比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

10月5日土曜日

東京は雨の土曜日 明日からドジャースの地区シリーズが始まる。山本さらに翌日はダルビッシュと楽しみで待ち遠しくてたまりません。両チーム情報をググりまくりの毎日です。

今週は暑い~涼しいの繰り返しで体調維持に苦慮した一週間でした。

 先週比嘉ブログをアップしたとたんにAmebaからブログアップが900回を超えた事の通知が表示されました。

 毎週土曜日のアップゆえ年間4×12か月で約60回とし

900÷60約15年続いた事になります。

JCBA方式が確立され適用事例集の初版が2009年で15年が経過しています。(ちなみに最新版は2022年版)

 JCBA天空率の解釈法を法文に照らして解説する事を主な目的として書き始めたので確かに合致します。(沖縄の仲間への近況報告も目的です)

 このところ過去記事を中心に行政対応の変化および

TP-PLANNERの毎年のバージョンアップ内容に合致すべく編集しては再アップを繰り返しています。我ながら多くの事例の解決法を書き綴ったものだと半ばあきれております。

 

今週の講座から始めたい。

水曜日はデベ設計者の3回目最終回の講座。

実践を通じた天空率の事案の対処法を中心に解説をすすめた。

汎用CADでJWCADを利用している為、JWでキープランを作成後、TP-PLANNERプランに一括変換し立体化し効率的にプランを作成する方法。斜壁の設定を行い容積確保可能なブロックの作成法など日頃操作している際の疑問点を解決する会となりました。

あっというまに終了時間。実践データの解説はスリリングで楽しいネ~。

無事卒業です。またお会いしましょう!

 天空率講座を開始します。

今回の事例は

事例1

 用途地域が東西で区分され、南側が準工業地域で基準容積率200%、北側が近隣商業地域で基準容積率300%。

面積案分され容積率は231.699%でそれぞれの区域の道路斜線適用距離が準工業地域が25m、近隣商業地域が20mの事例です。

 

 それぞれの道路はBMから最大幅員11m側道路中心高がBM-0.1~BM-0.5,5m道路側はBM-0.1道路中心高が低い条件です。

この場合、敷地内はフラットで設計GL=BM=平均GLとします。

 

事例1

1)入力に関して

①敷地入力

11m道路境界線を押下し選択後

「道路幅」を始点側で入力後「高低差」の欄で始点側、終点側の順に入力し「現在の値適用」ボタンを押下し境界条件が確定します。

 

5m道路側も同様の手順で行います。

 

②用途地域入力

準工業地域側の設定

 用途地域は任意の地域(この例では「準工業地域」)を「用途地域条件入力」で設定後「用途地域自動設定」ボタンを押下し敷地から250m四方の広いエリアを設定後、右ボタンメニューで「切断」で補助線作図された用途境界線をクリックし切断します。

この事例では用途境界線は単線ですので「単線切断」で切断します。

*用途境界線が屈曲している場合、連続線(ポリライン)で作図し「連続線切断」で切断します。

 

近隣商業側の設定

 切断後、近隣商業地域に設定する北側のエリアを選択し「近隣商業地域」の諸条件を設定します。

面積案分の結果それぞれの適用距離が表示されます。

 

2)天空率解析までの手順

①道路斜線断面のチェック

「計算モード」に移動後「図法」「断面図」で「道路・隣地」がチェックされている事を確認後「設定」ボタンを押下し任意の道路境界線位置を指定し「斜線設定ダイアログ」で「OK」ボタンを押下し断面図を表示確認します。

 道路高さ制限を大きく超えている事を確認しました。

 

②道路高さ制限適合建築物と算定基準線を自動発生する。

 この事例の場合「敷地」の境界線条件の「道路幅」の入力で道路反対側の位置が特定できる為、ダイアログ内「自動発生」の項の「道路境界線」の項をクリックすると2方向道路ゆえ令第132条で区分された道路高さ制限適合建築物の全区域(3区域)と算定基準線が自動発生します。

 

*「敷地」で道路反対側の境界線が特定できない場合は「新天空率」の項で編集設定を行います。

事例2では隣地を超える「一の道路」の設定を「新天空率」

T-SPACEで行う設定法を解説します。

 

③天空率計算を実行する。

「計算モード」に移動後「計算」「天空率」でダイアログ内の「計算実行」ボタンを押下し計算を実行します。

*5m道路に面した区域でNG箇所が3ポイントある事を確認しました。

 

3)令第132条と「令第135条の6、2項」「第130条の11適用距離の特例」で区分された区域を検証します。

 

法文の確認から

第132条 2以上の前面道路がある場合
 建築物の前面道路が2以上ある場合においては、幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35m以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が10mをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。


2 前項の区域外の区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(幅員が4m未満の前面道路にあつては、10mからその幅員の1/2を減じた数値)以内で、かつ、35m以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。


3 前2項の区域外の区域については、その接する前面道路のみを前面道路とする。

 

 

第135条の6 前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限を適用しない建築物の基準等
2 当該建築物の敷地が、道路高さ制限による高さの限度として水平距離に乗ずべき数値が異なる地域、地区又は区域(以下この章において「道路制限勾配が異なる地域等」という。)にわたる場合における前項第一号の規定の適用については、同号中「限る。)」とあるのは「限る。)の
道路制限勾配が異なる地域等ごとの部分」と、「という。)の」とあるのは「という。)の道路制限勾配が異なる地域等ごとの部分の」とする

*用途地域で区分するのでは無く勾配で区分します。用途地域が異なる場合でも勾配、および面する方向が同一であれば同一区間とし区分しません。

 

 

第130条の11 建築物の敷地が2以上の地域、地区又は区域にわたる場合の法別表第3(は)欄に掲げる距離の適用の特例
 建築物の敷地が法別表第3(い)欄に掲げる地域、地区又は区域の2以上にわたる場合における同表(は)欄に掲げる
距離の適用について、同表(い)欄中「建築物がある地域、地区又は区域」とあるのは、「建築物又は建築物の部分の前面道路に面する方向にある当該前面道路に接する敷地の部分の属する地域、地区又は区域」とする。

 *適用距離は道路に接する地域・・より北側は近隣商業地域の適用距離20m、南側は準工業地域の適用距離25mが適用されます。

 

①最大幅員11m道路に面した区域

最大幅員11mの反対側の道路境界線から外側に後退距離1.461mを起点とし準工業地域側適用距離25mで区分されます。

 近隣商業側は同様に適用距離20mで区分されます。

ただしいずれも道路高さ制限勾配が1.5で同一ゆえ同一区間で区分されています。(勾配区分)

 

②5m道路側に面した最大幅員11mが適用される区域

 最大幅員11mの境界線から2倍22mを超え5m道路中心から10mを超えた区域が最大幅員11m道路が適用される区域です。

 準工業地域側は適用距離が25mで区分されます。ただし近隣商業地域側の適用距離20mの位置は、当該敷地内に適用されません。

 その為、準工業地域にのみ道路高さ制限適合建築物が存在する事になります。

算定基準線は適合建築物に面する位置まで延長されます。

 

③5m道路側道路中心10mの区域

アイソメ図でも確認できるように道路中心10mの区域は計画建築物が大きく高さ制限を超えています。(赤表示部)

 近隣商業地域側も道路高さ制限の勾配が1.5で同一勾配ですが近隣商業地域側の道路中心10mは、当該敷地外ですので区分区域が存在しません。

 その結果、近隣商業地域側の空地が含まれず、高さ制限を超えた分のに対して通風採光をカバーする空地が存在しない為、天空率がNGになる事がわかります。

 

次に西側5m道路に達する細ながい敷地形状が合筆された場合で検証してみたい。

事例2

1)入力に関して

①敷地入力

5m幅の設定と高低差をBM-0.1mを設定しました。

 

*この道路は、南側の5m道路と道路中心線が同一である事より西側の5m道路は隣地で区分されますが「一の道路」です。

 この様に隣地越しの「一の道路」の場合、1の道路に設定する場合、T-SPACEで設定します。

 

*用途地域の設定は事例1と同様です。

 

 

2)天空率解析までの手順

*断面図も事例1と同様で道路斜線NGです。

適合建築物および算定基準線をT-SPACEで行う手順を解説します。

 

①「新天空率算定領域」でダイアログで新天空率の項から

「道路・一隣地」を選択しT-SPACEを起動します。

②「基礎情報」を選択し「発生」を行います。

入力項の「敷地」で設定した条件から道路形状を発生します。

5m道路側は敷地に接する上下2の発生します。

「前面道路編集」ボタンを押下後、一の道路に編集します。

5m側に発生した南側道路を選択し削除後、北側から発生した道路のみを残します。

*後退距離は南側で確定する為、削除前に押下し表示された

「外壁後退」欄に表示される後退距離を北側5m道路を選択後設定します。

 

③道路高さ適合建築物を発生します。

近隣商業地域側の合筆した5m道路に面した特記部も適合建築物が発生します。

「出力」ボタンを押下しTspaceを終了します。

④TP-SKYに戻り算定基準線の発生を確認します。

各区域のに面した両端を起点とする位置に基準線が自動発生しました。

 

④天空率計算を実行します。

5m道路側に面した突起状の敷地が合筆された事によりクリアしました。

 

3)区分区域を検証する。

*最大幅員11mに面した区域は事例1と同様の為省略します。

①5m道路側に面した最大幅員11mが適用される区域。

東側最大幅員11mの境界線から2倍22mを超え西側5m道路の中心から10mを超えた準工業側適用距離25m、近商側適用距離20mで区分されます。

*道路中心線が同一ゆえ隣地が間に挟まる場合でも同一区間として区分します。

*近商側にはわずかな幅ですが最大幅員の区域が存在します。

アイソメ図では

②事例1でNGになった5m道路に面した道路中心10mの区域を検証します。

 

 この区域は事例1ではNGになった区域ですが事例2では近隣商業地域側も道路中心10mで区分されています。

 5m道路が隣地を挟み道路中心10mで区分されます。

 

  事例2では隣地を超えた合筆した分が効果的に空地とし機能し天空率をクリアした事がわかります。

 *突起部が狭すぎて計画建築物を配置できません、

その分、空地とし存在する為、5m道路反対側の通風、採光環境に寄与する事がわかります。

 

適合建築物は隣地を挟みますが道路中心線の敷地側からの角度が120度以上(この場合直線ゆえ180度)の場合、一の道路として一体区分します。

本日も長くなりました。

本日はここまで!次回までお元気で!

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