最近、落ちがち。



誰にも頼らず飄々と。

悲しくもなく寂しくもなく。

好きに生きていくからと。


でもたまには意味もなく元気の出ない日もある。

そんなときは誰かにやさしくされたくて。


『明日は晴れるから』


今日も雨だし。明日も雨かもだと。

雨イヤだーーー



さて昨日今日と雨続きで元気がまったくでない私です。

晴れ男、晴れ女という人種がマジメにいるならば、傍らに置いときたいもんです。

座敷わらしなみに重宝するんで我こそはという晴れっこはこぞって応募してください。まぁできればおなごがいいかなぁ、そこは。


そう、お引越しですが、ブログね、ブログ。

前々からうすうす思ってたんだけど、アメブロってメンテ多くね?あと携帯から見づらくね?使い勝手が微妙に悪い。

まぁ、そうは言っても、メンテが多い以外には大して不満でもないんだけど、気になったらそれはもうちょー気になっちゃっていても立っても座ってもいられない。


というわけで、徐々に移転していこうかなと、今準備中。

とりあえず、記事は全部お引越しツールで移し終わったけど、日付がエライコトニなってるのと、テーマとかなくなっちゃってるのを直してる最中。


で、大事なのはリンクしてくれてた人。

たいっへん申し訳ないんですが、アメブロでリンクをしてくれている方は、もしこれからも新しいブログの方にリンク貼り続けてくれるというステキなアナタ、連絡ください。

こちらからも至急、可及的速やかに貼らしていただきます。



http://npublog8186.blog85.fc2.com/  

携帯もおんなじです。

彼女にふざけてカンチョウしたら殺ら(ヤラ)れた。




先日エスカレーターに乗っていると、カップルが前におり、彼女がエイヤ!と彼氏にカンチョウした。

『ぐほっ』と変な叫び声をあげて怒る彼氏。してやったり顔の彼女。

実に阿呆らしい。まことに阿呆らしい光景だ。

だがしかし、こんな彼女アリでないか。

カンチョウしちゃう無邪気な感じがなんとも微笑ましく、まさに可愛い彼女である。


ここで必ず生まれる誤解をあらかじめ解いておこうとおもうが、いいか、カンチョウがいいといってるわけではないぞ。

あくまで、その無邪気さを可愛いといっているだけであり、カンチョウが好きとかいってるわけでないコトをまず理解しておいてほしい。切に。

カンチョウしちゃうような女の子が好きなのと、カンチョウが好きってのはまったく別次元の話であり、雲泥の差があるし、月とすっぽんほど違う。

どちらが月かといえば言うまでもなく無邪気さが月であり、いろんな意味でカンチョウはすっぽんでも食うくらいの意気込みでどうぞお楽しみください。

ここまで言っても、『りゅぢさんカンチョウ好きなんですね?』とか言ってくるヤツがいるだろうが、そんなヤツには孫の代までカンチョウし続けてやるから覚悟しやがれ。


さてその無邪気さが可愛いと思ったわけだが、思い起こせば無邪気=りゅぢと言われていた。あぁ、思い出した。

そう、私が生まれた時には、世を余すとこなく無邪気さが覆い少なからず諸君もその恩恵を授かっているはずである。

無邪気といえばりゅぢ。りゅぢといえば無邪気。ある種不文律と化した方程式であったことは記憶に新しい。

というわけで、無邪気な私りゅぢです。

『そういえば俺、昔彼女にカンチョウしたわ』(リアルなほうじゃないぞ)

えぇ、だって無邪気ですから。


カチッとトラウマスイッチオン。



あれは彼女の部屋だった。

えぇ、特に意味があったわけではないんですよ。

山があるから登るんだ。ケツがあったからやったんだ。そんくらいの軽い気持ちだったんです。

ついつい衝動を抑えきれなくなって、私、指をこう人差し指をこうしまして、彼女の菊門目指して『エイヤッ』と突き刺したんです。


『ぐほっ』


と変な叫び声をあげた相手がなんだかおかしくておかしくて、、はっ、ははは、はははっははー『ぐほっ』って、、はーーーはっはっはーーーー


『ねぇ、、今なにしてくれてんの?』


何って、、、、?カンチョーにきまってるじゃーーん、、あーーーっはっはっはっはーーー


『そう、、、カンチョウね・・・』


ピリッと張り詰める部屋の空気。

大笑いしてた私でしたが、その瞬間悟りました。



や、殺られる




『ケツ、、、だせやーーーー!!!』



彼女がキレた。

『ケツだせやー』と追いかけて来るその姿は八つ墓村を彷彿させた。

もしかしたら勢いよく突きすぎたか?ケツも切れたのかもしれん。

そんな冗談をいう余裕すら感じさせることなく『ケツだせやー』と迫りくる恐怖。

今捕まったら間違いなくヤラレル。

下手したらケツから入った指が体中をつきぬけ口から飛び出るくらいの勢いでカンチョウされる。


そして一目散に逃げた。

後ろを振り返ることはできなかったが、『ケツだせやー』の声は聞こえた。


ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・・・



平成日本に幽霊がでる。カンチョウ鬼という幽霊である。

川越が呼んでいる。



もう数年前からずっと。

ちなみに川越とは何者かというと、中学の時からの腐れ縁で昔はよく一緒にツルンで遊びまくった。

あいつにタバコを教えたのは俺だけど、酒はあいつから教わったなぁ。

頭の回転は良かったけど勉強はできないやつで、テスト中こっそり答案用紙を見せたりもした。

高校に進んでからも、わりとちょくちょく会っていたけど大学に入ったとき、あいつは就職をしてそれから少し疎遠になった。

ところが数年前、偶然ドンキでばったり出会い、なんとアイツ結婚してやんの。

そんで昔話で盛り上がって、どうやらやっぱり俺達腐れ縁だよなって。



とかそういう話でなく、埼玉県川越市である。



JRの駅とかにさ、よくポスター貼ってあんじゃん?

あれみて猛烈にココロ惹かれた。

いろんな場所のポスターが貼ってあるんだけど、弘前?金沢?高知?川越っ!!おまえだーーー!!

ほか、全部遠すぎ。


ところで川越って何があんの?小江戸ってとこに惹かれたんだけど。

もうすげぇ川越に詳しくて、川越ならまかせとけ!って人に連れてって欲しい。

まぁ、鎌倉でも構わんけど__


そんな今日この頃。

なんだか元気のでない日もある。


ただそこにいるだけで、楽しい気持ちにさせてくれる、元気にしてくれる人っていうのはいるもので、今この瞬間、氏が求めるのはそういう人である。
しかしながらそれは稀有な人材であり、たまたま今日居合わせた的な幸運にめぐまれない時は自己解決をはからねばならない。

はたして何故今日はダウナー系なのか?

そこんとこ原因と因果関係をはっきりさせれば自ずと対応もみえてこよう。


まだまだ幼き頃、22時以降は深夜であると思っていたあの頃、その日はたまたま両親は出かけてしまい、祖母と一緒に留守番をしていた。
今はすでに他界した祖母であるが、当時から足が弱っており、一階の自分の部屋に閉じこもりがちな日々だった。
そんな祖母が珍しく階段をのぼり独り寂しくテレビを見ていた氏のもとにやってきた。


『さびしがってるかと思って』


そういって祖母は左隣に座り、一緒にテレビを見た。

しばらくして、こっちを向いた祖母が、氏の左手の甲を見て固まった。

凝視している祖母に、テレビに夢中になっていた氏も気づき、何事かと顔を向ける。

すると祖母はこんな話を聞かせてくれた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

祖父の祖父のそのまた祖父、もう何代前かは定かではないが、父方の祖先に彦次郎という人がいた。

いわゆる町医者であり薬草の調合に長けた彦次郎は、自分が裕福でないながらも貧しき者には診察料を貰わず、というコトを貫き通した。

その姿勢から町の者からは大層好かれ、診察料代わりにと届けられる野菜が山を作るほどであったという。


しかし、それは起こった。


ある日、隣町との交通を格段にあげる計画であり、町をあげての大工事、山にトンネルを掘るという作業をしてる時に一人の男が不注意からか偶発的な事故からか、大怪我を負った。

もちろん唯一の医者である彦次郎がすぐさま呼ばれたが、そんな大きな外科手術したこともないし、ましてや設備すらない。

泣き叫ぶ親族たち。

その涙と声にならない嘆き声を聞いたとき、このまま放っておいても死ぬだけだ、一か八かやってみようと決心した。


必死の形相でメスを握り、額の汗が玉となったが拭わずに続ける。

数時間後、涙を堪えきれず泣き顔で彦次郎は部屋から出てきた。


『ダメでした。全力は尽くしたのですが、もうしわけありません』


遺族となった男の親族が涙ながらに部屋の中へと駆けていく。

赤にそまッた部屋の中央、台の上には変わり果てたどす黒い肉片、男の姿があった。

全身を血に染め真っ赤な彦次郎を指差し、充血した真っ赤な瞳の真っ青な顔した彼らは叫んだ。


『お、お前は人殺しだ!絶対に許さないからな!!』


その言葉を聞くや否や、彦次郎は診察所を飛び出していった。


「なぜ?自分は全力をつくし助けようとしただけなのに」


彦次郎は恨んだ。自分の力のなさを。

そして、右手に握ったメスで左手を突きまくった。

もし、自分に外科技術があれば、男を救うことができたのに。

赤い涙を流し、左手をめった刺しにした後、彦次郎は放心していた。


何時間たっただろうか、放心していたその眼に力が宿り、その炎はやはり恨みだった。

彦次郎は恨んでいた。自分を指差し『許さない』といった連中を。

もともと大手術の経験もなく、設備もない、そんな状況下でも助けたい一心で踏み切った自分にたいし、『人殺し』だと?『許さない』のならそれで構わない、自分もお前らを許さないだろう。

そう独り呟いた彦次郎はそのまま海に身を投げ自殺した。


数日後浜辺に打ち上げられた彦次郎の死体を見つけた町の者は、まず左手の凄惨な状況に驚き、その死に顔の恐ろしいまでの怒りの形相にさらに驚いたという。


その日が旧暦で4月18日、つまり5月20日である。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


そこまで祖母が話したとき、何故祖母が自分の左手を見て固まっていたのかを理解した。

生まれつき氏の左手の甲には____



と、まぁここまで作り話を続けてきたけど、どー考えても二日酔いだなぁ。

Not Place Utopia-20090518191435.jpg

浅草に来た。


電気ブラン。
この言葉を思い起こすにあたりボクはある種邂逅を禁じえない。

あれはボクがまだ大学にはいりたての頃、年上の女性に恋をした。
サークルの先輩であり、新歓で初めて顔をあわせた時、思えばあの瞬間ボクは恋に落ちていたのだと思う。
彼女は酒豪であり、水のようにかぶかぶとアルコールを喰らっていた。
まだ酒に対して免疫のないボクは彼女においてかれたくない、酒の飲める奴だと思われこれからも誘われたい一心でなれないアルコールを喰らった。
朦朧としていく自分の意識、それでも彼女はおかまいなしに飲み続ける。
時間がせまりラストオーダーになったとき、締めに選んだのがこの電気ブランだった。
その聞き慣れない酒を飲んだ瞬間、ボクの意識は空のかなたに霧散した。

雲の合間に漂い、曖昧な境界を行き来した意識が覚醒を迎えた時、ボクは一人暮らしをしていた彼女の部屋のベッドの上だった。
目を覚ましたボクの隣には彼女が寝息をたてて眠っていた。

誤解しないでほしい。
酔いにまかせて一線を超えたのでなく、服は着たまま寝入ったようだ。
起き上がったボクはドキドキに心臓が破裂しそうだった。
隣に彼女が眠っている。
この千載一遇のチャンス。
キスしてしまおうか?

一度頭に浮かんだその想いは押さえ切れなく徐々に顔を近づける。
その距離わずか数センチ、唇と唇が触れ合うまさにその時、軽いうめきとともに眼をひらく彼女。
一抹の気まずさが場を埋める。

『キス、、しようとした?』

「…うん、ごめん…せ、先輩、オレ、先輩のこと__」

好きです、その言葉が身体の中心から発し世界に飛び出すまさにその時、彼女の人差し指がボクの唇をふさぐ。

『ダメだよ、その先は言っちゃ』

でかかった言葉を飲み込み納得のできない顔をするボクに彼女は話かけた。
今、彼氏がいること。アメリカに留学中であること。最近、彼の態度がそっけなくどうやらあっちで好きな人ができたようだということ。

それでも彼を待っていたいということ。


『キミと付き合うことはできるよ。でも私は彼のことをひきずると思う。それはお互いにとってフェアじゃないでしょ?』

そう彼女はいった。

「そんな彼氏、俺が忘れさせてやります」

そう言おうとしたボクより早く彼女は言った。


『飲もっか?』


彼女がだした酒は電気ブランだった。
淡くて苦い失恋の記憶である。



すまん、ウソだ。
誰も得しない作り話を何故してるのか?甚だ謎である。

本場電気ブランを飲みに浅草、神谷バーにきています。

これから積極的に取り入れていきたい言葉たち。



ケース1  『スルメ』 surume

意味    噛めば噛むほど味がある

補足     匂いとかは今はとりあえず関係ない


使用例

『このバンド、最初は別にぃだったんだけど何度も聞いているうちに、すげぇいいなって思った』

「あーあるよね、そういうのって」

『そうそうスルメバンドって感じ』  



ケース2  『マッチョ』mattucho

意味    男らしい(筋肉質という意味ではない)

補足    コーヒーをブラックで飲む程度の男らしさ


使用例

『こないださ、原チャにガソリン入れたんだけど、小銭なくてお釣もらうのもめんどいしハイオクいれちゃったよ』

「まぢで!?ちょーマッチョじゃん!!」



ケース3  『フル勃起』full bottuki

意味    これ以上ないくらい勃起

補足    たってるけどまっすぐ立ってられない


使用例

『んーよく寝た、うわっ、俺今ちょーフル勃起!』

「うっそ、まぢ?俺もなんだけど!!」

『二人合わせて、ダフル(ダブル)勃起!!!』




・・・・・・・バカじゃないの?

怒りを表すときは静かに冷静にな。



先日外を歩いていると怒鳴り声が聞こえた。

何事かと声の主を探してみると、競馬場にいそうなタイプのおっさんがどえらく怒ってた。

対面には警察官。

野次馬根性むき出しで、歩きながら耳を傾けていたが何を言っているか全く分からない。

大声で怒鳴っているのはわかるのだが、言語不明瞭すぎて日本語として聞き取ることができない。

幾人かの恥知らずな野次馬達は遠巻きに立ち止まり、おっさんと警察官のやり取りを聞いているようだが、みな一様に要領を得ない顔をしていたのだから、誰も何を言っているか聞き取れていなかったのだろう。

その光景を見たとき、悟った。



怒っている時に怒鳴っても何言ってるか分からない。



そう、それは誰しもが分かっていたはずのことだ。

例えばプロレス。

試合後、マイクパフォーマンスをするプロレスラーの言葉を字幕なしで聞き取れるヤツはこの中にいるか?

つまるところ、テンション上がりすぎてるときは、ちょっと言語能力が残念になってるってことだ。

仮にあのマイクパフォーマンスがアドリブだとすると、ちゃんと会話をする相手のプロレスラーはかなりのすごいやつだ。

もし私がリングにたってたら、『え?』『え?』と連発し、最後にマイクを叩きつける時の台詞は『もういいよ!』になっていることだろう。


そして同様に警察官にも尊敬の眼差しを送らずにはいられない。

あいつ、ちゃんと会話してんの。慣れてるなぁ。


そんな事を思いつつ、その光景を背中に過ぎ去りし背後から



『古くねぇよ!』『古くねぇって!』『古いわけねぇだろ!!』



と、唯一聞き取れた断片的すぎる怒鳴り声が私の心をがっちし掴んで離さないのであった。



何の話?

王子様になりたかった。



その御姿は神々しく荘厳で、だれしもが前にすればひれ伏してしまう。

あまねく大地を徳の力で支配し、恩恵にあぶれるものはなし。

たとえ昨日は敵であろうとも、その絶大なる英気の前に今日は臣下となってただただ地に額をつけるのみ。


あぁ、カレー、カレー、カレーの王子様。



これまで何度も主張してきましたが、カレーに勝る食はなし。

カレーの前に道はなし。カレーの後に道ができる。

どんな靴を履いてても、歩けばボク(カレー)の足跡。


そんなわけで、これまでいろいろなカレーを食べてきましたが、『焼きカレー』です。

ところどころコゲたところが香ばしく、石焼ビビンバ的な、鉄板に熱されたご飯がドリア的な。


まぁでもなんていうかな、カレーを語る言葉をボクは持っていない。

安い言葉で語れるほど、ボクとキミとの関係は軽いものではないはずだ。



カレーを食べに行きたい。あ、それと飲みに行きたい。


中空を彷徨うため息を掴むと、花のシールで封をされた手紙だった。



彼のついたため息は手紙となって彼女の家に届いた。

彼女がチグリジアのシールで封をされたその手紙を開けると、英語で2文字だけ書かれていた。

それを見た彼女はすぐに彼に電話した。

真摯な声で彼女はこう言った。


『大丈夫、あなたには私がついているわ。いつだってあなたの味方だから』


それを聞いた彼は「あぁ、自分はなんて幸運な男なんだ。ボクには心強い味方がいる」と幸せのため息をついた。

するとそのため息は、また手紙となり彼女の家まで届いた。

彼女がアネモネのシールで封をされたその手紙を開けると、英語で3文字だけ書かれていた。

それを見た彼女はすぐに彼の家に駆けつけた。

頬を桃色に染め上げ彼女はこう言った。


『私もよ。私もあなたのことを___』


そうして彼と彼女は『彼』と『彼女』になった。

それから幾年月が経ち、永遠を誓った中にも悲しい終わりが訪れる。

終わりを悟った彼は、積み重なった思い出の数々にうもれ、センチメンタルなため息をついた。

するとそのため息は手紙となり彼女の家まで届いた。

彼女がユウゼンギクのシールで封をされたその手紙をあけると、英語で2文字だけ書かれていた。

それを見た彼女はすぐに彼に手紙を書いた。

涙で濡れた瞳を拭いながら必死で彼女は書いた。


『・・・・・・・・・・・・・・・・・』


数日後、彼の元に届き、彼はカスミソウのシールで封をされた手紙をあけると、英語で2文字だけ書かれていた。

「あぁ、自分はこんなにも愛されていたのか。だがもう終わってしまったのだ」と彼は涙を流した。


今、彼はため息をまたつく。

そのため息は行き場を失い中空を彷徨っている。

その手紙には何の花のシールで封をされているのだろうか?誰の元に届くのだろうか?


私が掴んだため息はまさにそんな彼のため息だった。

私は花のシールで封をされた手紙を開くのをやめ、もう一度空に放ってやった。


願わくば、正しい人の元に届くように。と。

ぱっかと。


夜中に割れるように頭が痛くて眼が覚めた。

うわぁ、ガンガンするぅうー割れるぅーーと思ってたら割れた。

その割れた頭からいろんなものが飛び出してきた。


数分後からっぽになった頭をぶら下げてベッドから這い出すと、なんとも心地良いふわふわとした足取りで靴を履き表へとでていった。

暖かい、でもまだわずかに肌寒い風を受けて公園のベンチに座り、ふと顔を上げると先ほど頭から飛び出していった数々のかけらが散らばっていて、風に吹かれて不安定に今にも散逸しそうだった。


「あぁ、そうだ。あれはボクの大切な思い出たち。急いで集めないと大変なことになる」


そう不安に駆られたボクは、一心不乱にちらばった思い出を集め始める。

やっとこさ全てを拾い集め、ほっと一息いれたところ、どうにもその思い出たちが軽い気がした。

むぅ、まだ全部でなかったのか?それとももともとこんな程度にしかなかったのか?

そう思い、ひとつひとつを見比べて確認していった。


「あぁ、そうだ、これはあの時の思い出だ、こっちはあれか?まぁ懐かしい」


しかしからっぽのボクの頭では、たしかにそれがそうだと言われれば、んーそうだなと思えるのだが、なんせからっぽ、ホントに自分のものなのか、何が足りないのか?もしくは間違って違う誰かの物を拾ったのか?そこらへんはよく分からなかった。

仕方がないので、なんとなく自分のだと思えるやつだけ頭にいれて、違和感を覚えたものは空に放った。

空へと登っていったそれらは、自らの手を離れるとやけに輝かしく、とても惜しく感じられたけど、もう落ちてくる気配は微塵も感じられなかった。


しばらく物欲しげに輝くもしかしたら自分の思い出を眺めていたが、やがてそれが自分の手を完全に離れていってしまったことを知り、首を振ってボクは家に戻っていった。

きっとあの中には自分のも入っていたのだろう。

そう思うと悲しくなった。同時にもしかしたら自分のじゃない誰かの大切な物を誤って拾ってしまった可能性も考えると恐ろしくなった。

ボクには必要ないものでも、その人には大切なものだったのかもしれないから。


いつかあの空に輝く思い出たちが落ちてきた時、それを一つ残らず大切に拾い集めよう。

いつか自分の思い出を亡くした誰かが眼の前に現れた時、ボクが誤って手にしたものをちゃんと返そう。


そう思ってつぶやいてみる。



「ボクの名前はりゅぢ。いつか海賊王になる男だ」