農業全書 017
間違い等あればコメントで教えてください🙇
写真は唐箕(とうみ)
今年初めてのお米作りを仲間とやってなんとか収穫まで
来ましたが、収穫後の作業も機械を使わなければなかなかハードです。
足踏み脱穀機でモミがざっとは取れましたが、
かなりワラや中身の詰まっていないクズ米が混ざっていて
籾殻を取る「籾摺り(もみすり)」ができませんでした。
そのワラやクズ米と分けるのは江戸時代から使われている
優れものがこちら「唐箕」です。
農家と消費者が繋がるコミュニティ「羽畑サロン」で知り合った、
江田島の方からお借りしていて
先日使ってみると大活躍でした
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「農業全書巻の一
農事總(総)論
時節を考ふ 第四」
P62
民に時を授くるの説は、書の堯典(儒教の経典)に出でて、其詳なる事は夏小正月令(?)、玉燭寶典(隋の時代の年中行事を記した漢籍)、月令廣義(明の時代の年中行事・儀式・しきたりなどを解説した本)、其外天文の書などに委しといへどもこゝに略しぬ。
凡種藝の事には四季八節二十四節を考へて(四季は春夏秋冬、 八節は立春、春分、立夏、夏至、 立秋、秋分、立冬、冬至也)。
其時日にをくれず時分々々に耕し種ゆるを肝要とするなり。
四季八節を用ひて月にはかゝはるべからず。
喩へば歳の内の立春(2月4日頃)なれば、 其節を追ふて臘月(ロウゲツ、12月)に春の耕しを始むるがごとし。
地の利と人の功とはよく調るといへども、天の時に合はざれば苦労空しくして益すくなし。
尤南北の違ひ、 山川の勢により、寒暖のかはり有りて、其所々々のよき時節ある事なれば一偏に定めがたし。
されども大抵定りたる中分の法を立てをきて、 其所の草木發生の時を見合せ、 年々の心覺へしてうへ蒔くべし。
四時各其つとめあり。
十二ヶ月をのをの宜しきあり。
時節に先立ちてうゆれば早過ぎて生ぜず。
又時節にをくれて種ゆれば晩くして實りうすし。
物によりて時節少しの違ひにて其實り甚だ少き事なれば、能く考へ計るべし。
智者ありといへ共冬うへて春收る(収める)事はならざるものなり。
又五穀(稲、麦、粟、黍、豆)其外草の類は大かた節氣に先立ちて生ずる物なるゆへ、少し早きまではよし。
をそきに損多し。
若又はからざるさはり有りて、やむ事を得ずして時にをくるゝ事あらば、よき糞しの取分け陽氣のつよき物を下に多くしきてうゆれば、則ち其こやしうへ物の陽氣を助くるゆへ、早く生長し、少し時にをくれても大かたのみのりはするものなり。
⚪︎意訳⚪︎
人々に広く時節を教え導く知識は、中国の堯典の様々な書や天文学の書にも詳しく記されているがここでも簡潔に記す。
様々な耕作、農業の事には四季八節二十四節で考える(四季は春夏秋冬、 八節は立春、春分、立夏、夏至、 立秋、秋分、立冬、冬至也)。
その日時に遅れずにタイミングに合わせて耕し、種苗を植える事を肝要とする。
四季八節を使用し月は考えない。
例えば歳の初め立春なら、 その時節に従って12月に春の耕し始める。
環境条件や人の努力は大切であるが、天の時節との調和がなければ苦労が報われず、利益が少ない。
南北の違いや地形の影響で気温の変動などがあり、地域ごとに異なった相応しい時節があるため、一概に定めることは難しい。
特定の地域では基本的な時節を決めてみて、その中で自然の草木の発生時期などを具体的に観察し、年ごとに経験を積んで知識を蓄積して耕作する。
四季にはそれぞれに役割がある。その変化を尊重し合わせて耕作や仕事を調整するべし。
十二ヶ月それぞれ良いところがある。
播種が時節より早過ぎると芽が出ない。
また遅れると実りが少ない。
作物によっては時期がわずかに変わるだけで結果が大きく変わることがあるため、慎重に考えて計画を立てるべきだ。
どんなに賢い人でも冬に植えて春に収穫する事はできないものだ。
五穀その他草の類はおおよそ時節より早めに生じるので、少し早目に植えるのは良い。
遅いと損が多い。
望まれない状況となって仕方なく遅れることがあれば、良質な肥料の特に陽氣の強い物を多く施して植えれば、作物の成長を助けて少し時期に遅れてもだいたい実る物だ。
⚪︎感想⚪︎
今回から「時節」
耕作のタイミングについての総論ですね。
これ書いてていつも思うのですが、
農業のことだけでなくビジネスや人生、
生きていく上でのあらゆる事に通じていますよね
孫氏の兵法のような
つくづく聖書のような素晴らしい書だと
味わいながら書いています
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