比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

7月27日月曜日

 

 夏の前半戦は、仲間から届いた大きなスイカ2玉と、沖縄からのパイナップルを冷やして暑さを凌いでおります。

さらに昨日は山梨から桃まで送られてきました。本当に感謝、感謝です!

 

比嘉ブログ天空率講座を開始

今回もアップが月曜日になってしまいました。

7月も今週で終わりになります。比嘉ブログも8月中は夏休みになります。

 

 今回は、サポートセンターに寄せられた質問の中から下図の事例を通じて屈曲した隣地天空率の高さ制限適合建築物および算定基準線の設定法を法文およびJCBA公的資料に照らして考察します。

 

 

 まずはその凹部からの隣地高さ制限を確認します。

商業地域に45mの高さの計画建築物の設定ゆえ

NGです。そこで天空率計算を行う事になります。

 

 隣地天空率の解析法としてJCBAでは「一の隣地方式」と「敷地区分方式」がある事を日本建築行政会議のサイト

http://www.jcba-net.jp/news/tenkuritu20100420.pdf

で市街地部会平成 20 年度報告書(以下市街地部会報告書)に掲載された内容がアップされています。

 上記市街地部会報告書と「2017年度版 建築確認の為の基準総則集団規定の適用事例」(以下「適用事例」)の両方が天空率審査時のバイブルとして利用されています。

市街地部会報告書から

 それらを比較した結果は「「一の隣地方式」で算定位置を1つにまとめると、最も安全側となる。」 と記述され「一隣地方式」の有効性が記述されています。

 今回の検証は、上記JCBAのサイトで記述された「「一隣地方式」で、算定位置も1つにまとめると最も安全側となる」です。

 

 天空率の基本的な考え方は国交省住宅局建築指導課等監修の「改正建築基準法の解説」

 天空率計算を行う事の意義および基本的な考え方が明確に解説されています。

 H/D比とは従来の高さ制限(斜線規制)による通風採光の基本の考え方で下図で表現されます。

 

 当該建物からの距離D(道路幅等)が長く、建物高Hが低い程通風採光には望ましいとする考え方です。

 

 ただし通風採光を確保する手段としては「H/D比の増減による延長方向の増減の度合いよりむしろ建築物周辺の空地による空地の増減の度合いの方が大きく・・」と記述されさらに

・・「「同一の天空率の下では建築物の高層化に伴い

建築物周囲の空地は増大する事になるため、結果として「安全」側となると考えられます。」とも記述されています。

*容積率が同一の条件下では高層になると各階床面積は狭くなりその分建物周囲の空地は増大する意味です。

 境界線ごとに区分して評価する「敷地区分方式」では、敷地内に確保された空地が持つ通風・採光上の有効性を、適切に結果へ反映できていないのが現状です 。

 

  天空率比較によって斜線制限を適用除外にすることは、「斜線規制でNGとなる部分があっても、それに相当する空地を敷地内に確保できれば、通風・採光や開放度を同等以上に確保できる」という考え方に基づいています。したがって、本来の目的に沿って「空地を確保した高層化」を正しく評価できる天空率運用が求められます。この視点を念頭に、各種想定法の妥当性を検証してみましょう。

 

 今回の例題を敷地区分方式で解析してみると

 

 基準線南端でNGになりました。

その算定位置に近接するA部分の空地は同一敷地にも関わらずその通風採光効果は無視された結果となり不合理です。

 さらにB部分の建築物の大小は、NG部の通風採光に影響を与える事は自明ですが、境界点間で区分する事により天空率結果に反映されない不合理が生じます。

 

 A,B いずれも隣地の通風採光に影響がある事は明白です。

 

 この事例で(入角隣地境界線の場合)、天空率をクリアする為には、NG算定位置前面建物の中間部に空地を設定するほか、従来の高さ制限同様に建物高を低く設定しなければなりません。

一般的に 凹状屈曲隣地において敷地区分方式を利用する事は、空地から通風採光を確保する天空率比較の考え方に適合しません。

 

 従来の隣地斜線を法第56条を確認すると

 隣地高さ制限は
第56条 建築物の各部分の高さは、次に掲げるもの以下としなければならない。
2.当該部分から
隣地境界線までの水平距離に、次に掲げる区分に従い、イ若しくはニに定める数値が1.25とされている建築物で高さが20メートルを超える部分を有するもの又はイからニまでに定める数値が2.5とされている建築物(・・)で高さが31メートルを超える部分を有するものにあつては、それぞれその部分から隣地境界線までの水平距離のうち最小のものに相当する距離を加えたものに、イからニまでに定める数値を乗じて得たものに、イ又はニに定める数値が1.25とされている建築物にあつては20メートルを、イからニまでに定める数値が2.5とされている建築物にあつては31メートルを加えたもの

建築基準法第56条第1項第2号において、建築物の高さ制限は「隣地境界線までの水平距離」を基準と定めています。これは特定の敷地境界点間(セグメント)を限定して指しているわけではありません。

したがって、隣地斜線制限はすべての隣地境界線から等しく作用し、敷地全体に対して寄棟状に立体的な制限面が形成されることになります。

 

「一の隣地方式」では

 

このように、「一の隣地方式」ではすべての隣地境界線からの勾配によって、敷地全体に寄棟(よせむね)状の制限面が形成されていることが分かります。

 

 

 次に算定基準線の設定法を考察してみましょう。

法第56条7項2号を確認すると

 

7 次の各号のいずれかに掲げる規定によりその高さが制限された場合にそれぞれ当該各号に定める位置において確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物については、それぞれ当該各号に掲げる規定は、適用しない。

2.第1項第2号、第5項及び前項(・・) 隣地境界線からの水平距離が、第1項第2号イ又はニに定める数値が1.25とされている建築物にあつては16メートル、第1項第2号イからニまでに定める数値が2.5とされている建築物にあつては12.4メートルだけ外側の線上の政令で定める位置
 

(法第56条第7項第2号の政令で定める位置)

第135条の10 法第56条第7項第2号の政令で定める位置は、当該建築物の敷地の地盤面の高さにある次に掲げる位置とする。

1.法第56条第7項第2号に規定する外側の線(以下この条において「基準線」という。)の当該建築物の敷地(隣地高さ制限が適用される地域、地区又は区域内の部分に限る。)に面する部分の両端上の位置

 

まず、算定基準線の設定法として今回の事例商業地域2.5勾配の場合「隣地境界線から水平距離12.4m外側」に設定されなければなりません。

「敷地区分方式」では

 

 円弧で囲われた算定位置は「隣地境界線から水平距離12.4m外側」に設定されていません。適法ではないことがわかります。

 

 さらにA,Bの算定位置は当該敷地内にあり、特にBにおいては、当該建物の下部に魚眼レンズ(算定位置)を設定することになります。

 隣地の通風採光を検証する位置を当該敷地内の建築物下に設定する極めて不合理な位置に算定位置が設定されています。

*他人の敷地の通風採光を自分の敷地内で測定する不合理です。

*道路天空率においては、算定位置(魚眼レンズ)を現況道路の反対側の道路境界線上に設定することが要求されます。

 敷地区分方式は、「平成14年建築基準法改正の解説」P79の「面する部分」を解説する挿絵を

 

 天空率区域の区分法として解釈した事に起因すると思われます。

 その為、凹敷地はもとより屈曲隣地に適用すると上記のように不合理が生じます。

「一の隣地方式」算定基準線検証

 

 水平距離を平行な距離の事?と間違って解釈した審査サイドで円弧部を含むこの基準線は間違いでは?

との指摘をうけることがあります。

 水平距離とは「同一水平面上の二点間の距離。」と解説され日影規制線では

 

法第56条の2 日影による中高層の建築物の高さの制限

 別表第4(い)欄の各項に掲げる地域又は区域の全部又は一部で地方公共団体の条例で指定する区域(以下この条において「対象区域」という。)内にある同表(ろ)欄の当該各項(4の項にあつては、同項イ又はロのうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土、当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)に掲る建築物は、冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時まで(道の区域内にあつては、午前9時から午後3時まで)の間において、それぞれ、同表(は)欄の各項(4の項にあつては、同項イ又はロ)に掲げる平均地盤面からの高さ(2の項及び3の項にあつては、当該各項に掲げる平均地盤面からの高さのうちから地方公共団体が当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)の水平面(対象区域外の部分、高層住居誘導地区内の部分、都市再生特別地区内の部分及び当該建築物の敷地内の部分を除く。)に、敷地境界線からの水平距離が5mを超える範囲において、同表(に)欄の(1)、(2)又は(3)の号(同表の3の項にあつては、(1)又は(2)の号)のうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土、土地利用の状況等を勘案して条例指定する号に掲げる時間以上日影となる部分を生じさせることのないものとしなければならない。ただし、特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合においては、この限りでない。

 

「敷地境界線からの水平距離が5mを超える範囲において・・」と記述され一定距離を保つ事を意味します。

 その為、隣地境界線の角部においては一定距離を保つため円弧状に作図されます。

 隣地天空率算定基準線も日影規制と同様の作図法となります。

すべての算定位置が隣地境界線から外側の12.4mの位置にあり適法です。

 算定位置の端部は面する方向から接する道路境界線端から垂直方向まで延長されます。

 

 このように凹型隣地境界線の場合、隣地境界線からの水平距離の位置は円弧状になります。

 この設定法に関してもJCBA市街地部会の報告書で解説されています。

 赤枠で示したように、円弧部も基準線と考えるべきであると結論づけています。

 

「敷地境界線からの水平距離が五メートルを超える・・」の部分は天空率基準線の記述法56条第7項2号

隣地境界線から水平距離12.4m外側」と同じ書きぶりです。

 

 たとえばこの事例で日影規制ラインを作図すると

 

同様にみなし敷地からの水平距離がそれぞれ5m、10mを超える位置に作図されます。

 

 水平距離の記述から凹状隣地境界線に面する天空基準線が円弧状になるのはきわめて適法です。問題ありません。

 

 市街地部会の報告書でも入隅部の基準線が円弧状になる事を解説しています。

 

「隣地境界線に近い位置の算定位置は安全側?」検証

 さらに「一隣地方式」の基準線の位置が凹部から遠くに設置されるのが危険側ではとの指摘に対する検証を行います。

 

① 右端Aが敷地に平行に12.4mの位置に設定した場合

②中央部Bが全ての隣地境界から水平距離12.4mの位置(適法)

③隣地境界線から12.4m以上離れた位置(遠い位置)に配置。

 

 

 これらの算定位置の解析結果は、計画建築物天空率から高さ制限適合建築物の天空率を引いた差分のみで表示しました。

 

*差分が大きい場合クリアする可能性が高くなります。

*過去ブログで上記クリアをNGと間違えた記述がありました。お詫びして訂正いたします。

 

 右端Aの隣地境界線に接近した算定位置の差分が近接するP14(14.052%)で最大、適法算定位置BはP9(10.87%),さらに遠い位置C側のP5では(7.794)です。

 

隣地境界線に近接したAが差分が大きくなり危険側になります。

この事を天空図重ね表示で適合検知物と計画建築物を重ねると明解になります。

 

 隣地境界線から適法距離以内に接近した位置における高さ制限適合建築物の天空図は接近した分(隣地斜線立ち上がり部31m、あるいは20m部)がより大きく投影されて隣地高さ制限適合建築物天空率が低下し楽にクリアする事がわかります。

 

適正位置より隣地境界線に近接した場合、危険側の算定位置である事がわかります。

 

 日影規制の場合は、道路幅が狭く5mラインが敷地側に近接するほど厳しくなります。

 おそらく天空率も同様に規制ラインが近接するほど安全側になるのでは?とこのように指摘するとおもわれます。

 

  算定位置が隣地境界線に近づきすぎると、特に隣地天空率においては、適合建築物の立ち上がり部分(31mの壁)が魚眼レンズ上で巨大に投影されます。 その結果、計画建築物よりも適合建築物の天空率が著しく低下(低く評価)されてしまうため、本来ならNGとなる計画案でもクリアしやすくなる「危険側(甘い評価)」の設定になってしまいます。

 

 結論、以上の事から凹状隣地の場合敷地区分方式では適合建築物および基準線は適正な安全側設定は不可です。

 

 長くなりました。

天空率施行から23年を超え「一の隣地」方式の利用も一般的になりました。

それとともに基準線の設定に関する質問も多くなりました。参考にしていただければ幸いです。

 

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