皆さんお仕事ですヨ
私もいつまでも正月気分のブログがトップにある様ではお叱りを受けそうですので本日は仕事の合間をみて書き込んでおります。内容は「建築資料館」で2以上の道路における質問の中で「1の道路とありながら132条を適用している」窓口資料の考え方の不合理を質問されている内容の回答です。結論は深山さんの回答と同様です。
この事は当方も問題として実践セミナーでも取り上げました。その際の当社鈴木のレポートに比嘉が加筆してあります。(文責比嘉)あえて補足、付加する資料として掲載いたします。手抜きではありませんヨ(時間の節約です。)
尚この内容はTPユーザーの為のTP-通信3号に掲載する内容です。
今回は行政の窓口資料でみられる上図の様な「道路が一でその幅員が異なる場合」の論理的な可否の検証を行います。
窓口資料
道路の反対側の境界線が屈曲していても、一の道路と認定された道路であれば令第132条を適用することはできません。
基本的な前提として「一の道路と認定されている道路内は令第132条の適用を受けない。」、という法第56条第6項の法理をを再確認する必要があります。同項冒頭に記されているように、二以上に接している必要があるからです。また、建築物の高さの制限に関する緩和措置は、建築基準法施行令第7章「建築物の各部分の高さ等」にまとめられており、同項中記されている政令は令第132条から令第134条の4に記されています。
強いて令第132条を適用するのであれば、二以上の道路であるとして取り扱う必要があります。ところが上図の様な道路の場合1の道路として取り扱いをした要因として考えられるのは容積率の限度を算定する際の前面道路の基準と、斜線規制の接道の取り扱い基準を同一にすることにより建築確認をスムーズに進められるとして、転用したものと思われます。
ところが上記のように令第132条の区分を一の道路に対して適用した場合、道路中心線から10m以内の範囲も前述と同様に取り扱う必要にせまられることになります。
最大の幅員の2倍を以て2mの接道部分を新たに設け2番目に広い道路とすることになり、無限に区分が起こりえることにもなります。
道路が一の場合に、その道路内に令第132条を適用することについては、一定の基準により建築確認を行うことが困難になる要因が内在することなります。
よって、一の道路に令第132条を適用する取り扱いに問題があるものと思われます。
※名古屋市の取り扱いでは、一の道路は令第132条の適用を受けないとし、特別に2以上の道路とする場合にのみ令132条を適用する、と記されています。
*以下参考
「敷地等と道路の関係」
第43条 建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない。・・・
「容積率」
第52条 2 ・・・建築物の容積率は、当該前面道路の幅員のメートルの数値に、・・・乗じたもの以下でなければならない。
「建築基準法質疑応答集」から
「第五二条関係容積率制限と道路斜線制限の適用方法」
道路斜線制限の意義は、おおよそ次の二点にあると考えられる。
イ 上空の天空量を確保して道路等の採光、通風、開放性等の水準を担保する。
ロ 街区の形態を整える。
ところで、令第一三二条の緩和規定は、・・・狭い道路からの斜線制限によって・・・建築物の形状および街区の景観を崩すことを避けることを目的としており、狭い道路に対しては広い道路の方向からの採光、通風、開放性等の効果を見込んで斜線の緩和を認めるものの、緩和の限度は、その効果の及ぶ範囲内に限定して最低限の環境の確保を図ろうとするものである。
回り込みが認められるのは、令第一三二条により「前面道路が二以上ある場合」とされており、何が「前面道路」であるかについては特に規定はなく、解釈に委ねられている。道路斜線制限は、前述の通り、道路の採光、通風等を確保することおよび街区の形態を整えることであるので、容積率の場合と異なり、敷地の接道長に関係なく敷地が接するすべての道路から斜線制限を適用した方が制限の趣旨に合うと考えられる。この場合、緩和措置についても原則として敷地の接するすべての道路を「前面道路」とすることになるが、いずれの場合にも著しい不合理が生じる事例については制限の趣旨に照らした運用が必要となろう。
つまり上記5図にみられる43条の2m接道は容積率算定の際に使用される数値だという事です。斜線制限と混同してしまう事の間違いを質疑応答集では指摘しています。 16図は道路が途中でくびれており(2段の道路と判断された場合といえる)その差が著しい場合には132条の適用のありうる事を示したにすぎないといえます。
昨年のJCBAの調査によると2mの位置で2以上の道路の判断をしていいる行政が44.6%あるそうです。その意味で深山さんの指摘の様に事前に確認する事は重要ですが上記の解説の様に2mの根拠を確認する必要はあり正していかなければならない事項だと考えます。長くなりました。本日はこれまでとします。