お庭番(1) | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

『お庭番』(日本テレビ系列で1968年3月18日~10月7日放送)は、時代劇ファンに好評だった『剣』に続いてC.A.L.が制作したテレビ時代劇。第20回までは各4回完結、第21回以降は各2回完結の全11話からなるオムニバス作品です。『剣』に引き続き、小沢栄太郎が全話ナレーションを担当。

第1話「元禄十四年・十五年」(脚本:菊島隆三、監督:工藤栄一)

殿中・松の廊下で浅野内匠頭(森田勘弥)が吉良上野(坂東三津五郎)に刃傷におよび、吉良におとがめなく内匠頭は即刻切腹、御家は断絶。柳沢吉保(岡田英二)は浅野家臣が籠城して幕府軍と一戦交えることを恐れます。今後の大名取り潰しの禍根になると考えたのね。柳沢吉保の意をくんだ大目付・荒木十左衛門(辰巳柳太郎)は、配下の黒鍬衆・貝塚慎吾(石坂浩二)に赤穂の様子を探らせます。一方、上杉家の家老・色部又四郎(北村和夫)は、浅野家臣が籠城して幕府によって討伐されれば、吉良家が狙われることがないと考え、配下の伊谷源八(緒形拳)に浅野藩士をたきつけて籠城にもっていくように指示。しかし、家老の大石内蔵助(島田正吾)はすんなり城を明け渡します。大石の狙いが吉良にあることを知った源八は大石を暗殺しようとしますが慎吾が阻止。大石をさぐるうちに、慎吾は黒鍬の掟を破ってみの(加賀まりこ)という女と恋仲になり、黒鍬の仲間(菅貫太郎)がみのを殺します。慎吾は黒鍬を抜け、赤穂浪士に仇討ちさせようと、大石を後押し。源八は吉良の付け人として吉良邸に入り、罠を張り、赤穂浪士を攪乱します。元禄15年12月14日、赤穂浪士の討ち入りを知った源八は吉良邸に走りますが、慎吾が待ち受けていて最後の対決。柔の石坂に、剛の緒形の忍び対決は見応えがありました。

画像は、当時噂になっていた石坂浩二と加賀まりこ。

 

第2話「隠密野郎」(脚本:井出雅人、監督:中川信夫)

薩摩藩の密貿易の証拠をつかむために薩摩藩に潜入を命じられた相川丑之助(田中邦衛)は武芸百般まるでダメ。人の好さそうな顔と算盤勘定を買われて薩摩藩の勘定方に採用されます。薩摩藩の実権を握る安達隼人正(平幹二朗)に気に入られ、蔵の鍵まで預けられるほど信頼されますが、政敵の石黒兵部(松本克平)のクーデーターにより隼人正は失脚し、丑之助も蟄居。兵部の妹・みふゆ(坪内ミキ子)が丑之助を好きになり、丑之助は徒士組に潜入していた隠密・香取(長谷川哲夫)からみふゆを利用するように言われ、勘定方に復帰。丑之助がこれまでに知らせた情報をもとに幕府の観察使がやってきて幽閉中の隼人正に証言させようとしますが、藩を守るために隼人正は観察使と一緒に密売船もろとも自爆。香取が捕まり、拷問にあう姿を見かねて丑之助は香取の生命を断ってやりますが、丑之助も正体がバレます。連絡係りの隠密・甚内(中谷一郎)の水車小屋にたどり着きますが追っ手に囲まれ……

田中邦衛のおとぼけ振りが見どころのコミカルな作品。坪内ミキ子にしつこく追われて右往左往。隠密探索がリアルに描かれているので、全体としてはサスペンスあふれる展開になっていま~す。

 

第3話「白い宝」(脚本:橋本忍、監督:岡田愛彦)

将軍家に頻繁に献上品を贈って来る志摩半島の小大名・稲垣藩を潤わせている秘密を探るために一郎次(田村正和)は船の遭難を装って稲垣藩に潜入します。目付の湯浅光兵衛(三国連太郎)は、漂流中に死んだという死体を検分して遭難が偽装と見破りますが、一郎次が村に留まることを許可。一郎次は、3年前から僧侶として潜入していた照円(神田隆)から、稲垣藩には白い宝と呼ばれる秘密の財源があることを知らされます。一郎次を泳がしていた光兵衛は照円を殺害。光兵衛は一郎次を殺しても新たな隠密が潜入してくるだけと考え、一郎次のことは見て見ぬふり。一郎次はおりえ(左時枝)という娘という所帯を持ち、村人として暮らします。

湾が入り組んでいる七曲りと呼ばれる先は警備が厳重で、一郎次は他藩の隠密(柳生博)が殺されるのを目撃。白い宝が真珠と考えた一郎次は海辺の村に潜入。そこでは真珠の養殖をしていましたが、まともな真珠は殆どなく稲垣藩の財源でないことがわかります。危篤だった藩主が死に際に言った、“山にある白い宝”を聞いた一郎次は山を調べますが、待っていたのは光兵衛。一郎次は光兵衛に顔を斬られ、断崖から転落し……

緻密な策謀をめぐらし、任務を遂行する一郎次の上を行く切れ者目付役の三国連太郎がグッド。白い宝がケシの実からとれる禁制の麻薬と幕府に知られますが、将軍献上品と一緒に江戸に運ばれたことが公になると幕府の体面にかかわるということで、前藩主と目付の責任にして稲垣藩におとがめなし。そういう筋書きを新藩主に教えて腹を切る三国連太郎がカッコ良いんですよ。田村正和の、何じゃコリャというくらいの顔面傷だらけのメイキャップも見もので~す。

 

第4話「鎖」(脚本:小国英雄、監督:小野田嘉幹)

天保14年の蝦夷・松前藩が舞台。江戸詰め藩士・大間崎十兵衛(山崎努)が国許の家老・蛎崎将監(佐々木孝丸)に呼び戻され、世継ぎの愛妾と不義密通して脱藩・逃亡した遊佐新九郎(露口茂)を捕えるように命じられます。新九郎は剣の達人で、彼に対抗できるのは北辰一刀流免許皆伝の十兵衛だけ。新九郎と十兵衛は幼馴染で剣のライバルでもあったんですな。十兵衛は東蝦夷・厚岸のアイヌ部落で新九郎を見つけ剣を交えます。相討ちを恐れた新九郎は、十兵衛に捕えられ、手と手を鎖でつないだ道中開始。行く手には新九郎を慕うアイヌ部族と敵対するアイヌ部族や、新九郎に悪事をしられている悪徳商人一味(加賀邦夫と青木義朗)、新九郎を狙う剣鬼(江見俊太郎)、そして新九郎に不正を知られた家老の刺客団が待ちうけており……

雄大な原野をバックに馬と立ち回りをふんだんに盛り込んだ西部劇タッチの作品です。山崎努と露口茂が手と手を鎖でつないだままの悪党相手のチャンバラは面白い趣向。でもって、なんで“お庭番”かというと、新九郎は松前藩の内情を何代にもわたって幕府に知らせていた潜入隠密家系だったのね。新九郎はそんな仕事が嫌で脱藩したんです。松前藩には他にも遊佐家が裏切らないように見張る隠密家系がいたというのがラストのオチで~す。

5話以降は次回で……

ちなみに、『剣』については、ココヘ⇒剣(1) | 懐古趣味親爺のブログ (ameblo.jp)