お庭番(2) | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

時代劇ファンに好評だった『剣』に続いてC.A.L.が制作したオムニバス時代劇『お庭番』(日本テレビ系列で1968年3月18日~10月7日放送)の5話以降を紹介。

第5話「みな殺しの唄」(脚本:菊島隆三・安藤日出男、監督:小野田嘉幹)

紀州家・徳川頼宣(三島雅夫)の後ろ盾を得て、由比正雪(岡田英次)は丸橋忠弥(菅貫太郎)たちと幕府打倒を計画。正雪に忍者として育てられた新八郎(新克利)は軍資金調達のために甲斐山中の西山郷を調べるように命じられます。西山郷は周囲から隔絶した平家の落人部落で、砂金があるという噂があったんです。新八郎は西山郷の出身で3歳の時に口減らしのために川に流されおり、信じられなかったのですが村に潜入すると……

新八郎の兄である村長の甚吾(横内正)から、川に流された経緯を聞かされた新八郎が砂金をどうするか悩んでいるうちに、正雪一味に潜入していた隠密(中井啓輔)によって正雪の乱は失敗に終わります。隠密と正雪の残党が金を狙って西山郷に現れ、新八郎と対決。

ラストの決闘は、名作西部劇『駅馬車』のような表現にしていますが、効果をあげているとは思えません。オーソドックスなチャンバラが見たかったで~す。

 

第6話「忍び化粧」(脚本:小国英雄、監督:岡本愛彦)

皇女和宮(宇津宮雅代)の降嫁をめぐって、幕府は賛成派公家への買収資金5万両を用意します。降嫁反対の薩摩の二階堂(今福將雄)と長州の桂小五郎(小林勝彦)は、流れ者の甲賀忍者・望月十兵衛(木村功)と根来大伝(神田隆)に5万両強奪を要請。一方、京都所司代の酒井忠義(細川俊之)は、伊賀赤目党の頭領・美津(小川真由美)に5万両の守護と和宮の護衛を命じます。十兵衛と大伝は、5万両の隠し場所を捜索。二人は金を奪っても薩長に渡すつもりはなく、自分たちのものにしようと考えています。美津は和宮と親しくなり……

美津の配下に加乃(真山知子)と刀祢(太地喜和子)がいて、伊賀くノ一VS甲賀の忍者対決。ビッグネームになる前の太地喜和子は、前編で神田隆に殺されます。神田隆は太目で身軽な忍者に見えないのが難点。最後は、何じゃコリャでした。

 

第7話「暗殺」(脚本:国弘威雄、監督:山内鉄也)

次期将軍となる甲府宰相・綱豊の駕篭が襲撃され影武者が殺されます。大目付・松前伊豆守(大木実)は伊賀壱ノ組頭領・柘植新八郎(田村高廣)に綱豊(浜畑賢吉)を安全に江戸まで送り届けるよう命令。綱豊を狙っているのは、綱豊の弟・清武配下の忍者。首領は新八郎の義父・玄信(天津敏)で、二度にわたる襲撃を何とか防ぎます。街道は何重にも罠が張られていて、綱豊の江戸入りは不可能と考えた新八郎は清武暗殺を計画。惣兵衛(大辻伺郎)たち手練れの者を率つれ清武の居城に侵入を試みますが……

全面的に東映が協力。敵方の忍者には汐路章、田村高廣の配下に川谷拓三・山本昌平・楠本健二・市村昌治がいます。忍者同士の残酷なまでの凄まじい戦いは、東映の集団時代劇の世界。前編は『忍者狩り』、後編は『十七人の忍者』を感じさせます。政治の非情さと忍者の宿命を描いた好編で~す。

 

第8話「一か八か」(脚本:井出雅人・永井素夫、監督:小野田嘉幹)

尾張・徳川宗春の謀反の兆しを探っていた幕府の隠密が深傷を負って、左官屋の松五郎(長門裕之)と弥八(高津佳男)の家に逃げ込みます。隠密は大目付・宍戸(山本学)に送る手紙を二人にたくして死亡。飛脚屋(近藤宏と柳生博)から探索資金を受け取った二人は、隠密が生きていることにして、でたらめな情報を流しては探索資金を得ます。二人からの情報を信じた宍戸は、腕利きの隠密・さつき(水野久美)を派遣。さつきは、松五郎と弥八を利用して飛脚屋が尾張家の二重スパイであることをつきとめ……

嘘がばれて、松五郎と弥八が恐怖を味わうことになるコメディーです。

 

第9話「裏切り」(脚本:国弘威雄、監督:山内鉄也)

尾張徳川の御土居下同心の小十郎(河原崎長一郎)は、父(島田正吾)の死に際して代々伝えられている任務を知らされます。御土居下の表向きの仕事は城門の警護ですが、名古屋城が落城するような事態となった時は、藩主の身を守り無事に逃すというのが極秘任務。そのことを知っているのは、藩内でも上層部のごく一部。鳥羽伏見の戦いで幕府軍がやぶれ、尾張藩は勤皇か佐幕かで藩内が割れます。佐幕派の家老から藩主を連れて江戸に向かうように命じられた御土居下組頭(大友柳太朗)は……

最下層藩士として蔑まれてきた御土居下衆が、日頃の鍛錬を発揮する時がきたと極秘任務を開始。しかし、そのことは勤皇派家老に知られており、邪魔者として抹殺される悲劇です。斬りまくって死ぬ大友柳太朗がグッド。

 

第10話「墓場のない男たち」(脚本:小国英雄・大西信行、監督:石川義寛)

平間小弥太(山崎努)は、密貿易をしている藩に潜入。既に潜入している隠密たちと、商人たちが持っている証拠の品を奪おうとします。家老の水上兵庫(水島道太郎)は、凄腕の忍者・蓮見了介(菅貫太郎)を雇って忍者狩り。小弥太は兵庫の屋敷に忍んでいるところを了介に見つかり傷を負います。お吟という女性(北林早苗)に助けられ、看病してもらっているうちに二人は愛しあうようになるのね。潜入している隠密たちは了介に次々に葬られ、小弥太は了介と対決。ひとり生き残っていた隠密に証拠の品を託し、小弥太はお吟と結ばれてメデタシ、メデタシ。

 

第11話「危機一発」(脚本:下飯坂菊馬、監督:監督:小野田嘉幹)

幕府が禁止している城郭改築の証拠の絵図面を手に入れた隠密・不破数馬(木村功)は、簪の中にそれを隠し、馴染みの芸者・小舟(加賀まりこ)に渡します。小舟が目明しに襲われているところを駕籠かきの丈八(緒形拳)が救出。丈八は数馬の仲間に間違われ、数馬を追う藩士の天童一角(中村敦夫)に狙われることになるんですな。緒形拳のコミカルな演技が見どころの一編。

お庭番は8代将軍・吉宗の時に設置された将軍直属の情報機関なんですが、このシリーズでは隠密の総称として使っていますね。1話や5話の頃には存在しません。ロケを多用し、忍者が走り回る動きのある画像となっています。当時は、時代劇に使える場所が数多くあったんですねェ。道路は舗装され、高速道路が走り、観光地化した今では、超ロングで風景を映すのは不可能です。

ひとつとして、時代劇の定番フォーマットはなく、濃い内容となっており、テレビ時代劇が最も充実していた時期の作品といえま~す。

 

ちなみに、『剣』については、ココヘ⇒剣(1) | 懐古趣味親爺のブログ (ameblo.jp)