青年銭形平次 | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

銭形平次が親分と言われるようになる前の青年時代を描いた作品が『青春銭形平次あっぱれ一番手柄』『銭形平次捕物控』『銭形平次』です。

『青春銭形平次あっぱれ一番手柄』(1953年・東宝/監督:市川崑)は、市川崑の時代劇初監督作品。

飴屋の平次(大谷友右衛門)は、与力の笹野新三郎(伊豆肇)から十手捕縄を頂き、町内の娘たちの人気者。豆腐屋のお静(杉葉子)は、毎日平次宅に現れては何かと世話をやきます。酒問屋・虎屋の樽から贋小判を持った死体が発見され、平次は日雇いアルバイトの八五郎(伊藤雄之助)を子分にして捜査開始。虎屋に忍び込んだ平次と八五郎は、立ちふさがる黒覆面を得意の投げ銭で追いちらし貯蔵されていた贋小判を押収します。しかし、贋小判は次々に出回り、被害は刻々増大。贋金作りの本拠が猫を追いかけていて、ひょんなことからわかり……

強盗とパトカーの追跡劇から始まり、「あっ、間違えました」と舞台が江戸時代に変るというコメディ時代劇。銭がもったいないと平次がゴムをつけて投げたり(銭が手元へ戻ってくる)、大人数が画面の片端に押し寄せるとカメラが傾いたりするなどギャグ満載。猫に小判は駄洒落ですな。時代考証無視はコメディとして許しましょう。若き市川崑の非凡なる才能があふれている作品ですが、市川は「面白いシナリオで、楽しく失敗した」と後年語っていま~す。

 

『銭形平次捕物控』(1963年・東映/監督:平山亨)

贋の一両小判を持った無宿人の水死体が発見され、さらに贋金を見破った古物商が殺され、目明し・藤蔵(三島雅夫)が捜査を開始。手が足りないので、奉行所で捕物修行中の平次(里見浩太朗)に手伝ってくれるように頼みます。平次は気乗りしませんでしたが、藤蔵の娘・お静(入江若葉)を見て一目惚れ。藤蔵の子分・八五郎(南道郎)が持っていた富籤が当たり、引き換えた小判が贋金。胴元の神社に寄進した女が御用商人・堺屋(香川良介)の妾だったことがわかります。妾は毒殺され、堺屋はとっくの昔に別れた女だと言いはり、捜査が行きづまったところに、水死体と同じ刺青をした男を発見。男を尋問し、水死体が石川島の板金職人とわかります。平次は石川島の人足寄せ場で贋金が作られていると考え、石川島に潜入しますが……

殺された古物商の傷口から平次は、お夏(桜町弘子)の軽業一座で短剣投げをしている宇之吉(和崎俊哉)に目をつけ、かつて一座で人を殺して逃げていた短剣投げが堺屋にいることを知ります。贋金作りの黒幕は元勘定奉行(北竜二)で、配下だった人足寄せ場の役人に贋金を作らせ、堺屋の手を通してバラまかしていたのね。平次は贋金を使って投げ銭を披露。

原作からかけ離れた内容になっていますが、脚本が“警視庁物語”シリーズの長谷川公之なので、捜査活動と犯人捜しが手堅く描かれており、捕物帳としては面白いものになっていま~す。

警視庁物語についてはココヘ⇒警視庁物語(1) | 懐古趣味親爺のブログ (ameblo.jp)

 

『銭形平次』(1967年・東映)/監督:山内鉄也)は、テレビで人気が爆発した大川橋蔵の銭形平次を映画化。目明し平次の誕生から、その初手柄までをダイナミック?に描いています。

目明しだった父親が死んだ後、鳶び政(河野秋武)に育てられた平次(大川橋蔵)は鳶び職として修業していましたが、生活に物足らなさを感じ、賭場に入り浸る毎日。そんな平次に鳶び政の娘・お静(水野久美)が何かと世話をやきます。鳶び政が心中を装って殺され、平次は目明しになることを決意。与力の笹野新三郎(大友柳太郎)から十手捕縄を頂き、下っ引の八五郎(大辻伺郎)と捜査を開始。懇意にしている材木商の上州屋に頼まれた鳶び政が、千里の虎と呼ばれる無法者の正体を探っていて殺されたことがわかります。上州屋と千里の虎の関係を調べる平次を無法浪人たちが襲撃。平次は橘数馬(舟木一夫)という若侍に助けられます。平次は無法浪人たちが集まる極楽河岸に変装して潜入。しかし、平次の行動は千里の虎に筒抜けになっており……

大川橋蔵にとって東映映画最後の出演作品で、青年平次というのは少し無理がありましたね、水野久美も色気ムンムンで乙女といった感じじゃない。だけど、私はこんな久美さんが好きなんです。この映画の頃が、久美さんが一番綺麗だった時じゃないかなァ。主題歌を歌っている舟木一夫は特別出演。舟木一夫の登場シーンだけが浮いちゃっています。千里の虎の正体も簡単に予想がつき、褒められた内容ではありませんが、橋蔵の殺陣はグッドで~す。

尚、テレビの銭形平次についてはココヘ⇒銭形平次(大川橋蔵) | 懐古趣味親爺のブログ (ameblo.jp)