「機動戦士Gundam GQuuuuuux Beginning」ネタバレのネタ | ノリパーのブログ
2025-02-02 05:46:14

「機動戦士Gundam GQuuuuuux Beginning」ネタバレのネタ

テーマ:映画・テレビドラマ

 一昨日金曜日(令和7年1月31日)の晩、仕事帰りに「機動戦士 Gundam GQuuuuuuX Beginning」を観てまいりました。2回めです。今回は少し贅沢してIMAXです。音響が良いですね。せっかくの劇場映画なのですから劇場ならではの環境で楽しみたいものです。

 さて、本作のトピックは何と言っても、ネタバレ禁止の強烈な圧です。むろん観れば、このネタを無闇に語るのは後から観る人の楽しみを奪いかねない、ということは誰でも理解できます。これは、知らずに観て驚いて欲しい、と好きな人ほど思うでしょう。そのため、誰もが人目に付きやすい、例えばSNS上で、あからさまにネタバレする者はほぼ居ませんでした。もちろん皆無ではなかったでしょうが。

 でも、やはり観た以上はこのネタバレのネタを語りたい。語りたくて仕方ない。という訳で、この文章を書いております。それゆえ、未だに劇場に足を運んでいない方は、この先を読むのは避けた方でよいでしょう。

 

1.ネタバレのネタ

 一言でいって、ここでいうネタバレの「ネタ」とは、本作の前半で「1年戦争」が描かれていることです。開巻早々、流れるBGMがあの「長い眠り」ですよ。そこに「人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、既に半世紀が過ぎた」のナレーションが始まるわけです。でもって、「総人口の約半数を死に至らしめた。人々は自らの行為に恐怖した」と続く。誰もが「おい、何が始まったんだ?!」となる。今から45年前の1979年4月から放映された「機動戦士ガンダム」いわゆるファーストガンダム(1stガンダム)と同じ始まり方です。むろん映像そのものは全く新しいものですが、前述のOP.ナレーションの後には例の「デデデーン」というサブタイトル曲と共に「Beginneing」の文字が出てきます。そして、3機のザクがサイド7に侵入してくるところへと画面は変わります。このザクの侵入シーンが、これまた1stガンダム第1話を見事になぞっているのです。コロニーの入り口でアームを壊すところや、2羽の小鳥がザクに驚いて逃げるところとか。カット割りもほぼそのままです。ただ違うのは、そこに赤いザクが居ることなのです。どうやらジーンの機体にトラブルがあって代わりにシャア少佐が出撃したらしい。

 ここにシャアが出てきたということで何となく察しが付きます。これは1年戦争でジオン軍が勝利する世界なのではないかと。実際、ストーリーはそういう風に進みます。アムロは登場することもなく、シャアによってあっさり奪取されたガンダムは、アムロがジーンと戦った時に似たようなレイアウトで、しかもよりスマートに連邦軍のガンキャノンを葬ります。そして、ガンダムと共に、ホワイトベースに相当する木馬、強襲揚陸艦ペガサスまでもが奪取されます。

 ということで、本作におけるネタバレの「ネタ」はこれに尽きるかと。私は、1Stガンダムを1979年にリアルタイムで観ていた世代という爺さまなので、この展開には驚かされたと同時に心踊りましたね。ここは、1stガンダムに私らほど思い入れがない若いファンはどう感じたのかが気になります。後で甥っ子に尋ねてみよう。

 

2.正史改変SF

 世に「架空戦記」と呼ばれる1つの分野があります。古くは高木彬光の「連合艦隊ついに勝つ」がありますが、実際の歴史とは異なる架空の戦記をテーマとした作品群です。「歴史改変もの」と呼ばれる分野もあります。フィリップ・K・ディックの「高い城の男」は、第二次大戦で日独の陣営が勝利した世界を舞台にしており、歴史改変SFとして著名です。これらは、現実の歴史を「改変」しているフィクションなのですが、この「GQuuuuuux」は、フィクションの歴史を改変したフィクションという事になります。言ってしまえば、ファンの手による二次創作に近いものですね。これまで、原作者である富野由悠季監督の手による1連のガンダム作品で描かれた宇宙世紀の行間やその後の時代を扱った作品はたくさんありました。どれもが1年戦争やグリプス戦役は作中どおりの経緯を辿ったことを前提とした世界観を維持していました。しかし、ついに、その、いわば「正史」とでも呼ぶべきものを「改変」する作品が出てきたわけです。新鮮ですよ、これは。

 

3.Beginninng編~1年戦争パート

 本作の前半「Beginning」と題された1年戦争パートの主役はシャア・アズナブルです。1年戦争の最終局面でシャアは、後に「セクノヴァ」と呼ばれることになる原因不明の大爆発によって紅いガンダムと共に消失します。これは文字通りの「消失」で、劇中は戦死扱いとなっているのでしょうか、生死は不明です。戦争自体は、地球連邦がジオン公国と休戦協定を締結し、連邦軍が宇宙から撤退したことによって終結します。

 さて、1年戦争パートでのキーパーソンとしては、シャア以外に、あのシャリア・ブルが出てきます。29歳という年齢にしては、やや老けた印象を受ける、巷間「緑のおじさん」と呼ばれる彼です。ニュータイプとして、サイコミュを装備したモビルアーマー・キケロガ(見た目はブラウ・ブロ)を駆り、同じくサイコミュとビットを装備した紅いガンダムのシャアと共に戦局を左右するような戦果を挙げ、戦争を生き残ります。彼が、つづく「GQuuuuuux編」と「Biginning編」を繋ぐ重要人物となります。

 ちなみに、連邦軍側の登場人物としてはパオロ艦長やレビル将軍は出てくるものの、アムロやブライトをはじめとしたホワイトベースのメンバーは「セイラ」を除いて登場しません。登場したといってもセイラに台詞はありませんでした。ただ彼女は、Beginning編終盤にシャアに匹敵しうるニュータイプとして登場しました。劇中でセイラの生死は明らかでありませんが、おそらく生存しているのではないかと推測してます。

 Beginning編の物語について語ろうとすると、話題が多岐に及ぶのでこの辺にしておきますが、ザビ家で誰が生き残ったか、について一言。ジオン公国が勝利した以上、ザビ家は健在です。シャアは復讐を果たせていません。そしてキシリアとギレンは、正史と同様の地位で生存。ドズルは戦死しています。ガルマは、事情は定かではありませんが軍を去ったとのこと。おそらくはザビ家の一員としての地位も放擲したものと伺えます。つまり、戦後の地球圏で権力を保持しているのはキシリアとギレンの兄妹。つまりは、戦後に起こりうると予想されるのは、キシリアとギレンの権力争いです。ドズルの戦死、ガルマの退役は、そこへ話しを持っていくためのお膳立てのように思えます。こうした事情が、後の物語にどう関わってくるのかもたいへん楽しみです。

 

 そして、戦後、戦争終結から5年後の宇宙世紀0085から、新たな「GQuuuuuux編」が始まります。これはこれで、またたいへん面白いのではありますが、本稿は「ネタバレ」について語るのが主目的としているので、そこについて触れるのは、またの機会としましょう。

 正直なところ、本作鑑賞前、ガンダムはもうお腹一杯だし、新しいガンダムはゴテゴテし過ぎだよ。主役は、またもやおめめバッチリな女子かよと、テレビで始まれば観るだろうけど、劇場に足を運ぶまでもないと考えていました。ところが、公開初日に本作を観た友人から「1stガンダム好きなジジイにこそ響くアニメ」と言われ、この一言で、公開翌日の1月18日(土)の朝一番の回に劇場へと向かったのです。もうね、友人の言うとおりに響きましたよ。新たなガンダムの展開として、こういうやり方もありかと。40年以上にわたって宇宙世紀の歴史が語られまくり、まさに「正史」が出来上がっていたところに歴史改変、いや正史改変のSFが作られようとは。とにかく、その点においては、2度までも劇場に足を運んだ甲斐がある作品でした、「機動戦士 Gundam GQuuuuuuX Beginning」

 

以上