負け逃げ
こざわたまこ

「ふるさとの春はいつも少し遅い」
生れつき少しだけ足が悪いけど、成績も良くて見た目もいい女子高生、野口
野口の母は、野口が「普通」でいられるために骨身を惜しまない
だけど野口は夜な夜な家を抜けだしいろんな男と寝る
その頃、「村」には、問題を起こして村を出て行った者が戻ってきたという噂が広まる
とうとうラスボス、ヤリマン野口が主人公




野口は、「母子家庭」「障害」といったポイントをうまく利用して生きたいと考えているし
実際、効果的に利用して生きている
しかしその裏では
普通になりたい!
普通になれない!
どうして、普通にならなければいけないの!?
という叫びが渦巻いているように感じた
「普通」は、時代や場所が変われば当たり前のように変化するものだけど
狭い「村」にいたら「普通」は普遍的なものとして永遠にのしかかってくる。
そんな中、問題をおこした挙げ句しれっと村に戻ってくきた人物は
この村の「普通」に捕われる野口に風穴をあける存在だと感じた
この村の「普通」だけが普通ではない
この村の「幸せ」だけが幸せではない
桜の咲く時期でさえ、場所が変われば違うのだ
外から見てみないと、気づけない「ふるさと」の姿もある
しかしまあ、
どん詰まりのまま話が終わった他の章の主人公たちが気の毒に思えるほど
(特に4章のサディスト小林)
急にさわやかにカタルシスを迎えたラストだと思った

サディスト小林の話はコチラ

まあ、野口が解放されるということは
ほかのみんなも解放されるって解釈すればいいのかな!と
無理矢理納得した。