでトレーナーまで着込んで、下フルチンなんだっ!?

オマエ、着替えるもなにも替えるもん着てねぇじゃねぇかっ!?『さて、パンツはくか』と物事は正しく言え!!



なんにせよ氏は大変驚いた。

想像力をフルにして思い浮かべて欲しい。

今あなたの前に座っている男性がいる。

会社でもいいし電車でもいい。レストランでももちろんいい。

その人がスックと立ったとき、フルチンだったら・・・



A.歩いたら音がする。

ほら、耳を澄ませば聞こえてくるだろう?



…ペタンペタタンペタンペタンタン!!

近づいてる?



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しまった、時間がない。


母が車を出すというので氏は便乗し、駅まで乗せていってもらった。

少し車を走らせると『あ、忘れ物した!』と家に引き返す。

おーい、しっかりしてくれよ母さん。

『あんた、時間大丈夫?間に合う?』

まぁ、自慢だが氏は比較的パンクチュアルな人間であり、30分くらいの余裕は常にみている。

余裕の笑みを湛え、綽々(シャクシャク)してた。

駅で降ろしてもらい改札を通ろうと定期を出そうとすると、えっ定期がない?ハイ忘れたー。


車で通ってきた道を歩いて帰る。むなしい。

家に着くと、すでに綽々だった余裕は消えていた。

これは間に合わないんじゃないか?


電車だと微妙に間に合わない?間に合うの?おばあちゃんは?ねぇ、おばあちゃんがいないよ?的時間帯。

こいつは、、、バイクしかない!!

期せずして、今年初バイク出動。


まさかこいつを再び使うことになろうとわ。。

氏は禁断のマシーンをしげしげと眺める。

キーを差込み悪魔のボタンを押すと、眠りから覚めた奴は喜びに悶え身体を震わす。

そう、氏は昨年末、こいつを眠りにつかせ堅く封印したのだった。



さみぃんだ。なんでって、ものっすごく寒ぃんだ。


あんね、人間の身体って寒い時、心臓を守る為に末端の手足に血を送るのやめちゃうんだって。

トカゲの尻尾切りみたいなもんだよね、見切りをつけるっていうか。

でだ、バイクにまたがり家をでて1コ目の信号に着く頃には、すでに手足の感覚がなかった。



ちょっ、見切り早すぎ、早すぎだって。



開始3分早々で、手足の感覚を失った氏は、約1時間の道程を耐えられるのか?


『ホントの戦いはこれからだ!』的な終わり方をしてるのは、リアルに時間がまずいことになったから。

やばい、約束に遅れる。

続かないかもしれないけど、後記する予定。

ごめんなさい。




Not Place Utopia ←ぽちっとされるとうれしくなるよ