私は本当~に駆け引きが苦手でして。
仕事なんぞでは、ある程度は駆け引きをすることもありますが、人間関係においての駆け引きって、必要?
私は駆け引きする人は不快だけどな。
「恋の駆け引きのテクニックを身に着けろ」
なんぞというコラムを見かけまして、
「そんなん必要か~」
と思ったです。
一般的に……ですが、女性は上書き保存、男性は名前を付けて保存だと言われます。
つまり、恋人と別れた後、新しい恋人ができたとき、女性は上書き保存するけど、男性は名前を付けて保存する。
つまり、別れた恋人のことも忘れないというんですね。
男性についてはわかりませんが、私は思いっきり上書き保存な人間で、正直、別れた恋人について思い出しても、
「器の小さい男だったな」
ってのが最大に良い思い出の恋人で、それ以外は……(笑)
といっても、「付き合った」と言えるほど相手のことをよく知り、影響された人は一人だけなので、他の人については悪口しか出て来ないのは当然かもしれませんけどね(^^ゞ
そしてそれとは別に、「尽くすタイプの人間ほど、別れた後はせいせいしている」というのも感じます。
尽くすタイプの人間って、相手が何をしてくれたからとかじゃなく、尽くすのが楽しくて尽くしてるわけじゃないですか。
だから、相手に対して愛情がなくなる寸前まで尽くすわけですが、愛情がなくなった途端、尽くす理由がなくなるので、バッキリ尽くすのを辞める。
本人は「だってもう好きじゃないし」なんですけど、これまでさんざん尽くされてきた人は、
「え?なんで急に?昨日まであんなに私(俺or僕)にベタ惚れだったじゃない!!」
ってびっくりする。
たかじんの「やっぱ好っきゃねん」の中で、男は、
「他に好きな女が出来た」
と嘘もつかずに出て行ったくせに、
「もう一度やりなおそう」
とか平気で言うわけですよ。
で、女は「やっぱ好っきやねん」と受け入れる。
「なんて都合の良い女!!!!!」
……とお腹立ちの諸君に言いたいのですが、多分この女性は、ある時パッキリと愛情がゼロになり、それまでのことが嘘のように、
「だって冷めたし」
と、未練もなく去っていくので、安心してください。
男女逆バージョンが、髙橋真梨子の「あなたの空を飛びたい」でしょうか。
恋人が自分を熱烈に愛してくれていると信じ込んでおり、つれない素振りをし続けていたら、恋人は他に好きな人が出来てしまい、あっさりふられてしまったっぽい歌詞です(笑)
それまで何度も別れて、やっぱり別れられないを繰り返していたので、「尽くされる側」は、「今度もまたすぐ戻ってくるだろう」と思い込んでますが、これまで「やっぱり別れられな」かったのは愛情がまだすこ~し残ってたからで、ゼロとなった時点で、頭の中から別れた恋人のことはリセットしちゃってますから。
大河ドラマの中で、まひろちゃんの弟クン惟規が、父の地方赴任についていくさわちゃんに、
「俺のことが忘れられない?」
と声をかけたところ、
「良い思い出です」
と返されて呆気にとられるシーンがありましたが、まぁ、そんなもんです(笑)
惟規くんはさわちゃんにひどい仕打ちをしたわけではなく、本当に「良い思い出」になると思いますが、「やっぱ好っきゃねん」の男は「ほ~んとクズだったわ~」と眉をしかめて笑いながら酒の種にされるのがオチでしょう。
でも、尽くすのが好きでもない人にとっては、尽くすのが好きな人間のこういう心の機微は、一切理解できないっぽいじゃないですか。
なんせ「やっぱ好っきゃねん」が名曲だって言われるんだから。
「あの人は(あいつは)私(俺)にぞっこんだから」という思い込みは、どれだけあてにならないものか、と私は声を大にしていいたいのですよ。
で、です。
「ただただ思いを拒み続けてた男」
はどういう思い出になるのかな、と思ったです。
与謝野晶子は与謝野鉄幹に恋をし、略奪の末結婚し、売れっ子の妻への嫉妬や自らの才能の枯渇(?)やらでダメダメになった鉄幹を支え、働きながらも、一人で12人もの子供を育てあげます。
よっぽど惚れてたのね~……と思いますが、彼女は鉄幹に出会う直前まで、まったく別の男性に入れあげていました。
その男の名は、河野鉄南。
晶子は鉄南にこんな手紙を書いています。
「ただ詩の神の子としてこのもだえもだゆる少女をあはれと思しなにとぞはやく何とか仰せられ度候。二三日も御返事御待ち申してなき時は私は死ぬべく候」
でもその後、
「兄様の御教はなほよくあじあふべく候」
と書いていますから、多分諭されたのでしょう。
その後の句会で、晶子は例の
柔肌の 赤き血潮に触れもせで 寂しからずや 道を説く君
を高らかに詠みあげます。
驚き焦った鉄南は、晶子に
「あれはどういう意味だ」
と問いただしたらしい。
それに対する返事の手紙はこうです。
「さきに御質問にあひしやははだの歌何と申してよきかとおもひき今日になりにし。梅溪様もかの歌に身ぶるひせしと申越されし候をかし。こののちは詠むまじく候。兄君ゆるし候へ」
んもう非難ゴウゴウでした。もう二度とあんな歌は詠まないので赦してちょ。
……とおっしゃってます。
そしてこう続くんです。
「扨(さて)もこれは兄君だけに申上げるのに候。まことにまことにたれにもたれにも申し給うな。わたくしこの5日与謝野様とひそかに会ひし候」
それはおいといて、お兄様だけに聞いてほしいことがあるの。絶対絶対誰にも言わないでね。実は私、与謝野様と密かにお会いしたの(つまりまぁ、そういうことでしょう)♪」
鉄南がどれだけ呆気にとられたのかは、なんとなく想像がつきますが、この晶子の、鉄南への忖度のなさっぷりはどうしたものか。
鉄南が駆け引きしてたのかどうかはわかんないけどさ。
やっぱ、しない方が良いと思いません???
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