負け逃げ
こざわたまこ
田舎、学校、家庭、家業
狭くて息が詰まりそうな人たちの短編集
より一話目
「僕の災い」
田舎の高校生、クラスメートのふたり
田上:目立たない男子生徒。音楽が好き
野口:生れつき少し足の悪い、優等生の美少女
あるとき、田上は野口の秘密を知ってしまう
ちょっぴりネタバレしますと
野口の秘密とは
「ものすごいヤリマンで、毎晩いろんな男と夜を過ごしていること」
なんだけど

もちろん、男子高校生の田上はそれを知ってムラムラモヤモヤする。
それに加えて
「田舎の夜の静けさ」「息が詰まりそうな閉塞感」が描かれる

なんとかここから抜け出したいという足掻き
そうでもしなければ殺されるというほど切迫感
中高校生くらいが、いちばん環境に閉塞感を感じるのではないだろうか
知識としての「世界」は知っているのに
そこへつながるための手段は検討もつかない
それにしても、ふたりのこの「田舎」への恐怖感と嫌悪たるや…
野口も田上も、もっとやり方あるよ!
あと数年もすればなんとでもなるよ!
とは思うんだけど
きっと蟻地獄の中にいる人間にはまったく意味のない意見かもね

そこそこの田舎で生まれて、特に抵抗感なく育って
故郷を出てからもそこそこの田舎で生きてる私は
もしかして、田舎から逃げられなかった人なのかなぁ…(それで別に困ってないですけど!)