「現代生活独習ノート」
津村記久子
コレの続きです

最終話
「イン・ザ・シティ」
ちょっとオタクめのキヨと、運動部のアサは
クラスもちがうしタイプも違う
そんな二人がたまたま仲良くなったキッカケは
架空の街や道を作るゲームアプリ
キヨはゲームで作った架空の都市に詳しい設定を作っては
クラス合同の家庭科の時間にアサにそれを見せるのが習慣になった

中学生の女子同士の、ちょっと変わったちょっと不器用な友情が描かれます
ゲームアプリがきっかけで仲良くなるというのは今っぽい
「エブリシング・ブロウズ」のヒロシと矢澤
「ミュージック・ブレス・ユー!」のアザミとチユキ
「まともな家の子供はいない」のセキコとナガヨシ
過去に読んだ津村記久子作品同様、
わかりやすく言葉にはしない友情がエモいこれからも友達だよとか、友達になろうよとか
そういう言葉はないんですよね
そんな言葉がなくても、
相手の事情や心情を思いやる気持ちが伝わってくる…🥺
このお話では、
オタク寄りだという自覚のあるキヨが、
いわゆる活発な部類にいるとされるアサに対し
自分から近寄っていいのか気が引けているところが印象的
そういうの、自分にもあったよねー!
でも、オタクなだけの人がいないように
活発なだけの人もいなくて、
「架空の街について思いを馳せる」という共通項で
とっくにふたりは仲良くなっているということが
言葉じゃなしにちゃんとわかります
キヨは街の設定を考えるのが得意だけど、
最後、アサの考えた街もとってもステキ…
成長途中の女の子の、自分はこうありたいと思う気持ちとか
ふと自分を肯定できそうな、気持ちが明るくなる一瞬なんかが
なんとなく自分の記憶とリンクしました
