3月1日
早くも3月。本日東京は19度の予報。これで寒い冬も終わりかと思う間も無く来週は雪の予報・・。油断せず風邪をひかぬようしたい・・加えてスギ花粉飛散が本格的に始まる。
先日の3連休は千葉勝浦で朝市と雛人形観光目的で出かけた。
本日はその報告から開始したい。
朝7時51分新宿発特急さざなみで出かけた。
さざなみは2時間10分ほどで館山到着。
30分ほど駅構内で待機し勝浦方面電車を待つ。
おや?梅?近づくとどうやら河津桜。
南欧風の駅舎は御洒落。
勝浦に到着し散策を開始すると
いきなり道路沿いに大型の雛壇。始まった。
階段に特設の雛壇を展示する店舗も多く町中でまつりを盛り上げている。
翌朝は朝市から始まったがこちらはピーク時の1割ほどの出店のよう。
海鮮朝食で腹ごしらえ。魚好きに勝浦は・・イイとこだね~。
ニュース等でよく紹介される遠見岬神社の階段雛もお見事。
そして雛人形展示の極め付きは勝浦市芸術文化交流センターKüste(キュステ)の雛段展示。
6年ぶりの展示とのことだが迫力の雛壇。
初めてみた豪華な享保雛は大小あるらしいがこれは大きい。
そして特急わかしおをホーム3号車で待っていたら?おや意味不明
「5両編成8号車」・・・。
東京駅に1時間半ほどで無事到着。
今週の講座から開始します。
今週は組織設計事務所ユーザー新加入メンバーが2人で来社。
木、金の2日間朝から夕まで頑張っていただいた。
初日の木曜日は日影規制徹底学習と天空率理論で盛沢山。
手計算で太陽高度、時間幅で日影可能空間を算出する手法を確認後。TP-PLANNER逆日影チャートで操作で可能空間を算出。さらに建物入力から日影規制ツールの使用法など日影規制の疑問点を徹底的に学習していただいた。
引き続き天空率の理論から天空図の基本を学習。
2日めの午前は鈴木が担当し日影申請図の作成法。
Revitからデータリンクする手順,さらに高低差TP基準にかかわる高さ基準の考え方をレクチャー。
午後は比嘉が引き続き令第132条と天空率区分法、屈曲道路、行き止まり道路を実践操作、最後に隣地天空率を学習。
津田に担当を変わり天空率申請図の作成法を学習。手持ちの事案も天空率申請図を作成が待っているとのことで手ごたえを感じたようだ。
最後に傾斜敷地の平均GLの算出法と日影規制、天空率結果の変化を確認していただき無事終了。
終了時間は7時を超えたたがスッキリした顔で・・余裕かい!
後は実践で頑張れ~またお会いしましょう。
天空率講座を開始します。
3月に入りVer25リリース、講座予定など講座を書き下ろす時間が取れそうもありません。
今月は過去ブログでぜひ再度確認していただきたい回の分を
再アップする事にしました。
今回は、今週の講座でも問題提起した屈曲隣地天空率の解析法を
解説します。
道路天空率はJCBA方式を利用する事で適法に天空率を運用する事が可能ですが隣地は比較的審査サイドにより異なる解釈解法を要求される事が今だ多いのが現実です。
法的根拠に基づいた解法を提示したこの回をぜひ参考にして下さい。
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はじめに
隣地天空率の解析法は、隣地境界点間で区分する「敷地区分方式」と道路境界線を除き連続した隣地境界線を「一の隣地」とし解析する2種の考え方があります。
「敷地区分方式」は天空率施行時、「平成14年建築基準法改正の解説」国土交通省 住宅局 市街地建築課編集 P79に「面する事」を解説した挿絵を参考に境界線単位で隣地高さ制限適合建築物で区分する方式です。
図1
ただしこの挿絵は下部のコメントで記されているように「面する部分」の概念を解説したもので「敷地区分方式」を意図した解説ではありません。
この挿絵の隣地境界線が単線(境界点間)で例示されている事から 、この挿絵を参考に境界点間で適合建築物を区分するのでは?との考え方が施行当初、行政ごとに「**方式」として採用されました。
ところが敷地境界線は道路、隣地ともに少なからず屈曲してる敷地が多いのが現実です。屈曲した敷地で狭い境界点間を区域区分し天空率解析を行うと法文に適合しない不合理が発生します。
「面する部分」を境界点間と解釈した天空率区分法が、道路、隣地ともに不合理な解析結果を誘引し天空率審査の現場では混乱が続きました。
その解決を目的にJCBA天空率分科会が発足し法文に適合した合理的な手法いわゆるJCBA方式が協議され確定しました。
その結果、まず最初に確定したのが道路高さ制限適合建築物の設定法です。
この区分法はJCBA Webサイトで公開した市街地部会報告書に加えて「基準総則集団規定の適用事例」題する書籍で発表されました。
一方「基準総則集団規定の適用事例」の隣地天空率に関する記述は
この記述だけです。
「特殊な敷地等における適合建築物(隣地斜線制限)」と題し入隅角を有する敷地形状の場合入隅部を2等分角し2に区分し解析を行う事が記述されているだけです。
隣地境界線が屈曲する場合など現実の敷地形状に適用するには困難があります。
加えてこの挿絵も敷地端部が直交する敷地形状で例示されていることから端部は、垂直に区分するのでは?と基準線の延長位置と混同することになります。
区分法は法文に照らして適合するか否かを確認することが基本です。挿絵は極めて狭い範囲の適用法の例示です。
隣地天空率仕様策定が遅れたのは、道路天空率の仕様策定が検証開始から市街地部会報告書で公開されるまで2年ほどの時間を要したためです。その結果、「隣地高さ制限適合建築物」の作成法の検証が遅れました。
一方、審査の現場では当然のことですが、隣地天空率の審査だけ行わないことはありません。
「敷地区分方式」が問題を含みながらも、隣地天空率の設定法として利用されるようになりました。
ところが屈曲した隣地境界線を有する敷地に適用する場合、「面する部分」の解釈を隣地境界点間と解釈した「敷地区分方式」では多くの問題点を有します。
その事を解決すべくJCBA天空率分科会では、道路天空率に続き協議策定された「一隣地方式」が提示され市街地部会報告書とともにJCBAのWebサイトに追加記載されました。
JCBA Webサイトに記載された「一の隣地方式」の主旨・目的
JCBAとして「具体的な検討テーマ」の「法改正案および法解釈に係る考え方にも言及し問題点に向けた示唆とする。」
とありJCBA方式として問題点の解消に向けた内容が記述されていることが明記されています。
市街地部会報告書に記載された以下の方式は「基準総則集団規定の適用事例」同様にJCBA方式です。
今回は、「敷地区分方式」の問題点を確認し上記Webサイトを含む公的資料に準じた解析法を解説します。
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1)敷地区分方式の問題点と「一隣地方式」
単線の隣地境界線で例示し区分する敷地区分方式を屈曲した隣地境界線に適用する際の問題点をあらためて確認します。
敷地境界点間で区分する「敷地区分方式」の問題点の確認
❶境界点間が狭い場合の隣地高さ制限適合建築物の不合理
❷凹型隣地境界線の基準線設定位置の不合理
下図の事例で検証します。
図2
❶「敷地区分方式」の区分法の不合理を確認
円弧で示す問題❶の隣地境界線では左端が隣り合う隣地境界線と入隅になる事から入隅角の半分の位置、右端は出隅部で垂直切断し隣地高さ制限適合建築物が設定されます。
*端部垂直切断等の区分法は、明確な記述が無い為、天空率施行以来の慣習的な区分法です。
適用事例集では入隅角は1/2で区分すると記述されているだけです。
端部の垂直切断は記述されていません。
図3
この区分法は、区域幅が狭く敷地内の空地が隣地適合建築物に参入されません。
空地が無視された天空率計算は天空率解析の基本的な考え方に反し天空率が機能しません。
P3,P4で検証します。
上記例でNGとなった算定位置P3,P4の前面は敷地の空地部分で面する隣地側に最も通風採光環境が良いチェックポイントです。
このように 敷地区分方式では、算定位置前面の空地を無視する不合理な事例が散見されます。
この事案を境界点間で区分する方式でクリアする為には、隣地高さ制限(隣地斜線)同様に建物高さを隣地高さ制限以下に計画建築物を設定するほか解決法はありません。
このことが不合理で天空率が機能しないことの証左です。
天空率の基本の考え方は「高さ制限を超えた分の通風採光効果は、敷地内の空地から得ることができる。」です。
敷地内空地を天空率計算に参入する意義は国土交通省住宅建築指導課等監修「平成14年改正建築基準法当の解説」でQA形式で回答されています。
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改正建築基準法の解説から(魚眼レンズに投影する意味)Q天空率で通風や開放性を評価したといえるのですか。P124A1
**建築物周囲の空地が増加すれば、風量は増大することが知られています。この場合、一 般にH /D比の増減による延長方向の通風 の増減の度合 いよりもむしろ建築物周囲の空地の増減による横断方向の通風の 増減の度合 いの方が大きく、建築物の 外壁が風を直接遮る効果は、 H/D比の増大によ る風を通しにくくす る効果よりも、顕著に風量の増減に影響します。
図4
同一 の天空率の下では、建築物の高層化に伴い、建築物周囲の空地は増加することとなるため、「通風については 結果として「安全」側となると考えられます。
2 開放性の指標 である「開放度」は視野の範囲における建築物の体積を比較する ものです。一般的な規制による天空率よりも計画建築物の天空率が小さくなれば、体積についても同様の大小関係が成立すること、空地を確保しつつ建築物が高層化された場合には、上方は視野の範囲外(仰角45度)と なる一 方 で、側方は視野の範囲 (水平角120度)に入る割合が大きいこと等を勘案すると、天空率による比較により、「開放度」のチェックも同時になしえると考えられます。
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「空地を確保しつつ建築物が高層化された場合、天空率比較により「開放度」のチェックも同時になしえると考えられます。」
空地を含めて魚眼レンズに投影した天空図で比較しなければ天空率比較の目的に適さない事が記述がされています。
*平たく解説すると「敷地内の空地を無視した天空率解析法はありえない」です。
問題❷基準線(算定位置:魚眼レンズ)が
当該敷地(計画建築物設定敷地内)に配置される不合理。
基準線は隣地境界線から外側の線上の政令で定める位置に算定位置を設定しなければなりません。(基準法第56 条第7 項第二号)
基準法56 条第7 項第二号
第1項第2号、・・隣地境界線からの水平距離が、第1項第2号イ又はニに定める数値が1.25 とされている建築物にあつては 16 メー トル、第1項第2号イからニまでに定める数値が2.5 とされている建築物にあつては 12.4 メートルだけ外側の線上の政令で定める位置
基準線は敷地境界線から16m(住居系)もしくは12.4m(商業系)外側の位置に設定する事が記述されています。
❷では隣地の通風採光の環境(天空率)の測定を建築物を計画する敷地内に設定する不合理で「隣地境界線からの水平距離が・・・外側の線上の政令で定める位置」に適合しません。
❷の算定位置は隣地ではありません。
*魚眼レンズを配置する目的はその配置された位置の通風採光度を確認することです。
この場合、基準法に適合しない不合理であり審査サイドでは明確にその可否判断をする必要があります。
*敷地区分方式は凹型の敷地の場合、算定位置が当該敷地内に発生する不合理が必ずおこります。その意味で敷地区分方式は凹部を含む敷地に適用する際には算定位置が適合しない事は必至です。
この事は後半、
「4)屈曲した隣地境界線の解析法結論」の項で屈曲した隣地境界線を面する方向ごとに同一区間区分する解決法を解説します。
➌「一隣地方式」による屈曲隣地の解決法
天空率施行直後は「敷地区分方式」から始まりました。
天空率事案増加に伴い「敷地区分方式」の問題点、特に❶、❷等の不合理な解析法が散見されるようになりました。
特に法第56条第7項に適合しないことは明らかです。基準線を法文に適合する位置に設定し天空率比較することが必要です。
このような問題点を解決する為にJCBAでは、「天空率運用の検討」を市街地部会報告書http://www.jcba-.jp/news/tenkuritu20100420.pdf で解決法を提示しております。
基準線の作図法としては
「【取扱いに係る考え方】 隣地斜線に対して天空率を適用する場合の算定点を設定する基準線は、 56条7項第2号 隣地境界線からの水平距離が、~だけ外側の線上の政令で定める位置 に則して設定される。 「屈曲した隣地境界線を一の隣地境界線」としてこの法文を適用すると、円弧部分も基準線と 考えるべきである。(日影規制の測定線と同様の考え方)
(日影による中高層の建築物の高さの制限)
第五十六条の二
・・・・・
敷地境界線からの水平距離が五メートルを超える範囲において
・・・・・
とあり第56条7項(天空率基準線の設定法)と第五十六条の二(日影規制ラインの設定法)が同じ書きぶりである事から
天空率の基準線の設定は、日影規制の測定線同様に敷地の外側に設定する事で設定位置が確定します。
「一隣地方式」で基準線を設定すると
敷地境界線隅部から日影規制同様に隣地境界線から用途区分による水平距離幅で円弧状に設定されます。
全ての隣地境界線から外側に規定の位置に基準線および算定位置が設定されます。
凹部に対して日影規制線は、敷地の外側に作図され当該敷地内に規制線が設定されることはありません。法文の書きぶりが同じ天空率基準線でも同様です。
また 隣地高さ制限適合建築物は隣地高さ制限(隣地斜線)同様に作成する事が記述されています。
*屈曲した隣地境界線の従来の高さ制限は寄棟状に制限し
すべての隣地境界線からの高さ制限以下に設定することが可能です。
法第56条第7項の政令で定める基準で同項第二号に掲げる規定を適用しない建築物に係るものは、次のとおりとする。
一 当該建築物(法第56条第7項第二号に掲げる規定による高さの制限(以下この章において「隣地高さ制限」という。)が適用される地域、地区又は区域内の部分に限る。)の第135条の10に定める位置を想定半球の中心として算定する天空率が、当該建築物と同一の敷地内の同一の地盤面において隣地高さ制限に適合するものとして想定する建築物(隣地高さ制限が適用される地域、地区又は区域内の部分に限り、階段室等及び棟飾等を除く。以下この章において「隣地高さ制限適合建築物」という。)の当該位置を想定半球の中心として算定する天空率以上であること。
JCBA方式による基準線の作図法は
参考資料
天空率運用の検討(市街地部会報告書) から
2)入隅隣地天空率解析法
屈曲隣地境界線の場合、「一隣地方式」で天空率解析を行う事で敷地区分方式による不合理を解消する事ができました。
次に屈曲しさらに入隅状になる敷地の事例の問題点と解決法を検証します。
したがってこの例のような入隅状の屈曲隣地境界線においても「一隣地」方式で行う事で合理的に解析する事が可能です。
「一隣地方式」で解析すると
規定の位置に基準線が設定され隣地高さ制限内の内に隣地高さ制限適合建築物が設定され適法に処理されます。
基本的に「一隣地方式」で解析する事に問題ありません。
ところが「建築確認の為の基準総則・集団規定の適用事例」で解説される隣地高さ制限適合建築部を解説する項に
(2)特殊な敷地等における適合建築物(隣地斜線)で以下の様に解説されています。
この解説は「敷地区分方式」における入隅部の区分法を入隅角の2等分角で2に区分し面する方向ごとに隣地高さ制限適合建築物を作成することが図示されています。
審査サイドでは、「建築確認の為の基準総則・集団規定の適用事例」に記述されている事もあり入隅隣地の場合、この挿絵にように区分する事を指定する場合があります。
入隅を構成する隣地境界線A,Bがそれぞれ単一線であれば挿絵と同様で問題ありません。
「敷地区分方式」の場合、もとより隣地境界点間で区分する事が原則です。
ただしその原則では屈曲隣地天空率は前述した不合理で解析不可となります。
TP-PLANNERでは屈曲隣地境界線においても「同一区間設定」により単一の隣地境界線と同様に区分する事を可能にしました。
屈曲入隅部を面するA,Bの2に面した境界線とし同一区間設定する方式です。
3)面する方向事に区域区分する公的資料
屈曲した隣地境界線を面する方向ごとにグループ化(同一区間)に設定する手法は以下の公的資料に基づき作成されます。
「平成14 年建築基準法改正の解説」P79 による
「平成14年建築基準法改正の解説」(以下技術的助言) では隣地天空率算定位置に関する解説図が掲載されています。
「面する部分」の概念が図示されています。
(屈曲している場合は任意の同一方向に面する区間)
JCBAでは「面する部分」を「同一区間」とする区分方式を「天空率運用の検討」で解説しています。
*天空率施行直後面する方向を示すこの挿絵が隣地境界点で作図された為に隣地境界点間で区分するという解釈がされたのが「敷地区分方式」の始まりです。
*道路天空率の場合も「屈曲道路」においては天空率施行直後やはり道路境界点間で区分された区分法から始まりましたが「建築確認の為の基準総則・集団規定の適用事例」で屈曲道路の区分法が明記されました。
道路の場合、道路中心線の交差角度で「一の道路」の可否が明確になりました。境界点間で区分する考えはJCBA方式では存在しません。
屈曲隣地境界線の区分法は「天空率運用の検討」で区分法が記述されました。
「天空率運用の検討」 http://www.jcba-.jp/news/tenkuritu20100420.pdf は、屈曲隣地境界線の面する方向を考慮した隣地高さ制限適合建築物および算定線の作成法が記述されています。
屈曲した隣地境界線を面するAB,BC,CD,DE間に区分し面する方向事に解析する手法です。
*右側には「平成14年建築基準法改正の解説」(以下技術的助言)の挿絵が添付されています。
国交省が記述した面する方向の考えを適用した区分法です。
ポイントは
①面する方向事に片ながれ状に適合建築物を作成する事で面する方向の隣地高さ制限に適合する事。
②基準線は隣地境界線から外側に規定の位置に算定位置を設定しなければならない。
以下適合建築物の面する方向を直線化しない参考例を提示すると
屈曲している場合は、寄棟状で面する方向に片流れ状に隣地高さ制限適合建築物を作成します。
③区域の端部を基準線で垂直切断しない事。
垂直切断した場合の問題点の指摘
上図のように屈曲した隣地境界線の端部境界線の角度で隣地高さ制限適合建築物の範囲が不合理に区分される事が多く建物外周部の空地のみならず計画建築物を天空率計算に正しく評価参入されない為、適切ではありません。
前述したB右端の区域は
垂直切断しない考えで区分すると
垂直切断するのは、天空率施行時の窓通過方式の影響で境界点間を通過する範囲で区分する考え方から出隅端部が垂直切断されます。
(窓通過方式は、東京方式試案で示された区分法です。試案は東京都公認の方式として採用しない事を確認しています)
本題に戻り屈曲隣地境界の天空率の解析法を解説します。
4)屈曲隣地の同一区間設定による「一隣地」的設定法の採用
*「一隣地方式」は現在広く利用されております。
基本的な考え方も
天空率運用の検討 http://www.jcba-.jp/news/tenkuritu20100420.pdf
に記述されております。
その中で道路を挟む2の隣地の例が掲載されております。
この挿絵が意図する事は道路以外の隣地境界線に面する方向事に区分する事が可能である事です。
上側の屈曲隣地を「一の隣地」と考え下側の場合、単線ゆえ「敷地区分」あるいは「一隣地」いずれでも同様になります。
一隣地の場合、同一区間の考え方を適用すると「敷地区分方式」と同様に考え区分する事が可能になります。
屈曲した隣地境界線を任意の区間に面する方向ごとに区分する手法も前述しましたように
記載されております。
4)屈曲した隣地境界線の解析法結論
南側、西側の2区域に区分し解析すると
南側
断面図で確認できますが全ての断面図で隣地高制限以下で適合する隣地高さ制限適合建築物で作成されています。
算定位置も隣地境界線から全ての算定位置が隣地境界線から外側に16m(第一種住居)に位置に設定されており法文に完全に適合します。
西側
入隅部からの隣地高さ制限で指定した断面図ではその分低い表示になります。凹部を含む全ての断面図で隣地高制限以下で適合する隣地高さ制限適合建築物で作成されています。
算定位置も凹部も隣地境界線から全ての算定位置が隣地境界線から外側に16m(第一種住居)に位置に設定されており法文に完全に適合します。
一隣地方式との違いは面する方向事に外壁後退距離が確定する事です。一隣地方式では後退距離も一です。
以下補足解説です。
面する方向事に屈曲した隣地境界線を同一区間としグループ化する事で「敷地区分方式」の考え方を採用する事が可能になります。
屈曲した入隅隣地境界線の場合でも「基準総則・集団規定の適用事例」に適合した区分法を採用する事も可能になります。
「建物外周の空地を考慮する設定法」を採用するか「出隅端部垂直切断」を採用するかの判断は審査サイドにより異なります。
結果も異なりますので事前に審査サイドと協議する事が必要です。
上記の例では「出隅部端部垂直切断」がNGになっております。ただしNGだから安全側と判断するのでは無く、いずれが適法か否かを確認する事が重要です。
OK,NG判定が上記と逆になる例を下記で解説します。
「建物外周の空地を考慮する設定法」がNGで「出隅端部垂直切断」がクリアする例
敷地幅が広い事例では出隅端を垂直切断する手法がクリアし
「建物外周の空地を考慮する設定法」NGになる逆の結果です。
出隅端部垂直切断を行う事により敷地東側に設定された高層の建築物が天空率計算に参入されませんが「建物外周の空地を考慮する設定法」の場合、その高層建築物が通風採光を低下させる事になり天空率がNGになります。
慣習的に出隅端部を垂直切断する手法はこのように危険側の設定法になる事も多くみられます。
5)結論
隣地天空率の設定法に関しては、出隅端部を垂直切断するか否かで結果が異なります。
隣地天空率の解析法は「基準総則集団規定の適用事例」だけではなくJCBA天空率分科会で協議策定され市街地部会報告書が掲載されたJCBA webサイト「天空率運用の検討」http://www.jcba-.jp/news/tenkuritu20100420.pdf
を参照することが肝要です。
いずれもJCBA天空率分科会で協議策定された内容です。
隣地天空率の詳細は主に市街地部会報告書に記述されておりその内容に照らし審査サイドと事前に協議することを推奨します。
蛇足ですがTP-PLANNERではいずれの形式でも設定する事が可能です。
審査サイドと事前の打ち合わせ資料をタイムリーに提示しその可否判断が効率的に行えるよう事前協議の段階からご活用ください。
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