↑のつづき。

さて、畝尾坐健土安神社のすぐ近くに
もうひとつ式内社が鎮座していた。

『畝尾都多本神社』である。



桧隈女王(ひのくまのおおきみ)が
詠んだと言われる万葉集の歌。


「哭澤の 神社(もり)に
 神酒すゑ 祈祷(いの)れども 
 我が王(おおきみ)は 
 高日知らしぬ」


拝殿。

式内社
『畝尾都多本(うねおつたもと)神社』
鎮座地 奈良県橿原市木之本
創建 不祥
神体 井戸
別名 哭澤の神社(ナキサワのモリ)
祭神 哭澤女神(ナキサワメ)

ナキサワメを祀る神社は珍しい。

水神であり、延命の神。

そして、『涙の神』と言える。

イザナミがカグツチを産んだことで
亡くなってしまい、
イザナギが流した涙から産まれたのが
ナキサワメだった。



横から本殿…ではなく、
あの中に、御神体の「井戸」がある。

井戸にたまった水は
ナキサワメの涙だと云われている。



続いて、境内社。

『八幡社』。

祭神 八幡大神 · 比売大神 気長足姫大神


『愛宕社』。


『祇園社』。


『稲荷社』。


見所の多い神社だ。

奈良県ラストの神社にふさわしい。


さすがに疲れ果てた。

最寄駅までの道のりで
大和三山。



この地はまだまだ見るべきところがある。

また来たい。


そんな中、
この大和三山のひとつ『耳成(みみなし)山』。

上から見るとほぼ円錐形となっており、
余分なところが無い(耳が無い)ために
『耳無山』とも呼ばれていた。

そして、
天然の山ではなく、
古代に造営された上円下方墳という説がある。

ゼロから形成されたワケではないが、
人工的に山頂の場所が造られたのである。


大和三山の意味


大和三山それぞれの山頂を結ぶと
きれいな二等辺三角形に成ることは
古代から理解されていたのだそうな。

そして、大和三山の畝傍山の付近には
忌部山』がある。

さらに、忌部山⇒畝傍山と線を引いていくと、
三輪山』がある。


つまりこういうことだ↓

耳成山の山頂の位置を
人工的に調整することで
美しい二等辺三角形を造り出した。

そして、その先にある『忌部山』。


一体なんの為に❓️




阿波三山

次に、天香久山の話。

万葉集にあるように、
天香久山である条件は、
山頂からカモメが飛んでいる姿
確認出来ることである。

奈良県の天香久山からは見えない。
なんなら海も見えない。

~~~~~~~~~~~~~~~~
大和には 群山あれど とりよろふ 
天の香具山 登り立ち 国見をすれば 
国原は 煙り立ち立つ 海原は 
立ち立つ 美し国ぞ 蜻蛉島 大和の国は
~~~~~~~~~~~~~~~~

次に、
『阿波国風土記逸文』を。↓

-アマノモトヤマ-

阿波國ノ風土記ノゴトクハ、
天(ソラ)ヨリ降リ下リタル
山ノ大キナルハ、
阿波國ニ降リ下リタルヲ
アマノモト山ト云、
ソノ山ノ砕ケテ、
大和國ニ降リ着キタルヲ、
アマノカグ山トイフトナン申

-和訳-
阿波国の風土記によれば、
天より降ってきたといわれる大いなる山とは、
阿波の国に降り付いた天の元山であり、
その山のかけらが奈良大和に降り付いたのが
天の香具山であると云い伝えられている。


書籍『道は阿波より始まる』の著者
岩利大閑氏は、大和三山の元山は
全て阿波にあると述べている。

例えば、
『畝傍山(畝火山)』は
「ウネビ山」ではなく、
正しくは「ウネホ山」であり、
「ウネホ」とは、
阿波国内の高所にある『燈台』のこと。
※万葉集に登場するウネホ山は
現在の徳島市多家良町の『中津峰山』。


『香久山(かごやま)』は、
付近に「籠(カゴ)」という地名が
点在する『日の峰』のことで
北の籠に面した峰を
カゴ山』と呼んでいた。
※現在の小松島市の『日峰山』。

そこに、阿南市の『津乃峰山』を加え
三つの「峰」を
『阿波三山』と呼ぶ。
※三つの山に関しては諸説あり。


この阿波三山を結ぶと…↓

大和三山と同じく二等辺三角形に成る❗


この阿波三山こそが、大和三山の元山。

その可能性は捨てきれないのでは
なかろうか。





そして、先ほどの
三輪山⇒畝傍山⇒忌部山のラインを
伸ばしていくと…


『剣山』までたどり着いてしまう事実。




ちなみに、
奈良の天香久山には『天岩戸神社』がある。

徳島にも『天岩戸』がある。

これを『岩戸ライン』と称して
繋いでみると…


こんなことになってしまうのだ。

こんなワクワクすることを
考えない方が難しいのである。



これでもか、というほど出会う
『阿波の痕跡』。




奈良大和、色々なことを気づかせてくれた
素晴らしいところだった。


これだから、神社巡りはやめられない。


出張の合間を縫って、
自分だけの生地(記事)を作り上げるのだ。




さてさて、翌日は神戸空港から
沖縄に帰る日。


飛行機の時間までは自由。


ワタシの生まれ故郷は
兵庫県宝塚市。

ふと、
『産土神』にご挨拶に行こうと思った。


つづく。

ではまた❗




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