待っていた用心棒 | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

『待っていた用心棒』(NET=現:テレビ朝日系列で1968年1月29日~7月22日放送)は、『俺は用心棒』に続く“用心棒”シリーズ第二弾。だけど、主演は栗塚旭ではありません。

幕末を舞台に、野良犬(伊藤雄之助)・捨て犬(島田順司)・狂犬(高橋俊行)の3人の浪人と、『俺は用心棒』に続いて登場する柔術家の品田万平(左右田一平)が悪人たちを成敗。

ひょうひょうとしながらも男臭さとバイタリティのある主人公ということで、伊藤雄之助が起用されたのですが、スポンサーは『俺は用心棒』の栗塚旭のようなニヒルで強い主人公を期待。試写2回分を見たら、弱々しくてやさしい主人公だったものだからクレームがつきます。結局、製作過程でイメージが変更。枯れた渋みのある浪人から強いヒーローになったのです。

イメージ変更といえば、『新選組血風録』と『俺は用心棒』の沖田総司役で純朴な青年ぶりを見せた島田順司の捨て犬は、気性の荒い浪人役。高橋俊行の狂犬は姿かたちといい、ニヒルな役どころといい、『俺は用心棒』の栗塚旭に似ていましたね。

第1話の「剣を抱いた十人の客」で、尊王・佐幕で揺れる城下町で尊王派に雇われた浪人が旅籠に集められます。その中に野良犬・捨て犬・狂犬の3人がいて、志士気取りで気炎を上げる他の浪人たちをにがにがしく思っているのね。その旅籠には品田万平も泊まっていて、悪さを始めた浪人たちを4人で成敗。グループ結成です。

私はリアルタイムでは観ておらず、後年CATVで放送されたのを観たのですが、エピソードの何本かは見逃しています。メモしていたり記憶に残っているものは数本。

第6話「冷えた燗酒」では、手前勝手な屁理屈で志士を気取る悪侍役で坂口祐三郎が、赤影のイメージとは全くちがう悪役で出演。犠牲になって死んでいく彼の若党役が桜木健一。後年の『柔道一直線』を知っているので印象的でした。

第9話「関所越え」は、悪い奴らの巻き添えで悲劇が襲う若夫婦と老父(吉田義夫)の物語。似たような話が『俺は用心棒』にもありましたなァ。

第10話「天神さまの細道」は、妻(稲垣美穂子)のために刺客を引き受けた浪人(片山明彦)が襲った老武士(原健策)には野良犬が護衛についていて失敗。野良犬は浪人を斬らなかったことから用心棒を馘になり、浪人の女房は愛人のもとに走ったことから惨劇となります。

第18話「潮騒の彼方から」は、野良犬の過去がわかる物語で、野良犬は親友(徳大寺伸)のために剣をふるって姿を消します。舞台スケジュールの関係から伊藤雄之助は、この回を持って降板。スポンサーからキャラクター変更を求められた伊藤雄之助は、「番組が早く終わればよい」と語っていたそうです。栗塚旭のワンパターン演技と比べると、伊東雄之助の悲しみと怒りを交じ合わせた表情は素晴らしく、演技に幅がありましたが、主演するには華がありませんでしたね。

第19話「同志たちの夜」は、若山富三郎の夏山大吉郎が用心棒として登場。この後、25話と26話にも登場します。

第20話「遠い国からの客」では、菅原文太が人斬りの悪役で出演。とにかく悪い奴でした。

第26話「山なみの彼方へ」は、将軍の隠し子の姫を守って用心棒が戦う物語で、これが最終回で~す。