朝ドラ『虎に翼』を見ている人で、轟太一を嫌いだという人は、まぁいないと思います。
率直で、弱い者に優しく、相手を思いやる気持ちを持つ人。
そういう人は他にもいるんだろうけど、それプラス、何か人に真似できないものがあるんですよね。
アウティングの問題は、本当に難しい。
自分が「一般的ではない性の在り方」を持っていることを、大っぴらにして、そこから人間関係を始めたい人もいるでしょうし、すでにできている人間関係を壊すのも怖いし、人に明かしたくないという人もたくさんいると思います。
ドラマの中の轟は、恋愛対象が同性で、初恋は幼馴染と言って良い花岡でした。
でもその気持ちをはっきりと自覚することがなく、花岡は戦争関連死。
そして新しい恋人ができ、手を繋いで椅子に座ってうたたねしているところを、主人公の寅子に目撃されます。
でもそこでうろたえたりせず、取り繕いもせず、逆ギレ的なこともせず、
まず、
「驚かせてすまなかった」
と謝るんですね。
そして、
「この人は遠藤時雄さん」
と紹介し、遠藤さんと目を見かわして頷くと、
「俺がお付き合いしているお方だ」
と説明するのでした。
すべてが完璧(笑)
まず驚かせたことへの謝罪。
そして、アウティングしてもいいか遠藤さんに確かめること、そして「俺の男だ」などと言わず、しっかり丁寧に「お付き合いしているお方」と紹介する。
これにいやな感じを覚える人なんて、滅多にいないと思います。
どうしてこういうふうに、緊迫した場面で、スカーンとホームランをぶっ放せるんでしょうね、こういう人は。
以前、とても依存心の強い人(Hさんとしましょう)に、妙に慕われたことがありました。
相手が誰だろうと、慕われるのは嬉しいことです。
問題は、距離が違ったこと。
私は彼女とは仲良くなれそうに思えなかったし、彼女は私が「親友でもこんなにベタベタしない」と感じるほど至近距離にいたがりました。
彼女の希望は、毎日連絡をとって、頻繁に会って……って感じですね。
私は年に一度メールをやりとりするのでも、「長文だとしんどいな」という感じでした。
「今週のいつなら遊びに行っていいですか?」
「遊びに来られたら困ります」
「いつなら遊びに行っていいですか?」
「いつでも困ります」
「遊びに行きたいです」
「私は遊びに来てほしくないです」
「なぜですか?」
「そんなに仲良いわけじゃないじゃないですか」
「どうしたら仲良くしてくれますか?」
てな感じで、グイグイ詰めてくる……。
あるとき、彼女から告白されたんです。
「私、初めて絶頂を感じました。相手は夫じゃないんですけど、嬉しい!!」
と。
……しらんし、仲良くもない人の性生活の話しなんて、気持ち悪いから聞きたくないんですけど……。
でもその話をこっちの反応関係なく、いつまでも話し続けるんですよ。
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